第361回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2009年6月17日ページID 008764

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                                                                平成21年6月17日
                                                                第361回定例県議会


平成21年度6月補正予算案

 


                           知事提案理由説明要旨




                                                                       福 井 県 


 第361回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および平成21年度6月補正予算案等の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 まずはじめに、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、「第60回全国植樹祭」が、6月7日に一乗谷朝倉氏遺跡を主会場に開かれ、初めて高校生が司会を務め、未来を担う子供たちも大勢参加するなど、多くの県民の協力のもと、成功裏に終えることができました。

 4箇所の地域会場を含め県内外から22,000人が参加され、式典や記念植樹などを通じて、豪雨災害から復興した本県の元気と、自然・歴史・文化などの本県の魅力を全国に伝えるとともに、森と緑の大切さ、国土緑化の一層の推進に理解が深まりました。

 県民の皆様をはじめ、関係各位のご協力に厚くお礼申し上げます。

 また、天皇皇后両陛下におかれましては、県内各所をご視察いただき、両陛下の温かいお人柄に多くの県民が接し、大きな喜びと励みになりました。

 今後、県内の各地域において、森林・自然を知り、元気な森をつくり、元気なふるさとをつくる県民運動を継続していくとともに、次代を担う心豊かで健やかな青少年を育成するため、自然に親しみ、森を育む活動を一層推進してまいります。

 さて、昨年秋以降の世界的な経済金融情勢の混乱が続く中で、本県の経済、雇用情勢も急速に悪化してきました。
 県では、21年度当初予算において、11年ぶりに前年度を上回る積極予算を編成し、大規模な経済・雇用対策を講じることとしたところです。

 一方、新年度に入っても、景気の悪化は続いています。
 2009年1―3月期の実質GDPは年率換算で14.2%の減となり、戦後最大の落ち込みとなりました。
 4月の本県の有効求人倍率も0.54と第1次オイルショック以来30年ぶりの低水準となっており、極めて厳しい状況です。
 しかし、中国など海外向けの受注の増加により本県の電気機械関連企業においても工場稼働率や従業員の勤務体制の回復が見られるなど、生産の一部に持ち直しの動きも出てまいりました。
 また、先月末には、国において事業費で57兆円、財政出動で15兆円となる過去最大規模の経済危機対策を盛り込んだ補正予算が成立しました。

 県としては、早期の景気回復を目指し、公共事業をはじめとして、当初予算のできるだけ早い執行と合わせ、国の経済危機対策に呼応し、可能なものについて迅速に対応するとの観点から、今議会に経済・雇用対策に係る補正予算案を提案いたしました。

 今回の補正予算の規模は220億円であり、平成11年以来10年ぶりに200億円を超える補正予算となります。
 また、事業規模では255億円となり、当初予算等で実施中の経済・雇用対策を合わせると、総額で約1,000億円の対策を進めることとなります。
 これを一体として速やかに執行することにより、効果を最大限に発揮できるものと考えます。

 一方、補正予算の財源としては、国の補正予算に計上された交付金や、県の当初予算で計上した経済・雇用対策予備費を用いることにより、県債発行額を4億円に抑え、県財政に過重な負担がかからないよう努めたところです。

 今回の対策の具体的内容としては、まず第一に、厳しさを増す雇用への対策として、雇用基金を42億円積み増し60億円とし、次の雇用までを支える短期の就業機会を作り出す事業を追加するなど、1,100人の雇用創出を図ります。

 また、雇用の維持・安定のために休業等を行う企業に対し、全国初の助成金の上乗せ支援策を当初予算において導入しました。
 加えて、休業している従業員の教育訓練についても支援する制度を創設します。
 さらに、来春の生徒の就職が厳しい状況にあるため、就職支援コーディネーターを県立高校に配置し、若者の就職支援を強化します。

 第二に、中小企業対策については、受注の減少等により資金繰りに苦しむ企業が多いことから、当初予算において、経営安定資金の融資枠を過去最大の500億円用意しております。
 今回、これとは別に従業員20人以下の工場などに対する小規模事業者経営改善貸付(マル経資金)に対して県独自の利子補給を行います。

 第三に、県内経済の活性化であります。

 まず社会基盤の整備として、今回の補正予算の約6割に当たる124億円の公共事業予算を計上し、当初予算と合わせて対前年度17%増の規模を確保します。
 中部縦貫自動車道など本県の発展に不可欠な事業や、道路、橋梁等の長寿命化、河川の浚渫、消雪設備の整備などを繰り上げて進め、地元発注に十分配慮して早期発注に努めます。

 次に観光、農林水産業など各分野において、県内経済の成長に資する施策を重点的に行います。

 観光分野では、市町と連携して、観光地の「目玉づくり」に係る投資を積極的に進めます。
 来年度は恐竜博物館が開館10周年を迎えます。
 来館者の大幅な増加を図るため、世界的にも価値の高い恐竜の全身骨格化石を購入するとともに、さまざまな工夫により、県財政に負担が生じないように投資資金を賄うことを目指します。
 加えて恐竜の小型骨格標本、復元モデルを製作し、全国各地での巡回展、出前展示等を行います。

 さらに、三方五湖と法恩寺山の二つの有料道路において、休日等の半額割引を実施し観光誘客を図ります。

 農林水産分野では、福井米のブランド力向上に向けた大粒化の促進、園芸生産拡大のためのハウス等の整備支援、山ぎわ集落の間伐の促進、新鮮な水産物を市場等へ運ぶ保冷車の整備支援などを行います。
 この他、次世代省エネ自動車の普及促進、学校等における地上デジタル放送への対応など、環境や情報化に関する投資を進めてまいります。

 第四に、県民生活の安心を確保するため、学校施設等の耐震化の促進や、通学路における防犯灯の整備を進めます。
以上のような経済・雇用対策に加え、9月補正およびそれ以降の対策として、地球温暖化対策、介護職員の処遇改善、地域医療の確保対策などの検討を進めることとし、今後とも機動的かつ弾力的に、情勢の変化に対応していきます。

 次に世界的に大流行の段階に入った新型インフルエンザは、幸い県内では今のところ発症は確認されていませんが、この秋冬からの本格的な流行も心配されます。
 これまで、発熱外来の設置、学校や保育施設、事業所、交通機関等における感染防止策の徹底、予備費を活用したウイルスの識別ができる検査機器の増設などの対策を進めておりますが、県民生活に不安や混乱が生じないよう、感染拡大等に備え、抗インフルエンザ薬、防護具など医療機関等において必要となる資機材の備蓄をさらに強化してまいります。

 次に、当面する県政一般の主な課題について、申し上げます。

 まず、北陸新幹線について申し上げます。

 北陸新幹線の整備促進については、昨年12月に、整備新幹線に係る政府・与党ワーキンググループにおいて、「白山総合車両基地~福井間」および「敦賀駅部」の新規着工について、年末までに認可に向けた検討を進めることなどが合意されました。

 今回の国の補正予算において、既着工区間に1,100億円規模の事業費が追加されましたが、新規区間の認可がない本県に対しては配分がありません。事業の進捗と経済対策の観点からも「認可」の早期決定を強く求めていかなければなりません。

 認可に向けた財源確保について、JRからの貸付料は新規着工にあてることが優先されるべきであります。
 今後与党PTを早急に開いて検討を急ぐよう求め、また、来年度の概算要求には、新規着工がはっきり盛り込まれる必要があります。
 先月の東京での北陸新幹線建設促進同盟会の大会において、こうした県民の意思を政府・与党および沿線関係者に強く訴えたところですが、年内できるだけ早期の認可決定に向け、県議会とともに全力で取り組んでまいります。

 次に、原子力行政について申し上げます。

 「もんじゅ」については、先月屋外排気ダクトの補修工事が終了し、今月からプラント確認試験が再開されています。
 しかし、原子力機構が4月上旬に県に示すとしていた運転再開工程については、報告が遅れており未だ不明確なままであります。

 このため、5月12日には、私が原子力機構を指導監督する文部科学省の塩谷大臣に会い、原子力機構の組織・人員体制等を充実強化すること、および国家プロジェクトとしての責任ある工程を明確にすることについて強く要請しました。

 そのほか、プルサーマルについては、電気事業連合会において、計画達成の目標年次を計画の現実の進捗を踏まえ、5年延長したところですが、関西電力の高浜原子力発電所については、予定どおり2010年度から導入することとしており、現在、フランスのメロックス社においてMOX燃料を製造中であります。

 また、来年の平成22年に運転開始後40年となる敦賀1号機については、日本原電から2月に運転停止時期の延長について検討したいとの報告がありましたが、現在、高経年化技術評価に基づく長期保守管理方針について国での審査が行われている状況です。

 さらに、原子力発電所の耐震安全性については、国において、新しい耐震指針に基づく再評価の審議が続いている状況です。

 県としては、これらの課題についても、県原子力安全専門委員会の審議等を通じ、厳正に確認してまいります。

 次に、「エネルギー研究開発拠点化計画」については、国をはじめ、電力事業者、大学、産業界などと一体となって、推進方針に沿った重点施策を中心に具体的な事業を進めております。

 このうち、「高速増殖炉を中心とした国際的研究開発拠点の形成」については、原子力機構が本年4月にFBRプラント工学研究センターを敦賀市白木に創設しており、現在、地域産業の発展につながる研究開発を行う「プラント技術産学共同開発センター」の整備計画の検討を進めています。

 また、「福井クールアース・次世代エネルギー産業化プロジェクト」については、国の公募型事業に採択された農業用ヒートポンプ空調の社会システム実験を実施するとともに、リチウムイオン電池や燃料電池分野などにおいても研究開発を進めてまいります。

 このほか、「広域の連携大学拠点の形成」については、本年4月に福井大学附属国際原子力工学研究所が開所し、また、「原子力安全研修施設」については、平成24年度開設に向け、今月、施設具体化検討委員会が設置されました。
 このようにエネルギーの総合的な研究開発拠点づくりに向け、レベルやスケールを上げ、各分野に亘って迅速、着実に進めてまいります。

 次に、福井を売り込むための営業力の強化について申し上げます。

 これまでも現場主義と「売り込み」を重視しながら、ふくいブランドの発信や県産品の販路拡大等に努めてまいりました。
 「観光営業部」の組織を、議会の理解を得て設置しておりますが、4月には「営業戦略会議」を設け、「観光営業部」を中心に体制を強化しております。
 人的ネットワークの形成・活用、メディアを通じた情報の営業的発信や県内企業、生産者等が県外企業に対して行う営業活動に同行する「共動営業」などを進めているところであります。

 特に人の交流や観光の効果を考えると、これからコンベンションの誘致に特に力を入れていく必要があると思います。
 このため、今月30日、県と財団法人福井観光コンベンション協会が中心となって、大学関係者、文化団体、経済団体なども参加する「コンベンション誘致促進会議」を設立することにより全県的な誘致体制を強化し、国際会議や全国規模の会議の誘致を強力に進めることとしています。

 こうした中、来年の2010年に、APECエネルギー大臣会合の本県開催が決定いたしました。
 APECはアジア太平洋地域21の国と地域の経済・社会発展のための重要な会議であり、その中でもエネルギーは極めて重要な分野です。
 かねてより国に要望してきたものであり、長らく国のエネルギー政策に貢献してきた本県にとってふさわしい会議であると考えております。

 今月15日に準備組織を設置しており、これから、国と十分に協議を行い、運営内容、方法など、国際会議にふさわしい環境整備に取り組みます。
 併せて、広く福井県のエネルギー政策、食や伝統文化の紹介をはじめとした観光情報の県内外への情報発信を積極的に進めてまいります。

 次に、国の直轄事業負担金について申し上げます。

 直轄事業負担金については、その明細が十分でないこと等を巡って議論がなされています。
 負担金の詳細を明らかにすることは当然必要ですが、長期的には、事務費について負担すべき線引きを精緻化しても問題が解決しない可能性があります。
 毎年の工事費の変動が大きい市町村事業の分野を除き、工事やメンテナンスにかかる「事務費」については、直轄負担金と国庫補助金の双方を廃止することにより、国と地方が互いに事務費について負担しあう構造を止めることが行政改革にもつながります。
 また同時に、地方が実施している国庫補助事業には、維持管理に係る国からの補助制度がないこととの均衡上、直轄事業にかかる「維持管理費」の地方負担金を廃止すべきであると考えます。

次に、関西広域連合について申し上げます。

 関西広域機構で検討が進められている広域連合の構想については、8月の広域機構の本部会議で、議論がなされる見込みです。

 これまでも申し上げてきたように、広域連合は設立ありきで議論が進められており、参加のメリットが明らかでありません。
 また道州制論との関係など、将来にわたる基本的な部分について、関係自治体間に考え方の相違があり、今後の組織運営に懸念があります。

 このため福井県としては、広域連合への参加は、当面見合わせたいと考えております。
 ただし、本県と関西は、歴史、文化、産業など多くの分野で深いつながりがあり、これまで以上に関係を深めていくことは当然であります。
 例えば、防災、観光、交通などの互いに必要な個別の課題ごとに連携、協議し、効果をあげていきたいと考えております。

 それでは「新元気宣言」に沿って、各分野ごとに主な施策について以下、申し上げます。

 まず、「元気な社会」のうち、教育についてであります。

 文化の振興については、現在開いている第三次教育・文化ふくい創造会議において、白川文字学をはじめ本県独自の文化を私たち県民全体が自信をもって発展させる方策や、次の時代の文化を担う人づくり、有形、無形の文化財の再評価と活用方法等について議論をしております。

 これらの議論を基に年内に提言をとりまとめ、新しい福井の文化の振興のあり方を示していきたいと思います。

 県立高校の再編整備については、教育委員会において、今年3月に「県立高等学校再編整備計画」を策定し、現在、奥越地区の全日制高校の再編整備、定時制・通信制課程の見直しについて、カリキュラムの編成、必要な施設・設備の検討などの具体的な準備作業を進めています。

 また奥越以外の地区においても、今後の生徒数の推移や地域の実情等を踏まえながら、再編整備を段階的に進めることとしております。
 県としても、本県高校教育の充実のため、必要な環境整備に努めてまいります。

 「福井子ども歴史文化館」については、今月から展示工事に着手しており、南部陽一郎博士の功績等を紹介するコーナーの設置について、先般、南部博士にお会いして協力をお願いしました。本年11月下旬の開館を予定しております。

 次に、平成30年に開催予定の第73回国民体育大会については、県民の健康長寿やスポーツ振興など、本県独自の「新しい形での国体」となる必要があります。
 7月上旬に様々な分野の委員で構成する「国体ビジョン策定委員会」を設置し、具体的な検討を進めてまいります。

 さて、県立大学をはじめとする県内の大学、短大、高専で構成する「大学連携リーグ」については、今月から新たにアオッサにサテライト・キャンパスを開設し、学生や社会人に対して、「世界同時不況と地域経済」、「ふくい観光学」、「ふくい子ども学」といった今日の社会問題や地域課題をテーマとする魅力ある講座を、また高校生に対して、進路を考える参考となるものや、様々な分野の学問への興味を高めるような授業を、多数実施してまいります。


 次に、少子化対策についてであります。

 今月発表された平成20年の人口動態統計では、福井県の出生数は7,139人と昨年より52人減少したものの、合計特殊出生率は全国で6位の1.54と4年連続の上昇を示しております。

 本県の少子化対策については、先月、内閣府の「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」のメンバーが来県し、子どもの一時預かり等を行っている施設や結婚相談所を視察するなど、国や他の自治体から大きな関心を持って注目されています。

 本年は、「福井県元気な子ども・子育て応援計画」を改定する予定であり、先月末には第1回の策定委員会を開き意見を伺いました。

 新しい計画の策定に当たっては、ふくい3人っ子応援プロジェクトなど、これまでの事業の効果を検証し、少子化対策のトップランナーとして、政策をさらに充実させ実行していきます。

 次に、「健康長寿ふくい」の推進についてであります。

 本県の健康長寿をさらに伸ばすためには、死亡原因の第1位であるがん対策が重要と考えております。
 このため、40歳代の乳がんや50歳代の大腸がんに重点を置き、休日にショッピングセンター等において「出前検診」を行うほか、特に、生活習慣病の予防を目的とした「特定健診」と「がん検診」との同時実施を市町に働きかけるなど、受診者の利便性を高め、がん検診受診率の向上を図ります。

 陽子線がん治療施設については、平成22年3月の完成に向け、現在、順調に工事が進捗しています。
 また、陽子線など粒子線によるがん治療の普及を図るため、先月全国の14の県市で構成する「全国粒子線治療促進協議会」を設立し、福井県が会長となり、高額な治療を受けやすくするよう国に対して医療保険適用のための要望を行いました。

 今後とも、陽子線治療に関する講座の開催、開業医に対する研修会や県内外の主要病院における説明会など、施設の利用促進に努めてまいります。

 次に日本一の安全安心についてであります。

 県では、本年4月、県警察と共同で「安全・安心ふくい実現プラン」を策定しました。
 この「プラン」に掲げている「子ども、女性を守るまちづくりの推進」や「交通事故のない社会の実現」を重点に日本一治安の良い福井の実現を目指すとともに県民が安全・安心を実感できるよう努めてまいります。

 次に、「元気な産業」について申し上げます。

 冒頭申し上げたように、依然として厳しい経済・雇用情勢にあります。このような中、中小の繊維メーカーで新商品を開発し、大手企業との取引に成功した事例や食品加工機械製造メーカーで新たな業態に進出し、売上げを伸ばした事例など、本県には元気な企業も出てきています。

 本県産業の活力を高め、県民の暮らしの質の維持・向上を図るためには、このように自らの技術を磨き、販路を開拓しようとする企業を支援することが重要です。
 このため本年度は、技術や製品を県外大手企業に売り込む展示商談会を、日産自動車、三洋電機のほか、大和ハウス工業において開き、ビジネスチャンスの拡大、新規取引先の開拓を応援します。

 また、北陸3県が連携して繊維産業の活性化を図るため、先月、官民で組織する「北陸3県繊維産業クラスター協議会」を設立し、販路開拓、人材育成、研究開発の3つの分野の事業に着手しております。
 今後、衣料分野以外への販路拡大や海外新興国への売込みを通じて、繊維産業の活性化につなげてまいります。

 さらに、昨年11月に南青山にオープンした、福井のめがねショップ「グラスギャラリー291」においては、全国の小売店向けに新作を揃えた商談会を開催し、小売店・バイヤーに対する販路開拓も進んでおります。

 次に、「新ビジットふくい推進計画」の実行についてであります。
 昨年、本県への観光客が初めて1千万人を突破しました。
 さらなる観光客の増加を図るためには、観光のレベルアップを図り、地域の歴史、文化、自然などを活かした「目玉となる観光地」づくりを早急に推し進める必要があります。
 このため、今回の補正予算案に、市町が行う景観の統一や美観向上など総合的な観光地の整備について、予算を計上しています。

 また、滞在型観光の周遊コースの策定については、4月に国の観光圏認定を受けた福井坂井地域に続き、他の地域でも広域観光推進会議を設置し、秋までに周遊・滞在型観光コースを作成していきます。

 また恐竜ブランドを活用して、7月1日からJR新宿駅構内での観光PR、東京・高尾駅間に恐竜ラッピング車両を運行させるほか、7月20日からは、恐竜ラッピングバスを名古屋から運行し、夏休み期間中の誘客拡大を進めていきます。

 次に、中国を中心とする東アジアからの観光誘客については、昨年実施した浙江省政府関係者、地元旅行会社等との協議、観光交流推進プロジェクトチームの活動をさらに促進し、教育旅行を含めた旅行客の増大につなげてまいりたいと考えています。

 次に、農林水産業の振興についてであります。

 農業の振興については、「ふくい農業・農村再生計画」に基づき、コシヒカリの復活、園芸・畜産の元気回復など、農業、農村を元気にするプロジェクト、施策を積極的に進めております。

 コシヒカリの復活については、米の品質向上を図ることが重要であり、5月半ばの適期田植えを推進するほか、食味検査の実施や福井米全体の大粒化を進めることにより、流通関係者や消費者の評価を高め適正な価格形成につなげてまいります。

 また、園芸については、ハウス等の栽培施設・機械の導入支援、栽培技術や経営の指導による法人等の育成と併せ、中山間地域等の農産物に新たな販路を与える農産物直売所の整備等を進めてまいります。

 一方、本県の林業、水産業についてでありますが、「ふくいの山と林業のあり方検討会」、「ふくいの水産業のあり方検討会」を設置し、本県林業および漁業の進むべき方向性についての議論を深めてまいります。
 年内を目途にまとめる、これら検討会の提言をもとに新たな計画を作成し、具体的な施策を展開してまいります。

次に、「元気な県土」について申し上げます。

 中部縦貫自動車道の大野油坂道路については、大野東・和泉間14キロメートルが「真に必要な道路」として認められ、3月13日に新規事業として採択されました。
 大野までの区間については、3月28日に上志比・勝山間約8キロメートルが開通しました。
 また去る9日、勝山・大野間7.8キロメートルについて、平成24年度中の開通見通しが発表されたところであり、今後の整備に向けて大きな弾みになるものと期待しております。

 残る未開通区間については、本年9月には永平寺東・上志比間で浅見(あざみ)トンネルの工事が発注される予定であり、できるだけ早期に全線開通が図られるよう、強く国に要望してまいります。

 次に舞鶴若狭自動車道のうち、小浜西・小浜間については、平成23年度の完成を目指し、全区間において工事が進められ進捗しています。

 小浜・敦賀間については、4月10日には敦賀市の岩(いわ)籠山(ごもりやま)トンネルが貫通するなど、平成26年度の完成を目指して進められています。

 また嶺南地域では、昨年11月に全線開通した国道8号敦賀バイパスとあわせ、若狭西街道が3月21日に、国道27号美浜東バイパスが3月29日にそれぞれ全線開通しました。

 次に福井駅周辺整備事業については、東口駅前広場においては、4月末からタクシー・自家用車、5月下旬からは東京、名古屋、大阪方面の高速バスや小松空港連絡バスなどの乗り入れがはじまりました。

 また、西口駅前広場においては、広場北側では4月末からタクシー、自家用車の乗り入れが開始され、南側は暫定の歩行者空間として利用されています。

 次に福井駅西口中央地区の再開発については、今月2日に福井市、準備組合、経済界による「福井駅西口中央地区市街地再開発事業委員会」が開かれました。
 県もこの委員会に参加し、新幹線時代を見据え、総合的かつ長期的な視点から今一度全体的な議論を行うとともに、事業の採算性や賑わいの創出などを十分検討するよう求めたところです。今後、さらに議論を深めていきたいと考えております。

 足羽川の激甚災害対策特別緊急事業については、住民の方々の理解や協力のもと、橋の架け替えや桜づつみ、河床掘削が完了しました。

 今年度は、幸橋・九十九橋付近の床止工、河川敷の張芝、園路などを整備し、10月末の工事完了を目指します。
 さらに板垣橋下流に歩いて対岸に渡れる「沈下橋」を9月末までに整備するなど親水空間の利用拡大を図ってまいります。

 また幸橋の整備については、南北四隅の橋詰広場および親柱が本年5月末に完成し、交流とふれあいの場として利用できることとなりました。

次に、「元気な県政」について申し上げます。

 新しい環境基本計画に基づく施策については、本県の美しい環境を守り育て、進んで活動する人材を育成するため、4月末から小中学校において、本県独自の環境教育用教材「エコ・ワークブック」を活用した環境教育の授業を開始し、また5月からは、子どもたちが海の自然環境に親しめるよう、海での乗船体験事業を始めました。

 また、電気自動車やプラグイン・ハイブリッド車などの普及に全国に先駆けて取り組むため、4月に「ふくい次世代自動車導入推進協議会」を設置しました。
 今後、この協議会が中心となって、初期需要の創出や充電設備の整備、観光や産業への活用など効果的な普及方策をまとめた計画を策定してまいります。

 さらに、三方五湖の水辺生態系の再生に関する東京大学などとの共同調査研究を本格的に行い、ウナギやフナなど湖を代表する生物の生息環境の現状を解明するとともに、その再生に努めてまいります。

 次に、ふくいブランドの創造についてであります。

 ふくいブランドの発信については、昨年のDIME「トレンド大賞・特別賞」の受賞など、その成果が徐々に表れてきています。

 こうした中で、今月2日には、全国をリードする福井県の子育て支援策、小中学生の学力・体力日本一などが評価され、「イエローリボン賞」を受賞しました。
 これを契機に、福井の子育てをさらに充実し、ふくいの認知度がさらに高まるよう努めていきたいと考えています。

 また、今年は安政の大獄150年、横井小楠生誕200年に当たります。
 幕末福井の優れた群像を広く知ってもらうよう、松平春嶽、橋本左内、由利公正などについての講演会をシリーズで開き、また、関係書籍の現代語訳を進めて、今後、東京都内において講演会やシンポジウムを開催するとともに、福井を舞台とする小説などに活用できる資料収集なども行うこととしております。

 次に、「ふるさと政策」についてであります。

 「ふるさと帰住」については、まず、県外学生の県内企業への就職によるUターンを進めるため、「ふくい雇用セミナー」に合わせた都市圏からの無料Uターンバスの運行、金沢大学や富山大学での「Uターン就職セミナー」などを行っています。
 今後は、これら施策の対象者に就職結果の調査なども行い、施策に反映してまいります。

 また、新ふくい人の招致を進めるため、県内に進出している企業の社員の家族を対象に、ふるさとワークステイなどを通じ、本県の魅力や住みやすさをお知らせして、本県への定住につなげたいと考えており、現在、市町と連携して企業への働きかけを行っています。

 次に、「ふるさと納税」については、昨年度は県、市町全体で763件7,300万円を超え、人口1人当たりの件数で全国1位となるなど、多くの方々のご理解により、提唱県として役目を果すことができました。

 この制度をより利用しやすく簡単なものとするため、先月、ゆうちょ銀行においても寄付できるよう手続きを改善しましたが、現在、国等に対して個人住民税の特例控除額の上限引上げ、寄付金控除の年末調整化などの見直しを要望しているところであります。
 
 次に、今回提案しました補正予算案について申し上げます。

 今回の補正予算案は、去る5月29日に成立した国の平成21年度補正予算を踏まえ、厳しい状況にある本県経済・雇用の一日も早い回復を図るため、早急に実施が必要なものについて補正を行うものであります。

 その結果、補正予算案の規模は、
   一般会計    220億  498万円余
   特別会計        8,175万円
    計      220億8,673万円余

 となり、本年度予算額の累計は、
   一般会計  5,027億7,881万円余
   特別会計    186億3,696万円
   企業会計    281億9,851万円余
    計    5,496億1,429万円余

 となった次第であります。

 これに見合う歳入予算については、国の補正予算により交付される国庫支出金194億3,595万円余を増額するとともに、当初予算で計上した経済・雇用対策予備費のうち4億6,306万円余を充当することとした次第であります。

 次に、今回提案しました主な議案について申し上げます。

 第49号議案は、福井県県税条例の規定について、地方税法の一部改正に伴い、個人県民税における住宅ローン特別控除の創設など、同法の改正内容に準じた改正を行うものであります。

 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題等について申し上げました。
 なにとぞご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。



福井県平成21年度6月補正予算
 

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