鯖江高校卒業証書授与式あいさつ
最終更新日 2011年3月3日 | ページID 014206
このページは、平成23年3月3日(木)に鯖江高等学校で行われた、鯖江高校卒業証書授与式での知事あいさつをまとめたものです。
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皆さんおはようございます。
本日ここに、晴れの日を迎えられました鯖江高校の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんが元気で卒業できましたのは、校長をはじめ先生方の日々の教育の賜物であり、厚くお礼申し上げます。また、いつも鯖江高校を地域で支えてくださっている方々にも感謝申し上げます。そして、今日はご家族の皆様も大勢いらっしゃっております。今日まで卒業生の皆さんを育てていただいた大きな努力と愛情に対し、心から敬意を表します。
さて、昨日から今朝にかけて雪が降り、歌で言いますと、なごり雪という感じでございます。1月にも大雪が降りましたが、今日は早春の雪であり、文字通り皆さんの卒業をお送りするような雪の風景になっています。このような時に自分たちは鯖江高校を卒業したということを記憶しておいてください。そして、この気持ちをこれからずっと大事にしていただいて、これから大学生あるいは社会人として是非とも頑張ってほしいと思います。
さきほど校内誌を読みましたが、男子体操部の諸君はインターハイで優勝するなどすばらしい成績をあげております。また、全国高校駅伝では女子陸上部の諸君が非常に頑張ったということが載っておりました。大学受験などまだ合格発表されていないものもありますが、是非とも良い結果を出してほしいと思っています。そして、たとえ結果が期待通りでなくても、再度チャレンジをして、自分の目標を達するように頑張ってください。
折角の機会ですので、諸君に2点申し上げたい。
今年の1月に、県国際交流会館において、小惑星を探検して7年半ぶりに地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」の展示を行いました。皆さんの中にもご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。この「はやぶさ」は、もちろん人間が飛ばしたわけでありますが、大事なところは探査機自身がいろいろと考えて行動する自立的なマシンであることなのです。小惑星「イトカワ」にタッチダウンするわけですが、表面にでこぼこがあると機体が傾きます。でも、地球から体勢を立て直すよう指示を出そうとすると、40分もかかるのです。もちろんイトカワの上で時間がゆっくりと進むわけではないですから、そんなことをやっている間に既に倒れてしまいます。ですから「はやぶさ」は、自分でその表面の様子を見て傾きを感じ、体勢を立て直しました。そして貴重な物質を地球に持ち帰ったのです。
このように、諸君が大学や実社会に進んでいく場合に、いろんな人の指導や指示が必要だと思いますが、だんだん自分自身で考えて、自分で行動するということが大事なのです。あまり自分だけで考えるとうまくいきませんから、大部分はいろんな人の意見を聞いて、少しずつ自分の行動や考えをその中に入れる、そのようなことを重ねることにより、少しずつ皆さんの目標が達成できると思います。一度にはできませんので、少しずつやってみてください。これが私の長い経験から思うことです。
もう一つは、諸君はこれまで小・中・高と学生生活を送ってきましたが、これまでの勉強だけが全てではありません。たとえば、今年の芥川賞を受賞した西村賢太さんという方は、3回挑戦して芥川賞を受賞しましたが、この方は高校を卒業していません。中学校を卒業して芥川賞を受賞したのです。もちろん高校で勉強した方が良かったかもしれませんが、中学校を卒業しただけでも本人の努力で結果を出しているのです。つまり、高校を卒業しなくてもできることがたくさんあるのです。逆に、高校を卒業しただけではできないことがもっとたくさんあります。これからは毎日の生活が皆さんをつくっていくわけですから、決して「もう何も勉強することはない」と思わないで日々の生活を送ってください。
今日のこの雪、私が申し上げたこと、そして今ほど校長がおっしゃったことを少しでも覚えておいていただければありがたく思います。
どうかお元気でこれからの新しい生活に向けてスタートを切ってください。本日はおめでとうございました。
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