新任校長研修 知事講話

最終更新日 2017年4月13日ページID 035439

印刷

 このページは、平成29年4月13日(木)に坂井市で行われた、新任校長研修 での知事講話をまとめたものです。

 今日は、新任の校長先生方の研修の冒頭に話をさせていただく機会を得まして、ありがとうございます。

 小学校59名、中学校9名、高等学校12名、特別支援学校3名、国立学校2名の校長先生方、校長ご就任おめでとうございます。それぞれの学校ごとの詳細は申し上げられませんので一般的な話になると思いますが、たとえ話をいろいろとさせていただきたいと思います。

 先日、新任の先生方に私から祝辞を申し上げました。校長先生方の40年前の若い姿の後輩たち、40年間分、新しくなっている日本人たちです。そのとき彼らに何を申し上げたか。それは、「みなさんのような新任の先生は、子どもたちに最も人気のある先生になるはずだ。」ということを申し上げました。小学校でも、中学校でも、高校でも、特に小学校では子どもは、若い先生が好きなのです。なぜ好きかというと子どもとして本能的に好きなのです。ですので新任の先生方に、はじめ入った時は人気があるかもしれないけれど、一年一年毎に人気が無くなる、なぜだろうかとこれから疑問に思わない方がよろしい。そのときは、その積もりで中身をよくすると、別の実力と人気でカバーできれば良い先生になれると申し上げました。

 そして、このたとえ話の先なんですが、校長先生は子どもたちに学校で最も人気から遠い先生になるかもしれない、ということです。子どもから年齢が遠いからです。そこは、そういう運命といいますか境遇にありますので、そこを念頭において、児童生徒や先生に臨んでいただきたいと思います。

写真1

 あくまで寓話ですから、そういう考えもあることを参考にしながら、なるべく実力で人気のある校長になってもらいたいと思います。

  皆さんのなかで、『坊ちゃん』、『二十四の瞳』、『チップス先生 さようなら』、『赤毛のアン』を読んだことある人は、どのくらい、いますでしょうか。

 校長先生方は、手を挙げられた人も多いですが、新任の先生は漱石の『坊ちゃん』しか読んでないような感じでした。もっと、読んでほしいなと思ったのであります。なにせ新任の先生と皆さんとは、世代が違います。40年も前ですから、40年前の『二十四の瞳』と今の『二十四の瞳』では、随分意味が違いますし、映画の中身も違います。『赤毛のアン』なんてアニメもありませんでした。

 『坊ちゃん』に出てくる校長や教頭は漱石からは坊ちゃんの引き立て役にさせられ、“野だいこ”か“赤シャツ”とあだ名で呼ばれている。学校や町内で「問題を起こすな」と言いながら自分達は変なことをやっている。坊ちゃん的なそういうストーリーが、生まれないようにしていただきたいと思います。いずれにしても新任の先生方には、子どもたちに本当の人気のある先生になってほしいと話をしました。

 『チア・ダン』をご覧になった方はいますか。福井商業のことですから、実際に観てください。『チア・ダン』の中で何度も校長と教頭が『ドクターX』の院長、副院長みたいな、事なかれ、ご都合主義、よい所取りの態度で出演しています。そこを、そうでないようにする心構えが大事だと思います。

 私が好きな西部劇の中では、新しい町の市長がいつもいて、仕事請負人のさすらいの保安官が登場する。西部の町はいろいろと問題がある。しかし市長は「問題を起こすなよ。」と口ぐせのように言います。「問題を起こしたいなら町を出ていけ」と言う。しかし映画ですから保安官は「問題」を起こす。これが映画の面白い部分ですから。学校でもドラマティックではないが、類似の状況は想定される。しかし、その時に「問題を起こさない」と考えるのではなく、自分の学校や地域を「どう良くするか」ということで行動してほしいのです。人気の本当の意味を長い目で見て欲しいのです。

 ここは以前は春江工業高校でしたが、綺麗になりまして福井県の教育のための教育研究所として運動公園から移りました。教育博物館も充実してオープンしました。学校と連携して研修したり、あるいはICTで情報を送ったり、わからないことをよく調べてもらったり、多くの先生方に活用してほしいと思います。また、児童、生徒にも活用してほしいと思います。これが、すべての学校にとっても重要ですし、教育研究所にとってもその機能を発揮することになると思います。玄関のところには、授業名人の名前が載っております。そういういろんなことが目に見えるようになっています。

 特に、この博物館を教育委員会が作りましたのは、明治以来150年の教育の伝統、さらに戦後70年の福井県の教育の歴史、成果として現れている先輩の実績、その流れを振り返ってあるいは意味を感じて、さらに校長先生として先生を指導する管理者として、歴史・伝統を生かしながら、いかに革新をするかということであると思います。この新しい研修所で、最初に皆さんが校長として研修を受けることは極めて意味が深いと感じました。

 今年は福井国体の前年にもなりますので、『ふるさと福井の先人100人』という本をつくりました。今春から市販もされていますが、歴史上の先人の成果も出ておりますので、各学校で使っていただければと思います。

 学校を取り巻く環境が年々厳しく、課題が沢山あります。本県の学校教育を取り巻く課題としては、一つは新学習指導要領の改訂ということをいかに具体化するか、特に小学校の外国語教育については、小中高すべてに関係してくることになると思います。

 さらには、全国トップクラスの学力・体力を維持し、さらに、新しいレベルにもっていく必要があります。これは、福井の教育の内容が新しい、あるいは深いとか幅広いとか、いろんな言い方がありますが、学校のテストでは一部しか測れないですので、それ以外にどうもっていくかが重要です。校長先生の、各学校の、福井県の教育としても極めて重要なミッションと思って欲しいのです。

 また、高等学校における教育水準が、小中学校のレベルを必ずしも、うまく反映していないように思います。高校の先生は、今日は12名いらっしゃいます。職業系といいますか、支援学校系もおられますが、それぞれの分野で、何を教えるかということを考えてほしいと思います。

 学力対策について、他の県は、福井県の学力が高いことを不思議に思い、羨望の念を懐き、何とかしてキャッチアップしたいと考えているのでしょう。それ以上のパワーを心の中に深く抱いていただき、頑張ってほしいと思います。

写真2

 そして三つ目は、特に人材の面でありまして、マネジメントに影響しますが、今後10年で福井県の4割の先生が定年退職するという状況にあります。若い先生が新陳代謝して増えますので、全体の教育力をいかに維持・発展できるかということが大事だと思っています。

 『チア・ダン』が、なぜ5連覇できたかというと、福商の生徒諸君が頑張ったからですが、やはり指導者、映画で言うと天海祐希先生が頑張られているからです。今年の大学入試で、ある学校の理系の先生が教えた生徒は、センター入試でほとんど100点でした。そして大体が希望の大学に合格しています。指導者と教育成果との相関関係がはっきりでてくる、いかに、先生一人であってもそのパワーや教え方あるいは生徒指導の心構えが、生徒にいい影響を及ぼすかの大きさがわかると思うのです。先生が面白い授業、子供たちに力強く愉快に接するかがすべてです。

 天海祐希さんは、宝塚の名優ですが、30年に一人の名優だそうです。宝塚の監督が面接試験をする時、名優・リーダーになると感じるタイプが三つあるそうです。

 一つ目は、面接したときは普通だが、努力に努力を重ねて練習して名優になる。

 二つ目は、自分の欠点をわきまえている。欠点をカバーして、欠点を自覚して名優になる。先生方は優等生が多いので、欠点が目につく。一つでもいいところがあったら、励ますことが大事な仕事です。後輩のために、仏心で指導してもらいたい。

 三つ目は、30年から40年に一人しかでてこない名優。よくぞ、この子を生んでくれたと思わせる名優です。その方がチア・ダンに出演されています。 

 最後に学校・授業を改革する時に大事にしてもらいこと。

 一つ目は心構え、どんな心構えで、あるテーマに取り組むか。二つ目はシステム、この2・3日で、NHKの英会話ラジオ講座を聴いた人はどれくらいいますか。例えば、聴くという1つのシステムをつくること、数学なら問題を子どもに与えているシステムか。英語ならALTをどう活用するかのシステムです。三つ目は、授業そのものの各先生の力量をどう発揮できるか。これは、この研究所にも努力していただき、具体例をスピードをもって現場にデリバリーして展開するということです。教科のことは研究会を数多く発足して、日々、切磋琢磨して展開することが必要だと思います。

 以上、申し上げましたが、私は先生ではありませんから的外れもあるかもしれませんから、良さそうだと思われたら、少しでも実行していただけたらと思います。

アンケート
ウェブサイトの品質向上のため、このページのご感想をお聞かせください。

より詳しくご感想をいただける場合は、hishoka@pref.fukui.lg.jpまでメールでお送りください。

お問い合わせ先

県知事公室秘書課

電話番号:0776-20-0216ファックス:0776-20-0620メール:hishoka@pref.fukui.lg.jp

福井市大手3丁目17-1(地図・アクセス)
受付時間 月曜日から金曜日 8時30分から17時15分(土曜・日曜・祝日・年末年始を除く)