第349回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2008年6月19日ページID 002228

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平成18年11月29日

第349回定例県議会

 

 

 

 

 

知事提案理由説明要旨

 

福 井 県

 

 

 第349回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および主な施策につきまして、その概要をご説明申し上げます。

 まず、ただいま表彰決議がされましたとおり、美濃美雄議員、山本文雄議員には20年以上の長きにわたり、県議会議員として県政の発展と県民福祉の向上に寄与され、その功績は誠に顕著なものがあります。

 ここに県民を代表して深く感謝の意を表しますとともに、心からお祝いを申し上げる次第であります。今後とも、県政発展のため、一層ご活躍されますようお願い申し上げます。

 さて、本年も残すところ1か月余りとなりました。

 国政におきましては、9月に安倍新内閣が発足し、新たな成長戦略の構築や教育再生などについて議論が進められ、国際的には様々な動きの中で、北朝鮮のミサイル開発や核実験などによる脅威も生じております。

 このように、本県を取り巻く政治や社会の状況は大きく変化しております。

 こうした変化の時代の中、本年度を、私は、マニフェスト「福井元気宣言」に掲げた施策を着実に仕上げ、成果を固める年と位置付け、全力で取り組んでいるところです。

 県民の安全・安心を守り、県勢を発展させるためには、産業、福祉・教育、社会基盤、危機対策など様々な面で、本県の実力をより高めることが必要です。

 これまで、多くの県民の参加と県議会の力強いご支援、ご協力をいただいた結果、「元気宣言」に掲げた政策は着実に成果を挙げていると考えておりますが、一つひとつの施策をより高い水準で仕上げることができるよう、なお一層の努力を傾けてまいります。

 この4年間の県政の確かな成果を県民に示し、その期待と信頼にしっかりと応えていくことが、全国に先駆けてマニフェストに基づく地方政治を実践している者としての責務と考えており、残された任期に全力を尽くしてまいる決意であります。

 特に、地方と国の関係につきましては、現在、国会で地方分権改革推進法案の審議が進められております。

 今後、各省庁等との協議の中で、地方と国の役割分担の見直し、国から地方への権限と税財源のさらなる移譲の実現は様々な困難が生じると考えられます。今後進められるいわゆる分権改革が、国の単なる歳出削減等を達成する手段とされることがないよう、全国の地方団体が政治力を結集し、世論の支持を得ながら、これらの困難を乗り越えていかなければなりません。

 こうした状況を踏まえ、10月27日には福井県自治体代表者会議が、地方分権改革推進法案の早期成立や地方と国の税制の抜本的見直し等について、県選出国会議員等に対し、緊急提言を行いました。

 一昨日も全国の地方六団体が結集して地方分権改革推進全国大会が開催され、県議会、市長会、町村会等とともに、地方交付税による地方財源確保の堅持などについて重ねて要請したところです。

 一方、憲法改正をめぐる動きにつきましては、安倍総理大臣が積極的な姿勢を示し、国会で国民投票法案の審議が進められるなど、具体化に向け新しい段階を迎えております。憲法改正が行われる場合には、外交・防衛や基本的人権とあわせ、地方自治の充実を柱とするよう、全国知事会の憲法問題特別委員会委員長として、国会、各政党等に対し、より一層強く働きかけてまいりたいと考えております。

 現在、我々は、真の地方分権改革の実現を目指し、様々な努力をしておりますが、一方で、一部の自治体において地方自治の根幹に関わる課題や問題も生じており、十分に気を引き締め、全国の地方団体とともに最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

 

 それでは、当面する県政の重要課題について申し上げます。

 まず、北陸新幹線についてであります。

 北陸新幹線の福井駅部につきましては、10月から杭打ちなどの基礎工事に入っております。順次、橋脚や高架橋の建設が本格化してまいりますが、平成20年度末の完成を目指して、予定に従い、工事が着実に実施されるよう、福井市と連携を図りながら、取り組んでまいります。

 10月14日に開催された北陸新幹線建設促進大会においては、自民党整備新幹線等鉄道調査会の津島雄二会長をはじめ多数の関係者が出席され、整備スキームの早期見直しに向け、同調査会において、財源問題も含め早期に本格的な議論が開始されるよう強く要請いたしました。

 北陸新幹線は、全国の高速交通体系の根幹をなす重要な国家的プロジェクトであり、国土防災上の観点からも、他の区間に比べ最優先で整備促進が図られるべき路線であります。今後、北陸だけでなく関西から強い声があげられることが重要であり、関係府県の知事や経済界等に対し、積極的な取組みを働きかけているところです。

 今月15日には、政府・与党、関係省庁に対し、県議会とともに、北陸3県同時期での福井開業と敦賀までの認可および早期整備の実現に向けた整備スキームの見直しを強く要請いたしました。明30日には、北陸新幹線建設促進同盟会、北信越五県議会協議会、北陸経済連合会合同による中央要請を行うこととしており、今後とも、県議会と一体となって、国および関係機関への要請活動を強く展開してまいりたいと考えております。

 次に、原子力行政についてであります。

 美浜発電所3号機につきましては、関西電力が、9月下旬から10月上旬にかけて試験運転を行い、設備に異常が無いことを確認したところです。これらの結果等も踏まえ、事業者は、来年1月中旬を目途に、営業運転再開に向けて原子炉を起動したいとしております。

 県では、これまで、各工程の節目において立入調査等を行い、設備が健全な状態に復旧していることを確認しており、引き続き、安全確保に向け、事業者を監視してまいります。

 敦賀発電所3、4号機につきましては、9月に改訂された国の耐震設計審査指針への対応に伴い、昨日、日本原子力発電から、運転開始時期の予定が計画より2年遅れ、3号機は平成28年3月、4号機は平成29年3月になるとの報告を受けたところです。

 県としては、事業者に対し、安全確保を第一として、将来的な電力の安定供給という課題にも十分配慮し、増設計画に着実に取り組むよう要請をいたしました。

 「もんじゅ」につきましては、原子炉に装荷されている燃料の変更計画について、10月13日に原子力機構が国の安全審査を受けるための原子炉の変更許可申請を行いました。

 また、「ふげん」につきましては、今月7日に原子力機構が国に対し、原子炉等規制法に基づく廃止措置計画の認可申請を行う際、10月末に改定した安全協定に基づき、事前に報告を受けたところです。

 県としては、「もんじゅ」や「ふげん」に関するこれらの計画については、県原子力安全専門委員会においてその内容や国の審査を十分確認し、安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。

 エネルギー研究開発拠点化計画につきましては、今月12日に拠点化推進会議を開催し、平成19年度の施策を中心とした推進方針を決定いたしました。

 主な施策として、原子力機構は、原子炉内の構造物の健全性を確認できる検査技術の確立など、高速増殖炉の実用化のための研究開発に着手いたします。

 また、関西電力は、原子力発電所で使用された機器や構造物を分析・研究する高経年化研究施設や、新素材の研究開発等を行う電子線照射施設を整備いたします。また、嶺南地域における医師確保を図るため、医学生に対する奨学金の支給等を実施することとしております。

 計画策定後1年半余りが経過し、県内大学と関西・中京圏の大学との広域連携も、教員の相互派遣や実験等の共通科目化など具体化する段階にきております。今後さらに、各種事業の充実・強化と計画内容のスケールアップを図り、世界から多くの優れた研究者が集まる拠点となるよう、国や電力事業者、地元経済界、大学等と一体となって、全力で取り組んでまいる決意であります。

 次に、足羽川ダムにつきましては、10月に国、県、池田町のそれぞれの役割などの基本的事項を明らかにした基本協定を締結するとともに、三者の代表による「足羽川ダム建設事業推進協議会」を設置し、水源地域対策など事業の推進体制を整えたところであります。

 足羽川ダムを含む九頭竜川水系河川整備計画は年度内に策定される予定であり、今後とも、足羽川ダムの早期完成を目指し、国の事業の推進に協力・連携してまいりたいと考えております。

 

 次に、主要施策につきまして、「元気宣言」に沿って申し上げます。

 まず、「元気な産業」についてであります。

 最近の我が国経済につきましては、「景気は、消費に弱さがみられるものの、回復している」との判断が示されております。

 一方、本県経済は、個人消費に全体として持ち直しの動きがみられ、企業の生産活動は、製造業を中心とした緩やかな回復の動きとなっておりますが、業種や企業規模により景況感にばらつきが見られます。

 雇用の面でも、本年4月から6月までの第2四半期における本県の完全失業率は2.4%と2期連続で全国一低くなっておりますが、非正規社員の雇用環境の改善、少子化や団塊の世代の退職等による若年人材の確保などが課題となっております。

 このため、本年度の「経済社会活性化戦略会議」においては、繊維、眼鏡など地場産業の振興や雇用の質の向上等のテーマについて、一昨日の第5回会議まで、議論を重ねていただきました。

 12月初旬にはその検討結果について報告いただく予定であり、その内容を十分踏まえ、本県経済の持続的かつ安定した成長の実現に向けた政策を積極的に推進してまいりたいと考えております。

 企業誘致につきましては、様々な企業が本県への立地を決定しております。

 10月には日立造船株式会社の100%出資会社で半導体製造装置を製造する「株式会社Hitzハイテクノロジー」が高浜町の高森工業団地に進出することが決定いたしました。今回の立地は、エネルギー研究開発拠点化計画に基づく電力事業者との連携により実現したものであります。初期投資額は約16億円で、約40名の新規雇用が予定されており、来年4月の操業を目指しております。

 テクノポート福井においても、10月末に無機化学品の総合メーカーの「第一稀元素化学工業株式会社」が新工場の操業を開始し、16名の新規雇用があったほか、12月には住宅用部材等を販売する「ファーストウッド株式会社」が約70名を新規に雇用し、操業を開始する予定です。

 福井のものづくり技術をさらに発展させる「産力強化」につきましては、本年度国が創設した戦略的基盤技術高度化支援事業に、炭素繊維を活用した次世代の自動車用構造部材の製造技術開発など4件の大型研究プロジェクトが採択されました。

 また、今月9日、10日に、トヨタ自動車株式会社および関連企業約650社と県内56の企業、大学、公設試験研究機関等による「福井県新技術・新工法展示商談会」を開催いたしました。2日間で約2,600名の来場者と約670件の商談があり、今後、本県企業とトヨタとの相互ビジネスが活発に行われることを強く期待しております。

 中心市街地の活性化につきましては、まちづくり三法の改正を踏まえ、10月に設置した「中心市街地活性化懇話会」において、大規模集客施設の適正立地に関する基本的な考え方や中心市街地の支援方策等について検討を進めており、年度内に方針を示したいと考えております。

 次に、農林水産業の振興についてであります。

 平成18年産米につきましては、5月と7月の日照不足や梅雨前線による大雨の浸水・冠水などの気象被害がありました。

 しかし、河川敷や高速道路敷などを含め、病害虫の広域防除等を徹底した結果、10月15日現在の作況指数は、全国平均が96で「やや不良」となる中で、本県は100の「平年並み」となりました。良質米の割合を示す一等米比率も本県は昨年の75.0%から80.6%となり、新潟県を含む北陸地方で5年ぶりに第1位となったところです。

 また、本年はコシヒカリ育成50周年に当たり、東京や大阪の児童約2,000名による栽培体験や、東京の高層ビル屋上庭園での田植え・稲刈りイベント、原種を種子とし化学肥料を使わず栽培した記念米の販売などにより、「コシヒカリのふるさと・福井」を全国に広く紹介してまいりました。

 米の産地間競争が激化する中、コシヒカリの大粒化など良質で売れる米づくりを積極的に推進し、全国における福井米の評価が高まるよう一層の努力をしてまいりたいと考えております。

 平成21年に本県で開催される「第60回全国植樹祭」につきましては、国土緑化推進機構と協議を重ねた結果、福井豪雨災害からの復興と森林の恵みを全国に力強く伝えることができ、歴史的、文化的地域の中心でもある一乗谷朝倉氏遺跡をメイン会場にすることといたしました。

 大会の開催方針、記念式典、記念事業等については、6月に設置した「基本構想検討委員会」において鋭意検討を進めているところであり、年内に基本構想を策定してまいります。

 開催を契機とし、子どもから大人まで県民一人ひとりが、森林が創る自然の恵みを再認識し、木を伐って使う県産材の活用や四季折々の花木の植栽などの県民運動を展開してまいりたいと考えております。

 水産業につきましては、大型クラゲが現在も越前沖などの定置網に多い日で約1,000匹程度が確認されるなど、未だ収束には至っていない状況です。 

 県では、沿岸市町、漁業団体等から成る「大型クラゲ対策連絡会議」を通じ、漁業者に対し防除改良網の装備の徹底を図るとともに、沿岸や沖合での洋上駆除の実施などに全力を挙げているところであります。その結果、定置網の被害は昨年の13件から本年は2件に減少しております。越前がに漁についても、全ての漁船で防除改良網を使用しており、これまでのところ、大型クラゲによる大きな影響は見られておりません。

 次に、「元気な社会」についてであります。

 「健康長寿ふくい」の推進につきましては、小浜市をはじめ3市町が、お腹周りの数値や血圧、血糖値等をもとに生活習慣病の危険度を測るメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準を健康診断に導入したところであり、本年度中の全市町での導入を目指してまいります。

 健康と若さを保ちながら年を重ねるアンチエイジング医学につきましては、年内を目途に、県医師会において、血管や骨などの「健康長寿度」をかかりつけ医がチェックできるシステムの開発を進めております。

 今月21日、22日に本県で開催された「全国学校給食研究協議大会」においては、全国に先駆けて配置した栄養教諭の活動や地場産学校給食の推進など、健康長寿に向けた本県の食に関する取組みとその成果を広く紹介いたしました。

 来年には、本県で、「第8回健康日本21全国大会」および「第43回献血運動推進全国大会」が開催されます。「健康長寿ふくい」を全国に強くアピールすることができるよう、がんの予防・治療水準の向上など施策をさらに充実・強化してまいりたいと考えております。

 内科、産科、小児科等の診療科目や地域ごとの医師確保につきましては、6月に設置した「医師確保対策協議会」において検討してきたところ、福井大学医学部の入学定員の地域枠の設定、医学生に対する奨学金制度の創設、後期研修医に対する国内外の長期研修制度の創設などの対策が示されました。また、病院関係者などからも、直接、現状を伺ったところであり、今後、開業医と公的病院の連携を図りながら、できるものから速やかに実行してまいりたいと考えております。

 障害者福祉につきましては、本年4月から施行された障害者自立支援法に基づき、サービス利用者に対する原則1割の定率負担や食費・光熱水費の実費負担が導入され、10月からは新たに障害児施設についても同様の負担が導入されました。

 現在、本県は、重度の障害者に対する県単独の医療費無料化制度など全国でも手厚い支援を実施しておりますが、新たな制度の下で、障害者とその家族に過重な負担がないか、その実態を十分踏まえ、必要な施策について検討を進めてまいりたいと考えております。

 次に、教育について申し上げます。

 現在、国においては、教育再生について様々な議論が行われております。

 県でも、現在、教員の教科指導力の向上、採用前研修を含めた研修体系の抜本的見直し、学校行事や部活動等の業務の見直し、学校評価システムなど新たな教育方策について、鋭意検討を進めており、具体化したものから順次実行に移すこととしております。

 こうした中、全国的に問題となった高校の必修科目の未履修問題が、本県でも県立・私立を合わせ17高校で確認されました。補習の時期、時間等については、教育委員会を中心に、対応策を明らかにし、生徒の卒業・進学に支障がないよう努めるとともに、高校教育の本来の意義と役割を十分踏まえながら、問題解決に当たっております。

 また、全国各地で相次いでいる子どものいじめや自殺は、深刻な問題であり、子どもと家庭、教員相互の信頼関係を基本に実態の把握と解決が図られるよう全力を尽くしているところです。

 本県出身の文化勲章受章者である白川静先生が10月30日に亡くなられましたことは、県民にとって大きな悲しみであります。

 古代甲骨文字から現代漢字の成り立ちを研究し、独自の文字学体系を確立された白川先生の業績を顕彰し、次代に継承していくことは、本県の教育、文化振興にとって大きな意義を持つものであります。

 県では、昨年、県立図書館内に「白川文字学の室(へや)」を設けるとともに、本年10月から県内12の小中学校で白川文字学を取り入れた漢字学習を開始いたしました。

 子どもたちの文字離れが叫ばれる中、未来の福井を担う若い人たちが、学問のすばらしさや東洋文化、漢字文化の奥深さを実感することができるよう、白川文字学の普及発展になお一層力を入れてまいりたいと考えております。

 次に、「元気な県土」についてであります。

 舞鶴若狭自動車道につきましては、新たに若狭町3地区、美浜町3地区において用地契約の調印を行い、小浜西・敦賀間全体の約87%の用地を確保いたしました。12月2日には美浜町2地区において調印を予定しております。残る小浜市の尾崎地区と若狭町4地区においても、年度内の用地買収完了を目指し、全力を挙げてまいります。

 平成23年度完成を目指す小浜西・小浜間および平成26年度完成を目指す小浜・敦賀間の工事は、計画どおり進捗しており、完成予定時期より少しでも早く開通できるよう、引き続き、西日本および中日本高速道路株式会社に対し強く要請してまいります。

 中部縦貫自動車道につきましては、永平寺西・永平寺東間の本年度中の供用開始に向け、鋭意工事が進められております。

 福井・大野間については、現在、約87%の用地が確保されております。未買収地区のうち、大野市内の地区においては本年度中に概ね完了するよう鋭意交渉を続けており、残る永平寺町4地区においても解決を急いでいるところです。

 上志比・勝山間については、平成20年度中の供用開始を目指しており、大野油坂道路については、4月に着手した環境調査を促進するとともに、平成19年度政府予算の新規着工準備箇所の採択と早期の整備計画組入れを国に働きかけております。

 今月22日には、県議会や沿線市町長とともに、国に対し、事業の早期推進と予算の確保等を強く要請したところであり、今後さらに沿線住民と一体となって要望活動を強化してまいりたいと考えております。

 10月21日に開業した敦賀・関西間の新快速直通化につきましては、開業後1か月間における敦賀・近江塩津間の新快速を含む普通電車の平均乗客数が、平日で約2,200人、土日祝日で約4,300人と、いずれも開業前の約2.4倍になるなど直通化の効果が着実に表れております。

 敦賀市をはじめとする地元市町等では、市内周遊バスやラムサール条約湿地の三方五湖等を巡る定期観光バスの運行、関西・中京方面への出向宣伝など地域活性化に努めておりますが、バス運行の間隔や観光客にとって魅力ある店舗づくりなどの課題も明らかになっております。

 引き続き、新快速電車の運行を契機とした地元の地域づくりを積極的に支援するとともに、利便性のさらなる向上を目指し、ダイヤの改善等についてJR西日本に強く働きかけてまいりたいと考えております。

 福井駅周辺の西口駅前広場の拡張整備と西口中央地区の再開発につきましては、事業の推進主体である福井市において、10月末までに、地元商店者のほとんどの方から同意を得たところであり、計画推進に向け大きく前進いたしました。

 福井市では、年度内の都市計画決定に向け、再開発事業の推進母体となる準備組合の設立および西口広場のレイアウトを検討する委員会の設置を急ぐとともに、JR西日本が売却するとした土地の取扱いについて検討を進めております。

 県では、福井市の都市計画決定に向けた手続きが円滑に進むよう国をはじめ関係機関との協議・調整を進めてまいりたいと考えております。

 福井駅東口で建設が進められております手寄地区市街地再開発ビル内の「福井県県民ホール」につきましては、来年4月19日に開館する予定です。今後、県民からの公募による公演等も含め、開館記念事業について検討を進めてまいりたいと考えております。

 次に、「元気な県政」についてであります。

 国の特別措置法の補助事業として実施している敦賀市の民間最終処分場につきましては、10月20日から敦賀市と共同で対策工事に係る実施設計の代執行に着手いたしました。今後、年度内に設計を完了し、来年度に着工して、平成22年度の完了を目指してまいります。

 平成16年に続き、今年もツキノワグマの異常出没が続いております。県では、市町、警察等の関係機関と一体となって、出没情報の迅速な収集提供、捕獲など人身被害の防止に努めているところであり、クマが冬眠する12月初旬までは、警戒を継続してまいります。

 クマの生態や行動域、えさの実り具合と出没との因果関係などについては、未だ解明されていない部分も多いのが実情です。イノシシなどによる農作物被害の防止も含め、人と動物とが共存できる森と里の環境整備は、平成21年の全国植樹祭の重要なテーマの一つと考えており、さらに調査・研究を進めてまいりたいと考えております。

 雪害予防対策につきましては、平成18年豪雪の教訓を踏まえ、道路管理者と県警察との連携による道路情報の迅速な提供等により、敦賀・今庄間の高速道路と国道8号の交通を確保するとともに、迂回ルートとなる国道365号、476号の除雪体制の強化、大雪警報発令時における河野海岸有料道路の無料開放により、円滑な交通確保に万全を期してまいります。

 また、除排雪を重点的に実施する市街地交差点を昨年の約4倍の230か所に増やすとともに、小学校や主要駅周辺の歩道除雪を充実いたします。

 一人暮らしのお年寄りや障害者などの世帯に対しては、市町と連携して地域ぐるみで除雪を手助けするほか、一昨日には県立大学と大野市、勝山市との間で、豪雪時における除雪協力に関する協定を締結いたしました。

 このほか、道路消雪装置の整備促進、農林水産部を中心とする「倒木被害対策チーム」による立木の事前伐採の促進など、ハード・ソフト両面から対策を強化しているところです。

 次に、ふくいブランドの創造についてであります。

 これまで受け継いできた福井の魅力を県民自ら発見、再認識し、次世代に伝える「考福学」の推進につきましては、10月に福井青年会議所によるかたりべ発表会や福井商工会議所青年部による「考福学塾」が実施されるなど、民間団体の活動が活発化しております。

 また、7月の明道中学校に引き続き、この秋には丸岡南中学校、小浜中学校で、県内の産業、歴史、文化等を知る活動が実施されるなど、子どもたちの間にも気運が高まっております。

 こうした気運を大切に育て、多くの県民が参加する広がりのある県民運動へと大きく発展させることにより、県民に福井人としての自信と誇りを醸成してまいりたいと考えております。

 本県ゆかりの岡倉天心につきましては、9月に県立美術館で開催した「茶の本」初版本等の特別展に引き続き、10月には、大本山永平寺における日本文化をテーマとした座談会や記念茶会、高校生を対象とする「茶の本」の特別授業などを実施いたしました。

 今後とも、天心が残した業績や思想を多くの県民に紹介し、平成24年の生誕150周年など将来につなげてまいりたいと考えております。

 来年即位1,500周年を迎える継体大王につきましては、大王に関わりのある自治体や民間団体等とともに、近く、「継体大王即位1500周年記念事業実行委員会」を設立する予定です。

 今後この実行委員会を中心に記念事業全体を調整し、大王にまつわる歴史、伝説、ロマンを全国に広くアピールしてまいりたいと考えております。

 

 次に、今回提案いたしました主な議案についてご説明申し上げます。

 第96号議案は、10月5日の県人事委員会からの給与に関する勧告に基づき、県職員の管理職手当および扶養手当の見直しを行うものであります。

 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 なにとぞ慎重にご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。

 

 最後に、来春の知事選挙につきまして、私の所信を申し上げます。

 県民の皆様のご支持を得て、平成15年4月に福井県知事として県政の重責を担って以来、マニフェスト「福井元気宣言」を県政推進の基本とし、県民の思いや熱意を絶えず県政に活かす「自主・自立」の県政、すなわち、「新しい福井県政府」の樹立を目指し、全力で取り組んでまいりました。

 期限、財源、数値目標を明示したマニフェストに基づく地方政治は、全国で初めての試みであり、部局長との「政策合意」などいくつかの新しい行政システムを全国に先駆けて導入し、「スピードと決断」を旨に、責任ある県政を推進してまいりました。

 また、情報公開を徹底し、様々な機会をとらえ、県民との直接対話を進めるなど、明朗でオープンな県政に努めてまいりました。

 その結果、北陸新幹線や高速道路の整備促進、エネルギー研究開発拠点化計画の推進など県政の重要課題につきましては、県議会の力強いご支援、ご協力により、成果と方向性を示すことができたと考えております。

 また、景気・雇用情勢の回復、少子化対策や健康長寿の推進、少人数学級編制の推進など教育の充実、治安の回復、ふくいブランドの創造など、「元気宣言」に基づく各種施策につきましても、着実に成果を挙げることができたと考えております。                      

 この間、平成16年7月の福井豪雨災害や同年8月の美浜原子力発電所事故、平成18年豪雪など大きな災害、事故に見舞われましたが、県民のご努力と県議会のご支援により、危機を乗り切ってまいりました。改めて心より厚くお礼申し上げます。

 現在、我が国は、本格的な人口減少社会の到来と急速な高齢化の進展、グローバル化、情報通信技術の飛躍的発展など、様々な課題に直面しております。 

 地域のことは地域自らの責任で決めるという地方分権改革も、国から地方への権限と税財源の移譲を実現する上で、大変重要な時期を迎えております。

 こうした変革の中、県民が福井に住むことに自信と誇りを持てる「夢あるふるさとづくり」のためには、引き続き取り組まなければならない様々な課題があります。

 特に、県勢発展の基礎となる北陸新幹線などの重要プロジェクトは、ここ数年間が正念場であり、その進捗を加速させる必要があります。

 また、経済・社会の活性化、福祉・教育の充実、治安の向上、危機対策などについては、「元気宣言」の成果をもとに、さらに高い目標を掲げ、県民生活の質を高める新しい政策を積極的に推進する必要があります。

 幸い、本県は、各種の社会指標において高い評価を受けており、勤勉かつ進取の気性に富む県民性など、さらに大きく発展する可能性があります。

 本県が有する優れた資源を活かし、外に向かっては、広く本県の魅力をアピールし、全国から多くの人や資本、情報が集まる、活力ある福井県を目指してまいりたいと考えております。また、内にあっては、優れた歴史、伝統、文化のもとで、県民一人ひとりが夢と誇りを持ち、安全・安心で楽しさに満ちた福井県を目指してまいりたいと考えております。

 時代の変革は発展への好機です。郷土の先人が明治という日本の新しい時代の礎を築いたように、新しい福井県を目指すその先頭に立って、難局に立ち向かい、未来を切り拓いていくことが私に課せられた責務であると考えております。

 来年4月の知事選挙において、再び県民の皆様のご支持が得られるならば、県議会のご支援、ご協力を賜り、県勢のさらなる発展に向け、全身全霊を傾ける決意であります。 

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