旧暦のお正月に当たる本日、福井県ふるさと文学館の開館にあたり、ごあいさつ申し上げます。
本日は、津村節子先生や全国文学館協議会の山崎会長をはじめ、福井ゆかりの作家の皆様、そして資料収集や展示など文学館整備にご協力いただき、またこれまで以上にご支援を賜ることになる県内外の文学関係の皆様、さらに県議会や市町教育委員会からもこの開館記念式典にご臨席を賜り、厚くお礼申し上げます。ありがとうございます。
福井県は、中野重治や高見順、水上勉など日本近現代文学を代表する作家や、今回ご出席の津村節子先生や藤田宜永先生など芥川賞、直木賞の受賞作家を多く輩出しており、小さい県ながら文学者、文芸家の多い県です。また、近松門左衛門、橘曙覧など歴史的伝統の蓄積が多い県でもあります。また、現在も小説や評論、詩歌など様々な分野において多くの文学者が活躍されています。
こうした作家や作品を通じて、ふるさとの文化、自然や風土、生活の様子に接し、地域の良さを理解し、ふるさとへの愛着や誇りを高めることになり、また、文学への興味・関心を高め、図書館を利用して読書活動との相乗効果を上げる考えのもと、日本一多くの県民の皆様にご利用いただいているこの県立図書館内に、文学館を整備することとしました。
基本計画を策定した平成24年度から3年をかけて整備し、本日の開館を迎えることとなった次第です。ご協力いただいてきた皆様に、この場をお借りして深く感謝申し上げます。ありがとうございます。
この文学館の特徴は大きく3点あります。
1つ目は、全国的にも例のない図書館・文書館・文学館そして白川文字学の部屋の3館1室が併設されていることです。このメリットを活かして、文学によって作家や作品を知る、読書で実際に作品を読む、郷土史で時代背景を調べる、そして漢字学を学ぶ、これらの機能を組み合わせた活動を行います。
2つ目は、福井ゆかりの作家や福井を舞台とした作品について、直筆原稿や愛用品だけでなく、文学賞受賞時の映像やご自身の作品を朗読する音声などを活用し、作家の実生活の様子や作品の生まれた背景などについて紹介します。
3つ目は、若者の創作活動の支援です。これまでも若手作家による高校での出前授業や、作家と直接意見交換ができる文学サロンなどを開催してきました。今後さらに、作家や出版関係者などが小説の書き方を直接指導する講座を年間を通じて開催し、登龍門といわれる新人賞受賞を目指す道を開きたいと思います。
以上申し上げた3つの特徴を活かし、日本で最もよく利用されている図書館の活用をさらに促進するとともに、文学や創作活動への興味や関心を高めていきたいと考えています。
今後、北陸新幹線や高速道路の開通など、交通アクセスがますます良くなり、たくさんの観光客が福井を訪れます。まずはこのふるさと文学館を拠点として、さらに県内各地の文学館やゆかりの地に足を延ばしていただき、文学を通じた観光誘客や、県民の皆さんのふるさとへの誇りにつなげてまいります。
本日ご出席の皆様には、文学館を利用するだけでなく、文学館の運営についてご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
なお、展示などにつきましては、まだ最初で至らぬ点もあったかもしれませんが、バランスなどについても皆さんのご意見をいただきながら、日本一立派な図書館、文学館、文書館、漢字学のメッカとなりたいと思いますので、皆様方にはよろしくご指導をお願いいたします。
簡単ではございますが、開館にあたってのごあいさつといたします。ありがとうございました。
|