第343回定例県議会知事提案理由説明要旨
平成17年6月15日
第343回定例県議会
知事提案理由説明要旨
福 井 県
第343回定例県議会の開催に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および主な施策につきまして、その概要をご説明申し上げます。
この4月から6月にかけて、JR北陸線の高架化、新しい福井駅の開業、北陸新幹線の県内着工など、平成17年度は本県の歴史に大きな一歩を刻む幕開けとなりました。県政を担う一人として、より一層のリーダーシップを発揮し、県民が誇れる「夢あるふるさとづくり」に邁進していく決意を新たにしております。
私は、知事就任以来、マニフェスト「福井元気宣言」を県政推進の基本とし、大胆な機構改革や「政策推進マネジメントシステム」の導入など、本県独自の行政経営手法により、「スピードと決断」を旨に、全力で県政推進に取り組んでまいりました。
この2年間を通じまして、景気・雇用対策、高速交通体系の整備促進、原子力政策、治安回復など、県政の重要諸課題につきまして、将来に向けての大きな区切りと道筋をつけることができました。
さらに、健康長寿を本県の基本ブランドに位置付け、保健、医療、福祉、環境、産業、学術など、幅広い分野を通じた「健康長寿ふくい」の創造に着手いたしました。
県政の重要諸課題に道筋をつけることができましたのは、県民の皆様や県議会議員各位からの力強いご支援とご協力に負うところが大きく、深く感謝申し上げます。
任期の折り返しになる本年度は、これまでの努力の成果をより大きく結実させる、まさに「実行・行動」の年であります。目的達成のための具体的行動手段や到達目標を明確にしながら、県民の皆様が具体的な成果を実感していただけるよう、実効ある施策に全力で取り組んでまいる所存であります。
また、本年3月末に、若手・中堅職員が県民の夢や希望を織り込みながらまとめた「ふくい2030年の姿」につきましては、これをもとに、本県の将来像についての県民の幅広い議論を喚起してまいりますとともに、本県の将来像を見据えて、県民一人ひとりの新しい豊かさを実現していくための一つの「道しるべ」にしたいと考えております。
一方、地方と国の関係に目を転じますと、三位一体の改革につきましては、現在、なお、国の理解は不十分であり、地方として攻勢には至らず議論が膠着している状態にあります。今後、地方から国民全体に幅広く議論が広がるような取組みを進めることが必要であると考えております。
平成18年度までに、3兆円規模の税源移譲額を地方の案に沿った形で確実に実現し、さらに、地方分権新時代にふさわしい国・地方の税制の抜本的改革を目指して、全国の地方自治体と力を合わせて最大限の努力をしてまいります。
さて、去る5月24日に全国知事会に憲法問題特別委員会が設置され、私が委員長を担当することになりました。
憲法問題につきましては、4月に衆参両院の憲法問題調査会の報告書がまとまり、今後、各政党による具体的な新憲法の草案作りが本格化いたします。この委員会は、このような動きに的確に対処し、地方自治を新憲法の重要な柱として位置付けるために設置されたものであります。
これまでの地方分権改革の成果を確実なものとし、より一層進展させていくために、来年2月の報告書の取りまとめに向け努力してまいりたいと考えております。
では、当面する県政の重要課題について申し上げます。
北陸新幹線につきましては、福井駅部工事実施計画が、去る4月27日に富山・金沢間の計画と同時に認可され、今月4日には起工式が行われ、北陸3県合同の北陸新幹線建設促進大会に引き続き、福井県内着工記念県民大会を実施いたしました。
県民大会には幅広い年代から1,100人を超える参加があり、自民党整備新幹線等鉄道基本問題調査会の小里貞利会長、与党整備新幹線建設促進プロジェクトチーム座長の久間章生自民党総務会長をはじめ多数の国等の関係者が出席された中で、県内建設促進に向けた県民の新たな決意や期待を伝えたところであります。
県民の長年の悲願であった県内着工が実現し、新幹線工事の槌音が響くことになったことは、30余年に及ぶ県民一丸となった運動の結果であり、大きな前進であります。改めて県選出国会議員、県議会議員、沿線市町村、経済界など県内各界各層の長年にわたる精力的な活動とご支援、ご協力に対し厚くお礼申し上げます。
今後、平成20年度末の完成を目指した福井駅部整備の着実な実施や、昨年12月の政府・与党申合せにおける「必要に応じ随時見直しを行う」との見直し条項に基づき、早期に見直しを行い、金沢開業とほぼ同時期での福井開業、そして敦賀までの早期認可および整備を図るよう、沿線各県とも連携しながら最大限の努力を重ねてまいりたいと存じます。
なお、北陸新幹線の県内着工を記念し、福井駅部の建設費に充てるために発行した住民参加型の県債である「ふくい新幹線債」につきましては、4,295人の個人および46の法人から、発行予定額の13倍を超える39億3,000万円余の応募がありました。これは北陸新幹線への県民の関心と期待の高さの表れであると考えており、心強い限りと思っております。
今後とも、北陸新幹線の早期整備に向けた気運の醸成に積極的に努め、県民一丸となった運動に高めてまいりたいと考えております。
次に、原子力行政について申し上げます。
美浜発電所3号機事故につきましては、関西電力の再発防止対策と行動計画ならびに国の事故調査委員会の最終報告書が3月に提出され、その際、関西電力社長および原子力安全・保安院長からそれぞれ内容の説明を受けました。その際、再発防止対策の実施状況やこれに対する国の確認状況につきまして、今後、必要な報告をするよう求めました。
美浜発電所3号機の二次系配管の点検につきましては、点検を終了し、現在、必要な箇所の取換え工事等が行われております。
また、本県の要請により設けられた国の高経年化対策検討委員会の中間取りまとめにつきましては、4月に原子力安全・保安院長から説明を受けました。その際、8月に予定されている最終報告には、国として高経年化対策の充実・強化に向けた具体的な方向性を明確にし、さらに責任ある国の関与を強めることなどを盛り込む必要があると伝えました。
さらに、先月16日に、安全協定を13年ぶりに改定し、県が事業者に求める措置として、原子炉の運転停止を明記するなど、高経年化が進む中で安全監視体制の強化を図ったところであります。
「もんじゅ」につきましては、先月30日に最高裁判所が、原子炉設置許可処分を無効とした名古屋高等裁判所金沢支部の判決を破棄し、原告住民の控訴を棄却する旨の判決を行いました。
県といたしましては、司法の立場から国の安全審査が適法であると判断されたことは、地元として意義があると考えておりますが、国や核燃料サイクル開発機構におきましては、この判決を受けて、これまで以上に「もんじゅ」の安全確保対策、情報公開の徹底等を進める必要があると考えており、今月6日に、核燃料サイクル開発機構理事長に対し、こうした対応を強く求めたところであります。
「もんじゅ」の改造工事につきましては、3月から準備工事が行われておりますが、工事の実施状況や安全性総点検の指摘に基づく改善状況等については、十分に確認してまいりたいと考えております。
地域と原子力との自立的な連携を目指して策定した「エネルギー研究開発拠点化計画」の推進につきましては、7月中を目途に、若狭湾エネルギー研究センターに、「エネルギー研究開発拠点化推進組織」を設け、産学官ネットワークや研修制度等の確立を図ってまいります。
また、併せて、国や関係自治体、産業界、大学、研究機関等が参画する推進会議を設けて、施策の実行プログラム等を盛り込んだ推進方針を決定し、計画を着実に実施してまいりたいと考えております。
この計画につきましては、産業界をはじめ関係者の積極的な参加と協力を強く期待しているところであります。
次に、福井豪雨災害等からの復興と再び災害が起こらないようにするための防止対策について申し上げます。
昨年7月の福井豪雨から間もなく1年を迎えようとしております。
県では、災害復興推進会議のもとで、被災者の生活・住宅支援、産業の再生、河川、道路、鉄道などの社会基盤の復旧などに全力で取り組んでまいり、概ね順調に復興が進められていると考えております。
本年の出水期を前に、先月17日に被災地の復興状況の確認や住民代表との意見交換を行いました。今後、各地域の抱える課題や意見等も踏まえ、被災箇所の早期の復旧や再度災害の防止に努めるとともに、避難情報等の伝達・提供の迅速化や確実化など、より一層の防災体制の充実を図り、災害に強い県土を実現してまいりたいと考えております。
河川・道路・砂防の公共土木施設等につきましては、人家や学校、病院等に近い緊急性、公共性が高い箇所から重点的かつ計画的に復旧工事に取り組んできており、現在、被災箇所の約7割が完成しております。
また、農地・農業用施設につきましても、河川等の復旧との調整が必要な箇所を除き、被災箇所の約7割で復旧を終えております。
特に大きな被害のあった足羽川の福井市街地区間につきましては、河川激甚災害対策特別緊急事業の実施により、破損した堤防箇所の復旧工事が完了し、7月からは河床の掘削工事に着手いたします。
砂防や治山事業につきましては、3月に採択された激甚災害対策特別緊急事業により、それぞれ美山町蔵作地係など50箇所と福井市浄教寺地係など37箇所において、本年度から概ね3箇年で堰堤等の整備を進めていくこととしております。
JR越美北線につきましては、JR西日本との協議を進め、今月中に橋梁の復旧に係る工事協定を締結することとなっております。年内には工事に着手し、平成19年度のできるだけ早い時期に全線復旧ができるよう取り組んでまいります。
次に、豪雨災害の経験等を教訓にした防災体制の強化についてであります。
県の地域防災計画につきましては、本年2月に開催した福井県防災会議において修正を行い、さらに国が3月末に策定した避難勧告等の判断基準・伝達マニュアルや今般の水防計画の改正などをもとに追加修正を行い、国と協議を進めております。
水防の強化につきましては、洪水の際に水防活動等を発令する水防警報河川を5河川から19河川に拡大することなどを内容とする水防計画の改正を行ったところであります。
また、重要河川における水位計の増設など河川や砂防の情報システムを充実するとともに、市町村の洪水ハザードマップの作成を支援し、異常気象時における警戒避難活動を強化することにより住民の安全確保を図ることとしております。
災害ボランティア活動の推進につきましては、今月9日、10日に、災害ボランティアの先進県として、「災害ボランティア全国フォーラム」を開催いたしました。高齢者や障害者など災害の際に特に援護を必要とする人たちに対するボランティアと行政が連携した支援や仕組みづくりなど、会議での成果を、実践につながる施策に生かしていくとともに本県から全国に積極的に発信してまいりたいと考えております。
さらに、豪雨災害からちょうど1年目となります7月18日には、被災地において、豪雨災害から得た教訓を踏まえ、今後、人と自然との関わり方などをテーマに、地元の方々を中心とした会議などを開催したいと考えております。
次に、主要施策につきまして、元気宣言に沿って申し上げます。
まず、「元気な産業」についてであります。
「15,000人の雇用創出」につきましては、4月にふくいジョブカフェにUターン情報センターを移設して、若者の就職支援サービスのワンストップ化を図ったところであり、本年4月以降の1日当たりの来所者は昨年度の4割増の40人余りになっております。
また、ふくいジョブカフェにおきましては、国のモデル事業に採択され、経済団体や地元企業と連携して、民間企業の人事労務経験者等を専門カウンセラーとして配置し、フリーター、若年無業者、学生が就職相談から職業教育、職場定着までの一貫したきめ細かな就職支援を受けることができる体制を強化することといたしました。
さらに、利用者が使いやすいように、今月20日から県内9箇所にミニジョブカフェを開き、カウンセラーによる相談や学校への出前カウンセリング等を行うこととしております。
本県の平成16年の完全失業率は3.0%と全国で最も低い数値となり、今春の高校卒業者の就職率は97.7%と昨年に引き続き全国一になっておりますが、今後とも、雇用環境の改善に努めてまいりたいと考えております。
「産力強化」につきましては、県内企業の新しい技術開発や新製品の開発を支援するため産学官による共同研究を積極的に推進してきており、「レーザで電子部品や眼鏡枠の精密接着を行う装置の開発」の研究などで最先端技術を活用した成果が生まれております。
今後、このような新事業に結びつく研究成果を数多く創出していくため、レーザ高度利用技術やチタン・マグネシウム加工技術など5つの分野ごとに研究会を7月を目途に設置し、幅広く県内企業の参画を促し、次世代自動車部品など有望な市場分野における産業群づくりを進めてまいりたいと考えております。
企業誘致につきましては、テクノパーク福井へ保険代理店業のコールセンターが7月に開設され、当初100人程度が雇用される予定です。
また、テクノポート福井へ電子材料やファインセラミックス等に使用されるジルコニウム化合物を製造する工場の進出が決定いたしました。投資額は約40億円で50人程度の雇用が予定されており、平成19年には操業を開始することとなっております。
今後も、将来性の高い企業を中心に、市町村との連携を強化しながら、誘致活動を展開してまいりたいと考えております。
観光につきましては、4月から民間の専門家である観光プロデューサーを県観光連盟に配置し、観光素材の発掘、客層を絞った旅行商品の開発、観光事業者への助言などを積極的に行い、観光客の誘致拡大を図っております。
また、本年度から、熱意と明確なビジョンを持って意欲的に魅力づくりに取り組む観光地を、景観整備や情報発信、地域づくりリーダーの養成などハード、ソフト両面から重点的に支援していくことにしております。
次に、農林水産業の振興について申し上げます。
園芸振興につきましては、坂井北部丘陵地におきまして、生産から販売における企業的な園芸生産に取り組むモデル経営体を育成するために、現在、新しい分野の開拓を目指す農業生産法人を募集しているところであります。7月には対象団体の決定を行い、農地の集積や施設、機械の整備等の支援を行ってまいりたいと考えております。
また、ふくい野菜につきましては、生産販売額の拡大と産地の活性化を図るため、「健康長寿の里の元気野菜」としてブランド化を図ってまいりたいと考えております。
このため、勝山ミズナなどの伝統野菜につきましては、健康によいと思われる成分の分析を始めたところであります。また、本県の特産であるラッキョウやウメの果汁を用いた加工食品の開発に着手しております。
さらに、「味キララ」という品種に切り替えているスイカなど消費者の嗜好にあった野菜につきましては、関係団体とも連携して、ブランド化の推進と販路拡大に努めてまいりたいと考えております。
また、兼業農家への支援のため、本年度から専門的な技術を持っている農業改良普及の経験者など50人を地域農業支援員として委嘱し、農産物の施肥や病害虫防除の方法などの栽培技術や農薬の適正使用について農業者に対して直接指導を行っているところであります。
林業につきましては、木を使う流れを太くすることを重点に、県産材の住宅分野への利用を促進するため、生産者、製材業者、住宅関連業者が参加した協業体の設立に向けた準備を進めているところであります。
また、このたび、4年後の平成21年の「第60回全国植樹祭」の誘致について、国土緑化推進機構に対し申請を行ったところであります。
水害の教訓をこれからの森林の利用・保全にどうつなげていくのか、水を生活にどう活かしていくのか、また、自然や植物と人間との共生など、県民がいろいろなことを考え、行動することに結びつく植樹祭にしてまいりたいと考えております。
次に、「元気な社会」についてであります。
少子化対策につきましては、本年3月に策定した「福井県元気な子ども・子育て応援計画」に掲げる各種施策を、市町村はもとより地域や企業等との連携を強化して着実かつ効果的に実施してまいります。
子育て支援につきましては、様々な不安や悩みを抱える親が地域において気軽に相談できるよう、本年度から、保育士や保健師などの資格を持つ方を「子育てマイスター」として登録し、活動していただくこととしており、現在、200人を目指して募集をしております。
また、子育て応援企業を広げるために、産業労働部と健康福祉部が連携して、現在、230社余りの中小企業への訪問活動を開始しており、子育て支援に取り組む企業への支援制度の説明や男性の育児休業や子どもの看護休暇の取得の促進など労働環境の整備を定める「一般事業主行動計画」の策定と実践について働きかけを行っております。
また、未婚の若者が増えている中で結婚を希望する人を応援するため、200人の結婚相談員が県内各地域において積極的に結婚相談や家庭訪問を行っているほか、男女の自然な出会い・交流の場づくりなどに取り組む市町村への支援を行ってまいります。
県庁におきましても、職員が結婚を真剣に考え、自立した社会人として家庭をつくるように、先輩職員が仲介役を引き受ける動きや、幅広く様々な業種の人と知り合う出会いの場を設けるなど、機運が広がるよう進めてまいりたいと考えております。
児童虐待につきましては、相談件数等が増えていることから、4月から総合福祉相談所に専任の相談員を配置し、24時間・365日体制で児童相談に対応しております。今後、相談窓口の周知を図るとともに相談について実効性が上がるように努めてまいりたいと考えております。
また、児童相談の一義的窓口である市町村職員の研修や子育て家庭の見守りを行う児童虐待防止地域協力員を養成いたしまして、児童虐待の未然防止や早期発見・早期対応に努めてまいりたいと考えております。
障害者福祉につきましては、障害のある児童が身近な地域で安心して専門的な診療やリハビリ訓練を受けることができるよう、全国で初めて、療育専門機関である小児療育センターと地域の医療機関が協力する仕組みを整え、今月から、奥越、丹南、二州および若狭地域の4病院で診療等を実施しております。
次に、「元気な県土」についてであります。
福井駅付近連続立体交差事業につきましては、平成12年5月にJR北陸線3.3キロメートルの区間における高架工事に着手して以来5年を経て、去る4月18日に高架切替えが行われ、新しい福井駅が開業いたしました。
このことを福井駅周辺の整備や活性化に向けた大きな契機とし、特に福井市と一体となって進めている福井駅西口中央地区の再開発につきましては、再開発区域の決定や再開発事業の具体的内容についての基本的な方針を、できるだけ早く取りまとめたいと考えております。
この重要な時期に、特に地元の関係者の皆様には、県都再生のためご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。
また、えちぜん鉄道の高架化につきましては、北陸新幹線福井駅部との一体的な整備に向け速やかに工事に着手し、早期に完成するよう、えちぜん鉄道に対して支援・協力を行ってまいりたいと考えております。
また、福井駅周辺のJR北陸線高架橋との交差道路につきましては、現在、駅南の5箇所で道路整備を進めております。
今月6日から一部供用を開始した城の橋通りにつきましては、7月末に4車線化いたします。また、豊島地区などの2路線につきましては、8月末までに順次開通する予定であり、残る交差道路につきましても18年内の開通を目指して整備を進め、東西間の交通の円滑化を図ってまいりたいと考えております。
舞鶴若狭自動車道につきましては、本路線のネットワーク効果を十分発揮させるために、残る小浜西・敦賀間の早期完成に向けて、本県の強い要請により小浜・敦賀両側から鋭意整備を進めております。
現在、全体の5割を超える用地買収が完了しており、今月末には小浜市西勢地区において新たに工事に着手する予定であります。さらに本年度中には、小浜市の今富トンネルや敦賀市の橋梁上部工事など3件の工事を発注する見込みとなっております。
本年10月の日本道路公団の民営化までに、引き続き用地買収に精力的に取り組むとともに、国および日本道路公団に対し工事の促進を強力に要請し、当面、小浜インターチェンジまでの開通に向けて最大限の努力をしてまいります。
中部縦貫自動車道につきましては、4月に大野土木事務所内に用地事務所を設置し、大野市での用地交渉に本格的に取り組んでおります。
また、福井・勝山間につきましては、全体の約8割の用地が確保されており、本年度中には上志比村の用地買収を概ね完了させることとしております。今後、平成18年度中の一部開通に向けて、国と一体となって工事の促進に努めてまいります。
昨年12月にルート帯が示された大野油坂道路につきましては、早期に整備計画への組入れが行われるよう、引き続き国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
次に、「元気な県政」について申し上げます。
「健康長寿ふくい」の推進につきましては、本県の健康長寿を全国にアピールしていくために、先月、県立大学や県立病院、食品加工研究所等から成る「健康長寿ふくい推進会議」を設置いたしました。関係機関の連携を強化して、保健、医療、産業など幅広い分野で調査研究や商品・食品開発、健康づくりに取り組み、その成果を積極的に発信してまいりたいと考えております。
三方五湖のラムサール条約湿地への登録につきましては、国に対し、私自身が直接要望を行うなど地元町とともに強く働きかけてまいりましたが、先月、国のラムサール条約湿地検討会において、登録の条件を満たしていると認められ、本年11月には登録される見込みであります。
今後とも、本県の豊かな自然を守り、積極的に活かしていくとともに、ラムサール条約湿地というブランドを背景に観光の振興や地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。
本県出身で、昨年、文化勲章を受章されました白川静先生の漢字研究の功績を広く県民の皆様に知っていただき漢字に対する理解を深めてもらうため、4月23日、県立図書館内に「白川文字学の室」を開設いたしました。これを記念して先月15日に白川先生の講演会を開催したところであり、漢字学習講座や親子漢字講座など、県民が漢字文化を学ぶ機会を広げてまいりたいと考えております。
そして、何といっても、白川先生の学問の力強さと素晴らしさをこれからの福井を担う若い人たちに実感していただきたいと願っております。
本年10月に開催される「第20回国民文化祭・ふくい2005」につきましては、地域を理解し他地域との交流を広げていく絶好の機会となり、本県の歴史文化、伝統文化、精神文化等を全国に発信してまいりたいと考えております。
この祭典では、県内全市町村で県主催の13事業を含め67事業が実施され、33,000人余の参加が予定されております。
今後、文化大使によるキャンペーン活動等により県民の気運を高めてまいりますとともに、市町村や関係機関とも協力し、県外から来県される方々に本県の観光や産品を広くアピールするなど、祭典の成功に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、本県の国民保護計画につきましては、本県には15基の原子力発電所が立地し、日本海に面しているなどといった地理的特性があることから、有事やテロ対策を充実・強化することで県民の安全・安心を確保するために他県に先駆けて作成を進めてまいりました。
4月12日の福井県国民保護協議会から計画案の答申を受け、国との協議もほぼ最終段階となっております。今後、国の閣議決定を受け、全国で最も早く国民保護計画を策定したいと考えております。
また、国と協力して、本年11月に美浜発電所において、地域住民や地元関係自治体、関係機関の理解と協力を得て、住民の避難や救援活動などの実動訓練を実施することになりました。
こうした実践的な訓練を通じ、国民保護計画を実効性のあるものにして、県民の安心につなげてまいりたいと考えております。
4月25日に発生したJR福知山線の列車脱線事故は、107人の犠牲者や多数の負傷者を出す事故となりました。
本県では、事故発生後速やかに、えちぜん鉄道、福井鉄道に対して速度遵守を含む安全対策の再徹底を要請し、現在、両鉄道事業者におきましては一層の安全運行に努めております。
今後は、国の整備基準に基づき、鉄道事業者が行う安全運行のためのATSの整備等が円滑に行えるよう取り組むとともに、鉄道の安全対策について十分な支援措置を講ずるよう、国に対し強く求めてまいりたいと考えております。
次に、敦賀市民間最終処分場問題につきましては、敦賀市と共同して、これまでの環境保全対策協議会の意見を踏まえ、現在、地形測量、岩盤状況などの調査を実施しております。
今後、学識経験者で構成する「敦賀市民間最終処分場の対応に関する調査委員会」を設置し、事案の調査と再発防止に向けた審議を行ってまいりたいと考えております。
また、環境保全対策協議会の検討結果や同調査委員会の報告をもとに、対策に係る実施計画を年度内に策定したいと考えております。
市町村合併につきましては、3月31日に「若狭町」が誕生したところであり、10月1日に設置される「越前市」につきましては、今議会に関係条例の整備に関する条例案を提案しております。
また、今後、11月7日に新しい「大野市」、平成18年2月1日に新しい「福井市」、2月13日に新しい「永平寺町」、3月3日に「おおい町」、3月20日には「坂井市」が相次いで誕生する予定であります。
これら5地域のそれぞれの廃置分合の議案ならびに新たに設置される「おおい町」の属すべき郡の区域を決定する議案につきましても、併せて提案しているところであります。
県といたしましては、合併関係市町村が新しい市町にスムーズに移行できるよう、積極的に支援してまいりたいと考えております。
次に、今回提出いたしました主な議案について申し上げます。
第68号議案につきまして、ご説明申し上げます。
本議案は、県有の公の施設33施設について、住民サービスの向上や施設の効率的な運営を図ることを目的に、平成18年4月1日から指定管理者制度を導入するために、福井県立社会福祉施設に関する条例等の一部を改正しようとするものです。
その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。
以上、私の県政に対する所信の一端と今回提案いたしました議案につきまして申し上げました。
なにとぞご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。
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