「白川文字学の室」展示コーナー 甲骨・甲骨文字
亀甲レプリカ
甲骨文字とは、殷代に主に占いのために亀の甲羅や動物の骨に刻みつけた漢字の最も古い形で、
殷王の権威を立証するための記録でした。
<甲骨文字の内容>
本資料は、亀甲の中心点から左右に書かれた字が対称に刻まれています。
右側(否定命題) 「帝は4月になっても雨を降らせないのだろうか」
左側(肯定命題) 「帝は4月になったら雨を降らせるだろうか」
中央(占いの結果) 「丁の日に雨が降るだろう、辛の日には雨が降らないだろう」
下部(実際の結果) 「王の判断どおり、丁の日に雨が降った」
(殷代(紀元前16~紀元前11世紀)河南(かなん)省 安陽(あんよう)市 小屯村(しょうとんそん)出土)
獣骨レプリカ
本資料は、10日間の災いの有無を占い、「災いがある」との結果が出た後、王の一行が狩りに出かけたときに
家来の馬車が傾き、王子も車から落ちたということが記されています。
また、刻んだ文字に水銀から採った朱を塗りこんであるのは、占いの効力が持続するようにとの特別な意味を
持っています。
<甲骨文字の内容>
左側 「これからの10日間の吉凶を占ったところ、裏側の焼いてひびの入ったあとを王が二度確かめ祟りが
あると出た。5日目に、酒をそそぐ勺の儀礼中に危険な目にあった」
右下 「女シャーマンの呪いがあり、王子が羌人(今のチベット系辮髪族)を10人犠牲にし、その肉を提供し
お祓いをした」
右側 「これからの10日間に災いはないかと占ったところ、裏側の焼いてひびの入ったあとを王が見て祟りが
あると出た。6日目に子が死んだ」
中央 「これからの10日間に災いがないかと占ったところ、裏側の焼いてひびの入ったあとを王が判断すると
祟りがありそうなので、神の仰せのままに従うようにと出た。次の日馬車が傾いて故障し、王子が馬車
から振り落とされた」
(殷代武丁期(紀元前14世紀頃))
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