平成29年「仕事始め式」知事あいさつ

最終更新日 2017年1月4日ページID 034614

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 このページは、平成29年1月4日(水)に県庁で行われた、職員に対する平成29年「仕事始め式」知事あいさつをまとめたものです。

 皆さん、新年あけましておめでとうございます。
 正月休みを終え、皆さん元気に戻ってきてくれました。今年も一緒に一年間頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 新しい年を迎え、それぞれ計画をお持ちだと思います。仕事においても、家庭的な生活においてもその思いに従って、進めていただきたいと思います。

 福井県はいま、北陸新幹線や中部縦貫自動車道といった高速交通体系が進んでいます。一方、原子力・エネルギー政策の課題、東京一極集中の再加速など、「国と地方」、「大都市と地方」、また「日本のエネルギー問題」など大きな課題解決に向けて、福井県が大きな役割を果たす年になると思います。

 具体的に昨年は、県民の大きな力によって、小浜京都ルートが決定しました。また、国による「もんじゅ」廃炉決定といった、将来の県民や国民の暮らし、経済などに大きな影響を及ぼす出来事が、身近なところで次々と起こった年だったと言えます。

 いずれもこうした事業は、過去の40年、50年という長い歴史的経緯の中で昨年、今日の結果がある訳であります。我々これから50年の福井県や国の発展を考えながら成すべきことを着実に実行し、県勢の発展、日本の将来に福井県としての役割を果たす必要があると思っています。

 今から50年前、1967年・昭和42年の出来事を振り返ってみたいと思います。ちょうどここにいる多くの皆さんは生まれてから現在に至るまでの年数になっていのではないかと思います。

 政治的には、第二次佐藤内閣が発足し、地方においては「革新知事ブーム」が起き、新しい都知事が誕生した年に当たるようです。また、日本経済はいわゆる右肩上がりの時代であり、「いざなぎ景気」の真っただ中。次の68年には、世界第2位の経済大国になりました。国民生活においては、車、クーラー、カラーテレビが「新三種の神器」と言われた時代です。想像もできない昔だったと思います。

 日本の人口はこの年に初めて1億人を突破しました。現在は、1億2千万の人口が将来1億人を切るのではないか、何としても1億人を確保したいという時代ですので、大きく世の中が転換していると思います。こういう中で、いかに我々が地方自治体として行政をすすめていくか、こういう局面であります。

 今日の新聞の広告欄では、大都市と地方の問題に関連して「満員電車がなくなる日」という本が紹介されていました。東京の満員電車をなくすためにはどうすればよいかと考えると、抜本的に解決するには地方に人が住めばよいと我々は思いますが、実際は電車の数を増やす、時差出勤をするなどとなりがちです。より基本に立ち返って問題を考えるべきと思うのです。

 さて、平成29年、われわれは何をなすべきかということについて、大きく5つ挙げたいと思います。

 1つ目は、高速交通体系の整備とまちづくりの一体的な加速です。
 新幹線については、5年後の敦賀開業に向けた用地取得に全力を挙げるとともに、中部縦貫道は、この春には大野まで開通しますので、敦賀開業と同じころに岐阜県に、東海北陸道に結びつける努力が必要です。

 さらに、小浜京都ルートについては、10年後がリニアの名古屋開業、15年後が北海道新幹線札幌開業ですので、札幌よりも早くという大きな方向が出るように努力しなければなりません。

 また、福井県としては、アクション・プログラムについて、4つの新幹線駅舎の基本的な設計、市町とともに実行する周遊・滞在型観光エリアの整備着手など、県内各地の長い歴史・文化を活かしたまちづくりへの官民投資を拡大する必要があります。

 2つ目は、原子力・エネルギー政策についてです。
 原子力・エネルギー問題については、多くの課題があり、さらに今年は同時に進行していきます。再稼働、廃炉、40年超運転、プルサーマル、使用済み燃料の中間貯蔵、「もんじゅ」など6つ、「将来のエネルギー政策の方向」を含めると7つの課題がある中、県民の安全を最優先に、電力立地県としての役割を引き続き果たしていく必要があります。

 しかし、今50年前の話をしたところですが、大きく世の中が変わっているので、福井県の原子力・エネルギー政策における役割もおのずと変わってくると思います。是非とも知恵を出し合って、福井県のためはもちろん、日本のためにエネルギー問題をどうするか、そのために国にどういうことを要請し実行していくか、これまでの蓄積と知恵を出しあって方向を決める必要があると思います。

 3つ目が国体成功に向けた準備です。
 来年秋の福井国体・障害者スポーツ大会を控え、今年は極めて重要な年です。4月以降に開催される37種目のプレ大会の機会を利用して市町・団体などの態勢を整備し、本番に向け準備を整えていく必要があります。

 また、優勝に向け、今年の愛媛国体では10位以内の成績を目指し、体協・競技団体が一丸となって競技力の向上を図る必要があります。さらに、新しい試みになりますが国民体育大会と障害者スポーツ大会を、競技の場で、またおもてなしの場でいかに「融合」していくかを考え、新しい大会にしていきたいと思います。これまでにない新しいプログラムをつくり、全国に示すことが大事だと思います。

 4つ目が人口減少対策・地方創生政策の推進です。
 人口減少対策については、国と地方、それぞれの政策の強化、協力が必要です。国は、本県等の要請を受け、大学の東京集中を抑制する方針を示しており、具体策は夏までに検討となっています。こうした動きに呼応しながら、学生の地元定着、就職対策を強化していく必要があります。

 具体的には、県立大学の魅力・機能向上などにより、大学や入学枠の拡大とともに学生の県内定着を広げる必要があります。また、幸い増加傾向にあるU・Iターンについては、いろいろな活動を通じて本県との関わりを持つ若者を増やすことなどにより、さらなる拡大につなげていきます。

 5つ目がふくいブランドの魅力発信です。
 人口減少対策にも深く関係するが、「幸福日本一」の福井の良さを国内外にもっと知ってもらうためのブランド発信戦略を強力に展開する必要があります。

 幸い、今年は「新しいこしひかり」の名前をつける事業や泰澄大師の白山開山1300年という記念の年でもあります。年末には永平寺の唐門が鎌倉以来初めて開かれるなど、福井は古い歴史と文化がある県であり、これを新しい時代に新しい形でも見直さなければならないでしょう。こういうものを幅広く発信していく必要があります。

 新幹線、中部縦貫道など高速交通体系の整備によって、福井県としては、人の往来・出入り、情報の交流など大きな流動化を目指すスタートの年にしなければならないと思います。
 北はあわら・坂井、東は大野・勝山、南は敦賀・二州、西は小浜・若狭西部それぞれ東西南北の新しいゲートウェイ、開かれた窓ができ、それを通じる交通体系の将来性が見えてきました。
 世界中は残念なことに内に向かっている状況にありますが、閉じこもり型にならないで、福井県は開かれた地域、いろいろな人や情報が出入りする、そのことによって地域のことを互いに考え合う、そのよう動きをスタートする年にしていきたい。皆さんもこの開かれた地域にするという考え方をもって臨んでもらいたいと思います。

 年末・正月にスペインの歴史の本を読みました。15~16世紀の大航海の時代、コロンブスのアメリカ大陸の発見、金・銀の発見、そして英仏やオランダに敗れるまでの興亡の歴史を読んだところ、全く日本とも時代とも異なる国の話ですが、非常に参考になりました。

 スペインには新大陸から多くの金銀が入ってきましたが、しかしインフラ整備にほとんど使われず、戦争や軍事拡張に費やしたようです。ポルトガルで革命が起きた際にも、マドリッドからリスボンまで500kmの道のりを一週間かかっています。全く同じ時代、忠臣蔵では江戸から播州赤穂の同じ距離をわずか1~2日で移動したはずです。

 また、スペイン国内の都市間の仲が悪い、中間層が育っていない、人の交流が弱い、学者の交流がないので科学技術の知識がほとんど広がらない、さらに背景に宗教の問題もあったようです。大都会の精神と実行力とはアンバランスな状態でスペインのよくなかったことが多く挙げられます。

 外国の過去の話であるので直接比較にはならないが、これから大交流の時代、オープンに開かれる時代になるので、互いに力を合わせ、大所高所にたって仕事をしないと、他の地域との競争関係には勝てないということを考えながら、元気にこの一年仕事を進めてもらいたいと思います。

 以上、皆さんのご活躍を期待して新年にあたってのあいさつとします。

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