内閣告示「常用漢字表」説明会あいさつ

最終更新日 2011年2月28日ページID 014162

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 このページは、平成23年2月28日(月)にアオッサで行われた、内閣告示「常用漢字表」説明会での知事あいさつをまとめたものです。

230228あいさつ写真1 このたび、昨年11月に内閣告示となりました「常用漢字表」の説明会が、ここ「文字の国福井」で開かれるに当たり、開催地としてご挨拶申し上げます。

 この説明会は、新しい「常用漢字表」の作成の経緯やその基本的な考え方などについて、全国各地で国民に理解を深めていただくために文部科学省において開くものです。
 わが福井県は学力が日本一の県であると同時に白川文字学を生かした漢字教育を推進しています。そうしたことが背景にもあり、今回福井県で開かれることになりました。本日は、県内外から500名近くの漢字にご関心のある皆様に参加をいただき、お礼を申し上げます。また、県外からの皆様を心から歓迎いたします。

 福井県には文字や言葉を大事にする風土があります。
 遠くは元禄時代に近松門左衛門という有名な浄瑠璃・歌舞伎作者がいましたが、近松は福井県の鯖江の出身です。また、幕末には橘暁覧という福井藩の歌人がいましたが、この歌人のことを正岡子規は「歌よみに与ふる書」の中において、源実朝以来、歌人の名に値するものは橘曙覧ただ一人と絶賛しています。それから、戦前の国語学の権威であった橋本進吉先生は福井県の敦賀の出身です。明治以降はすぐれた小説家や詩人が多数福井県から輩出されあるいは寄宿をし、最近では芥川賞作家の津村節子さんなどが活躍されています。

 また、福井県では「かるた」の競技人口が多く、大会では常に全国上位の成績を収めています。1993年に始まった坂井市丸岡町の「一筆啓上賞」においては、応募総数が既に100万通を突破するなど、地域での活動が活発であります。書道教育も学校や文化団体を中心に盛んに行われている地域でもあります。

 県といたしましても、先人が築いてきた文字文化を引き継ぎ、「文字の国福井」として、日本の文字文化をリードする福井のブランドとして確立し、全国にも知っていただきたいと考えております。

 とりわけ、漢字については平成19年度から県内の全小学校において白川先生の「白川文字学」を取り入れた漢字学習を行っており、平成23年度からは本県独自のカリキュラム・教材で子どもたちが漢字を学ぶことになっています。

 現在、当用漢字1006文字を若干超えて小学校で教育し、学年別漢字配当表も弾力的に用いており、いわゆる一般のガイドラインを多少超えた形で漢字教育を進めています。

 これは、われわれ福井県が最も尊敬し誇りに思う白川静博士が、漢字を「人類の貴重な文化的遺産」として研究され、「白川文字学」というものを確立された業績がベースにあってのことであります。

 白川先生は、中国の古代人の生活と意識にまで踏み込んだ文字学体系「白川文字学」をつくられました。「字統」、「字訓」、「字通」の3つの辞書を刊行され、平成16年には文化勲章を受賞されるなど、その功績は国内外から高く評価をされています。

 このような先人の教えを福井県民として大切に受け継ぎ、次代を担う子どもたちにその精神を伝えることができればすばらしいことだと考えております。230228あいさつ写真2

 白川文字学のほかにも、ノーベル物理学者南部陽一郎先生の出身地でもあります。また現在、NHK大河ドラマで「江」が上映されており、昨日も福井県の場面がございましたが、こうした様々な歴史上の偉人、達人などを子どもたちが学べる「こども歴史文化館」が、一昨年11月にオープンしました。県外からお越しの方には、機会があれば是非ご覧いただきたい。

 また、漢字の成り立ちを小学生向けに解説した「白川静博士の漢字の世界へ」が今月平凡社から発刊されました。本日この会場でも販売していますので、是非手にとってご覧いただき、できれば買っていただければありがたく思います。

 最後になりましたが、本日ご参加の皆様の今後ますますのご健勝とご活躍を祈念申し上げ、これを機にさらに日本人全体が漢字に興味を持ち、わが国の文化としての漢字についての認識を深め、「漢字文化・文字文化を大切に思う日本」、こういう気運が高まることを期待して、主催者としての挨拶といたします。

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