「福井の教育」~公教育のあり方を考える~講演会

最終更新日 2012年6月1日ページID 017710

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 このページは、平成24年5月12日(土)に東京都目黒区総合庁舎で行なわれた、「福井の教育」~公教育のあり方を考える~講演会での知事講演をまとめたものです。

 (導入)
 ご紹介をいただきました西川でございます。今日は、目黒区のPTAの連絡会で、福井県の教育のご説明をするという機会をいただきました。誠にありがとうございます。講演写真

 さて、私は、独身の頃は、祐天寺に住んでいました。それから結婚して、東山にも住みました、子どもたちは目黒区の小学校や中学校を卒業しています。目黒区とは、このように深い関係がありまして、今回の講演も、その時大変お世話になったこともあり、引き受けさせていただきました。

 また、お手元に、福井県の教育の様々な水準、主な政策を書いたパンフレットを置かせていただいています。このパンフレットにも書いてあるように、皆さんには、福井県の学力・体力がともに日本一であるということにご関心をいただいて、福井県はどんな教育をしているのか、東京では公教育といっても私教育の問題もある、どういう違いか等、PTAの方々も様々な疑問やお悩みのことがあるのかと思われます。
 目黒区と福井県はずいぶん違いますので、参考になるところと、あまり比較のできないところがあるはずですが、適宜斟酌をしていただければと、そういう風に思います。

 少し、福井県のことを申し上げますと、人口は82万人です。お隣の世田谷区と同じくらいです。それから、目黒区の人口は27、8万人でしょうか。これは、県都の福井市の人口と同じくらいです。

 福井へは、空路があります。羽田から小松へ飛行機が飛んでいて、これが1時間。小松からは福井まで北陸自動車道を経由して40分くらいで到着します。鉄道では、東海道新幹線の米原駅経由で3時間30分です。北陸新幹線の福井開業がほぼ決定しましたので、これができますともっと早くなります。

 福井県で有名なものは何でしょうか。越前がにです。日本一うまいかにです。
 それから皆さんが毎日召し上がっているコシヒカリ。福井県の農業試験場が開発したものです。福井は、コシヒカリ発祥の地です。ほかにもいろいろあります。永平寺とか、携帯電話で有名になった一乗谷朝倉氏遺跡ですとか。そして恐竜などが有名です。

 昨年、日本一幸福な県になりました。先般、ブータンの新国王夫妻がお見えになりましたが、ブータンも幸せを目指しています。新国王夫妻ご来日の折は、お会いする機会を得ました。
 それから、福井県では、「希望学」というものを東京大学と一緒に研究しています。幸せと希望は違います。何が違うかお分かりになるでしょうか、そうです、希望は行動を伴う活動のことをいいます。

 さて、福井県の教育ですが、4年連続で中学3年生は第一位。小学6年生は第二位です。

 今年の学力テストはもう終わりました。もっともこの学力テストへの参加率がどの程度かというのがあります。福井県は100%です。目黒区の場合、私立中学の生徒がいますので、参加率は少ないかも知れません。これは、全学校が参加するシステムを国が作ってほしいと思います。
 もうひとつ、福井県の場合、約30年以上前から、小学5年生と中学2年生について学力テストを独自にやっています。もともと、国の学力テストがない頃、中断していた頃も、ずっと、独自に学力テストをやっているのです。

 福井県の課題としては、小・中学生の学力が全国トップクラスでありますが、高等学校になりますと、必ずしもそうではないということがあります。
 高等学校の学力統一試験はありません。大学入試センター試験というものがありますが、受験する大学によって、特定の科目だけ受験するということがあります。皆さん同じ科目を受験しないのです。しかし、福井県の場合は、国公立志向が強い県であり、全科目を受ける傾向があります。
 したがって、大学入試センター試験という統一的な試験はあるけれども、受ける科目が分散していて比較が難しいのです。そこで、主成分分析という統計分析の手法を試みました。そうしたところ、福井県の高校の学力はだいたい全国で5位、6位、という状況ではないかと推測します。高校に小中学校の学力をつなげていくかというのが福井県の課題であります。

 ところで、大学入試センター試験でも、ほぼ全員が受験し全国的に比較できるものとして英語があります。例えばリスニング、これは福井県が全国トップクラスです。生徒の数に対して採用しているALTが日本一多いのも福井県であります。福井は音声教育に力を入れています。
 最近は、NHKの番組で活躍されている松本茂先生、鳥飼玖美子先生に、いろいろな提言とアドバイスをいただいています。
 また、昨年度、100人の高校生をアメリカに二週間近く派遣しました。今年度も実施します。

 私は、現在3期目ですが、1期目のマニフェストで、生徒が高校卒業した頃には、普通に勇気を持って、日常会話を滞りなくやれるようにという目標を掲げました。しかし、マニフェストの中で唯一ともいうべき現在でも達成できていない項目です。ちょっと時間がかかるかも知れません。
 いずれにしろ、英語や中国語は、これから極めて重要です。小中高の一貫した教育を進めていきたいと考えています。

 家庭でのいろんな問題について、少し申し上げたいと思います。全国の学力テストでは、子どもたちの家庭学習の状況などについても調査を行います。その調査に、「家で学校の授業の復習をしていますか。」という項目がありますが、福井県の子どもは、日本一復習をしないという結果がでています。では勉強を家でしていないのでしょうか。なぜだと思いますか。実は、福井は宿題が多いのです。とにかくたくさん宿題があります。宿題をきちんとしていくことが大事。これが福井県の状況です。
 それから、福井の家庭は、祖父、祖母と同居しているのが4割ほどあり、近居、車で30分以内というのを入れますと、8割ほどあります。母親が仕事に行くときに祖父母に子どもを預け、保育所には祖母が連れて行く。また、子どもが小学校に行く際は、見守り隊として一緒についていったりします。このあたりは目黒区とは大きく異なるのではないでしょうか。三世代教育は、行儀とか、昔のこととか、そういうことを伝えていく上では重要かもしれません。

 また、福井県の子どもは、勉強ばかりしている訳ではありません。スポーツ少年団に入っている子どもが全国第6位となっています。東京は1.3%。40位クラス。東京は、プールなどスポーツの習い事などいろいろやったりしている。でもお金がかかるかもしれません。統計上比較は難しいですが、こういう風になっているということです。
 さらに、学校では運動会があります。福井では、今がちょうど運動会シーズンですが、家庭や地域の人と子どもたちが一緒に親子の地域ぐるみの運動会をやります。私の子どもたちが通っていた頃の目黒の小学校では、必ずしもそうでなかったように思います。

 さて、ここで少しテーマの話にしたいと思います。1つは食育とか給食の話。2つ目に体力の話。3つめにふるさと教育、白川文字学の話をしたいと思います。4つめに学校教育に関するいくつかのコメント、最後に都会と田舎のことについてお話したいと思います。

(食育)
 まず食育です。朝ごはんを食べているかどうかですが、福井県は、男の子は8位、女の子は第1位です。目黒区はどうか分かりませんが、東京はだいたい、小学生が20位前後、中学生が30~40位です。特に、中学2年がよくありません。朝ごはんの問題があります。
 食育という言葉が盛んですが、食育を最初に言い出したのは、福井県出身の石塚左玄というお医者さんです。明治時代に活躍されました。福井県では食を大事にしているということです。

 福井では、地場産の農作物や魚を子どもたちに知ってもらうこともしています。福井の有名なものと言えば越前がにですが、11月6日が解禁日なので、県内の中学3年生全員の給食に蟹が一匹出ます。それから、コシヒカリ。学校給食では1週間に4・5回のコシヒカリが出ることになります。単独でこれらに補助金を県で出しているのです。
 また、今年から11月にさまざまな食のイベントや教育事業をまとめて食の週間を設けることにしました。これまで高校生が全国から集まってきて料理をする「食育選手権」を行っており、女子栄養大学から、審査員に来てもらったりしてやっています。これに新しいものを加えたい。

 学校給食については、東京の方が美味しいのではないかと思っています。目黒を見習いたいと思います。目黒では、自校式で調理をやっていると思いますが、福井は必ずしも全てが自校式ではありません。自校式を大事にしていただきたいと思います。私は、美味しくて身体によい給食のためなら給食費が少々高くなってもやむを得ないのではないかと思いますが、なかなか難しいですね。目黒区は先進的にもっとやってほしい。
 目黒区の学校には福井県からもぜひ勉強に行ってくれということで、給食の勉強に人を派遣したいと思います。本日午前中、目黒区の学校を見学させていただきました。本当は給食を食べたかったのですが、土曜日ということで残念でした。機会がありましたら、食べてみたいと思います。

 福井県は農家が多いので、学校給食畑というものをやっています。一反の田んぼを使って、野菜を育て、そして学校給食に出しています。ピーマンが嫌いな子どもも、自分で育ててみると、意外と美味しいと言います。不思議なことです。子どもたちが農業に関わることが大事だと思います。会場写真

(体力日本一)
 次に、体力の話を申し上げます。

 体力は、学力とも違います。中学受験とは関係ありません。日本すべての子どもたち共通の問題です。福井県は、体力テストでダントツ第一位の県です。福井の子どもたちは、体重、身長も大柄です。

 もちろん大きければよいという訳ではありませんが、東京の子どもと福井の違い、50m走でありますが、福井県は9.2秒、東京は9.3秒ですので、福井の子が50mをゴールした時は、東京の子は、約1m後ろにいる。そういう違いになる訳です。これは、かけっこが遅いのではなくて、鍛え方が問題です。体を動かす訓練をやる必要があります。現在は、中学3年になると、この体力差がさらに拡大します。50m走では、福井の子がゴールした後約2m後ろを東京の子が走っていることになります。

 福井の子はどうやって鍛えているかというと、2時間目から3時間目に20分間の大休みがあります。ここで、教科外の体育活動をしています。縄跳びだったりマラソンだったり。業間体育といっています。

 また、福井県の子どもは、握力が全国平均レベルでした。他の項目がトップであったのから考えると弱点です。そこで、全県的にグーパー運動をしました。その結果男女とも0.2~0.3kg向上しました。体力は大人でも同じですが、訓練すれば向上させることができます。

(ふるさと教育 地域教育)
 三番目にふるさと教育の話をしたいと思います。白川文字学の話もしたいと思います。

 ご存知かもしれないですが、福井県出身に南部陽一郎さんという学者がいらっしゃいます。素粒子理論でノーベル賞を受賞しました。二回ノーベル賞をとってもおかしくなかった人です。南部陽一郎先生を記念した科学賞を設立しまして、福井県のサイエンス教育を充実しています。

 福井県は、国語とか英語は得意ですが、理科はあんまり得意ではありません。理科教育は極めて大事です。学力テストでも理科が入りました。小学校の先生にも、理科を教えるのが苦手だと自分からいう人がいます。そういうことはないようにしてほしいと思います。

 白川静先生。漢字学の先生です。本日、私がここで講演させていただくきっかけになったのも、表参道にある「ふくい南青山291」で行った白川文字学のイベントに、目黒区の関係者の方が来られていたということです。そういうきっかけで、皆さん、白川文字学のご関心があると思います。
 数年前に96歳で亡くなりましたが、字統、字通など大きな辞書3冊を作りました。文字系統学、文字考古学の権威であります。

 ちょっと自慢話をさせていただきますが、福井県は学問の県です。杉田玄白、幕末では、橋本左内。大阪の適塾に行くと、優秀であったので、橋本左内の肖像が一番先に出てきます。
 五箇条の御誓文の起草をしたのは由利公正。福井県のお侍です。坂本龍馬は、京都で暗殺されましたが、その数日前に、由利公正を謹慎から解いてくれという理由で福井に来ています。
 幕末には由利公正のようにファイナンスができる人がいなかった。また横井小楠のように政治学もいなかった。それができないと明治維新ができないということです。だから、由利公正は五箇条の御誓文を起草し、最初の東京府知事にもなりました。銀座を作った人でもあります。

 私は、子どものふるさと教育を進めていきたいということで、「こども歴史文化館」を作りました。古い図書館を改造しました。そして、そこで福井の偉人をたくさん紹介しています。一番昔の人は継体天皇です。聖徳太子の曽祖父です。この方が今の皇室につながっています。
 それから、現在活躍している達人を展示している。俵万智さんとか五木ひろしさんとか、そういう人が出ています。福井の子どもたちは、小学生のうちに一度はここに来るということであります。

 橋本左内のことを申し上げましたが、左内は10代の頃から藩校の学長のような仕事をしていました。福井の中学校では「立志式」というのがありまして、自分がこれからこういうものになりたい、こういうことを考えたいということをプレゼンテーションするというセレモニーを行っております。橋本左内の「啓発録」という本に基づくものであります。15歳のとき、左内は「稚心を去る」ということをいいました。今では、20歳になっても30歳になっても稚心は残っているかもしれませんが、こうした気概が極めて大事だろうと思っています。

 さて、話を戻しますと、白川静先生とは、お元気なころ、福井に来られた時にお話をうかがうことができましたが、すごいパワーがあった人です。96歳でお亡くなりになりました。

 白川文字学については、平凡社から、福井県教育委員会が編集し、漢字の成り立ちを易しく書いた本を出版しております。ご関心があれば、できれば買っていただきたいと思います。「白川博士の漢字の世界へ」というものです。

 小学低学年の保護者の方、漢字を教えるのは大変ではないでしょうか。漢字をつまづいたり、アレルギーなしに正しく教えるというのは大変だと思います。
 そこで、なぜ、白川先生の漢字の世界がよいかということですが、白川先生は、甲骨文字、それから青銅器の金文を全部調べまして、象形文字からどのように発達したのかということを調べました。歴史的な学問です。
 「文」。これの文字に子をつけると女性の名前になりますね、あやこさんです。「文」という字について、これ普通の解説は、「あや」を表したものだというものということです。でも、白川文字学では違います。想像できないと思いますが「刺青」です。亡くなられたときに、胸のところに入れた刺青。額に書くときもあったようです。文とはそういう謂われ。「胸」。×の部分がありますね。これは刺青を指します。
 「遊」。白川先生が一番好きな字でした。子どもを書いて「しんにゅう」を書きますね。こどもが方々にちって遊びにいくのだという解説ができるかも知れませんが違います。「遊ぶ」には、「方」という字が入っていますね。これは「旗」なんです。この旗のところに人がいるということです。人が旗をもっているということですが、そうすると、この旗のところに何が来るかということです。それは「神様」。遊ぶとは、神様が遊ぶ。神様を遊ばせるという姿を現したのが「遊ぶ」。それを人間が一緒に楽しむということになったのです。
 「告」。上は牛みたいな字。下は口です。中国の伝統的な解説書では、牛が口をあけて、何かものを言うから「告げる」という解説をしていましたが違います。下は、「口」ではなくて、おまじないの神様の言葉を入れる箱をイメージしているそうです。そこに槍を突き刺して、そこからどういうお札がとれるか。吉か凶かを告げるのが「告」。下の口は「口」ではなくて「サイ」と呼ばれる字なのです。
 このように、白川文字学は、意味を押さえながら系統立てて学んでいくことができるのです。

 次に、子どもたちの小学校の習う漢字について考えてみましょう。学校では漢字を何字習うかご存知ですか。1006文字です。
 福井県は、文部科学省と掛け合いまして、「学習指導要領には習う漢字が書いてあるが、守らなければいけないのか。」と伝えたところ、「最低限のルールです。」ということでした。そこで、福井県では、この1006文字を超えて教えています。
 学年配当表というのもあります。1年で何文字、2年で何文字というもの。その数も柔軟にとらえてよいということです。木、林、森は一緒に教えた方がいいと思いませんか。そういうことを一貫して教えてテストもやる。目黒区でもやっていただければいいのではないかと思います。専門の先生も福井にいますので、要請があれば直ちに参上いたします。

(学校教育)
 次に、学校教育全般について申し上げたいと思います。学校教育の改善は、授業を改善すること。先生を良くすることです。教育現場では、先生は子どもについていろいろ言う。しかし、自分たち先生のことはあまり言いません。

 学力、体力と先ほど申し上げましたが、教育現場で「力」の付く言葉っていくつあるか知っていますか。20近くあります。読解力、計算力、観察力、応用力。「力」ばっかりです。みんな子どもに「力」を求めていますが、子どもにそれほど「力」はありません。
 先生が「力」をもってやらなければいけないと思います。第一に、先生の方にエネルギーを求めるべきなのです。もっと自分を高めていただきたい。これによって、授業がよくなると思います。

 特に、算数については、1年生から6年生まで、全部で109の単元があります。分数、小数。三角形、体積など。これについて、統一的な問題を授業中にやっていきたいと思います。全部で916問あるそうです。全部の学校で試験をしますと、どの学校のどのクラスがどの問題ができる、できないというのが分かりますので、指導方法につなげていくという方法をとりたいと考えています。

 次にやることは小中高の一貫性であります。東京には私学がありますので、別の一貫が強いですが、福井の一貫は、例えば竹取物語は、小中高で同じところを教えるので、これらを関連付けて、漏れや重複がないように、小中高の接続を意識して改善していくということです。

 今年から、学力向上センターを設けました。「福井型18年教育」をテーマに、こうした小中高の一貫性に気をつけてやっていきたいと考えています。小中の水準は高いので、特に高校の教育を重視したいと思います。
 高校生のお子様がいらっしゃる方、お子さんたちは、サクシードやチャート式などの数学の問題集の答えを持ってらっしゃいますか。福井県では、問題の答えを渡している学校とそうでない学校があります。進学校ほど渡していない。私からみると変です。答えを分けると自習ができるからいいと思いませんか。先生の権威が落ちるとか言いますが、そんなことはないと思います。これをぜひ直したいと思っています。解答集に「sinθ」とだけ書いてあると、これは一体使えると思いますか。そういう負担を子どもたちに与えるのはよくない。くわしい解説と答えを子どもに持たせて、授業こそ、問題を解くのではなくて、より意味のあることを教えたらどうかと思っています。

 最後に、田舎と都市といいますか。そういうお話をしたいと思います。
 皆さんの先祖で、江戸時代から東京に住んでいた方はいらっしゃいますか。そうでもないですよね。祖父は福島だとか、そういうことだと思います。東京がマイタウンであっても、田舎にご関心を持っていただくことが必要です。この電気は、どこから来ているのだとか、最近は原子力の問題にご関心をお持ちになっていると思いますが、そういうことも考えてほしいのです。
 大都市と地方は、共に助け合っていくんだという気持ちを持つ必要がありますので、私は、「ふるさと納税」という制度を提案しました。目黒区に住んでいて、田舎は福井県。福井県に寄付すると、その寄付分のほとんどが都区民税から差し引かれて税金は変わらないという制度ができました。
 平成22年度までは、ふるさと納税は、全国で約70億円でしたが、東日本大震災が発生して、この金額が23年度に約4800億円になりました。地方と大都市のつながりが注視されたということであります。

 今日、ここに来る前に、東山小学校の管弦楽の特別授業にお邪魔しました。お一人の先生が何十年にわたって指導されている。演奏もしてくれました。ただ、楽器を見たら非常に古いです。私は、このようなお金が回らないところに、大都市の皆さんからいただいたふるさと納税を回す。福井県は提唱県として、人口比で示すと、比較的多くのお金をいただいております。だいたい毎年7000万円ありますが、これを教育に使っています。通常の予算では、楽器に使うのは難しいです。ふるさと納税だと、トランペットを買ったらいいとか、ボートを買うとか、そういうことができやすいのです。これから教育にお金を使うのが重要です。
 しかし、こうして教育にお金をかけても、福井県からは、毎年、進学や就職などで県外に出ていくのが3000人います。そして、そのうち、福井県に戻ってくるのは1000人です。多くは、東京や大阪で税金を納めていただいている。それは結構ですが、地方としては何となく切ないものがあります。
 そこで、ふるさと納税で少しはお返ししてほしいし、田舎にも住んでほしい。千人に一人くらいは、皆さんのふるさとに帰っていただくとか、そういうことをシステムとしてやっていきたいと思っています。
 皆さんにも、田舎のことをもっと考えてほしいということを最後に申し上げ、終わりにしたいと思います。

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