平成22年度福井県立大学入学式あいさつ

最終更新日 2010年4月7日ページID 011189

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 このページは、平成22年4月7日(水)に福井県立大学で行われた、平成22年度福井県立大学入学式での知事あいさつをまとめたものです。

220407あいさつ写真1 平成22年度の福井県立大学入学式に当たりまして、一言お祝いを申し上げます。

 今、この大学のキャンパスにお伺いをしましたら、キャンパスの周辺は黄色いレンギョウ、そして白いピンクのハナミズキ、そして桜ということで、文字通り百花繚乱のこの良い季節に、県内外から希望に満ちた優秀な新入生の方々をわが福井県立大学に多数お迎えすることができましたことは、福井県として大きな喜びであります。難関を乗り越え、晴れて福井県立大学に入学された皆様に対し、心からお喜びを申し上げます。また、今日まで深い愛情をもって皆さんを育んでこられましたご家族の皆様に対しても、心からお祝いとお喜びを申し上げます。

 さて、福井県立大学は、平成4年に県民の皆様をはじめ多くの方々の期待を担い、「魅力ある大学」「個性ある大学」「開かれた大学」の建学の精神の下に開学いたしました。今年は19回目の入学式ということになります。卒業生はすでに5,000人を超え、県内はもとより、全国で活躍しておられます。

 県立大学は、経済学部・生物資源学部・海洋生物資源学部・看護福祉学部と、県内で最も多い4つの学部を擁する総合大学として、教育、研究そして地域貢献において多くの実績を重ねています。そして、この4月からは新しく吉田理事長、下谷学長、そして副学長はじめ大学を運営する皆様が新しい体制で出発されたところであります。自由な学風の下で、魅力ある教育や地域社会に貢献する研究を一層進めていただくことを期待しております。

 せっかくの機会でありますので、これから新しく大学生活を送られる皆さんにいくつかお話ししたいと思います。

 1つは、皆さんはこれから4年間で、幅広い教養分野の講義とそれぞれの専門分野の講義を受けられるわけですが、学問の理論的な部分と現実の具体的な課題を常に関連づけて考えてほしいと思います。その際に特に留意していただきたいのは、学問のスタンダード、基礎的な部分がしっかりしていないとこれから応用も利きませんし、全体の理解も深まりませんので、特にいろいろな分野の古典的な名著をよく読んでください。古典的な名著というのは、高校までの教科書に名前は出ているが大抵の人は読んでいないというものです。そういう本を少しずつ読まれると、物事の筋道が判ると私は信じております。

 2つめは、近年、世界的規模での経済・金融危機や新型インフルエンザの流行など、暗い話題が先行し、非常に厳しい世の中になっております。しかし、こうした時こそ、皆さんは希望を持って行動してほしいということです。
 福井県出身でノーベル物理学賞を受賞された南部陽一郎先生から、昨年、福井の若者たちに色紙の形でメッセージをいただきました。そこに書かれていたのは「Boys and Girls Be Ambitious!」という言葉であります。クラーク博士風に言うと「大志を抱け」という意味だと思いますが、キリスト教思想家として著名な内村鑑三、この人は名前は知られているが本はあまり読まれていないかもしれません。こういうものを少しずつ読むということが古典を読むということでもあります。さてその著書の中で、希望を普通の「Hope」ではなく「Ambition」という英語をあてておられます。つまり「Ambition」というのは、「若者の皆さん、希望を持って具体的に行動しなさい」と呼びかけているのではないかと思います。
 そういう意味で、皆さんにはぜひ希望を持って大学生活をしていただきたい。

 さて、今日、地方においては若者の大都市圏への流出、過疎化の進行、地域産業の衰退など、多くの課題が顕在化していますが、こうした課題に対しては、これまでの国主導の一律的な政策ではもはや十分な解決に至らない状況となっています。これからは、地方自らが知恵を出し、創意工夫を行い、適切に対応しなければなりません。
 福井県は学力・体力ともに日本一、健康長寿日本一、失業率も日本一低い県であります。しかしながら、まだまだ課題があり、新しい問題も生じております。これらを解決し、皆さんの生活環境を良くしていかなければなりません。
 こうした「地域主権」「地方分権」が求められている現在、地域の将来を考え、そしてこれを実行に移すことができる優秀で意欲あふれる人材を地域自らが確保し、養成していくことが必要であります。このことが地方の公立大学としての福井県立大学に求められている大きな使命であると私は考えております。
 このことは、吉田新理事長、下谷新学長をはじめとする大学幹部の皆さんも十分ご認識をいただいているわけでありますが、「県立大学がこの福井県にあって良かった」と多くの県民に思ってもらえるような大学となるよう、格段のご努力をお願いしたいと思っております。

 また、この6月には、アジア・太平洋の21の国・地域から多くの方々をお招きし、本県でAPECエネルギー大臣会合が開かれます。様々な諸外国の皆さんがお見えになりますので、皆さんも積極的に参加・交流していただきたいと思います。

 今日、県立大学に来る時にラジオを聴いておりましたら、「注文の多い料理店」という朗読が流れておりました。これは、宮沢賢治の小説というかメルヘンというか 童話かも知れません。山の中のレストランでおいしい物が食べられると思っていたら、あやうく山猫に食べられそうになるという話であります。220407あいさつ写真2

 大学の方からはもちろん皆さん方に様々な注文もしますし、学生として頑張ってほしいと申し上げると思いますが、皆さん方でも大学に遠慮なく「こういうことはどうなっていますか」「こういうことをぜひしてほしい」など注文をしていただき、互いに「注文の多い大学」として成果を上げるよう、皆さんの力で実行してほしいと思います。

 ここ福井の地での学生生活が、皆さんの輝かしい未来への第一歩となりますことを心からご期待申し上げ、お祝いの言葉といたします。
 本日はおめでとうございます。

 

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