「福井県国民保護フォーラム」意見発表 発言要旨 (11月13日 小浜市)

最終更新日 2008年4月18日ページID 004266

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(橋詰委員長)
・ 本日は、大勢の方に来ていただいているが、特に嶺南地域の方々は関心が高いと思われる。
・ 国民保護法が成立したが、地域の住民が安全安心に暮らすにはどうしたらいいのか、これからの取組みが非常に重要となる。
・ 今日は、それぞれの取組みの中心となる、県、市、県民の代表の方に来ていただいて、それぞれの立場からそれぞれの意見を伺う。

西川知事意見発表

      知事発表小浜
(知事)
・ 国民保護に関しては、県として大事なことは何であるかということをを考えた。それは、早めに準備をして、国に提言する、ということである。
・ 理由として、まず1つは、いつ何時起きるか分からないということ。
・ もう1つは、国の考え方を作る時、福井の原子力発電所が多数立地していること、拉致事件があったこと等、地域の実態がよく反映された指針を作ってもらうことが重要であるからである。
・ 提言の結果、知事の権限について、「退避の指示」、「警戒区域の設定」について知事が行えるような法制になった。
・ 計画策定についても、本県が先立って行うことによって、他の自治体が福井の考え方をモデルとして役立ってもらえるよう、国と並行して作業を進めている。
・ また、原子力発電所の問題については、原子力安全・保安院に「有事における原子力施設防護対策懇談会」が設置され、この懇談会では、原子力発電所の有事防護対策や運転停止基準、電力の安定的供給についての方策が並行して議論されている。
・ どのような災害が起きても、最初の半日か1日は地元の自治体が対応しないと間に合わない。責任が重くなるが、住民の生命、財産を守るためにも、最初動の動きをしっかりやっていきたい。

(橋詰委員長)
・ 地方への権限の移譲については、国の方もずいぶん変わってきたのでは。

(平嶋室長)
・ 国の方でもこの法律は、極めて異例の法律だと言われ、法案が通ったこと自体が、全国の知事と話し合いが何度も行われたことがエネルギーとなっている。西川知事には原発関連の意見を何度もいただいている。緊急事態における知事の権限については、要請を受けて法案の原案で修正されている。

(知事)
・ 計画策定に当たり、避難、救援、情報の3つの部会を設け、議論している。情報通信というのは非常に大事であり、通信設備をしっかり整備すると同時に、どういう時にどういう指示を出すかといった基準が必要である。特に市町村に対して分かりやすく作って、状況に応じて修正を加えながら進めていくことも必要となってくる。

(橋詰委員長)
・ 原発の運転停止についても自ら判断していくのか。

(知事)
・ 原子力の場合は、かなり難しい問題があるため、国、電力事業者、自治体がしっかり相談したうえ、物事を類型化して対応策を構築する必要があり、大きな課題である。想像力を働かせて、こういう類型には、このような対応策を作っていくことが大事である。

(橋詰委員長)
・ 国が基本指針を作るうえで、地域性を配慮しなければならないと思われるが。

(平嶋室長)
・ 指針において、全国の地域性をすべてを配慮したものを作るのは難しい。モデル計画についても全国に共通する汎用性のあるものになる。国も協力はさせていただくが、各地域の実情をよく把握している県や市町村の方で、それぞれの計画の中で盛りこんでいただきたい。

(橋詰委員長)
・ 最後に県としての心構えを一言。

(知事)
・ 時間的に先行していきながら、有効な方策を講じていきたい。また、原子力の問題、通信伝達の問題、住民との情報の連携について、今後の大きな課題だと考えている。

村上小浜市長意見発表

      小浜市長
(村上市長)
・ 戦時中、若狭湾一帯は、軍事上重要な位置付けがされており、小浜港には軍艦が配備され、この辺りには塹壕が掘りめぐらされていた。現在は、15基の原子力発電所が立地しており、小浜市は、ちょうど原子力発電所に挟まれるように中央に位置している。
・ 小浜市は、神社、仏閣など貴重な文化財の宝庫であり、県内有数の観光地である。年間に小浜市だけでも百万人を超える観光客を迎えている。
・ 市としては、有事やテロの際には、住民や観光客、文化財をいかにして守ることができるかが、我々自治体に求められる大きな課題である。

(橋詰委員長)
・ 万一有事が起きた際、この地域で懸念されることはありますか。

(村上市長)
・ 小浜市周辺には原子力発電所が立地しており、拉致事件も発生している。特に最近は米の同時多発テロや、北朝鮮の核開発疑惑などの報道により、住民の不安も大きくなっている。
・ この一帯は、リアス式海岸であるため、海岸を一望できず、警備が十分に行き届かない面があり、外敵が海岸から容易に侵入できるのではないか、という不安がある。
・ 有事の際、嶺南地方の唯一の幹線道路である国道27号が分断し、利用できない場合、住民はどのような手段で避難したらよいか、迂回路をどこにするか、という不安もある。
・ 今後、市は住民の避難や救援等を内容とする国民保護計画を作成することになるが、個々の市町村レベルにおいて対策を講じることは困難であるため、国や県の指導が必要。
・ また、若狭地区は県庁所在地から離れているため、ぜひ当市に緊急事態に際し応急対策の拠点として、国や県が管理する防災センターを設置し、万全の備えを図っていただきたい。市の方でも、防災センターと連携した合同避難訓練の実施等に努めていきたい。
・場合によっては、自衛隊の出動が不可欠であると思われる。特に日本海側からのテロ等に迅速に対処するために、当市を拠点とする自衛隊の常駐を希望する。
(橋詰委員長)
・ 防災センターの設置および自衛隊の常駐については、有事の際の方策の1つだと思われるが、平嶋室長はどう考えていますか。

(平嶋室長)
・ 市町村にお願いしたいことが2つある。1つは住民に対して防災意識を持ってもらうために啓発してほしい、ということと、もう1つは初動体制の時にどういう措置をとるかということを考えていただきたい、ということである。
・ 防災センターの設置については、まずは県で考えていただくことになると思うが、国の方でも相談にのっていきたい。自衛隊の配置は、簡単なことではなく、なかなか申し上げにくい。自衛隊は相当な機動力を持っているので、どうやったら来てもらえるかという体制を作っていくことを考えていく必要がある。

(橋詰委員長)
・ 市の取組みとして、どのようなことを考えているのか。

(村上市長)
・ 自然災害同様、災害に対する備えにおいて重要となるのは、地域ぐるみの協力体制だと思われる。小浜は防災に対する伝統的な意識が強い地域ではあるが、最近は、ライフスタイルも多様化しており、高齢者の一人暮しも多くなっている。

・ 私は先の選挙において「防犯、交通指導、消防等を重視する安心、安全のまちづくり」を公約として掲げており、また、現在防災業務を担当している部署を独立させて、危機管理全般を取り扱う「総合防災課」を設置し体制の強化を図っている。

・ 災害時の情報伝達方法として、デジタル無線系の屋外拡声器や戸別受信機の整備などの検討進めていきたい。また、先の台風23号では、停電等により情報の発信や受信がスムーズにいかなかったことなど多くの教訓を得た。今後教訓を活かし、防災計画を総合的に見直し、市民参加の訓練を実施していきたい。

・ 国に対しては、日頃国民に対して国民保護を普及啓発してもらうとともに、避難指示が出た場合は、一刻も早く避難することが重要であるということを周知していただきたい。また、避難所の警備体制を強化し、住民の安全の確保を図っていただきたい。

・ 有事の場合に備え、高速道路、国道162号の全線整備、鉄道、公立病院の整備などに対する国や県の支援をお願いする。

(平嶋室長)
・ 今、話していただいた中で、重要な事が3点あった。1点目は災害時において情報通信がいかに大事であるかということ、2点目は実践的な訓練を積み重ねることが必要であるということ、3点目は自主防災組織や消防団のような地域活動が重要となることである。
・ 国民保護については、国だけで実施することは難しく、地域の知恵が必要となる。ぜひとも地域住民、地方公共団体との共同作業でやっていきたい。

一瀬会長意見発表

       一瀬会長
(一瀬会長)
・ 現在、若狭地区婦人防火団体連合会の会長として、婦人消防隊での防災活動に取り組んでおり、毎日の夜回りの火の用心や消火ポンプの点検、水防訓練などを行っている。また、消防学校で止血、呼吸法などの救急法の訓練も行っている。


(橋詰委員長)
・ 災害時に家庭の中で、ご婦人がすぐに活動ができるというのは、たいへん心強いことである。
 有事やテロについては、なかなか実感がわかないと思うが、どのように考えていますか。

(一瀬会長)
・ 戦争、テロといわれても、新聞やテレビで他国のことを知るくらいで想像がつきません。ただ、近辺で過去に拉致問題が発生し、私が住む町の近くにも原子力発電所が存在していることを考えると、決して他人事ではなく、私たち住民ひとりひとりが身辺に起こりうる問題としてとらえていく必要があるのではないか。

(橋詰委員長)
・ 一般の人よりも意識は高いということですね。災害に対する備えについてはどうか。


(一瀬会長)
・ 地震や火災などの自然災害と同様、有事においても被害を最小に抑えるためには、消防団、婦人消防隊など、地域住民が協力し合って、災害に備える必要があると思われる。

・ 普段からの活動としては、地域住民への防災意識の普及啓発、防災訓練の参加、非常食等の備蓄の指導などが考えられる。

(橋詰委員長)
・ 実際にはどうですか。ご自身や周りの人はそのような備えはしているのか。

(一瀬会長)
・ まだ、全国的にも普及はしていないようだが、私の周囲ではローソクなどを用意している人は多い。

(橋詰委員長)
・ 高浜町にも原子力発電所があるが、不安みたいなものを感じるか。

(一瀬会長)
・ 私の家の前に原子力発電所があるので、不安がないと言ったら嘘になる。

(橋詰委員長)
・ 原子力発電所が近い地域では、有事等に対する意識は高いと思われるが、一般的にはまだ生活レベルまで達していないようだが、平嶋室長はどう思われるか。

(平嶋室長)
・ 地域住民の意識を高めることが1番の課題であると考えている。災害においても防災意識を持っている地域は強い。女性の防災活動も非常に大事である。現在消防団は93万人いるが、これを100万人に増やす予定である。中でも女性の方に入っていただきたい。
・ 地域の啓発については、国もノウハウがあるわけではないので、それぞれの現場の意見をフィードバックしていきたい。ぜひ積極的な提言をお願いする。

(橋詰委員長)
・ 国民保護に関する疑問や不安な点について、一市民の立場から何かありますか。

(一瀬会長)
・ 県や市町村は今後、避難などに関する計画を作るということだが、実際戦争が起きたとき、情報が住民に正確に伝わるのか。伝わったとしても、パニックになり、計画どおり進まないのではないか。
・ また、電気やガスが止まった場合はどうすればよいのか、避難場所はどこか、有事の際、消防隊が消防活動等の協力をしていて危険ではないだろうか、等の不安がある。

(平嶋室長)
・ 国がまず行うことは、有事のような事態が起こらないようにすることである。また、過去の戦争において、情報が伝わらなかったことにより、どんな状況をもたらしたのかということをよく反省して、情報の伝達については、しっかり考えていると御理解いただきたい。
・ 避難については、全てのパターンをシミュレーションするのは大変なので、いくつかのパターンを考えて、あらかじめ知っておくことが大事である。我々も現在研究しているので、ぜひ日頃から研究していただきたい。

(一瀬会長)
・ 国民保護については、もっと世間に広く知ってもらう必要がある。国民へのPRはどう考えているのか。

(平嶋室長)
・ 今年パンフレットを作る予定であり、フォーラムや説明会を開催している。まだ都道府県、市町村レベルに浸透している段階であり、なかなか国民には届いていないが、一生懸命していきたい。

(橋詰委員長)
・ 有事はないに越したことはないが、地球の危機という意味では、いろいろなことで危機は増している。これからは、自分たちがどうするか、地域をどう守っていくか、ということを考えることが重要になる。
・ 国民保護法は、まだ第1歩の段階であり、これから詰めていかないといけない。大事なのは、住民の意識、理解を深めることである。行政、住民が一体となって安心して暮らせる地域を築いていく必要がある。

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