職場のトラブルQ&A ~解雇の予告~

最終更新日 2020年3月27日ページID 008664

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 先日、会社の同僚が突然解雇されました。自分も同じように解雇されるのではないかと不安です。
 労働者を解雇する場合には、法律上どのような手続きがとられるのでしょうか。 

 使用者が労働者を解雇する場合には、原則として、少なくとも30日前に労働者に対して解雇の予告をしなければなりません。
 30日前に解雇の予告をしない場合には、使用者は労働者に対して30日分以上の平均賃金を支払わなければなりませんが、平均賃金を何日分か支払った場合には、その日数分だけ予告期間を短縮することができます。(労働基準法第20条)
 ただし、次の労働者は対象外となります。(労働基準法第21条)

  1. 日々雇い入れられる者で継続使用期間が1か月を超えない者
  2. 2か月以内の期間を定めて使用される者で、その期間を超えて継続使用されることのない者
  3. 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者で、その期間を超えて継続使用されることのない者
  4. 試の使用期間中の者でその期間が14日を超えない者


 なお、解雇予告や解雇予告手当の支払いさえ行えば自由に解雇できるというものではなく、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効です。(労働契約法第16条)
 また、労働基準法や男女雇用機会均等法などにおいて解雇を制限する規定が設けられており、これらの規定に違反する解雇も無効となります。 

解説

 解雇とは、労働者の意思に関係なく、使用者の一方的な意思表示により労働契約を解約することをいい、使用者の退職勧奨に労働者が応ずる場合や、労働者が自ら申し出る自己退職とは異なります。使用者が労働者を解雇するには、労働契約を継続できない「合理的な理由があり、社会通念上相当である」ことが必要です。
 解雇には、労働者の健康状態や勤務態度を理由とする場合(普通解雇)、労働者が企業秩序を乱した場合(懲戒解雇)、業績の悪化により人員削減を必要とする場合(整理解雇)などがありますが、これらの事実があったからといってすぐさま解雇の理由となるものではありません。

 就業規則がある場合(常時10人以上の労働者を使用している事業場は作成義務があり、労働基準監督署に届け出ることが必要です。)、解雇の事由は就業規則に列挙されている必要があります。(労働基準法第89条第3号)
 解雇事由の列挙の中に「その他やむを得ない事情があったとき」などと包括的な規定が置かれている場合がありますが、解雇の具体的理由が、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇」は解雇権の濫用として無効となります。

 契約社員、嘱託社員などの期間の定めのある労働契約(有期労働契約)については、契約期間の途中で事業を継続することができなくなったなどやむを得ない事由がなければ、契約期間が満了するまでは解雇することができないとされています。(労働契約法第17条)
 やむを得ない事由があるかどうかの判断は、各事案に基づいて個別具体的に判断されることになりますが、期間の定めのない労働者の解雇における「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当である」こと以上に、解雇の有効性は厳しく判断されます。

 労働者が解雇の予告を受けた場合、退職する日までの間において、使用者に対し解雇の理由についての証明書(解雇理由証明書)を請求すれば、使用者はこれに遅滞なく応ずる義務があります。(労働基準法第22条第2項)
 解雇理由は具体的に書かれている必要があるので、使用者から解雇の予告を受けた場合は、証明書にてその理由を明らかにしてもらい、労働者は解雇を受け入れるかどうかの判断をすることができます。
 また、即時解雇であっても、労働者が解雇理由を記載した証明書(退職証明書)の交付を求めた場合、使用者は同様に遅滞なく応ずる義務があります。(労働基準法第22条第1項)
 なお、法律で解雇が禁止されている主なものとして、次のものがあります。

  1. 業務上の傷病による休業期間およびその後30日間の解雇(労働基準法第19条)
  2. 産前産後の休業期間およびその後30日間の解雇(労働基準法第19条)
  3. 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇(労働基準法第3条)
  4. 労働基準監督署に申告したことを理由とする解雇(労働基準法第104条)
  5. 労働組合の組合員であること等を理由とする解雇(労働組合法第7条)
  6. 女性(男性)であること、女性の婚姻、妊娠、出産、産前産後休業取得等を理由とする解雇(男女雇用機会均等法第6条、第9条)
  7. 育児・介護休業および子の看護休暇の申出または取得したことを理由とする解雇(育児・介護休業法第10条、第16条、第16条の4)
  8. 通常の労働者と同視すべきパートタイム・有期雇用労働者について、パートタイム・有期雇用労働者であることを理由とする解雇(パートタイム・有期雇用労働法第9条 ※)
  9. 公益通報をしたことを理由とする解雇(公益通報者保護法第3条)

※   パートタイム労働法は「パートタイム・有期雇用労働法」として2018年7月に改正されました。パートタイム労働者だけでなく、有期雇用労働者も法の対象に含まれることになり、2020年4月1日から施行されます(中小企業への適用は2021年4月1日)。

参考

 

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