平成24年度新採用職員辞令交付式あいさつ

最終更新日 2012年4月9日ページID 017282

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 このページは、平成24年4月2日(月)に県庁で行われた、新規採用職員辞令交付式における知事あいさつをまとめたものです。

 今日は、92名の新採用職員の皆さんが採用され、辞令を代表の赤井さんにお渡しいたしました。おめでとうございます。大変厳しい試験を突破されました。日本全体が大変困難な中での受験だったかと思いますが、男性55名、女性37名が県職員となられました。まずはお祝いを申し上げます。あいさつ

 昨年は東日本大震災などがあり、学生として、あるいは別の立場の方もいらっしゃったかもしれませんが、こうした中での受験、あるいはこの春の採用でありまして、皆さんにとって記憶に残る一年だったのではないかと思います。

 福井県には原子力発電所がありまして、さまざまな意味において多くの課題があります。厳しいこの時期に福井県職員になったということ、このことをまず頭に入れていただいて、これからをスタートしてください。

 それでは、いくつか申し上げますのでお聞きいただき、その中の大事なところから実行するというようにしてほしいと思います。

 まず、公務員として心がけていただきたいことを申し上げます。今まさに、政府は国として様々な判断をしているところですが、皆さんの目から見ても、問題があると思います。自治体も一生懸命にやっておりますが、様々な課題がある中で、福井県、地方自治体、あるいは地方政府として、自らがしっかりやることがこれからの基本でありますので、皆さんの役割は大きいと思っています。皆さんも全体の奉仕者であることを自覚し、高い倫理観と使命感を持って、この局面に臨んでください。

 この「全体の奉仕者」といっても、その本当の理解になると難しいことです。自分のことを考えない、不平等に仕事をしない、特定の誰かのために仕事をしない、公平に県民全体のためにやるんだ、と考えていると思いますが、具体的にどうすればいいのか、ということになります。この問題は、逆に考え方を変えて、自分の事のようにして考え実行するほうがむしろ適切に行動できると思います。たとえば、会計で勤務される職員が、何か品物を買うということがあると思います。県庁の品物を買うのだから、公のものであるので特別の注意を払わず気軽に買うということではいけません。自分が例えばノートを買う、道具を買うという際には、値段は安いかどうか、どこの店が良いか、どのくらいの分量が必要か、最も適当な種類は何だろうかと、自分の事のように真剣に考えると思いますが、この種のことが重要なのです。いまこの会場の蛍光灯の一本が切れて点滅したとします。おそらく、これは県庁の蛍光灯だから私は関係ないと思うのではなく、もし自分の家であれば替えなければいけないと思うでしょう。また、誰かにそのことを言うでしょう。公というのは公だけれども、そのままでは、点滅したままとなります。まさに自分の事として考えて全体的な判断をするというように考えてほしい。分かりやすく言うと、これが全体の奉仕者として、サービスしたり、判断するということです。

 引き続き何点か申し上げます。

 一点目は、困難な問題に直面したときも、直面する問題から逃げずに、積極的にチャレンジしていただきたいということです。失敗することを恐れないでいただきたい。しかし県庁職員として「困難な問題」というのは一体何だろうと考える必要があります。これは意外と難しく言葉で言っても、これまで困難な問題に直面したという気持ちを持っていない方もいらっしゃるかもしれない。よく考えないと困難な問題として理解しないということとなります。困難な問題が何かを意識するということは素晴らしいことです。これから勤務されて1、2年間、いろいろなことがあると思いますが、困難な問題に直面もしていないので、これは逆に自分の個人のような問題を困難とはきがえることもありうるのです。困難というのは何かということをご自身で考えていただきたい。こうした問題に直面した際、自分で考える必要もありますが、ぜひ先輩などいろいろな方の助言を受けてください。

 それから、社会人になると試験は基本的にありませんので、注意しないといけません。毎日が試験となります。みんなが周りで見ていますがその成績は直接教えてくれません。しかし、みんなが黙っているからといって、誰も自分を見ていないとは思わないようにしてください。これから、30年、40年、ずっと見られているということを意識して仕事していただきたい。社会人になると、試験はほとんどありませんが、毎日が実に厳しい試験であると考えてください。しかし気にしすぎることは又禁物ですから念のため。

 二点目ですが、自分を磨くことにたゆまぬ努力を続けてください。社会人になったからといって、学びをやめることなく、一生が自学の時代、いろいろな努力をしていただきたい。これから、何かをしなければならないということは、学生のころのようには決まったものはありませんが、これから努力していただきたいと思います。皆さんは、3月にTOEICの試験を受けられました。今日から、ラジオやテレビでは語学番組がスタートしており、これは一日10分間です。再放送もありますから、一日20分くらいですが、重要なことです。一日30分でも英語を勉強してください。皆さんなら、3年間くらいで英語の聞き取りができるようになり、さらに話すこともできるようになると思います。これも粘り強く蓄積が重要ですのでお願いします。皆さんの先輩も中国語、英語、経済学と勉強を始めていますが、少し年をとっているので、どこまでマスターできているか分かりません。皆さんならできると思いますので、頑張って下さい。外国語の能力は県庁職員としてどのように評価されるかということでは直接ありませんが、英語などの勉強をすることによって、皆さんの仕事の幅が広がりますので、ぜひ、このツールを身につけてください。通勤中でも、3年間くらい毎日30分、長ければ1時間聞いていただく。易しいものでも結構ですので、継続して勉強してください。辞令交付

 三点目ですが、皆さんはこれから組織の一員として仕事を進めていきますので、人間関係づくりに努めてください。先ほども申し上げたとおり、自分だけで考えず、みんなと相談してください。特に大事なことは、恥ずかしい目に遭うのを避けないようにしてほしいということです。わざわざ恥ずかしい目に遭う必要はありませんが、一生懸命チャレンジしていろいろ注意を受けたり、失敗しても、決して恥ずかしいと思わないようになることです。恥ずかしいと思って積極的な発言や行動を避けると、そこから進歩がなくなり、面白くない公務員像ができあがってしまいます。恥をかきたくないという気持ちを強くは持たず、オープンに進めてください。先ほどの英語もそうですが、こっそり勉強してもうまくなりません。3年間こっそり英語を勉強して、3年目に人を驚かそうとは思わないことです。途中で時々恥をかかないと、3年間経ってもモノにはなりません。私自身の経験からもそう申し上げます。

 四点目ですが、情報に敏感になってください。皆さんは若いので、情報には敏感だと思いますが、敏感とはどういうことか、毎日パソコンに向かっているからといって、情報に敏感ということではなく、むしろ、パソコンにはあまり向かわないほうがいいと思います。自分でモノを考え、いろいろな情報に注意することです。できれば1か月に1冊か2冊の本を読んでいただきたい。少し難しい本、学校で習った歴史や小説など、名前は知っているけれども読んだことのない本のことです。この種の古典性のあるものを読んでいただきたいと思います。それが、皆さんの役にきっと立ちます。

 五点目ですが、単に机の前に座っているのではなくて、現場に出向いて、あるいは日頃から地域活動やボランティア活動などを実践することによって、県民の立場に立って考える姿勢を徹底してください。それぞれ得意技があると思うので、そういうものを活かしながら職場を通して、あるいは自分の町であるいはサークルやグループなどを通して、仕事と地域活動や人間関係などを発展させていただきたい。そして、県民が何を求めているかを常に意識し、県民サービスを向上させるという信念を持って、それこそ全体の奉仕者という立場から、率先して県民のために働くという気概を持ってほしいということです。

 なお、県民が何を求めているかについて申し上げると、県民のニーズをしっかりとらえることは重要ですが、これだけでは不十分です。県民に向かって「こうしたほうがいいのではないか」という考え方の喚起、励ましであるとか、英語で言うと「encourage(エンカレッジ)」ですが、新しい情報を提供して、単に聞く一方ではなく、議論をしていただくことが重要であると考えます。

 以上、数点申し上げましたが、大事なところをしっかりとらえて、進めていただきたいと思います。

 最後に、最近の県政の状況について、お話し申し上げます。
 昨年、北陸新幹線がようやく30年、あるいは40年の経過の中で、敦賀までの延伸が決定いたしました。あと、十数年で敦賀まで北陸新幹線が延びていきます。それから、2年後には金沢まで新幹線がつながりますし、嶺南地域の高速道路である舞鶴若狭自動車道が、敦賀で北陸道と直結します。さらに、中部縦貫道の整備も進みます。つまり、戦後長年にわたって福井県が求めていたプロジェクトがこの5年、10年で完成するという大事な時期となります。これをいかに県民の生活向上や地域の発展のために活かせるか、また、日本の国土全体の安全や、あるいはグローバル時代におけるインフラ整備として活かせるかが大事であります。これからの仕事の工夫、努力にかかっていますので、5年、10年が日本にとっても福井にとっても極めて重要であるという認識を頭において仕事を進めてください。

 もう一つは、昨年、新聞、テレビ等でご覧になったかもしれませんが、福井県は日本一幸せな県だという調査結果が出ています。これも一朝一夕にできたわけではなく、いろいろな努力の結果ですが、この幸せというものをどのように発展させるか、希望にどうつなげていくかという研究も進めております。福井県の幸福をどう考えるか、どう発展させるか、どう福井のブランドや観光などに活かせるかも大きな課題です。幸せが日本一と言われることは良いことですが、次のしっかりとした政策がなければ、他の地域との競争には勝てないので、注意が必要となります。

 これからの30年、40年の将来というのは、大いに開けていきますので、今日の初心を忘れることなく、健康に注意していただいて、元気にスタートしていただければありがたく思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。
 

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