福井県高等学校校長協会 知事講話

最終更新日 2017年5月30日ページID 035897

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 このページは、平成29年5月30日(火)に福井市で行われた、福井県高等学校校長協会 での知事講話をまとめたものです。

 今日は高等学校の校長協会のお集まりということで、私立高校の校長もいらっしゃいますし、普通高校それから職業高校、特別支援学校の校長もいらっしゃいます。それぞれ共通のものも多いけれども、目標なり課題も違います。それから県立高等学校の先生方には4月にも話をしておりますので、今日は日ごろ疑問に思っていることや、これはどのようにやっているということを話したいと思います。

 いくつか雑談的に話しますが、先週末に、近畿ブロックの知事会がありました。各県の知事が兵庫県の姫路商工会議所に集まり、「教育」をメインの課題に話し合いました。最初に奈良県が47都道府県のあらゆる学力・体力の統計的な相関それから経年図のデータを作成し説明されました。それによると全部福井県はだいたい1番ですね。他の県はあまりよくない。どうしてだろうという話になったわけです。何か隠しているんじゃないかと。

 奈良県は独特の分析をしておられて、奈良には城がなかったというんですね。つまり、福井藩や丸岡藩、大野藩、敦賀藩、小浜藩など。奈良には藩校がなかった。代官みたいなお侍さんはいたのでしょうが、城下町の領民がちゃんと育っていないので、どうしても教育とか、あるいは人の繋がりとか、伝統、規範をしっかり守るということ、そういうものがないというお話をされていました。(これは私なりに伺ったときのまとめです)

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 福井は江戸期からの伝統があり、そのようなことないですね。教育というのは見える部分と見えない部分があって、福井県の教育がいいというのは、見えるところもあるけど、見えない何かが根っこにあるからうまくいっている。これには気をつけないと、そこがなくなると根っこからだんだん崩れてきますから、いくら頑張っても高い木が育っていかないということはあるのではないか、大体こういう印象です。皆さん方の先輩、校長は現役では大先輩の立場ですけれども、30年間あるいは40年間近くやってきた、伝統の良いものはつとめて次の世代に残すような努力をしていただきたいと思います。これから現役世代というのは急速に少なくなりますので、うまく引き継がないといけない。そんなことを一つ感じましたので、念頭に置いて下さい。

 もう一つは、高等学校の学力についてです。やっぱり大都市区域である、奈良、神戸、あるいは大阪、京都など、高等学校になると私学が発達していますので、競争関係も国体からオリンピックのような感じで状況が一変するような感じがします。もちろん福井県でも私学として公立と競っていますけれども、大都市の私学というのはまた独特で、我々の想像ではちょっとつかない感じがする。そういうことがある中、福井県としてはどう中学校から高等学校につなげでいくかということが大事だと思います。

 そして出席していた知事もだいたい私学なんですね。そういう世界、日本全体がそうなっている。ですから福井県として高等学校までの全体の教育をどうするかというのは非常に難しい、実際に競争すると厳しいところがあると思います。その証拠に小中学校の学力テストとセンター試験ですね。これを相関係数で統計をやったことはないですが、全くの勘で言うと、国語というのは相関があるように私は思います。英語もかなり相関があります。社会は相関というほどのことはなくても、記憶したりで高校では特別異なるということはないと思います。しかし数学や理科になれば、義務教育と高校では、継続的な相関に欠けるということですね。

 そうなると小中学校の蓄積ですね。蓄積がきく教科、国語は最もききますし、英語はその次に蓄積がきくと思いますので。その蓄積のきく教科は高等学校でもいいですね。
 しかし、蓄積のきかない教科は良くない部分があるから、それは高等学校の責任になりますね。そういう論理が成り立つわけです。違うと思ったらあとで質問して下さい。ですので、高等学校としてのパワーを十分発揮できないのがはっきり分かる教科は相関がないのかもしれない。英語の先生が頑張るのと、あるいは国語の先生ががんばるのと、理科の先生ががんばっているのとでは、小中学校の実績を使えないから数学・理科がきつくなってくる。高校の理数系は先生が自分の力でパワーを発揮しないといけないというところがあるじゃないか。それが十分できていないということは高等学校の問題になるかもしれない、という仮説の想定が成り立つと思います。

 また逆に、そうではなくて、小中学校での教え方が小中学校レベルでは成り立ったけれども、高校になる時に役立つような教え方をしていないという想定もあるかもしれない。詰め込みというのか枠にはめて、よく皆さんがおっしゃる主体的な頭を使わないでね、自主性があまり発揮できない教育を小中学校がやっているから、高等学校に行くとあまり伸びないんだとか、そんな話になるかもしれない。その二つがどっちか。私はかなりの部分は前者だと思ってます。そして、大都市の私学との競争に十分太刀打ちをしきれていない。福井はまあまあやっていますけども。そういう局面ではないかなというふうに思っています。ですので、そこをどううまくクリアしていくかということが大事だと思います。

写真2

 先の会合でわたくし申し上げましたが、各県がいろんなお話しするのは非常に特異な事例が多いですね。どこかの職業系学校は料理のコンテストで優勝したとか。そういう特殊な話はごく一部で、普通の生徒にはあんまり関係ないかもしれないですね。100人おられたら限られた数人の話かもしれないから。そこが難しいので、各県の学校の現場の授業は高等学校レベルではどうなっているか、あるいは、小中学校ではどうやっているか、そういうことがもう少し良く互いに対比しながら詰めていかないといけない、こんなことを思いました。

 そういうことを考えますと、チアダンはなぜチアダンなのかということですね。どう考えても教える先生が見事にチアダンだから、チアダンになったんだと思います。子供だけでチアダンにはなれないと思います。敦賀気比高校が優勝したのはどうなのか。これも敦賀気比高校だから優勝したのか、監督さんが立派だったのか。コーチか、先生か。

センター試験でも、ある学校の例えば物理がみんな100点の学校があるんですね。全部100点取れるんです。かと思うとある学校はあまり取れず、みんな70~80点だと。こんなところで100点と80点の差がついたら勝負になりません。そういう違いがある。どうしても先生の力ということになります。先生がいかに頑張れるか、あるいはうまく教えられるか。そういうところをどうやってうまく伸ばしていくか。先生の実力の底上げ、それが大事だと思いました。
 (あと質疑応答あり)

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