平成27年「仕事始め式」知事あいさつ

最終更新日 2015年1月5日ページID 028908

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 このページは、平成27年1月5日(月)に県庁で行われた、職員に対する平成27年「仕事始め式」知事あいさつをまとめたものです。

 明けましておめでとうございます。

 今年は、年末からよく雪が降りました。皆様には何かと身の回りのご用が多かったのではないかと思います。全体で9日間と長い年末年始のお休みとなりました。時間もあり、県庁での仕事とは心境も異なり、これまでのことと、今後のことについて、それぞれの年齢や立場で違うでしょうが、思われるところがあったのではないかと推測します。

 私などは固く凍った雪を鍬で割って門の外へ運び出すなどということなどを急にやりました。子供の心になって調子を出し過ぎると、良いことにならず随分腰が痛くなりました。

 最近はどこでも突然の雪が多くなりました。一方で、天気予報がよく当たるようになり、私の子供の頃のようにいつ雪が降るのかわからないという心配はなくなり、管理はしやすくなっています。雪が降りますが、これをうまく活かすことができないか、など空想を広げながら正月を過ごしました。

 さて、正月に読んだ本や見たテレビなどをもとにお話ししたいと思います。
 ラジオビジネス塾という番組を聞きました。半年間にわたって放送されていた15分くらいの番組を特集にしたものです。
 また、テレビで放送していたシャーロックホームズの事件簿を何本か見ました。
 それから、「赤毛のアン」シリーズをラジオで3日間にわたって朝9時から朗読していましたので、その一部を聞きました。また、吉田茂元首相の子息、吉田健一氏のことを書いた評伝を読みました。

 これらの小説はいずれも時代が共通していて、明治時代にいろいろな制度ができて落ち着き始める1800年代の終わり頃から1900年の初め頃に書かれたものです。
 シャーロックホームズや赤毛のアンも、場所は全然違いますが時代は似ています。

 今年は戦後70年の節目に当たります。明治の新しい制度ができてから70年経って終戦・復興となりました。それから平和的な外交が始まって、今年は70年の節目に当たります。まさに我々が、今後どうしていくのかという転換期に立っているのだと思います。

 赤毛のアンの最後のあたりには、「曲がり角」の先にはどんなものがあるかわからない、というアンの言葉があります。
 今、まさに我々はコーナーに差し掛かっていると思います。今まで通ってきた道とこれから進む道を、福井県として考えなければならない時期だと思います。

 幸い福井県は、戦前戦後と比較していろいろな水準が上がってきていると思います。
 交通条件、子どもたちの生活水準、学力や体力、それから幸福度。昔は決して現在のような状況ではなかったと思いますが、これは先輩や県民ががんばってきた結果だと思います。まさに曲がり角に来ている今、これらの積み重ねをいかに次の10年に活かしていくかが重要だと思います。

 大事な転換期に差し掛かっていると思いますので、我々としては、このすぐれた戦後70年の成果を活かさなければならないし、幸い条件が整ってきていますので、努力しがいがあります。

 「曲がり角」は英語で何と言うでしょうか?cornerと思われるかもしれませんが、辞書などで調べると普通はbendと言うようです。体の関節のbendが「曲がり角」ですので、かなりその角度は自由に動くのかもしれません。ご自身でどの程度の「曲がり角」になるのかに関心を持ってほしいと思います。

 一方、吉田健一さんの評伝は、健一さん自身が酒好きだったようで、ほとんどの場面にお酒が出てきます。
 その中で、父・吉田茂さんについて、サンフランシスコ講和会議が終わって、退陣する頃のことに触れています。
 「現実に即した方法が、最も困難な道である」と父・吉田茂さんのことを吉田健一さんは評しています。観念論で仕事をするのは楽だけれども、現実に即して解決するのが最も困難だということです。
 この評伝のお酒の部分は参考になりませんが、この内容は参考になると思ったので紹介します。

 さて、赤毛のアンの小説朗読の中では、最後の方にこのような言葉がありました。
 「自分の義務・責任(responsibility)を避けずに迎えて、それを生涯の友としようと決意した」というくだりです。
 育ててくれたおばさんマリラの目が悪くなり、自分は大学を断念して一緒に暮らす決心をしたという場面です。

 ラジオビジネス塾では、「良いアイデアは前もってはわからない」という解説をしていました。良いものは後になってからわかるということです。
 また、頭数が必要だということも言っていました。多人数で集まる機会を作ることが大事だということです。100%そうとも言えないと思いますが、参考になると思いました。また、人口は今後減っていくのだから、一人ひとりが仕事をしながら学んでいくことが大事だということもありました。

 シャーロックホームズでは、いつも冒頭に同じ場面が出てきます。ロンドンのベーカー街の様子から始まります。馬車が角を曲がり、骨董屋が出てきて、そこにいたずら小僧がいて警察官がいて、窓からシャーロックホームズの横顔が見える場面です。
 その場面を見ていると動くものに目が奪われがちですが、その他のところもたいへん細かく描かれています。酒の樽を運ぶ職人、骨董店の店員の動き、街頭の女性の動きなど、目立たない部分も詳細です。
 物事には華々しい部分だけでなく、細かい部分もあって全体が成り立っています。目立つところだけに気が向いていると、実際の世の中はそのように華やかにはできていませんので、その他のところにも気を配る必要があるということを感じました。

 このようなことをあれこれ思いながら正月を過ごしました。

 先程も申し上げたように、今年は70年の節目です。明治・戦後・現在の大きな流れを考えて仕事をしてほしいと思います。

 シャーロックホームズの冒頭の場面のように、これからは2020年のオリンピックに目を奪われて世の中が動いていくと思います。しかし、ただそれだけを見ていてもいけません。オリンピックの流れにも乗らなければなりませんが、それ以外のことにも注意を払う必要があります。

 幸い福井県は、国体・高速道路・新幹線などの整備もその前後にあります。大きな流れを見ながら、問題を捉えて仕事をしていただきたいと思います。

 お正月の新聞を見ましたが、昨年と比較するとメディアとしての主張がはっきりしない感じを受けました。わかりにくい状況、論説をしにくい曲がり角だと思います。ですから我々自身が、いろいろなことを考えなければならないと感じました。

 今年は統一地方選もあります。皆さんには足元を固めていただいて、年度末までの仕事のまとめを、行政としてしていいただきたいと思います。年末にマニフェストの成果を発表しましたが、年度末に向けてまとめが必要です。
 そして次の5年、10年につながる仕事をすることが重要だと思います。

 「地方創生の時代」は「競争の時代」です。どこの県でもできる仕事をして済ます時代ではありません。大事なところは徹底的にこだわる考えを持って物事を進める必要があると思います。

 最後に、この一年間の主な課題を申し上げます。
 まず、高速交通体系の整備活用があります。この新しい戦略を進めていく必要があると思います。
 次に、原子力・エネルギー政策。安全最優先のなかで、日本のエネルギーをどのようにしていくのか、まず国が先頭に立って腰をすえてこの問題に取り組む必要がありますが、福井県としても全国・世界へ向けて発信するという気概をもって、原子力・エネルギー問題に取り組むことが重要です。新しい考え方を出していかなければならない状況にあると思います。
 次に、福井国体へ向けての準備を具体化する必要があります。
 最後に、人材育成の強化。子どもたちの学力・体力を教育の次の段階に引き上げていくことが必要だと思います。
 いろいろ申し上げましたが、ご参考にしていただいて、この一年が皆様にとって健やかで充実した年となるよう祈念して、仕事始めのごあいさつといたします。

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