平成24年「仕事始め式」知事あいさつ

最終更新日 2012年1月4日ページID 016495

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 このページは、平成24年1月4日(水)に県庁で行われた、職員に対する平成24年「仕事始め式」知事あいさつをまとめたものです。

 皆さん、新年あけましておめでとうございます。今年はそれほど雪もありませんので、ある程度ゆっくりしたお正月休みを取られたのではないかと思います。
 この新しい1年、引き続き皆さんと一緒に仕事を進めていきたいと決意していますので、よろしくお願いします。

 さて、年末にラジオで偶然、英語の放送を聞いておりましたところ、アメリカのビジネスマン5~6人が会話をしている場面がありました。来年の1年間の計はどうするんだという話題でした。英語で1年の計というのはどう言うのか、Planと言うのかなと思いましたところ、New year’s resolutionと聞こえました。これが日本語でいう1年の計のようです。そして立てる人もいますし、立てない人もいるんですね。だいたい立てたけれども8割方は実行できないということを英語で話しているように聞こえました。それよりも、1週間ごととか、あるいはまた1月ごとに、また、これ1本で行くんだということではなくて、いくつかをその状況に応じて作り直していく、こういう計画の方がいいんだ、という別のビジネスマンが話している場面もありました。これを英語ではintentionと言うのだそうです。
 皆さんは今年もおそらくそのような方向で仕事をされるかなと思うわけであります。まず、この1年、それぞれの局面、一定の期間ごとに区切りながら、一つ一つのターゲットを置いて、これをまずやり遂げよう、あまり十分にできなかったところを次のintentionに持って行こう、という方向で仕事をされるのもいいのかなと思います。まず冒頭申し上げます。

 この新しい1年でありますが、次のようなことを考えていただきたいと思います。キーワードとしては、福井県の「豊かな可能性」、そして「確かな力」をもとに地方の「自立の気概」を持って、福井県の優れた「人材力」をさらに鍛え上げ、「突破力」を発揮し、「発信力」を高めるという大きな状況にあるのかなと思います。
 豊かな可能性、確かな力、自立の気概、人材力、突破力、発信力ということを考えながら仕事をしていただくのがよろしいと思っております。
 今、世界はますます多極化、というよりも無極化といった方がよろしいかもしれませんが、あらゆる地域がそれぞれの考え方で競い合い、そしてさまざまな考え方が錯綜している時代でありますので、こういう中で福井県の優れた技術力あるいは立地条件の改善の中で、福井県が自治体としてリード役を発揮していく、また日本全体もそのような方向でのぞむ必要があるのではないかと思います。

 昨年は幸い、福井県の長年の懸案であった北陸新幹線の方向が出ました。職員の皆さんとともに長年粘り強く努力を継続してきた結果であり、感謝を申し上げたいと思います。
 中部縦貫道も年末に方向が出たところであり、福井県の立地条件が格段に変化してくることになります。これによって、豊かな可能性が出てきていると考えます。きわめて明るい材料であります。
 そして一方で、新幹線や高速道路など国に長年要請してきた地元のエネルギーを、これはこれとして必要なことを続けなければなりませんが、他の方面にさまざまなエネルギーを割くことができるはずです。我々にとっては次の課題に意識と行動を集中して対応することが重要と思います。
 これから10年が極めて福井県にとって重要であり、言葉だけではなく本当に重要な局面だと思います。
 待つだけでは逆に何も来ないと思いますし、条件が整うことによって、待っているだけでは、却って我々の期待に沿わなくなることが出てくるおそれさえあります。是非とも期待を萎ませないようなさまざまな活用の政策を進めていく必要があると思います。

 それから、「幸せ度」が日本一であるという高い評価も得ており、そうしたことをしっかりと意識して、議論をしていく、伸ばしていくということが大事だと思います。
 具体的にいくつか申し上げます。
 これは先ほど申しました突破力に関係するのでしょうが、新しい交通ネットワークを活かしたまちづくりを進めなければなりません。実行しなければなりません。特に、すぐ2年後には舞鶴若狭道の北陸道との直結、それから順調にいけば新幹線の金沢開業が見込まれますので、直ちに対応が必要であり、早期にこの対策や活用プランをとりまとめる必要があります。ちょうど予算の時期ですので、観光や産業、企業誘致などの関係も明らかにしながら、この方針を予算と並行して考えながら実行に移す必要があると考えています。

 それから、長年の明治以来の課題といってもいいかもしれませんが、舞鶴若狭自動車道の開通によって、嶺南・嶺北が文字通りさらにはっきりした一体化がなされるわけであり、これを契機に嶺南・嶺北の交流、文字通りの一体化を進めなければならないと考えます。

 それから、先ほど10年先という話をしましたが、特に県都福井市あるいは各都市の新幹線開通を前提にしながら、新しい都市ビジョンを作っていくことも重要であります。これについては、平成26年にはまず金沢開業ですので、それ以前に、例えば24年度中にこのビジョンを作ることが重要と考えています。そして、こうした状況の中で福井、石川、富山、北陸ということが一つの大きな括りとして考えられるので、三県とのつながり、また中部縦貫道との関連では岐阜県、あるいは舞鶴若狭道との関係では京都、滋賀などとの連携を強めながら発信力を強化していくということが重要であると考えています。
 いずれにしても、今年から大きく局面が変わるので、仕事の進め方、考え方、そうしたモードの変換を是非とも考えることが重要であると思います。
 
 2つ目は、安全・安心あるいは災害に対する対応です。
 昨年の東日本大震災あるいは福島での原子力発電所の事故は、長年に亘る日本の安全・安心の課題あるいは原子力の政策に大きな影響を与えたわけであり、この問題を今年は是非とも解決すべき年ではないかと思います。復興については、かなり長い期間がかかると思いますが、基本的な方向と見通しもなお十分立っていないわけであり、その見通しの確立が重要と思っています。本年はそうした意味でこのエネルギー政策、原子力政策をいかに進めるか、また、新しいエネルギー源の多角化をどう実行していくかという大事な年になると考えています。これは単に原子力やエネルギーだけの問題ではなくて、福井県のさまざまな分野の政策の将来性と深く係わるので、それぞれの分野でそのことを考える必要があると考えています。

 それから、ますます多極化あるいは無極化、グローバル時代であり、この新しい平成24年度はアジア政策のスタートの年にしなければなりません。
 昨年は、中国や台湾、外の地域との連携を強化しながら、特に上海で「ふくい貿易促進機構」、「ビジネスサポートセンター」を設け、具体的なプロジェクトに着手していますが、それを加速化する必要があります。福井県は優れた技術と力を持っております。過去を振り返ってみましても、敦賀港の開港など、明治の日清戦争の頃ですが、ウラジオストック、シベリア鉄道のまさに動く時期がありました。青木長之助という方が敦賀港の開港を断行すべしという提言をしている。その今年は長浜、そして敦賀への鉄道開通130年でありますし、また、アジアからロシアへ渡る航路の開設110年、そして、欧亜国際列車ルートが開通して100年という歴史的な節目の年です。今回、敦賀港が日本海側のRORO船、国際フェリー航路の拠点港になったので、これらの活用を含めながら、アジアとの大きな流れを明確にしていく年であると思っています。
 こうした中で、産業の振興、そしてTPPなどさまざまな課題がありますが、農林水産業を地方が中心にすえるべき基礎的な産業と考えて、新しい展開をはかることが極めて重要な政策になると思っています。

 そして3つ目ですが、人材力の問題です。
 福井県は幸いに子どもたちの学力や体力が日本トップクラスという評価を得ています。これをより具体的に見える形で、本当の意味で子どもたちの自信や誇り、福井県の生活や産業にうまく活かしていくという教育力の向上が重要です。
 昨年から福井型の18年教育を推進していますが、これから特に重要なのは幼児教育と高校教育です。高校教育については、普通科高校の教育、職業系高校の教育など、それぞれ工夫を凝らした福井県としてまさに学力・体力日本一の県だからこそやれる教育政策を実行していく必要があると思います。
 さらに、福井県だけの人材のみならず、こうした優れた教育力の県なので、あらゆる分野の人材、これは農業の専門家でも結構ですし、あるいはスポーツの優れた人材ということもあると思います、産業の人たちもいらっしゃるかもしれませんが、福井に移り住むとか、住んでいただくとか、そういう新しい方向で、福井の人たちと交わり合いながら、全体の福井の人材活用ができるという、そういう新しい活力を呼び込む動きも大事だと思います。非常に難しい課題ですが、これは是非ともチャレンジのやり甲斐がある分野であると思っています。

 4つ目は、発信力の話です。幸福度が日本一という福井県ですので、全国の11県、年末には12県の知事ネットワークになりましたが、地方の力、自立の気概、そういう気持ちで連携をしながら、福井県は特に生活しやすい幸福度の高い県ですので、こうした「幸福」、「幸せ」というものをキーワードにしながら政策を進めていくことも大きな方向かと思います。
 昨年は、ブータンの新しい国王夫妻が来日されまして、私もお会いしました。幸せを目指す国あるいは地方と連携することもまた大きな流れかと思います。ブータンから子どもたちが福井へ来て、福井の子どもたちと学び合うとか、福井のことを知っていただく、逆もあるかもしれません。そうしたことも十分あるのではないかと考えています。

 以上、いくつか例を挙げながら、福井県の優れた可能性と確かな力、そして自立の気概、人材力、突破力、発信力を強化していくという話を申し上げました。
 
 そして、最後に、仕事の進め方について申し上げます。
 仕事の進め方について、二つのことを申し上げます。大きくは一つですが、「のぞむ」というお話を申し上げます。
 「のぞむ」というのは二つありまして、一つは、希望学、希望プロジェクトにおける将来のふさわしい姿を「希望する」、あるいは「望む」です。これは既に実行していますし、今、ブータンの話とか、あるいはいろいろなことを申し上げました。これは、皆さんの仕事を進める場合の一つの目標として、一部をいかに高めるかということです。
 もう一つは、「臨む」という字です。この「臨」、これも「のぞむ」という日本語です。これは、何々「望む」ではなくて、何々 「臨む」という日本語ののぞむです。ある立場とか視点とか、立つ場所を表す言葉です。
 易学の言葉である八卦には36タイプがあるといわれます。その中の一つが「臨」という局面、大局を表す言葉であり、今年は「臨」という、「臨む」という、こういう局面だと思います。この「臨」というのは、大災害や大きな事故、大事変の後の局面です。これをいかに解決して次の新しい段階に達するかという局面であります。より高い見地に立って、全体を眺めるということが「臨む」であり、視点を変えて局面を広くして展開を図るということです。新幹線や高速道路など方向付けが出たということは、より高い段階で局面を臨めるわけです。学力・体力や教育力が高いということは、より高い立場に立って自分の施策、あるいは他の自治体の政策と比較しながら、漏れがないか、どこを伸ばしていくかが臨めるわけであり、そういう「臨」という立場に立てると思います。
 昨年の大事故は大変でした。そして解決しなければなりません。復興も図らなければなりません。原子力の安全を確保しなければなりません。エネルギーの多角化も図らなければなりませんが、ただ、同じレベルで大騒ぎし、慌てて大変だと言っているだけではいけないわけでありまして、より高い立場に立って原子力の安全や方向付けをしなければならない時期であり、まさに「臨」という局面だと思います。

 この局面は、組織的にはどういうことかといいますと、若い方、実際、仕事をやっておられる方に陽のエネルギーが高くなっている状況を表しています。ただ、今日の皆さんはおそらく半分はそういう立場であるし、半分は管理職ですから、ちょっと微妙です。このエネルギーを伸ばしながら、もう一つの微妙なところを気持をしっかりもてば誤りがない局面ですので、ちょっとはっきりしないところをよく考えて若い人たちの仕事を活かす、励ます、適切に助言をする、そういう2つの役割を果たす局面だと思います。
 私自身はリーダーシップを取る大局観であると同時に、そんなに細かいことをあまり言ってはいけない、大きなところを申し上げなければいけない、みんなに大いに仕事をしていただく、力を合わせるという立場のようです。
 これは一つの考え方ですから、客観的にまわりを見、自己をかえりみて、そういうことを頭に入れて、まさに「臨」んでほしいのです。
 特にここにいない若い人たちに、現場で具体的にいろんな資料を作ったり、考えたり、アイデアを出してくれる職員のことですが、上司の発言をしっかり聞くのは大事ですが、メモを取ってそれで事足りて、指示通り動く、という状況ではないんです。自分たちのエネルギーがこう上がっているわけですから、そういうことをするよりも、積極的な議論をする、動く、こういうことかと思います。
 それから、高い視点で目配りをする局面ですから、漏れがないようにしなければなりません。他の多くの自治体がこういうことをやっているが、福井県はこんなことを忘れたとか、大事なところが抜けたということではいけないわけであり、目配りをしながら、高い視点に立って、若いエネルギーが充満し始めているのですから、県民もそういう期待を持っている局面ですので、これをしっかり活かすと同時に、我々とともに力を合わせてこれを伸ばしていくという考えで仕事を進める1年にしたいものだと思っています。
 いろいろなことを申し上げましたが、役に立つところを取ってもらい、皆さんの1年の大計あるいはintentionの中で活かしていたき、この1年の仕事を進めてもらいたいと思います。
 

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