平成22年末に当たっての知事あいさつ

最終更新日 2010年12月28日ページID 013658

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 このページは、平成22年12月28日(火)、年末に当たっての職員に向けての知事のあいさつをまとめたものです。

 今年の仕事納めに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。

 この1年ですが、夏は記録的な猛暑が続きました。そして、国際的には、沖縄の基地問題やわが国の領土問題など、外交的な大きな課題が懸案になりました。さらに、宮崎県では口蹄疫が発生するなど、さまざまな社会問題も多く発生した多難な年であったかと思います。
 特に、経済面では、農業をはじめ福井のさまざまな産業や県民生活に大きな影響を与える円高が秋以降急速に進み、80円台で年末を終えるのではないかという状況になっています。
 福井県では、昨年に引き続き、師走に入ってからも景気動向には十分配慮しながら、年末、年度末の対策を講じています。

 一方で、明るいニュースもありました。小惑星探査機「はやぶさ」が何年かの探査を終え、イトカワに存在する貴重な物質を地球に無事持ち帰ってくれました。これは、子どもたちのサイエンスに対する非常なる興味を起こしていると思います。また、根岸先生、鈴木先生がノーベル化学賞を受賞されました。
 なお、さきほどの「はやぶさ」については、年明けに福井県で帰還カプセルや関係する映像などを展示し、皆さんに見ていただく予定です。

 それでは、福井県政のこの1年を振り返ってみたいと思います。
 今年1年間、マニフェストに従ってさまざまな政策を進めてきましたが、特に経済・雇用対策に集中せざるを得ない部分がありました。そのほか、北陸新幹線など、福井県の根幹をなす高速交通体系についても、さまざまな運動を続けてきました。
 その中で、第一の経済・雇用対策でありますが、今年度、これまでに昨年度を上回る総額568億円の予算を確保し、全力をあげて対応してきました。失業率の低さや有効求人倍率の高さは全国トップクラスを維持しております。しかし、先行きはなお不透明であり、県民は不安を感じている部分も少なからずあります。こうした状況に満足はしていられません。
 冒頭も申し上げましたが、年末、年度末に向け、中小企業を中心に資金需要に対応する必要があります。また、若者や新卒者などの雇用の確保も必要です。さきほど、ふくいジョブカフェを見学しました。求職者支援センターと同様、30日まで臨時に開くということでありますが、ここ数ヶ月の状況を見ると、職を求める方がいくらか減ってきているようです。そして、求職・求人のマッチングがかなり進んでいるという、明るい状況も見られていると伺っています。中小企業者に対する年末の相談窓口も、関係機関の協力を得て、30日まで開くこととしています。
 職員の皆さんには、年末年始にかけ、地域の住民の声に十分応えていただくと同時に、県が行っているさまざまな政策についても説明をお願いします。

 次に、高速交通体系の整備についてであります。
 舞鶴若狭自動車道については、年明け夏までには小浜までの開通、そしてあと数年経つと、いよいよ北陸自動車道と敦賀で直結することになります。嶺南、嶺北の一体感が図れる大きな動きがほぼ完成します。
 中部縦貫自動車道についても、財源の確保ができ、一つひとつ進めているところです。
 一方で、北陸新幹線でありますが、年末にかけさまざまな努力をしてまいりました。しかし、残念ながら今年も結論が先延ばしされた状況です。私も昨日、中川県議会議長と一緒に、馬渕国土交通大臣、高木文部科学大臣に直接お会いし、これまでわれわれが要請してきた北陸新幹線の敦賀までの延伸、また地域振興などについて要請をし、確認もしてまいりました。年を明けるとこうした新幹線の課題について、さらに実務的な協議の場も進めるようでありますが、国の動きをしっかり監視しながら、なお引き続き、一日も早く新幹線の問題などが解決するよう努力してまいります。県民のご理解を得ながら進めてきたにもかかわらず、今回も結論が出ないということは非常に残念ではありますが、福井県の基盤、将来にとって真に重要な課題であると思っていますので、引き続きあらゆる機会をとらえて方向性が出るよう全力を挙げてまいります。

 次に、福井県政におけるこの一年間のさまざまな話題について申し上げたい。
 今年は福井の魅力やすばらしい地域資源というか良さを国内外に広くアピールできた年であったかと思います。
 まず、その一つはAPECエネルギー大臣会合の開催です。今年6月に福井県で開かれたこの会合では「福井宣言」が採択され、いま世界的に重要な課題となっている低炭素化社会の実現に向け大きな方向性が出ました。県ではこの会合にあわせ、「APECジュニアフォーラム」や「参加国大使によるリレー講演会」を開きました。中学生や高校生が環境やエネルギー、そして関係する20の国や地域のさまざまな文化や人々のくらしを十分に学習できたと思います。あわせて、今回の開催により、福井県の15基の原子力発電所などがあるエネルギー基地としての、またエネルギー拠点化計画の実態について、多くの福井の皆さんに知っていただくと同時に、福井のすばらしい伝統文化あるいは食べ物などについても分かっていただき、福井ブランドの世界的なお披露目もできました。

 二つ目は、恐竜博物館が開館10周年を迎えたということ。展示内容の大幅なリニューアルや特別展の開催などにより、入館者は前年度一年間の43万人を大きく上回り、今年度は50万人を超えるような勢いであります。また、「福井」の名前がついた3例目の恐竜「フクイティタン・ニッポネンシス」も誕生し、全国に「恐竜王国ふくい」をアピールできました。

 三つ目は、福井の子どもたちが、今年もまた学力・体力日本一に輝いたということ。特に体力については、小学生、中学生、そして男女ともすべてにわたり日本一であり、文字通り4冠王に輝きました。この結果、福井の教育のすばらしさ、日本一の教育県としての確固たる地位を全国に知らしめ、また認識が広まったのではないかと考えます。他県からは、多くの視察や研修の申し出もあります。

 四つ目は、福井国体の開催であります。平成30年に福井県において開かれる第73回国民体育大会の正式決定です。これを受け、早速、県議会、市町、経済界、教育界、スポーツ界など、各分野から広く参加をいただき、準備委員会を設置しました。これからは「福井国体ビジョン」をもとに、県民一人ひとりがさまざまな形でスポーツに参加し、また地域に貢献し福井の自慢ができるような新しい形の国体にし、施設の整備や選手の強化などを着実に進めていかなければなりません。

 さて、私は今年のはじめ、この1年の抱負として「新しい地方が新しい日本を創る」という動きを強めたいと述べました。
 一つ目は、今年1月、福井県と立地条件の似たローカルの県が集まり「ふるさと知事ネットワーク」をつくったこと。1月の発足以来、11県が協力・連携し、提言を国に行ったり、また地域の課題を研究してその成果を勉強し合ったりしています。各県が一つずつリーダーとなって共同研究を進めており、福井県が中心に進めている「ふるさと希望指数」では、これからの将来の希望を地域の立場でどのようにつくり、どのような形で地域の政策を進めていくかという研究を行っています。
 そのほか、行政のみならず、農業団体や商工団体、民間の皆さんが11県で交流するということも進めています。その代表例として、参加県の農産物直売所で特産物等を相互に販売しようと、この夏には山形のさくらんぼを福井県において、また福井のウメや越のルビーなどを山形県で販売しました。また、11月にはふくい南青山291などで開かれたアンテナショップフェスティバルに参加11県すべてが出展・出品しました。こうした「地方の中の地方」というべき11県が中心になり、東京中心でない地方からの動き、そして地域からそれぞれの地域を変え、また国の仕組みを変えていくということは極めて重要であると思います。幕末もこういう状況にあったかと思いますが、こうしたネットワークを通じて、新しい形の地方づくりを引き続き進めることが重要であります。

 二つ目は、「福井県民の将来ビジョン」を多くの方々の参画を得てつくったこと。最終的には12月の県議会の議決を経て策定しました。グローバル社会の到来、人口減少・超高齢化が本格的に始まる時代において、それぞれの地域、そして全体としての福井県がどのようなビジョンを描いてこれから10年先、考え方を共有して活動していくかということであります。
 これまでの計画は、行政が計画をつくり、県民が「参加」をするという形でした。しかし、今回の県民のビジョンは、はじめからみんなでつくっていこう、そして共同の指針をもとに活動していこうということでありますので、「県民」のビジョンと言っています。県民、団体、企業、市町、県などの行政がそれぞれ考え方を共有しながら地域づくりを進めていこうということであります。希望あふれるふるさと福井の創造であり、こうした共通の意識のもとに、次の世代にすぐれたものを引き継ぎ、またグローバル時代にアジアとともに成長する、そしてふるさと産業を育成していくという大きな流れのもとで県民ビジョンを展開してまいりたいと思っていますので、職員の皆さんにはぜひともこの考え方に基づき仕事を進めていただくようお願いします。

 最後に、「福井新元気宣言」の4年間の成果であります。先般、この4年間に実行した「福井新元気宣言」の最終的な成果の見込を公表しました。あと3か月余りを残していますが、県民の「暮らしの質」の向上を目指した県政が着実に進展していると考えます。この間、原油高騰やリーマン・ショックなど、福井県の産業や雇用に大きな打撃を与える突発的な出来事もありました。しかし、子育て、教育、雇用、福祉など110の数値目標の約9割を達成するなど、成果をあげることができたと思います。しかし、これに満足することなく、引き続きわれわれに挑戦してくる課題に全力をあげなければなりません。残る3か月、皆さんには県民の声に率直に耳を傾け、気を緩めることなく県政運営に当たっていただきたい。

 いよいよ明日からは年末年始の休みに入ります。今年は暦どおり6日間の休みとなりますが、健康に留意し、十分鋭気を養っていただきたい。そして仕事始めには皆さん一緒に元気でまたスタートしたいと思っています。
 この1年、一生懸命頑張ってくれたことに対し心から感謝を申し上げるとともに、今後より一層の活躍を祈念申し上げ、私のあいさつとします。

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