平成22年度初めに当たっての知事あいさつ

最終更新日 2010年4月1日ページID 011159

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 このページは、平成22年4月1日(木)に県庁で行われた、平成22年度初めに当たっての知事あいさつをまとめたものです。

220401あいさつ写真1 それでは、4月1日ということでありますので、新しい年度の開始に当たり、組織・人事なども変わったことを前提にして、一言あいさつを申し上げます。

 4月1日はエイプリルフール、万愚節ということです。イギリスでは午前中だけがそのようですが、日本は午後もそうかもしれません。ずっと以前は、4月1日は日本では日ごろの無沙汰、交際が不義理になっていることをお詫びする日だそうです。年度の初め、みんなでもう一度ネットワークを組みながら、気持ちを通じて仕事をしようということかとも思います。そのような本日ですので、ちょっと念頭に置きながら、まずは最初に全体の話をしたいと思います。

 我が国の政治経済や国民の生活も大きな時代の変わり目を迎えているように思えます。1年前の4月以降の状況を見ても、政治の構図は大きく変わりました。また、ここ数年来「地方分権」あるいは「地域主権」、「官から民」、様々な改革の言葉が動いているわけですが、言葉だけがいささか空虚に飛び交っていると感じられる訳です。

 白川先生流に漢字一語で言うならば、「迷」になるかもしれません。「迷」は混迷の「迷」や迷路の「迷」、迷走の「迷」、「迷惑」という言葉につながります。「迷」という字は非常に古い言葉で、中国の詩経で「民をして迷わざらしむ」というところに「迷」という字が昔の言葉として出ているようです。これは「人民をして、正しく迷わさせずに導け」という意味の歌にあるようです。「迷」ということは、「乱れる」とか「惑う」という意味です。

 「迷」を「明」、これは明るいという字です。日に月。これも白川先生の言葉によると、左側は「日」ではなくて、「窓」という意味で、窓に月明りが差し込むというのを「明」。神明というのは神の明るいことも言いますが、神が宿る、こういう様子を「明るい」ということのようです。昨日でしたか、一昨日でしたか、すばらしい満月に近い春の名月が出ていましたが、まさにこういう状況にしなければならないと思います。

 こうした時代であるからこそ、地方自治の行政は県民のためにそれこそ「明快」で大きな役割を果たしていかなければならないと考えます。行政は、表現はともかく、大いなるサービス機関として、県民の期待に応えていかなければならない状況にあります。振り返りますと、歴史というものは常に「混迷」の中から、新しい時代や考え方システムが出てくる訳です。こういうことを歴史は教えています。

 福井県にとりましても、こういう課題はすこぶる多い訳です。「課題先進国日本」という提言をしておられます前の東大学長の小宮山先生と先般お会いしまして、お話を伺いましたが、先生の言葉を借りるならば、「課題先進県福井」と言いましょうか、様々なテーマに皆さんと共に、積極的に取り組まなければならないと考えます。

 「子育て」、「3世代同居」、「女性活躍」の福井、「学力・体力日本一」となります。こうした先進的な課題を次の新しいレベルにもっていくというのは福井県でしか行われず、他県ではできないことです。まさに、「課題先進県福井」だと思います。その他、「健康長寿」や「ふるさと政策」、「エネルギー」、「原子力環境」の問題も福井でしか先進的に取り組めない、また福井でしか解決できない課題ではないかと思います。そういう意味で、課題先進県としての挑戦を我々は逆に受けているわけですので、その問題に果敢に対応する、アタックすることが極めて重要であり、積極的にテーマに取り組んで福井県を発展させ、先進県としての地位を高めることに腐心すべきだと考えます。

 我々は持ち場を持って努力はしているのですが、仕事ぶりを見ていると、どうしてもほどほどということが多いと思います。中には上手くいっているものもあると思います。しかし、一生懸命はやったがそれ以上は進まないのだというものも多いと思います。今日新聞を見ていましたら、福井県民の心情・心の持ち方が、全国比較したある民間会社の調査結果で載っていました。「真面目に」、「用心深く」、「忍耐強く」かつ「独立心が強く」などと書いてありました。こうした心情、特色を上手く活かすことが大事ですが、逆に言いますと、それが先に進まない理由になるかもしれません。

 今日はエイプリル、万愚ということですが、俗に言う「愚」ですね、あまりみんながお利口でいては先に進めません。「愚」が必要です。「愚」に振る舞うということが大事なところがあります。良いものをたくさん我々は持ちながらそれを十分に活かしきれない、あるいは他の求めに応じられないというのは、もうひとつ「愚」になって思い切りよく徹底できないのが原因かもしれないと私は思います。

 何か時間が過ぎればそれで終わってしまう、このように物事を処理しますと決して行政は次の新しい課題を先進的に解決することができません。どうか、まずもってそういう点を心に留めていただいて、この新しい年度、行政を進めてください。

 さて、次に個別の話を申し上げます。
 今年は福井新元気宣言の最終年度です。これまでの3年間の取組み成果を検証し、今後の課題も確認していかなければなりません。

 今年度においては、新しく計画した「子育て」、「水産」、「林業」、あるいは教育の分野では「文化」の各分野の政策に加えまして、今申し上げましたような子どもたちの学力向上、国体などと関連したスポーツの振興、健康長寿に関連したがん対策などの充実・強化を図っていくといった課題があります。また、新しい政権では地域主権改革を掲げて準備していますが、わが国の歴史を振り返ってみても、今申し上げたような状況を考えましても、国主導による改革ではなかなか問題が解決できない、日本を基本から変えていくことは難しいのです。

 この1月に、福井県も参加して「ふるさと知事ネットワーク」を作りました。互いに切磋琢磨しながら、地方の立場から新しい政策を提案・実行していこうとしています。職員一人ひとりがそのような意識を持って仕事に当たり、今申し上げた先進的な政策を提案していく、そういう県庁でなければなりません。

 そういう意味で、今年度の機構改革および人事異動のポイントとしては、まず「子育て」、「水産」、「林業」、「文化」など新しい課題に対応するため、それぞれの課題を担当する企画幹や室、庁内チームを設けています。また、地方の自立振興、先進的な政策の企画を進めるため、総合政策部にふるさと地域振興課を設け、国と地方のあり方を見直す業務を政策推進課に移管しています。

 その他にも、今回の機構改革では、新しい形での国体開催に向けた準備など当面の課題に対応する組織体制を整備しました。いずれも、担当部局だけでは十分な成果が得られない性質のものです。部局が協力し合い県の総合力を発揮し、政策を進めていかなければなりません。

 また、今年度から、全体の事務管理、簡素・効率化、また、ルールに従った会計経理事務を徹底する意味を含めて総務部に事務管理課を設けた訳です。課を設けるのと合わせ、それぞれ事務を処理する場合の法令の遵守、効率的な事業の執行などに心を用いなければその目的は達成しません。

 それから、行政改革についてですが、県税収入も大きく落ち込んでおり、財政が厳しいなど非常に厳しい環境にあります。こうした厳しい財政の状況の下でも、本県としては行政や政策のクオリティを落とすことなく、県民の期待に沿っていかなければなりません。行政改革に取り組んでいかなければならない訳ですが、すべて今までやっているという理由だけで、何も考えずに仕事をしていては駄目です。職員一人ひとりが業務の見直し、また本日ここにいる管理職の皆さんの意識をそういう方向にも向けていく必要があります。

 それから、現場主義的な話を3点目に申し上げます。
 私はこれまで、現場主義を徹底する、職員もできるだけ現場に赴く、それは単に現場に赴くということではなくて、具体的にそこで色々話を聞く、行動をする、声を聞くということであります。新年度のできるだけ早い時期に、私自身も県内各地域でそういう時間を個別にも取ろうと思っていますが、皆さんもそれぞれの立場で努力をしてください。これまで担当が言っていたことにとどまらず、皆さんが直接聞いて、全体で総合的に判断したり、評価をしたり、あるいは政策を実施するということが重要です。また、そうした意味では、県内にある出先機関の仕事の進め方がポイントになるでしょう。例えば、農林総合事務所であれば認定農業者をどのようにこれから増やしていくか、あるいは、健康福祉センターであればがん検診の受診率というように、それぞれの市や町と協力しながら具体的な目標管理を行う必要があります。

 その他、地域ごとに、土木にしても、農林にしても、あるいは水産や福祉にしても、新規政策を検討し、それを予算や組織の問題に反映されるように出先機関でも考えてほしい訳です。今日も出先機関の責任者の方に出向いてきてもらっています。また、本庁にいる方も出先機関に積極的に出向いて、情報交換、一体となった仕事を進めてほしいと思っています。

 4点目ですが、政策決定の迅速化です。
 全体として検討するのは必要なのですが、それをできるところから着手することが重要な局面になっています。最近の状況を見ますと、国、地方を含めてそういうところがあると思いますが、議論はするが、有効な手がなかなか国民の目に見えないということが多い訳ですので、皆さんの中で積極的な議論をしてもらい、私は大事なところだけ聞かせてもらい、機動的に行動ができるようにしたいと思います。そういうふうに少し仕事も変えていかなければならないと考えています。

 そういう場合にはアイディアが必要ですが、職場に座ってパソコンを覗いていても、そんなに大したアイディアが出るとも思いません。組織的な情報の収集、インプットというのがいくらあっても足らないぐらいだと考える訳です。仕事を分担しながら、その道の専門家の話を聞いたり、ネットワークを築いて、よいアイディア、あるいは政策を生み出すための情報を確保するように努力してほしいと思います。そういうものを一人に留めず、よく話し合い、あるいは語り合って、みんなの情報として政策に実行できる体制にもしてほしいと思います。220401あいさつ写真2

 終わりになりますが、これから10年とは言いませんが、5年程度は極めてわが日本においても、地方自治にとっても、そして福井県にとっても重要な時期だと思っています。自身で考え、新しい分野にも具体的な行動や成果を出していただく時代であると思っています。こういうことを心がけてもらい、どうか活発な県庁の仕事ぶりであることを心から期待をし、また、念願もして、年度当初のあいさつといたします。
 

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