平成20年度新規採用職員研修での講話

最終更新日 2010年2月4日ページID 005613

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 このページは、平成20年4月7日(月)に行われた平成20年度新規採用職員研修での講話をまとめたものです。

 Ⅰ 公務の性質について
 Ⅱ アイディアを出すことについて 
 Ⅲ 仕事の仕方について

 本日は、私のホームページのエッセイから特に仕事に関わるものを抜き出したものについて、説明を加えながらお話をしたいと思います。 

 【Ⅰ 公務の性質について】

(競う時代)
200407講演写真1 皆さん、「親方日の丸」という言葉を聞いたことがありますか。私が公務員になった頃から20年間ぐらいはこの言葉をよく聞かされましたし、新聞にも載っていました。しかし、最近ではほとんど使われない言葉になっておりますが、この言葉を久しぶりに聞いてびっくりしたときの話がここに書いてあります。
 これはどういう言葉かというと、公務員は官庁に勤めていますが、国や地方公共団体は、公のものであり、絶対につぶれません。あなたがたを養っている親方は日の丸であり、気楽ですねと、そういう意味で使われた言葉です。
 今は、そんなことは言えません。あなたたちに今尋ねましたが、知らない言葉のようです。自治体であっても破綻したり、あるいはいろんな改革があったり、こういう言葉はバブル以降、ほとんど聞かれなくなったと思います。
 自治体は競争しなければなりませんし、国と地方との政策力の差も少なくなっています。それから、NPOやボランティアなども公的、公益の分野に幅広く進出しており、負けていられません。
 世の中は大きく変わっています。税金に頼るとか、誰かに頼るとか、そんな気持ちで行政はできない時代です。ですから、親方は日の丸ではないのです。自分自身だというぐらいに思い、これから仕事をしてほしいと思います。

(公務と私事)
 全体の奉仕者って何だろう。もちろん、皆さん方は特定の企業とかお友だちのために仕事をしてはいけません。これは、法律として最初に習ったことだと思いますが、まず皆さん方は法律を守ってもらわないといけません。収賄をしてはいけないとか、そういう基本的なことがあるわけです。
 さらに、公の奉仕者というのはどんなことなのか、これは観念しづらいことで、偏った仕事をしてはいけないとか、特定の人のためにしてはいけないとか、そういうことは当然のこととして、ちょっと発想を変えて仕事をしてほしいということです。
 ここで電気が消えたらどうしますか。私は講義を聞きにきているので、別に電気が消えようと、それはここの施設管理の人がやることだろうというのが、抽象的な全体の奉仕者の観念です。もしこれが皆さんの部屋の中だったら、電気が消えたとか、黒板がどうだとか、自分の話になるはずです。オフィスをあたかも自分のリビングのように考えて仕事をしてほしいということです。
 皆さんのオフィスも、皆さんの書斎というか仕事部屋だと思うと、コンピューターの電源を何となく入れていたり、書類をむだにしたりとか、そういうことは恐らくないと思います。誰かのものということでいい加減にする、そういうことをなくしたらどうでしょうか。

(予算と所管―誰が仕事をするか)
 これから皆さんには予算というものが絶えずついて回ります。それぞれ、福祉の関係でも、技術の関係でも、教育の関係でもあると思います。予算というのは、それに責任を持つ部局というのがあります。事業費でも何百万円、何億円と、桁が小さいものから大きいものまであります。桁違いをしないようにしてもらわなければなりません。自分のポケットマネーだと思ったら、1円でも余分に払いたくないと思いますが、県庁のことだと思うと億円も千円も単位が一緒に見えてしまいます。自分のことだと思わなければなりません。
 役所の仕事というのは、予算によってどの部局のどの課の仕事かがはっきり分かれています。しかし、仕事の都合でそうしているだけであり、実際、起こってくる課題は皆さんの都合に応じてはやってきません。
 例えば、4人でやらなければならないような仕事がいきなりやってくるのです。そうすると、皆さん一人ひとりが、私は財産活用課であるとか、私は自然保護課であるとか思っていてはいけないのです。自然保護しなければならないところに県庁の財産があったら、それは財産活用課の仕事でもあるし、一緒になってみんなで考えなければなりません。いわゆる官庁の縦割りという話に関係しているのです。
 県民が期待しているいろいろな課題は、次々と我々に向かって挑戦してきます。束になってくるので、縦割りでは決して対応出来ないのです。そこをよく注意してください。はっきり物事を意識して、全体でやっていこうという気持ちを持っていただきたいと思います。
 特に、県庁の中で仕事の押しつけ合いをしてはいけません。皆が力を合わせて、全体として力を発揮していただきたい。皆さんも、私の仕事はこれだと思うのは大事ですが、それだけに気を取られることのないようお願いします。

(すれちがい)
 皆さん方は、約束をしていて公園や駅前で相手の男性や女性とすれ違ってしまったことはありますか。以前の映画では、ヒロインがこちらを向くとその瞬間に電車が入ってきたり、階段を上がると片方がエレベーターでおりてきたり、そういうことが多かったです。みんなため息をついていましたが、今はそういう映画はつくりようがありませんし、感動もないでしょう。最近では携帯電話もあり、すれ違い自体が少ないと思います。しかし、仕事の方は目に見えないのでこのようなすれ違いが多いのです。
 皆さんは新人ですから、周りは今のところ上司ばかりです。今度の新人はなかなか資料をつくるのが遅いな、というようなことを上司が思っているかもしれません。その上司はまだ黙っている。黙っていたら待っていないと思うと大きな間違いです。もう3日も経っているのにと待っているかもしれません。特に急ぐとは言われていないので、2週間ぐらいはいいのではという気になっている。それが仕事のすれ違いです。これはドラマのように目には見えませんが、心の中のこの種のすれ違いをぜひ考えなければなりません。
 皆さんはゆっくりでいいと思っているかもしれませんが、上司はせっかちです。絶えず何かできたら、途中段階であってもこれでどうでしょうかとか、今日は週末なのでこんな具合でどうでしょうかと報告してください。そうすれば、上司も土日にちょっと考えてみることかできますので、そんな仕方で仕事をしていただきたいと思います。
 人間関係の中では、すれ違いが非常に多いです。最近、マッチングという言葉があります。何と何々をマッチングさせるとか、逆にミスマッチとかいう言い方もあります。皆さんは早めに周りの人とコミュニケーションをとってほしいと思います。遅いのはよくありません。ともかく、早め早めに、絶えずボールを上司に投げる。ボールを持っている方が待たせる方になりますから注意してください。相手に早く持って来いと言われる前に、まだご指示がありませんと尋ねるぐらいが良いのです。 

(はじめる・つづける)
 我々が行う調査では、「何々をすべきですか」とか「何々をしたいですか」と聞いた場合と、「実際にやりますか」と聞いた場合とでは、どうしても大きな差がでてきます。間もなく福井県が提唱した「ふるさと納税」が導入されると思いますが、「あなたはふるさと納税に関心がありますか」「したいですか」と質問をしますと、6割ぐらいの方が「したい」と答えると思います。でも、実際にする人はその何割だと思いますか。
 例えば、「ボランティアをしたいですか」と聞くと、8割ぐらいは「したい」と答えます。でも、あなたは実際ボランティアをやりますかと聞くと、8%になるのです。大体1割の法則があります。こういったことをよく押さえて、仕事をしてください。
 さらに難しいのは、継続するということです。よく一過性と言われますが、この一過性というのが世の中に非常に多いのです。始めたはいいが1年でやめたとか、3年でやめたとかが多く、10年やれる仕事というのは非常に少ないのです。今のふるさと納税もそうです。これが10年とか20年続かないといけませんが、これが難しいのです。これからいろんな仕事をされる場合に、いいことは続ける、逆に、よくないことはすぐやめるという姿勢でお願いします。

【Ⅱ アイディアを出すことについて】
 次は、アイディアを出すことについてであります。
 先日、日経新聞を見ていましたら、ある会社の社長が「アイディアを出さない社員はいらない。指示をしてはじめて仕事をする社員はいらない」と張り紙をしていることが書いてありました。この会社は京都にある企業でしたが、アイディアを出すことについて、これは公務員として極めて大事な能力ですので、この問題について数点申し上げます。

(「関心」について)
 関心というのは、あるものに心や目を向けることです。これがとても大事なのです。何々に関心があるというふうに俗っぽく言いますが、これは哲学的にも重要な言葉です。
 今、桜が咲いていますが、同じ新入生でも小学1年生は桜にはほとんど関心ないと思います。皆さんは二十才を過ぎており、物のあわれを多少は感じているでしょうから、桜にちょっと関心があるでしょう。私は年をとっているせいか、もっと物のあわれを感じて、もっと関心があります。と同じように、いろんな仕事についても関心の程度がかなり違います。関心がなくても、皆さんは仕事ですから関心を向けなければならないのです。そのことを念頭に置いて仕事をしてください。
 以前、「上司は思いつきでものを言う」という本がベストセラーになりました。確かに上司は思いつきで物を言います。それはなぜかというと、上司の関心のベクトルと皆さんの関心のベクトルの角度が違うため、上司は思いつきで物を言っているように聞こえるのです。皆さんも皆さんの関心で遠慮なく話をしてください。そうすれば、上司も少しベクトルの角度を変えて、ちょっと違う方向に向かうはずです。お互いによく議論をしてほしいと思います。

(アイディアの固定について)
 どんな仕事でもそうですが、ちょっとしたアイデアというのが非常に重要です。仕事をしているときの、ちょっとした改善、ここを直したらいい、ここは違うと、そういうアイデア、それが皆さんの能力というものであり、仕事への付加価値になるのです。そういう能力を磨いてほしいと思います。ちょっとでもいいからアイデアを出す工夫をしてください。
 アイデアというのは、全く違う場面で思い浮かぶことがあります。皆さんも頭の中にさまざまなアイデアが浮かんでくると思いますが、それをメモに残してください。他の人にとってはつまらないものかもしれませんが、皆さんにとっては宝ですので、大事にしてください。どこでも、何でもメモをしてください。これを積み重ねて、実際の仕事に役立ててください。
 私も仕事柄そういう努力をしていますが、書き忘れたりすると思い出せません。貴重なアイデアのはずだったと思って、大魚を逃がしたような感じがします。皆さんは若いからそんなことはないと思いますが、それでも1日たつと忘れるかもしれません。ちょっとしたときに出てきますので、それを大事にして是非仕事に役立ててください。絶えず仕事のことを思っていないとアイデアも出ないと思います。
 私は以前、福井謙一さんというノーベル化学賞をもらった先生に会ったことがあります。どうやってノーベル賞をとったのですかと遠慮なく質問をしました。それはこういうことですと言っていました。その中の一つがこのアイデアの話です。
 福井さんは真っ暗な暗闇の中で字が書ける人なのです。寝床の横に紙と鉛筆を置いて、寝入る前や夜中に思いついた数式をメモにされたそうです。極端に言いますと、それでノーベル賞をとったのです。皆さんの仕事はノーベル賞をとる仕事ではありませんが、アイデアは大事にしてください。

(ものの見方について)
 コップも上下から見ると円形に見え、真横から見ると長方形に見えます。普通は把手も眺めると、初めてコップに見えるのではないかと思います。このように、物は見る方向によって、形や姿が変わってきます。
 皆さんはフランスのパスカルという人の本を読んだことがありますか。パスカルの定義で有名ですが、パスカルの本を一度読んでいただきたいと思います。そんなに難しいことは書いてありません。
 パスカルの言葉の中に次のようなものがあります。誰でも時々間違いを起こしますが、一体何をやっているのだ、ということではなくて、物の見方が間違いにつながったのではないかということなのです。そのことを論じているのです。仕事での物の見方で、間違いではないが、その見方の角度、着眼が悪いということです。
 目のつけどころが悪いと、正しいことが間違いに近くなってしまいます。例えば、我々も行政や政治を一生懸命やっていますが、なかなかうまくいかないことがあります。大体それは目のつけどころが悪く、やっていることは間違いではありませんが、ちょっとずれていることがあります。いつも正しいということは必要ありませんが、君は何を考えているのだというときの、その「何を」を注意してほしいのです。

【Ⅲ 仕事の仕方について】

(事柄の原因)
200407講演写真2 皆さんは、オフィスのエレベーターに乗ることがあると思いますが、例えば、皆さんが最後に乗ってブーと音がしたとします。皆さんはきっと降りるでしょうね。原因は平等だと思いますが、最後に乗った人が何か責任があるように思われます。実際に世の中ではよくある話だと思います。何か行事があって雨が降ってきた場合、おまえは雨男だとか雨女だとかと言いますが、そのように必ずしも原因と結果が正しくなくても結び付けてしまうということを人間はやります。そうして何となく安心するのです。
 皆さん方は担当していることで、その結果の良し悪しにかかわらず原因者になるのです。他の人に原因があると思っても、そういう立場になります。いい結果が出れば褒めていただけるし、悪い結果が出るとあなたが原因だと、そういうふうに立場にあるという意味です。
 最近、もっと恐ろしいことがあります。結果責任というのがあるでしょう。新聞なんかでよく出ていますね。どんな理由にせよ、こんなことが起こったのは結果責任だと、役所が悪いのだといったことです。原因とは関係なしに、結果が悪いからあなたが悪いという言い方です。偶然、エレベーターに最後に乗っただけで原因者になってしまうのです。
 我々の行政であまり結果主義とかあるいは成果主義というのはとりたくないですが、場合によってはどうしてもとらないといけないことがあります。それはこういう原理になっております。そんなことをちょっと頭に入れて仕事をしてください。

(システムについて)
 皆さんも試験や論文のときに「システム」という言葉を書いた覚えはないですか。書くと、格好よくてなんだか正しい答えを書いたような気持ちになりますね。今のシステムが悪いとか、こういうシステムにすべきではないか、と結んだりしますね。この「システム」とはどんな意味だと思いますか。
 よく移動性低気圧のせいで、雨が降ったり嵐になったりします。温暖な大気と冷たい大気の間にある前線というものですが、英語ではfront lineとは言いません。英語では、温暖前線だったらwarm system、寒冷前線だったらcold systemと言います。日本語では前線と言い、線を意味しますが、英語ではシステムと言います。
 エネルギー量の違うものが一定の関係でぶつかる仕組みを、システムと言います。ですから、システムには必ずこれを動かす原因とかエンジンとかいうものがあるのです。大気の動きとか温度差とかいうものです。
 例えば、福井県における環境のシステムをつくろうとか、あるいは観光プロジェクトのシステムをつくろうというときには、組織をつくることも重要ですが、エネルギーを動かす、あるいはエンジンは何かという、そういう行動の原理をつくらないとシステムになりません。
 このシステムを動かすのは皆さんのエネルギーであったり、あるいは民間企業が収益を上げたりということであったり、あるいは互いの団体が競争したり、あるいは名誉心かもしれません。さまざまなエネルギーをエンジンとして使いながら動かしていく。システムを運用する組織も、エネルギーを持っていなければならないということです。

(循環論―ともかく手をつける)
 ものが2つあると、ニワトリと卵のように、どっちが先かという話になります。まだ2つだったらいいのですが、3つ以上の話も起こります。
 例えば、農業問題ではこんな話がよく出てきます。福井県のコシヒカリをもっと売らなければならない。新潟県より値段も安いし知名度も低い。コシヒカリを売るにはどうしたらいいかということがテーマとなります。すると、まずおいしいコシヒカリをつくるためにちゃんとした機械を導入しなければならない、あるいは田んぼの基盤をもっとよくしなければならないとなります。
 しばらくすると、今度はつくったけど何かどうも高く売れない。これはどうも東京の市場に対する働きかけが弱いのではないか。もっと市場関係の人に働きかけなければならないと、こんな話ですぐ次の年になる。続いて、働きかけたけれども何となく売れないということが起こってくる。今度はキャンペーンをしなければならないということになる。どんどんチラシを配ったり、あるいはテレビでやったりする。それでもまだ売れないということになると、どうもコシヒカリの品質が悪いから売れないのだろうということになる。そして、品質が悪いのは農家のつくり方が悪いということになって、また機械をつくらなければならないという話になるのですね。このように4、5年の中でぐるぐる回すようなことがあります。これは、5つか6つの間の循環論です。
 これをやっておりますと仕事が進みません。みんな周りが悪いという話ですから、ともかくぐるぐる回りをやらずに実行する。あっちだこっちだと言わないで自分のところのやるべきことをやるということが大事です。
 皆さんは仕事の面で、鶏と卵はどっちが先だと思いますか。私は鶏が先だと思います。鶏は足が生えているから行動できるからです。だから皆さんも自分を卵だと思わないで、自分の立場を鶏だと思って行動してみてください。すると、鶏、卵の話が自然にいい方向にいくと思います。 

(ゆっくり少しずつ)
 ゆっくり少しずつとよく言われますが、皆さんはこれから少しずつ着実に仕事をしてください。余り急いでやると息が切れますし、ストレスもたまりますので、少しずつ着実にお願いします。
 皆さん、あまり小説は読みませんか。私は若い頃井伏鱒二さんという小説家が好きでした。この方は普通の小説も書いておりますが、「ドリトル先生」の翻訳をした人でもあります。広島県の作家で、長生きをされまして文化勲章を受けておられます。
 県立大学の図書館に行きますと、30巻を超える井伏鱒二さんの全集があります。最もたくさん小説を書いた人です。井伏さんは直木賞を受賞されていますが、これはなかなかもらえるものではありません。彼よりも若い人がどんどん受賞しました。しかし、誰かと競うことはなく、いつも「お先にどうぞ」と言った、というエピソードがあります。それからご本人ももらい、長生きしてたくさん小説を書きました。私はこういう人がいいと思います。
 才能のある人は、スピードを上げていろんなことをしてもいいと思いますが、自分は天才ではないというようにお思いの方は、ゆっくり着実にやってほしいと思います。
 役所に入りますと、特に決まった本があるわけではなくて、法令とか法令の解説書とかマニュアルとかはありますが、そんなものを読んでもおもしろくありません。ざっと眺めてその意味を理解したらいいと思います。しかし、基本的な勉強をしないとアイデアとか物の見方が一面的になり、いい考えになりませんから、ぜひ勉強してください。小説を読んだり、テレビを見たり、いろんなプライベートなことも頑張ってください。それから、まずは現場が大事ですから、現場のことを重視していただきたいと思います。
 どんな分野でも基本的な古典みたいなタイプの本があります。それと、それを解説した易しい本もあります。最後はその古典の方を読んでください。ちょっと案内するような本はありますが、その案内本のほうで止まらないでください。県立大学に行きましても、ほとんどは大事な本の解説の本です。それを解説した本もたくさんありまして、重要な本はそんなにありません。ですから、重要な本を必ず読むようにしてください。各新聞の日曜版に書評があります。いろんなことが出ておりますので、そんなところも参考にしてください。
 皆さんも、ちゃんと勉強すると、30年以上あるわけですから間違いなく一流になれます。何かの分野では必ずひとかどの人になれると思います。気を散らさないで頑張ってください。 

(地方自治の習慣)
 今日の午後の研修において、福井県のマニュフェストによる行政や政治とか、あるいは福井県の歴史や伝統、プロジェクト、さまざまなお話を聞くと思いますが、その基本はやはり地方自治といいますか地方分権にかかわることです。
 このメモの中に地方自治の習慣ということで、アメリカのデモクラシーのことが書いてあります。アメリカが独立した18世紀後半から60年後ぐらいにトクヴィルというフランスの政治家によって書かれた本です。ちょうど日本が戦争に敗れて60年の今とよく似たところがあります。そういう時代のことです。
 アメリカはそれぞれのタウンとか州、こういうところに地方自治がちゃんと残っており、これを評価しなければならないというようなことが書いてあります。トクヴィルはこのように書いています。「地域共同体の自由を確立するのは非常に難しい。なぜならば、それはあらゆる自由の中でも最も権力の侵害の危険にさらされやすい。地方自治の諸制度は、単独では野心的で強力な政府には到底抵抗できない。うまく自己を守るためにはそれは全面的に発達し、国民の思想や習慣と一致していなければならない。したがって、地域共同体の自由は習俗に基づかぬ限り簡単には確保されない。」
 つまり、日本の地方自治、果たして戦後の地方自治法、あるいは税制だとシャウプ勧告というものがありましたが、習俗に基づき国民の理解を得て地方自治が認められているか、あるいは支持を受けているかということが大事なのです。
 皆さんは、これから県庁で働いていただくわけですが、県民のために一生懸命仕事に励んでいただきたいと思います。

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