平成23年末に当たっての知事あいさつ

最終更新日 2011年12月28日ページID 016494

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 このページは、平成23年12月28日(水)に県庁で行われた、職員に対する平成23年末に当たっての知事あいさつをまとめたものです。

 年末のごあいさつを皆様に申し上げます。
 この一年を振り返ってみたいと思います。私はこの一年間を大きく分けまして、3つの仕事にまとめた形で申し上げたいと思います。

 まず、第一は、県民の安全・安心の確保に関する仕事を進めてきました。今年は3月に東日本大震災、またそれに伴う原子力発電所の事故がありました。また、その後、紀伊半島を中心にした大きな水害、また世界的にはタイの洪水など、まさに自然災害の多難な年でありましたし、ヨーロッパを中心に経済危機、円高などの問題も生じたわけであります。
 こうした中で、我々の福井県政は、なんといっても県民の安全と安心を自治体として最後まで追求し、これを果たしていくということが極めて重要だということを認識したところであり、皆さんにもそうした心構えで仕事を進めていただきました。
 3月11日には、真っ先に災害対策本部を設けると同時に、直ちに被災地に職員を派遣し、被災県の各災害対策本部に長期間にわたって常駐し、応援を行いました。その他、人命救助、医療救援活動、あるいは健康相談、特に原子力については福井県の経験を活かしたさまざまな放射能測定やモニタリングなど多方面にわたって応援したところであり、今日までの派遣人数は600人を超えています。また、職員の中には公務のほかにボランティアとして現場で応援してくれた人もいます。
 福井県からは陸前高田市など特別の地域を指定し、ボランティア「チームふくい」という形で応援をしたほか、保健や医療の分野で、それぞれの被災地の要請に応じて粘り強い活躍をしていただきました。数日前ですが、被災地の山元町長からお礼のりんごが送られてきましたが、そういう現場からの皆さんの努力に対する被災地の皆さんの感謝の気持ちとして受け止めたところであります。
 また、福井県が提唱しましたふるさと納税につきまして、被災地自らもふるさと納税の努力をされまして、10億円以上を超える全国のスケールになっていると思いますが、実務的に被災県は大変だということで、福井県がその代行といいますか、代わりの役を買って出まして、全国からふるさと納税を寄付としていただいて、これをまとめた形で被災した東北の各県に送りました。
 こうした東日本への支援、そして職員の皆さんがそうした被災地の現場でその仕事を身をもって体験することにより、皆さん自身の成長にもつながりますし、これから福井県で何が起こるとも限りません。そうしたときに極めて大きな経験として役立つものと私は信じています。是非その体験を活かしてほしいものです。
 また、福島原子力発電所の事故そのものについてですが、私は当時、ちょうど統一選挙の時期でしたが、そのとき以来、福島県で起きたような事故を福井県では絶対に起こさせないという強い決意で臨んできました。そして国や電力事業者に対し、再三再四にわたり要請し、今、その線に沿ってさまざまな対策や調査、その具体化が進んでいるわけですが、なお我々の期待するスピードあるいは全体の総合性には至っていない分野が多いのであります。
 この年末にかけましても、政府の事故調査委員会やそれぞれの分野での検討も進んでいるところですが、これを統一した形で政府がしっかりとまとめて原子力発電所の立地地域はもとより、国民に分かりやすく、そして安心を得られる形で提示する、わかるところからこれを実行する、こういうことを強く引き続き求めていきたいと思います。
 今後、高経年化などの対策、さらには地震や津波などのこれまで以上のチェックを加えた上で、定期検査中の原子力発電所の再稼働などの問題に慎重かつ十分な信頼感をもった対応を福井県として進める必要があると思います。このことが全国の今後の原子力発電所の将来に深く係わると思っています。
 
 次に大きな二つ目の仕事の分野を申し上げます。
 これは日本の新しい国土政策と国土基盤の整備についての分野です。
 今回の大震災を教訓に我々は日本全体の国土構造をもう一度見直して、将来に備える大きなきっかけを与えたと思います。
 この事故以前からも、福井県として地方の立場で内外のメディアやいろんな機会に訴えてきましたが、このことが現実の課題になり、はっきり理解を得るようになったと思っております。
 高速交通体系をしっかりと整備し、日本海側の国土軸、これはミッシングリンクと言われていますが、こうした基幹的な国土軸を日本海側、太平洋側、日本の東西を結びながら組み立てていくことが、我が日本に残された大きな課題でありまして、これを一日も早く完成しなければなりません。幸い今回、福井県の長年の懸案でありました北陸新幹線が敦賀まで認可着工することがこの年末に決定しました。
 これは職員、県議会との一体とした働き掛け、経済界あるいは国会議員の国家プロジェクトとしての支援、そして北陸、関西の応援もいただきながら、全体として方向が出たところであります。改めて皆さんのご協力とご支援に感謝を申し上げます。
 その他、今年は長年の懸案でありました中部縦貫道について、大野・和泉間から県境の油坂峠までの15㎞あまりの事業着手が決定しました。これらによって、福井県の基本的な高速鉄道あるいは高速道の大きな懸案が解決されたという年であったと思います。さらに、平成26年度には舞鶴若狭自動車道が北陸道と直結することになり、この夏には小浜ICまで延伸しています。
 いよいよこの新幹線、中部縦貫道、舞鶴若狭自動車道の3つの基本的な骨格ルートが完成し、あるいは方向が出ることによって、嶺南・嶺北の一体化、そして日本の東西のそして南北の基本的なネットワークが完成すると思います。まさに画期的な年であったと思います。
 しかし、一方で、こうしたハード面の整備に加えて、地方自らが自らの力で国に頼り過ぎることなく、地域づくりそして県民と力を合わせた地方自治を進めることが極めて重要な時代になっていると思います。
 私は全国の11の県と力を合わせて知事ネットワークを作り、具体的なプロジェクトや研究、国への提言をしているところであり、年末には、12番目の県として三重県も加わって、具体的なさらなる協力をしていこうということになっています。職員の皆さんには、既存のシステムや制度に必ずしもとらわれることなく、いったん既成の考えを脱ぎ捨てて、新しいアイデアや発想、新しい仕組みを考える努力をしてほしいのです。

 次に大きな三つ目でありますが、福井新々元気宣言のスタートの年として、12の施策を着手し、具体的な事業の展開を図っています。
 この一年を振り返ってみますが、まず、福井新々元気宣言では、若者、女性、高齢者、子どもたちも含めて、それぞれの役割そして地域で生活を送っている皆さんの生活をいかに活発に、また幸せな福井県にしていくかというねらいをもって進めています。
 特にその一つのカギとなる若い人たちの活性化については、今年度から若者チャレンジプロジェクトとして活動の場を提供することとしています。今月18日に「若者チャレンジクラブ」を発足し、250名の方が集まり、また意欲的なリーダーになっていただく人たちが集まりました。県庁も負けてはいけないわけでありまして、最近、英語や中国語などの自主的な勉強や、グローバルの時代であり、経済学の勉強も始めたり、さまざまな分野で頑張る、これからも積極的にこうした分野に挑戦してほしいと思います。
 産業面では、マーケットが拡大している中国、アジアを中心に企業展開を積極的に図った年であったと思います。経済界と連携しながら「ふくい貿易促進機構」を設け、この秋には上海事務所を拡大して「ビジネスサポートセンター」を作りました。これから現地企業との商談会や法律関係の支援など、販路拡大、企業支援を進めていきたいと思います。
 敦賀港については、この秋に日本海側の拠点港の一つに選定され、コンテナ船、RORO船、国際フェリーなど機能の強化を図っていくことになります。
 農業分野については、TPPなど大きな課題に直面していますが、グローバル時代を意識しながら付加価値があり、おいしく、よりエコファーマ―な農業を進める必要があります。そして、5~6年の時間を要しますが、新しい次の時代のコシヒカリを作り出していくプロジェクトも是非とも実現していきます。
 今、産業の話を申し上げましたが、こうした時代には特に人材育成が重要です。
「学力・体力日本一」の福井県だからこそ、一層高い立場に立って、教育を振興しなければなりません。今年は特に0歳から高校卒業まで18年教育を進めていこうという大きな方針を打ち出しております。幼児教育、心や道徳、自主性といった基本的なことを幼稚園・保育園で身に着けるような教育を進めると同時に、小・中そして特に高等学校の学力あるいは職業教育などについても強化するスタートの年になっておりますので、新しい年に向けて、具体的なプロジェクトを進展させる必要があると思います。
 特にその中で外国語教育、特に英語だと思いますが、私はマニフェストで高校を卒業した頃には通常の日常的なコミュニケーションができるようなことを目指しています。これまではうまく成功していませんが、工夫をすれば必ず実行できる課題です。先生方が熱意をもって取り組んでいますので、何年か後には実現できるのではないかと思っております。

 以上三つの話を申し上げましたが、最後に明るい話題として、今年は福井県の「幸福度」のことがクローズアップされたと思います。
 11月に法政大学の研究チームが全国の都道府県の幸せ度の調査をされました。その結果が福井県は全国で総合第一位だという成果が出ており、東京やいろいろな所へ行くと、「福井県は日本一幸せな県ですね」ということを大勢の人におっしゃっていただき、極めてうれしい限りであります。これは、長年にわたる県民の努力そして職員の日々の県政に対する取り組みが実を結んだものです。
 こうした基本ベースをもとに、さらに幸せから希望へと、トップランナーの立場で次の新しい段階の県政目標を立てながら県民の期待に応えるということを目指す必要があると思います。
 冒頭申し上げましたが、北陸新幹線あるいは高速道路の整備が大きな方向が出たので、これからは、いよいよその具体化と福井市をはじめとしたまちづくり、そして、歴史や伝統を活かした、そしてすばらしい景観、都市、農村を含めたこういう福井県を作っていく条件が整ったと思います。
 職員の皆さんには、これから5年、10年をターゲットに置いて、元気のある福井県、すばらしい福井県をそれぞれの職場で作っていく、こういう強い気概と熱意を持って仕事を進めていただきたいという期待をもっています。

 いよいよ明日からは年末年始の休みに入ります。今一度足元をしっかり固めて、公務員としての立場を認識しながら、ルールを意識し、社会規範あるいは飲酒運転など法令に触れることを厳に慎むよう、しっかりした心構えで公私とも新しい年を迎えることを強く念願します。
 ご家族ともに穏やかな新年を迎えられ、来年の仕事始めに是非とも臨んでいただきたいと思います。
 皆さんのこの一年間のそれぞれの職場や立場での努力に対し、深く感謝を申し上げ、一層の活躍を願い申し上げまして、仕事納めのあいさつとします。
 

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