皆さんこんにちは。ご紹介をいただきました福井県知事の西川でございます。
本日は、国民健康保険法施行70周年記念式典に当たり、一言お祝いを申し上げます。
ただ今、入口のところで「健康川柳」コンクールの入賞作品が掲示されていました。最優秀賞は「健康は 『笑顔』とにかく 米を研ぐ」という作品だったと思います。そのほかに、健康を願いそして保険制度のありがたさを詠った句に気がつきました。県民、住民の皆様のこの制度に対する関心の高さを思ったところであります。
さて、国民健康保険法は、昭和13年に農山漁村の住民や都市の商工業自営業者の医療保険制度として実施され、今年で70周年を迎えることとなりました。この間、戦後の困難な時期を乗り越え、昭和33年には全市町村が国民健康保険事業を実施する国民健康保険法がつくられ、「いつでも、どこでも誰もが安心して日本国民であれば医療を受けることができる」という国民皆保険制度の礎が築かれました。それ以来、医療保険の中核的制度として発展してきているところです。
その歩んできた道は決して平坦なものでなく、今日までの多くの国民健康保険関係者のご尽力には深く敬意と感謝の念を持つものであります。そして、現在もさまざまな問題を抱えております。
私も以前、この制度に携わった経験があります。この国民健康保険制度はとても難しい制度といいましょうか、複雑な制度であります。あらゆる皆様に関係する制度でもあります。 まず、受益と負担をどうするのか。これは保険料でいただくのかそれとも保険税としていただくのか。そして、公的なものがどれくらい負担するのか、地方と国はどう分担するのか。実施主体はどうなのか。医療、福祉とあらゆる問題をこの中に含んでいるわけです。
しかし、さまざまな紆余曲折がありながらも70年もの間、この制度が運営されてきたということは、すばらしいことであります。外国の例を見ましても、日本ほどしっかりした、そして継続した形で公的な保険制度が運用されているところはおそらくないと思います。我々自治体の力で運用してきたということが非常に重要でありまして、今後ともこの点を念頭において制度を運営し、またとくに、国に対してはしかるべき要請や制度改善を求めていかなければならないと思っております。
最近における急速な少子高齢化の進展など、医療を取り巻く環境は大きく変化し、とりわけ、医療費の増大とともに高齢者や所得の低い方が多く加入する国民健康保険財政は大変厳しい状況が続いております。
こうした中、将来にわたり国民皆保険制度を維持可能なものとしていくため、平成18年には生活習慣病予防の重視や医療費適正化の推進ほか、新たな高齢者医療制度の創設を内容とした医療制度改革が行われました。
そして、この4月からは、この改革の主要な柱であります現役世代と高齢者の負担ルールを明確にした75歳以上の方を対象とした長寿医療制度や、生活習慣病の予防を重視した特定健康診査・特定保健指導が始まったところであります。
県といたしましては、長寿医療制度の円滑な定着や健診率のアップに努めるとともに、県民の安心できる医療提供体制の充実や保険財政の安定化などに努め、「健康長寿ふくい」を推進していきたいと考えております。
こうした保険制度が円滑に運営できるかどうかは国の豊かさを決定する大事なファクターであります。今後とも皆様と力を合わせてこの保険制度、これに関連する介護や医療制度などさまざまな分野の問題について、安心できるそして政治に信頼のおける制度の維持に全力で努めてまいりたいと思っております。
どうか皆様には引き続きご協力、ご支援をいただきければありがたく思います。
最後に、改めて国民健康保険法施行70周年をお祝いいたしますとともに、皆様のご活躍を心からご祈念申し上げ、祝辞といたします。
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