ただいま辞令を受けられ、新たに校長、教頭となられた皆様に心からお祝い申し上げます。
皆様方は、これまでの直接子供たちを教える立場から、学校全体のことを経営する立場になられたわけであります。豊かな教職経験を基に、信念に基づいた学校経営を心に描かれ、希望に燃えておられることと推察いたします。
福井県は、全国の中では決して大きな県ではありませんが、教育内容や水準の点では、昨年の全国学力・学習状況調査などにも見られますように、全国的にも高い評価を受けています。また、多くの県民の皆様から学校教育に対して大きな期待も寄せられています。
本県では、これからの福井県を築いていくための様々な施策を推進しておりますが、その究極の目標は、未来を担うたくましい「福井人」を育てることであります。
言うまでもなく、教育は子どもが中心であります。表現はともかく、子どもそのものが対象であり、皆様の仕事の相手となるわけであります。子どもたちが可能性や優れた資質を十二分に発揮できるよう、応援することが何よりも大事であると考えております。
また、子どもたち自身が、自分たち個々の利益の追求にとどまらず、社会のために何ができるかなど、将来目指すべき方向を学校時代に見つけ出せる、このような教育に全力を尽くすことが重要であります。
今、学校現場においては、子どもたちの学ぶ意欲やモラルの低下、家庭や社会の教育力低下、さらにはいじめによる自殺など様々な問題も一方で生じております。
また、平成18年12月には約60年ぶりに教育基本法が改正され、昨年6月には学校教育法、教育職員免許法、教育公務員特例法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律がそれぞれ改正され、今年1月には中央教育審議会から学習指導要領の改善も答申されるなど、国の教育方針は大きく変わってきています。
現在、福井県では、国に先立ち、県内外の有識者で構成する「教育・文化ふくい創造会議」において、本県の教育・文化の新たな振興方策について検討し、可能なものから実行に移しております。
昨年11月には、「総合的な学力」の向上、教員の指導力向上策、理科・数学教育の充実について、第一次の提言を受けました。新年度の予算において本県独自の具体的な施策を速やかに実行することを考えています。
また、少人数学級を柱とする「元気福井っ子笑顔プラン」については、先月見直しに関する提言を受け、すでにこの4月からの学級編制基準に反映されております。
これからは、教員が本来の職務に専念するための「学校マネジメント改革」についてさらに検討していただく予定です。
これから校長、教頭となられる皆様に特に申し上げたいことは、この新しい立場のお仕事を、何とか無難に過ごしたい、こういうことは決してお考えにならないでほしいのです。そうではなく、これまで長年にわたって心の中で温められ、一教師の立場で実行できなかったことを、一つでもまた些細な事でもよいのですが、自身の学校で数年のうちに実行し、実現したいと考えて欲しいのであります。そして、それを次の校長、教頭に是非引き継いで発展させることを願うものです。
そして、一方でまた、学校全体を管理し、責任を持って運営していかれる立場になるわけでありまして、これから様々な心配事も生まれてくると思います。そのようなマイナス的なことだけに心を奪われたり、それに圧倒されることなく、絶えず今申し上げたプラスのことも含めて、双方の問題の「手綱」をしっかり握り、勇気と決断を持って仕事に臨んでいただくことを、知事の立場からお願いするところであります。
終わりに、皆様方には、今後とも健康にご留意され、ますますご活躍されることを心から祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします。
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