「福井県国民保護フォーラム」意見発表 発言要旨 (10月30日 福井市)

最終更新日 2008年4月18日ページID 004260

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(橋詰委員長)
・ 本日は、国民保護に関して、県、市町村、一般の立場で意見発表をしていただく。
・ 国民保護と自然災害における防災は、別のようなものにみえるが、自分または家族の生命、財産を守るという点からみてベースは同じである。
・ 先日の地震の件もあり、住民の関心も高い。今回は皆さんが安心して暮らせる社会を築けるきっかけとして進めていきたい。

西川知事意見発表

      意見発表
(知事)
・ 国民保護法の策定については、地方の立場から積極的な役割を果たすべきと考え、本県は昨年度、中部圏知事会の窓口として提言を取りまとめた。さらに、原子力発電所への対応を中心とした独自の要望も行った。
・ 有事が起きた時、国はすぐには駆けつけられない。住民の生命を守るため、自治体はいろいろやっていないといけない。そういう意味では、法律の中で、知事が退避の指示や警戒区域の設定が行うことができることになったことが盛りこまれ、十分評価できる。
・ 原子力発電所の安全確保の要望に対しては、原子力安全・保安院に「有事における原子力施設防護対策懇談会」が今年2月に設置され、会合が開かれた。この懇談会では、原子力発電所の有事防護対策や運転停止基準、電力の安定的供給について検討されており、最終的には検討内容を取りまとめ、国民保護法制の運用などに反映させる、とのことである。
・ 国民保護計画については、国が基本指針を年度内に示すとしているが、本県はそれを待ってから計画を作るのではなく、基本指針策定と並行して作業を進めている。
・ 武力攻撃といってもなかなかイメージがわかないが、ただ逃げるのではなく、自宅で市や県の指示を待って冷静に動くことが必要であり、計画ではこれらについて具体化していく。
・ 計画作成作業に当たっては、準備会を県内で設け、7月に第1回、先般、第2回の会議を開いたところである。今後も検討を進め、県民の視点に立った計画を年内に取りまとめ、それから国と協議していく流れで考えている。

(橋詰委員長)
・ 国の対策本部より先に、県の体制を立ち上げるなど、地方の措置を重視している内容になっているのか。

(知事)
・ 現在、準備会で審議をしているところであるが、本県としては、初動の初動、いわゆる最初動において体制を整備することを独自に考えている。このほか、避難における車の使用方法や、国が現地に応援に来ている場合、いかに国と共同して効果的な対応ができるかについて、特別に考えていく必要がある。

(東尾次長)
・武力攻撃において、偶発的に起きるパターンについては、現地対応が重要となってくるが、国としても24時間体制で情報収集を的確に実施し、いざという時には直ちに支援できるような体制を構築する必要がある。
 
(橋詰委員長)
・ 本県はボランティアへの支援について先駆的な取組みを行っているが、ボランティアについてはどう受けとめているのか。

(知事)
・ ボランティアや自治会などの住民組織については、有事の場合、どのように応援願えるのか、あるいは限定的なものになるのか、普通の災害と違うかもしれないので、そういう問題も含めて検討していきたい。

(橋詰委員長)
・ 福井県はナホトカ重油事故やこの前の豪雨災害のボランティア活動を通じて、ボランティアに対する蓄積や経験がかなりあり、有事の場合でも住民の協力が必要となるのでは。

(東尾次長)
・ 最近の災害時におけるボランティア活動は著しく盛んに行われているが、有事の場合は、安全の確保が重要となってくるので、それを犠牲にしてまでボランティア活動を要請するのは無理である。ある程度事態が沈静した後の救援活動や安否情報の確認にボランティアの活動が重要となると考えている。特に福井県はボランティアに熱心なところなので、期待している。

坂本三国町長意見発表

        坂本町長
(坂本町長)
・ 三国町には、石油備蓄基地をはじめ、火力発電所や多くの工場が立地しており、テロの対象になったら、どうなるのかという不安がある。
・ また、観光地でもあるため、観光客の安全確保も大きな課題となると思われる。
・ まずは、一元化された情報を迅速かつ正確に住民に伝える有効な手段をどう構築するかが、重要な課題である。
・ 情報を一元化するために、自治体やマスコミ等が、統一された内容で、同じタイミングでの情報提供が必要である。
・ 情報を発信する側、受ける側の双方が、情報に対する認識を今一度考えてみる必要があると思われる。
・ 有事の際、どのような状況になるのか、全く想像もつかないのが現状であるため、「被害想定」を作っていただきたい。また、情報がどのような手段で、どこに伝えられるのか、また、自治体としてどのように対応すべきなのか、そのような内容を定めたマニュアルについても作成をお願いしたい。
・ 国や県がリーダーシップを発揮して、自治体をまとめて指導をお願いしたい。
・ 災害への備えとして、一番力を発揮するのは、地域コミュニティの協力体制だと考えており、常日頃から住民相互の協力意識を醸成しておくことが重要である。町としても、地域コミュニティの育成に努めなければならない。

(橋詰委員長)
・ 町として国民保護計画についてどう考えているのか。

(坂本町長)
・ 現在、防災の計画はあるが、有事に関する計画については取り組んではいない。しかし、石油備蓄基地などが攻撃されたら、という不安があるため、県の指導のもと取り組んでいきたい。

(橋詰委員長)
・ 被害想定をして、マニュアルを作ってほしい、との要望が出たが、国としてどうか。

(東尾次長)
・ 今後、市町村向けのモデル計画および避難マニュアルを作成する予定である。先ほど申し上げたように、18年度末までには、市町村の計画を作っていただきたい。また、指針において攻撃の類型を示すほか、原発やコンビナート地帯などの特定施設の対処についても示していく予定である。

竹本委員意見発表

        竹本委員
(竹本委員)
・ 有事の際の避難を考えると、地域社会というのがたいへん重要だと思われる。ただ、昔と比べて現代は、町内会や運動会に参加しない、避難訓練にも参加しないなど、地域社会が希薄になってきている。
・ ただ、こうした現状の中で、有事において、ちゃんと避難ができるか、とても危惧している。一人暮しのお年寄りの方などに声をかけて、助け合うのが、顔の見える地域社会であると考えている。
・ 私たち自身も責任を負い、発言しなければならない新しい時代になってきており、行政でカバーできない部分を補っていくためにも、地域の住民の責任において行動していかなければならない。そういう意味でも地域社会作りがたいへん重要となる。

(橋詰委員長)
・ 先般の豪雨災害で、福井市の橋南地区は浸水の被害に遭ったが、犠牲者は誰一人出なかった。なぜなら、この地区の民生委員が普段から災害弱者の方の情報を的確に把握しており、手早く避難援助をしたからである。こうした地域のつながりが必要である。
・ 竹本さんはNPOを立ち上げているが、NPOの観点からどう思うか。

(竹本委員)
・ 社会貢献活動といった意味では、有事の避難について二つ挙げられる。一つは自主防災組織で、もう一つは災害ボランティアである。
・ 自主防災組織は地域に密着した組織で、今後重要度が増してくると思われるが、今まで自然災害が対象であったが、それに加えて有事においていかにして市民を守っていくか、体制を整える必要がある。
・ 地域社会において、自主防災組織がリーダーとして加わり、そのうえで自治体から的確な指示が出ることが必要。
・ 救援活動において、ボランティアの方に来ていただいて、地域と連携して活動してもらえれば、たいへん心強いサポートになると思う。

(橋詰委員長)
・ 県民として不安な点などありますか。

(竹本委員)
・ 原子力発電所にテロが発生し、放射能が漏れた場合の避難について、とても不安に感じる。
・ そのような事態に、国や県が避難のタイミングを間違いなく判断できるのでしょうか。屋内への退避をすべきか、または他の安全な場所への避難をするべきなのか、判断が難しいと思われる。
・ また、屋内に退避するにしても、目に見えない放射能から身を守ることはできるのか、という不安もある。
・ このほか、安全な場所に避難をする場合、一度に大量の住民を避難させることはできるのでしょうか。かなりの時間を費やすのではないでしょうか。
・ そういう点を踏まえて、私たち住民ができることは、身近な所で有事・テロが起きうること、どこにどんな危険があるのか、ということを十分理解して、正しい知識を身につけることが必要。
・ また、自治体が作成する避難マニュアルについては、行政と共同で住民が加わり一緒に作って、それを基に避難訓練を実施したうえ、問題があれば作り直していく、そういう手順が必要であると感じている。

(東尾次長)
・ 自主防災組織については、「地域安全安心ステーション構想」を考えており、地域の住民が安心して暮らせるために自主防災組織や消防団がひとつに集まって、資機材を整備し、情報交換ができる場を作っていきたい。これは、防災だけでなく、防犯も含めたものを想定している。
・ 避難マニュアルについては、できましたら市町村レベルでのマニュアルでは、住民の意見を反映したものにしてもらいたい。
・ また、原子力発電所の有事については、これまでの歴史上、原発におけるテロ・有事はない。これは、原発の防護が厳しいためではないか。たとえミサイルが着弾したとしても、被害は限定的なものと考える。

(竹本委員)
・ 県民が正しい情報を得るためにも、話し合う機会が必要であり、私たちも取り組むべき問題として、真剣に考えていかなければならない。

(橋詰委員長)
・法律ができたものの、重要なのは今後の取り組み方だと思われる。住民が安心して暮らしていけるよう、自覚を持って国民保護について関心をもち、理解することが大事である。
 

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