平成20年仕事始め式知事あいさつ

最終更新日 2010年2月4日ページID 000235

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このページは、平成20年1月4日(金)、仕事始め式に当たっての知事のあいさつをまとめたものです。

 新年明けましておめでとうございます。職員のみなさんには健やかに新春を迎えられたことをお慶び申し上げます。

 今年のお正月は、まとまった雪が降りましたが、ご家庭や思い思いのところで、ごゆっくり過ごしていただいたのではないかと思います。

 昨年は、新幹線や原子力発電所の問題など様々な課題がありましたが、熱心に取り組んでいただきました。

 明けて新年でございます。年末のごあいさつでも申し上げましたが、一年一年節目を迎えますけれども、継続した仕事を県民のために取り組まなければなりません。

 特に、整備新幹線については、3月までを目標に正月明けから取り掛からなければなりません。今日からすぐにでも予算やさまざまな課題について、短期間のうちに処理しまた実行しなければなりません。今が一番大事な時期であり、文字通り勝負の年であります。

 さて、お正月ということで、本を2冊読みました。ひとつはガリバー旅行記で、400頁くらいの文庫本ですが、100頁そこそこまでで、まだ中途であります。もう1冊は美術に関する本で150ページ余りの本でした。

 その他、テレビでバラエティー番組を視たりしていましたが、いろいろあるなと感心いたしました。

 テレビのクイズ番組を見ていましたら、解答者が、ただ単に間違えているのか、本当はわかっているのだけれども、わからないふりをしているだけではないかと思ったりもしました。また、彼らがわかっていることでも、棲んでいる世界が違うこともあって、私にはわからないこともありました。

 何でも、単純にわかっていないとか、違っていると決め付けると、大きな間違いに陥ると思いました。

 ここで、ガリバー旅行記の話を例にして申し上げたいと思います。これは、正直いって退屈な本であります。ガリバーは、はじめに小人国に旅行し、次に巨人国に旅行します。はじめの小人国の話は面白くなくて読むのが嫌になります。しかし、これを我慢して次の巨人国の話になると、俄然面白くなります。何故かと思って考えてみますと、自分の身体が大きいと周りが小さくてよく見えないため、描写や分析、風刺もよく書ききれないのです。しかし、巨人国に行き、自分が小さくなると、周りのものがよく具体的に見えるという、相対的なモノの見方の基本を表しているのではないかと感じました。

 自分の仕事をするときには、自分を小さくして、相手やモノを観察したり、現場に行ったり、人の声を聞いたりするなど、できるだけ自分の存在を小さくして対象を把握するようにすると、面白いしまた物事もよく見えるのではないかと思いました。

 逆に、そんなことなどは小さいことだと巨人の思いで行ったりすると、物事がよく見えないのではないかと思いました。

 それから、学生時代に途中で読むのをやめた、「抽象と感情移入」という150ページくらいの本を、段ボール箱の中から取り出して読みました。40年ほど前に買った本ですので、古色蒼然とした本です。

 ここには、芸術について書かれています。

 エジプトの芸術というのは、見ていて下手だと思ったりします。しかし、彼らはそんなことに意欲と関心があったのではなく、森羅万象について、いかに自分たちが納得してそれを客観的に造形として捉えられるか、不可解な自然に対して安心した気持ちを持って理解できるかということを、エジプトの平板な美術は表しているようです。

 ギリシャの彫刻などは生き生きしていて、現代のわれわれは、これこそ芸術であると思います。しかし、こういうものばかりが芸術だというのではなく、物事を抽象化して捉える東洋的芸術、そこに感情移入する西洋的芸術という2つの芸術の形があるということが書いてありました。

 この本から教えられることは、物事はある程度抽象化して、心の目を開いて平面的に物を見ながら解決する必要があると思います。その一方で、過去はどうなっているのかなどを考えながら感情移入をして仕事をしなければ解決できないということもあります。これら二つの方法で仕事をしなければならないのではないかと思いました。

 年末年始に読んだ本について、いろいろとお話をいたしましたが、これに関連づけて、年頭に当たり仕事の進め方について申し上げたいことをお話します。

 物事を相対化して見ることについてですが、ただ大都市からだけ見ていると、地方は小さくて実態がよく見えないかもしれません。地方から見ていると、大都市の問題は逆によく見えるのではないでしょうか。

 あまり表面に囚われずに、一方的な見方に惑わされずに基本にしっかり立ち返って、様々な課題に取り組んでいただきたいと思います。

 そういう意味では、総合的に、各部各課、上司と部下、本庁と出先、民と官など、相互に力を合わせなければ物事が解決できない時代になっていると思います。また、何事も簡単に解決できない時代でもあります。

 自分たちだけで万事やろうしても解決できませんので、ぜひ、新年は大いに力を合わせ、情報を交換して総合力を発揮して欲しいと思います。

 これは国も同じであって、様々な資金をいかに総合的に、有効に配分するか、国内外に、いかに目をいきわたらせて政治をするかが大事であり、部分的に物事を進めてもうまくいかない時代であります。

 新幹線の問題などは重要な時期を迎えていますが、基本に立ち返って、財源の問題など様々な検討を行いながら、しっかりした方向付けをしなければなりません。

 県土づくりは、しかるべき方法で決めなければならないのであって、すべて根っこからよく議論をし、現場をよく見、あるいはデータを整理し、そして総合的に、みんなで力を合わせて、この新しい年を勝負の年にしなければならないと思っています。

 教育もスポーツ、文化もそうですし、福祉や農業、水産業、林業、ものづくりなども基本に立ち返って議論しなければなりません。

 みなさんも、それぞれのセクションで課題があるわけでありますが、ぜひ基本に立ち返っていただいて、いろいろな見方を加えながら、問題にアタックして欲しいと思っています。

 みなさんも、それぞれに思いをお持ちでしょうが、ぜひ、大計あるいは小計を立てていただいて、お仕事に、また、ご家庭の問題などに取り組んで欲しいと思います。

 あまりまとまった話にはなりませんでしたが、年始のあいさつといたします。
この一年のみなさんのご活躍とご健康を祈念いたします。

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