職場のトラブルQ&A ~事業場外労働のみなし労働時間制~

最終更新日 2020年3月27日ページID 007161

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 当社の外勤の営業職は1日の大半を外回りに費やしているため、会社や上司の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を正確に把握することが困難です。このような場合、労働時間を算定するにはどのような方法がありますか。

 営業など事業場外での労働の場合、使用者の直接の指揮監督下を離れて労働時間を算定しにくい場合があります。そこで、労働基準法は「労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす」と定めています。「みなす」という規定ですから、実際に労働した時間とは異なる計算になります。例えば、所定労働時間が8時間の場合は、9時間働いた日も7時間しか働かない日も、8時間働いたものとして扱います。
 ただし、その仕事のために通常必要な時間が所定労働時間を超えているときでも所定労働時間労働したものとみなすことは不当ですので、そのときには当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされます。また、業務の遂行に通常必要とされる時間は、労使協定により定めることができます。
 みなし労働時間が法定労働時間を超えている場合には、時間外労働となりますので、法定労働時間を超えた部分について割増賃金を支払う必要があります。
 なお、みなし労働時間の規定は労働時間を算定し難いときの例外規定ですので、事業場外の労働であっても客観的に労働時間を算定できる場合には適用されません。

解説

 事業場外労働に関するみなし労働時間制の対象となるのは、「事業場外で業務に従事し、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な業務」である場合です。
 したがって、次の場合のように、事業場外で業務に従事する場合であっても使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合については、労働時間の算定が可能であるのでみなし労働時間制は適用されません。

  1. 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
  2. 事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル、携帯電話等によっていつでも連絡がとれる状態にあり、随時使用者の指示を受けながら労働している場合
  3. 事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場にもどる場合

 
 また、その仕事のために通常必要な時間が所定労働時間を超えているときは、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされます。「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」とは、通常の状態でその業務を遂行するのに客観的に必要とされる時間をいいます。
 実際の労働時間は、労働者や業務の繁閑などにより多少の差が生じることが考えられます。例えば、事業場外の業務が、ある日は8時間で済むこともあれば、ある日は10時間かかることがあるが、平均的にみれば9時間であるならば、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」は9時間というように考えます。
 「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」については、当該業務の実態を最もよく分かっている労使間で、対象労働者の意見を聴く機会を確保するなど、その実態を踏まえて協議した上で決めることが適当です。
 この労使協定は法律上義務付けられたものではありませんが、実態に即した労働時間の算定が行われるためには、できる限り労使協定が締結されることが望ましいとされています。
 また、労使協定により定められた「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」が法定労働時間を超える場合には、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。

参考

 

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