大阪福井県人会創立100周年記念大会

最終更新日 2011年11月8日ページID 016044

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 このページは、平成23年11月8日(火)にホテルニューオータニ大阪で行なわれた、大阪福井県人会創立100周年記念大会での知事講話をまとめたものです。

 今日は、4つのことを申し上げます。
 1つは、日本に占める大阪の位置付け・役割についてです。2つ目は、福井と大阪との大事なつながり。3点目は、我々がふるさとで実行している政策の様子、4つ目は、福井と大阪の協力関係、大体こんなことを申しあげます。あいさつ

 まず、第一の日本に占める大阪の位置付けを見ます。大阪がこの100年間、ちょうど県人会の100年の歴史と重なりますが、どんなふうに動いて行ったんだろうと、私なりに若干の整理をしたいと思っています。
 まず、100年前の様子でありますが、関西圏は、550万人の人口がありました。関東圏は600万人でありまして、ほぼ拮抗した状況でした。しかし、現在は関西は3倍増え、関東は6倍増えたということであり、東京の一極集中がほぼ100年間でなされたという結果であります。
 東海道新幹線、あるいは東名・名神高速の開通などによって、物流あるいは人流の移動が、より経済規模の大きい関東圏を中心に産業・サービスが集中したということが原因の1つとしてあると思います。
 もう一つの原因としては、1960年代に、工場や大学などの大都市規制というものがございました。特にモノづくりの大阪は、サービス業中心であった東京に比べてこの影響が大きく作用したのではないかと私は考えております。
 大阪は現在も大阪駅の再開発等、新しい計画を進め、また現実化を進めておりますが、明治以来、そういう都市計画として有名な地域であります。
 それから文化の関係における大阪の位置付けであります。これは江戸時代に遡りますが、福井県との関係で申し上げますと、例えば、近松門左衛門というのは福井県の鯖江出身で、大阪に出て、東洋のシェークスピアといいますか、人形浄瑠璃の脚本家となったのであります。下って幕末になりますと適塾という塾がありましたが、その何百人もおられる優秀な青年たちの筆頭として今も記念館に掲げられているのが橋本左内先生であります。
 そういう時代で大阪の文化、学問というものを、一方で福井県が近松門左衛門のように提供すると同時に、大阪から我々が受け継いできたというのが、明治維新につながっているのではないかという気持ちを強くいたすものであります。
 そして、最近の文化的な話しを申しますと、天神橋の商店街、繁盛亭では、落語、「ちりとてちん」でつながりがあり、関西から福井に落語のいろいろなバックアップもいただいております。

 次にこうした状況の中で、福井と大阪のつながり、2つ目のテーマを申し上げます。
 1つは産業として、福井の眼鏡は、1905年に増永五左エ門という方が、大阪の眼鏡技術を福井・鯖江に移され、今日の眼鏡産業が発展をしたわけであります。
 それから、敦賀港はアジアの玄関口として発展をし、大阪地域と深い関係がございます。明治35年に、ウラジオストック間の定期航路が開設をされ、横浜港、神戸港とともに重要港湾になったのであります。
 そして、明治40年に敦賀郵便局は、外国郵便局交換局という指定を受けました。ですから、大阪の国際便は、全部が敦賀を通してアジア、ロシアを通って外国に配達されたということであります。
 現在、日本海側の拠点港としての指定を受けるべく、国にも要請をしておりまして、年内にはそういう方向が出ると思っております。
 関西で作られたいろいろな品物、さまざまなサービス製品が、敦賀などを通して、関西と結びつきながら、アジアと連携をする。これから特にこれが大きな大阪あるいは福井との結びつきが大事ではないでしょうか。
 それから、今、モノの流れを申しましたが、人の流れについて若干申し上げます。福井県は学力・体力日本一でありますが、毎年3000人程度の学生が県外の大学に進学し、毎年1100人前後の皆さんが大阪や京都や神戸の大学に行くわけです。
 関西に進学した高校生の4年後の福井県へのリターン率は大体4分の1しか戻ってきていません。福井県としては、できるだけ関西の企業を誘致しながら、福井県の子供たちが、地元でも就職できるように、県内外の理工系大学院生に対する奨学金制度を議会と協力して実行しておりますし、県内のモノづくり企業に一定期間就業した場合には奨学金を免除するというような制度も作っております。
 現在、企業誘致については東京と関西に本部を設けまして、この一年、あるいは2、3年の様子を見ますと、関西の企業が福井県により立地をしている割合が高い状況です。
 以上が福井と大阪とのつながりの話しです。

 次に3点目の福井の地で先進的に進めている政策についてお話をいたしたいと思います。
 現在、福井県は健康長寿県として知られております。大正15年から昭和5年の統計を取ってみましたが、福井県の平均寿命は全国45位でありました。現在は、大体、2位とか3位とかそういう状況で推移しておりまして、非常に長生き県というふうに思っていただきたいと思います。
 ガン対策というのが重要ですが、ガンの死亡率が全国3番目に低い県です。具体的に言いますと、例えば、どの市町でガン検診を受けてもよい共通クーポン券を市町と協力して作っています。また、本年3月には県立病院に日本海側では初めての陽子線ガン治療施設を作りまして、12月頃までには100名の方がこのガン治療を受けられることになっております。
 それから、介護のための待機、保育園、幼稚園の待機も原則ありませんので、双方とも待つ必要のない唯一の恵まれた県なのです。
 次に教育でありますが、学力・体力日本一でありまして、ここ数年間成績がでており、両方ともトップクラスであります。特に、高校教育の中で、英語教育やあるいは中国語教育を充実したいと思っております。
 そのほか、数年前ノーベル賞を取られた南部先生や漢字学の白川静先生は福井の先輩としての誇りであります。こういう伝統を生かしながら、国語教育、サイエンス教育についても皆様とともに充実をして参りたいと思っているところであります。
 次に、観光、あるいは産業政策です。
 福井県を訪れる県外からの観光客の45%、約220万は関西からです。やっぱりメインは関西であります。3年後には舞鶴若狭自動車道が全線開通いたしますので、例えば神戸から福井インターまで、実質1時間は早くなります。折しも、丁度今日、北インターから大野油坂峠までの中部縦貫道路の事業化を行う方向の政府の決定がなされましたので、2年後には大野までは行きますし、もう少し何年かかかりますけれども、名古屋までも結びつけます。
 こういう基本的なインフラの整備をベースに、我々がしっかり意識しながらストロー効果にならないよう、是非ともこれが活きていく、活かされていくように努力してまいりたいと思います。

 さて、最後に、4点目のお話をいたします。
 福井と大阪が一緒になって、どうしたことを協力したらいいかという問題であります。
 今回の東日本大震災の教訓は様々ですが、一番の教訓は東京に一極集中の都市構造が今回の様々な災害、あるいは問題の大きな背景、原因になっておりますから、太平洋側あるいは東日本中心の日本の地域づくりを大変革するということが大事です。
 そのためには、東から西へ、あるいは太平洋から日本海側へ。大阪はその結び目にある。そういう構造を是非とも作る大きな流れに、あるいは政治的な流れにしなければならないだろうと私は考えているわけであります。
 新幹線についても、これから3年後には金沢まで開業いたしますと、福井県の立地条件がちょっと良くなりますが、富山、石川とですね、プラスの中で程度の差が開きますから、これは、なんとしても、まずは敦賀まで、そして大阪の方向性を出すことが重要であると思っております。
 大阪が東京に比べて人口や経済規模等の面で位置づけが下がってきた原因はいろいろあります。その中の1つが新幹線などの高速交通体系をうまく活用できてこなかったということにあると思います。
 非常に一般的な解説をしますと、東京から1時間で行く距離と、大阪から1時間で行く距離は東京が2倍行けるんです。ということは、東京から4倍の面積のところに行けるということですね。大阪はその4分の1だということです。
 そういうことが地域内のGDPや人口などに影響していると思います。これを大阪の問題として捉えなければ将来に発展はありませんし、住んでいる皆様のご努力が十分に報われないことになると思いますので、ご一緒に頑張らせていただきたいと思います。

 最後に、原子力発電、原発の問題だけをちょっとだけお話します。
 原子力事故については福島の事故について、私としては、県議会あるいは地元の市町の皆さんと力を合わせて、福島県のような事故を、わが福井県では絶対に起こさせないんだという強い決意で事業者の皆様方に申し上げていますし、なんといっても国に対して責任ある行動と決断と実行をしていただけなければならないと思います。
 ストレステスト、これはもちろん1つの方法です。しかし、福島県の具体的な教訓を活かさないわけにはいかないと思っており、いかに安全性を追求できるのかというのが、日本の国としての責任で、世界的にも注目されている課題でもありますので、この問題に体を張って取り組んでいくことが大事だと思うのであります。
 消費地の皆さんも、情報を十分に発信いたしますので、我々がこれから行うことについて、ご理解をいただきたいと思います。また、関西そして原子力エネルギーを供給している福井県との関係をご理解の上、将来の方向を出していきたいので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 県人会の皆様方には、ふるさと福井、第一のふるさとかと思います。そして、大阪関西は第2あるいは第1になっているかもしれませんが、両方のふるさとを見守っていただいて、共にこれからの発展のために頑張ろうではございませんか。
 以上で講演とごあいさつに代えさせていただきます。

 

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