栄養管理連絡票を活用した「栄養管理情報ネットワーク構築事業」について

最終更新日 2024年4月26日ページID 026560

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 要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを生涯継続できる「地域包括ケアシステムの構築」には、栄養・食生活の重要課題である低栄養および咀嚼・嚥下困難者に対する支援が必要です。 

 当センターでは、医療機関や施設利用者が転院・転所、在宅療養移行時に、栄養管理情報を伝達し、利用者の栄養管理の質やQOL の向上につながるよう、平成26年より「栄養管理連絡票」の運用を推進してきました。また、平成28年4月から「福井県入退院支援ルール」の二次医療圏毎の運用に併せ、転院・退院時に「栄養管理連絡票」を活用した連携を推進しています。

 地域において栄養管理情報を提供し合うためには、医療機関と施設の管理栄養士の積極的な情報提供が重要で、在宅に関わる全ての職種が、在宅栄養の重要性を認識する必要があります。その中で、地域における栄養ケア拠点としての保健所の役割を構築し(下図)、丹南地域における栄養管理情報連携の実態、栄養管理連絡票の活用とその有効性を検証しました。(図1~5)

 医療機関、施設および在宅への適切な栄養管理情報連携のため、診療報酬および介護報酬連携加算に対応した「栄養管理連絡票(第3版)」を、是非ご活用下さい。

 

【事業の目的および目標】

(1)転院、転所時に、管理栄養士が栄養管理情報交換ツールとして栄養管理連絡票を使用することで、施設間の栄養管理情報が円滑に提供され、利用者の状態にあった食事を切れ目なく提供できるようにします。

(2)在宅療養移行時に、多職種で栄養管理情報を共有し合うことにより、介護者(家族、介護福祉士等)が多職種からの支援を受け、対象者の状態に合った食事提供ができるようにします。

(3)低栄養および咀嚼・嚥下困難な対象者に関わりをもった専門職が、必要な栄養管理情報を積極的にかつ円滑に提供し合える地域包括ケアシステム(栄養管理情報ネットワーク)づくりを目指します。

 

【図】

 栄養管理

【栄養管理連絡票の種類】対象者に応じた様式を用い、記入要領に基づき作成してください。

●施設用…医療機関および介護・福祉施設間の転院・転所時

(1)経口用(主な栄養補給方法が経口栄養の場合)

(2)経腸・経静脈用(主な栄養補給方法が経腸・経静脈栄養の場合)

●在宅用…医療機関および介護・福祉施設から在宅への在宅療養移行時

(3)経口用(主な栄養補給方法が経口栄養の場合)

(4)在宅(経腸・経静脈)用(主な栄養補給方法が経腸・経静脈栄養の場合)

 

※在宅から医療機関・施設へ入院・入所となる際にも、在宅用の様式を用いて関係職種への情報提供にご活用ください。また、「栄養管理連絡票(第3版)」は、診療報酬や介護報酬において、国が定める様式に対応していますが、加算取得の際は、要件をご確認ください。

 

【丹南管内における医療と介護の栄養管理情報連携に関する調査結果】

1.対象

 丹南管内全ての病院・有床診療所の退院調整部門および居宅介護支援事業所・地域包括支援センター

2.調査方法   

 管内医療機関の退院調整部門および事業所等に在籍するケアマネジャーあてに電子メールまたは郵送で調査を依頼しました。

3.調査期間

 平成28年9月、平成29年8月、平成30年7月

4.調査結果

・医療機関入院時ケアマネジャーからの栄養管理情報提供率は増加傾向(図1)にあり、医療機関退院時ケアマネジャーへの栄養管理情報提供率は増加しました。(図2)

・医療機関の67%は、退院後に栄養管理支援が必要か検討しています(図3)。

・退院後に栄養管理・食事支援を行っている医療機関は「必要に応じて行っている」が47.6%、「行っている」が23.8%でした。(図4)

・ケアマネジャーが在宅での栄養管理の評価にあたって参考にしていたのは、「カンファレンス」56.3%、「主治医からの指示」45.4%、「栄養管理連絡票」27.9%でした。(図5)

5.考察

1.栄養管理情報連携に向けた意識の向上

 管理栄養士だけでなく、地域包括ケアシステムに関わる職種は、栄養管理連絡票で栄養管理情報を提供し合うことにより、在宅での栄養管理の重要性の認識および連携の意識が高まったと考えられます。

2.栄養管理連絡票の活用のための取組み

 調査期間中、管内関係施設の管理栄養士・栄養士対象に「連携に向けた診療報酬・介護報酬の加算取得」「栄養管理連絡票を活用した事例」について、研修会を開催し理解を深めてきました。また、ケアマネジャー等多職種対象に、「在宅の栄養管理の重要性」「栄養管理の困難事例」について、市町高齢者対策主管課・地域包括支援センター等と共催で研修会を行いました。よって、栄養管理連絡票による情報共有と併せて、管理栄養士と多職種と合同で行う研修会は、栄養管理連絡票の活用推進に効果的であったと考えます。

3.地域包括ケアシステム構築における栄養管理の連携

 地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づいた上で地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。地域において栄養管理の情報連携を推進するには、保健所が栄養管理の連携状況を把握し、管理栄養士一人ひとりが地域包括ケアシステムに関われるよう方向性を示し、さらに地域の栄養ケアの拠点として、栄養管理の情報連携を支えていく必要があります。

図1  図2

【図1 医療機関入院時ケアマネからの情報提供率】   【図2 医療機関退院時ケアマネへの情報提供率】

 

図3  図4

【図3 医療機関退院後、栄養管理・食事支援が必要か検討】 【図4 医療機関退院後の栄養管理・食事支援が必要な

                              患者に対する退院支援】

 

図5

【図5 在宅での栄養管理の評価について参考とするもの(複数回答)】

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