「平成20年度福井県高等学校長協会 知事と語る会」での講演

最終更新日 2010年2月4日ページID 006728

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 このページは、平成20年8月27日(水)に行われた「平成20年度福井県高等学校長協会 知事と語る会」での知事の講演をまとめたものです。

200827講演写真1 本日は、県下の高等学校の校長先生にお話しする機会をいただきありがとうございます。
 毎年お話ししているので、今回で4回目か5回目になると思います。毎年違うこと言わなければならないと思っているのですが、種が尽きかけております。
 ちょうど本日の昼前に教育研究所で、教科の研究をされたり先生方の研修やさまざまな教育相談などをしておられる先生方と、座ぶとん集会めいたことを1時間くらいさせていただきました。
 そのときに、ふと、夕方にこれがあることを思い出したのですが、途中、来年度予算の概算要求で新幹線整備の目途がまだたたず、財源がつき次第決定されるという話で、これについてのコメントの準備だとか、さまざまなことがありまして、ほとんど手ぶらで参ったような状態です。
 まとまった話にならないことを、あらかじめお許し願いたいと思います。なお、私が日頃教育に抱いていることはホームページに載せておりますので、読んでいただければ幸いです。

 さて、間もなく、本年度の学力・学習状況調査の結果が発表されます。昨年は、小学校では秋田県が最も良く、中学校では福井県が良い結果をあげました。そのような傾向が、今年も引き続き現れればよいと思いますし、きっとそうなるという期待もしております。
 現場の先生方の声を聞いておりますと、小学校や中学校の学力・学習状況はこれからも全国に誇れる状況が続くと確信しております。

 もちろん教育は、さまざまな要素が複雑に絡んでおります。
 例えば、藤島高校3年の生徒で、先日「国際生物オリンピック」で入賞された方がいらっしゃいました。しかし、すべての子どもたちがそういう人ばかりでなく、不登校であったり、閉じこもっている子どももいらっしゃると思いますし、さまざまなハンディがありながら頑張っている子どももおられるわけです。
 このような中で、広くすべての子どもたちが、その能力に応じて一生涯の中で与えられたもの、そして皆さんの教育によって最大限の能力や人格を発引き出していただいて、可能な限り幸せになっていただくというのが教育の基本だと思います。

 さて、北京オリンピックでも、今回、女子ソフトボールで、福井市出身の坂井さんが金メダルを獲得されました。この方は幼稚園まで福井におられたと聞いています。しかし、「福井出身」という事実はとても大事で、それだけで目の前が明るくなり、子どもたちが希望を持てるようになるというようなことだと思います。

 今日の新聞に裁判員制度のことが載っていました。これは、陪審員制度に似たものだと思います。新聞をご覧になった方もおられると思いますが、各裁判所で候補者をリストに掲載しないといけないので、試算したところ候補者名簿記載者数は福井が960人で、全国で最も少ないということでした。名簿に記載される確率も秋田に次いで2番目ということで、福井県は、なかなか裁判員になれない県ということです。
 これがどういうことかといいますと、凶悪事件が人口当たり少ないということなのです。一番多いところは大阪の2万4千人ということですので、福井の25倍事件が多いということになります。
 つまり家庭や地域、そして福井県全体にある、教育にふさわしい安定した雰囲気というものが大事なのだと思います。先生方の教育にかけるご努力はもちろん重要なのだと思いますが、教育にふさわしい雰囲気が福井県にはおのずと備わっていることも、良い影響を与えているのではないかと思います。それが学力であり、繋がっているというと言い過ぎかも知れませんが、いろいろなことに影響していると思います。

 特に、私の立場で申し上げますと、教育でしっかり頑張っていただくと同時に地域の安定とか、あるいは便利さだとかセーフティーネットだとかということも整備しなければなりません。
 先生方も、いろいろな問題を学校だけで片付けようとしてもなかなかできないということをよくご存知だと思いますが、それがこういう結果に現れるのだと思います。ですから、例えば、現在40番目くらいにある県が、来年はこれを30番目にしたいといっても、難しいことだと思います。
 何故かというと、これは平均の話であり、また日々の努力を積み上げたものですから、長い時間をかけて徐々にその水準になったという総合的な地域の力なのです。平均寿命などもよく似ていますが、地域の力を示す上で学力は非常に大事なケースだと思います。

 「しかし」というと、皆さんに申し訳ないのですが、はたして高校はどうなのだろうということを、皆さん方高校の問題として一度考えていただきたいと思います。高校のスポーツや文化や学力はもちろん高いとは思いますが、さらに何かできないかということを考えていただきたいと思います。ですから、高校の先生方、あるいは学校全体としてのご努力を期待しています。

 今日は高校教育ということでございますので、これに関連した話をさせていただきます。
 まず、この夏休みに、ノーベル化学賞を受賞された筑波大学名誉教授の白川英樹先生に福井にお越しいただきまして、スーパーサイエンスフォーラムを開催いたしました。公立、私立を問わず県下の高校生に参加していただいて、白川先生と親しく勉強をしていただきました。
 その様子を拝見いたしまして、「こういう雰囲気が大事だ」と思いました。
 私は、これからもサイエンス教育が特に大事だと思っております。これは何故かと申しますと、かつて福井県の高校生の理科や数学のレベルが、国語や英語・歴史などに比べて弱いのでないかとお聞きしたことがあるからです。こういうことが頭にあって、サイエンスといいますか理数教育を重視しなければならないと思っています。
 しかし、そのような心情を抜きにしても、理数教育というのは、特に高校ぐらいには、とても重要なものだと思います。何故かといいますと、科学的な観察なり物の見方というのが、その子どもたちの道徳観や生命観、「人間としてどうだ」とか「社会がどうだ」とか、そういうところに意識をする・しないにかかわらず関わってくるのだと思うからです。小中学校でも同様で、道徳の時間に、例えば友だちを大事にしようとか、命は大切だとか言っても、やはりしっかりした生命観とか科学観があってはじめて、「人間とは何だ」とか、「人間同士はどうだ」とか、「人間と他の動物はどう違うのか」、「自然と人との関係はどうなのか」など基本的なことがわかるのだと思います。そういう意味でもサイエンス教育を重視しなければならないと思い、マニュフェストに掲げ、教育委員会でも頑張って取り組んでいただいているということでございます。

 人類のいろいろな発展を見ても、哲学で人間の考え方が変わったわけではなく、科学と技術が変わって哲学が変わり、人間観も変わっていくという歴史であったと思います。子どもたちの頭の中でも、そういうことが展開されていると思いますので、サイエンス教育を重視しなければならないと考えているわけです。

 先ほど、白川先生のお話をいたしましたが、ノーベル賞を受賞された方々の中で、私は、何人かの方にお会いしています。まず、物理学賞を受賞された小柴昌俊先生が福井にお見えになったときにお会いしました。「大野の辺りに岐阜までの長いトンネルを掘ると、実験にも高速道路にも使えるのに」などと話され、決して難しいことはおっしゃいませんでした。
 その前にお会いした福井謙一先生はノーベル化学賞を受けられた方です。「フロンティア理論」で受賞されたのですが、内容はよくわかりません。福井先生には県立大学の評価委員をお願いしておりまして、お忙しい中で1度お越しいただきました。その時に、お昼をご一緒しながら、いろいろお話しをさせていただきました。一つ記憶にあることが、フロンティア理論ではなく、先生の研究態度です。
 先にお話した白川先生は、何かの実験をしていて偶然に、「プラスチックは電気を通さない」という常識を覆す「電気を通すプラスチック」を発見され、ノーベル賞を受賞されました。「セレンディピティー」というそうですが、何かを探しているときに違うものが見つかる、このようによく観察して、よく調べることが非常に重要だということです。
 一方の福井先生は、そのようなタイプではなく、数学がお好きで、いろんな計算をしたり、体系とか枠組みを作って新しい考え方を提唱された方です。福井先生は、夜寝る時に、枕元に常にメモ帳と鉛筆を置いていたそうです。夜中や朝早くに目が覚めると、まだ部屋が暗いうちから、暗闇の中で計算式を書かれたそうです。ですから、福井先生は暗闇の中でも字が書けるそうです。それでノーベル賞を取ったんだと話しておられました。それは誇張だとは思いますが、それくらい自分の考え方やオリジナリティのあるアイディアを大事にされ、メモを取るということを絶えずやってノーベル賞を取られたのです。
 なかなか大変だと思いますが、校長先生のお立場としても何か日頃の着想を書き留めて、実行に移すように努めていただきたいと思います。偶然やその瞬間を大事にしてください。良いアイディアとか素晴らしい考えは二度とは生まれないかも知れませんので、思いついた時にメモをしたり、口に出して言って欲しいと思います。

 もう一人ノーベル賞を受賞された方を知っております。この方は湯川秀樹先生で、「中間子理論」を発表して受賞されました。私は学生時代に、湯川先生が講演をお聞きしましたが、残念ながら、その内容は全く覚えていません。それで、福井先生とお会いしたときのような教訓を得られませんでした。もう少し私が勉強をしていれば、その瞬間を見逃さなかったと思うと残念でなりません。

 これも夏休みの話ですが、NHKの朝の8時半から11時55分まで「夏休み子ども科学電話相談」というのをやっています。それをたまに車の中で聞いています。これは小中学生が電話するのですが、福井県の子がなかなか質問に登場しないのです、待っているんですが。だいたい埼玉県とか千葉県、福岡県とかが印象に残っていまして、福井県は滅多に出てこないのです。
 この前、久しぶりに福井の女子小学生が質問しました。これは、「ホッキョクグマは冬眠するんですか」という質問でした。その質問の中身よりも、福井県の女の子が出てきたということに、とても喜びを覚えました。
 つまり、何を言いたいかといいますと、サイエンス教育で白川英樹先生をお呼びすることは、とても貴重なことで、いささかの予算をかけなければなりません。しかし、もっと日常的なことで、誰でもできることを、合わせてやらないとなかなか子どもたちの力にならないのかなと思います。
 例えば、福井の子どもたちがたくさんこのような番組に電話して、疑問に思っていることを、天文台の先生や動物園の園長さんなどに聞いて、納得するというような経験が大事だと思います。
 これも気になったことですが、質問をする子どもたちの年齢は何歳から何歳くらいだと思いますか。上の子は中1でした。そして、下はだいたい4歳ぐらいのような感じでした。4歳から13歳ぐらいの間だけだと思います。つまり、このようなことに関心を示すのは限られた時期だけですから、その時期を逃すと、なかなか応じた教育はできないんじゃないかなと思いました。
 まとめますと、1つは、普段のさまざまな機会を活用して教育の効果を高めること。そして、われわれ行政はその立場で、皆さんの教育をバックアップしなければならないこと。さらに、ある瞬間を大事にすること。こういうことが1日1日の単位あるいは一定の年齢の幅である場合がありますが、高校生という時期やその瞬間について、改めてその大事さを考えていただきたいと思ったのであります。

 県内の高校生につきましては、小浜水産高校ではクラゲの研究とかあるいはアマモの研究とか、宇宙にミジンコを乗せるとかで頑張っておられます。また、春江工業高校はソーラーカーとか、福井商業高校は英語教育で頑張っていただいています。勝山高校はスーパーイングリッシュ、足羽高校は中国語と、それぞれの学校で特色を出していただいて、これからもご努力願いたいと思います。

 夏休みに、「蓮如上人御一代記聞書」という、316カ条からなる蓮如上人のお言葉をお弟子さんとか門徒の方が聞き書きしたものを読みました。そのあちこちに散らばっている言葉で、ある程度共通しているものがあります。それは「ものを言え」という言葉です。「喋べれ」「論ぜよ」ということだと思います。「ものを言え言え」と2回繰り返して言います。「ものを言え」だけでなく、「ものを言え言え」といいます。「黙っている奴は良くないよ」「口に出せ」というようなことだと思います。
 例えば、職員会議で、校長先生だけが喋っていてそろそろ種が尽きてしまうのに、教頭先生も教務主任さんも若い先生も黙っているということはないでしょうか。何も思ってないわけではないんでしょうが。
 それで「ものを言え言え」ということで、87項目というところに次のような言葉があります。
 「蓮如上人、仰せられ候う。『物をいえいえ』」と書いてあります。
 「仰せられ候う。『物をいわぬ者は、おそろしき』と、仰せられ候う。」と書いてある。ものを言わない人はよくないという意味だと思います。
 「『信不信、ともに、ただ、物をいえ』と、仰せられ候う。『物を申せば、心底もきこえ、また、人にもなおさるるなり。ただ、物を申せ』と、仰せられ候う由候う。」ということで、思っていることを喋れと、黙っているなよということで、やっぱり宗教、信心、南無阿弥陀仏と言うだけで極楽に行けるというように誤解しておりましたが、決してそんなことはなくて、大いにいろんなことを、世の中のこととか、家のこととか、そういうことを論じ合えとおっしゃっているのだと思います。
 学校教育もそうだと思います。最近、全国でいろんな事件があり、本当に皆さんにご努力いただかなければならないのですが、物を言って互いに論じ合って、おかしいところを直し良いところは進める、ということが必要なのだと思います。
 お互いにものを言い合うと、「あなたの考えはおかしい」と言われたりして、納得して変えることもできます。言われて、ちょっと気に障ることもありますが、恥であるとか、「校長に向かって何を言ってるんだ」と不快に思わずに、ものを言い合うということを習慣にすることが大事なのだと思い、ここで申し上げました。
 また違うところに、「世間・仏法ともに人は軽々したるのが良い」とあります。あまり、うっとおしくやるなと、気持ちを軽やかにして論じ合って欲しいと、まあこんなことだと思います。
 少し宗教じみた話で誠に申し訳ないのですが、みんなで論じ合っていこうという姿勢は、教育の現場においても、子どもたちに対しても大事なことだと思います。
 少し大げさかも知れませんが、われわれには、何かものを言うと損をしやしないかと、そんな思いがあるのかもしれません。長い目で見た利益を考え、ともかく論ずるということが重要かと思います。

200827講演写真2 それから、もう1冊の本の話をいたします。イギリスのジョージ・オーウェルという人が書いた本です。1945年に第二次大戦が終わって10年後くらいに、確か結核で亡くなった方だと思います。
 この人はジャーナリストです。何故この方の本を読んだかというと、最近、地方分権などさまざまな課題について、先進的なイギリスに何かヒントはないかと思いながら、図書館で本をながめていたら、この人の本がありました。イギリスは1945年の第二次大戦では、ナチスドイツなどと戦って辛くも勝利いたしましたが、その有様は散々なもので国力を消耗し、多くの植民地も失ったということはご承知だと思います。
 このような中で英国民がこれからどのように生きていけばよいのかということを論じたものが、「イギリス民族」という文章です。このオーウェルという人物は、一時代昔でいうとやや左翼的であるかもしれません。しかし、保守的なところもあり、少し複雑であります。その中で、中央集権と少子化の問題を論じています。既にイギリスは、第二次大戦直後に少子化問題に悩んでいます。日本よりも半世紀以上前から、現在の日本の状況になっています。ここには少子化問題と中央集権、あるいは社会的不平等、格差問題が既に論じられていると思ってください。
 その中で、特に教育に関わる部分を申し上げます。
 地方自治というのは、われわれに深く関わることですが、どのようにして進めたらよいだろうかということです。つまり、中央集権的な傾向に、どう歯止めをかけるかということです。この中央集権的な傾向を完全に無くすことは国家としてできないけれど、これを食い止めることはある程度できるだろうと。そして、その一つが教育だと書いてあります。
 これは、どういうことかと言いますと、若い元気な人たちを地方に留まらせることは難しいけれども、小学校での教育などを通じて、地方に住むことのプライドといいますか、こういうものを鼓舞しなければならない。すべての子どもが、当然自分の地域とか町の歴史や地理を学ぶべきであり、また、人々は自分の住む地方を誇りとし、風景や建築物、料理さえも世界一だと感じるべきであると書かれています。郷土や故郷の教育、地方自治についての教育を大事にしなければならないと書かれています。

 また、この人は面白いことを言っています。
 一つは、地方の大学を豊かにしなければならないということです。福井でいえば、福井大学、あるいは福井県立大学を良くしなければならないということだと思います。
 そして、もう一つは、地方新聞に助成金を出せと書いてあります。その頃、イギリスには八つの大きな新聞があったそうです。すべてロンドンにある大新聞で、これは問題であるということです。日本では、地元新聞に補助金などは、おそらく出せないと思います。
 つまり、教育や文化については、東京やロンドン一辺倒になりがちなのですが、このような雰囲気を無くして、地方の独立した文化活動とか芸術活動とかを振興しないと、地方自治というものは育たないと、彼は言っているのだと思います。そこで、高校教育でも地方についての教育を少し大事にして欲しいと思います。

 来年は、安政の大獄からちょうど150年になります。これは、橋本左内や梅田雲浜先生が、新しい日本を作ろうという夢を抱いておられたのですが、志半ばで亡くなった年であります。今、福井県では、松平春嶽公や今申し上げたお二人、そして由利公正など、幕末から明治にかけて活躍された方々の業績についての研究をもう少し深めてはどうかと教育委員会に相談しているところです。松平春嶽公が残した資料や日記、手記というものが300冊くらいあるようですが、印刷物になっているものは4分の1くらいしかなく、また印刷されていても現代語に訳されていないのです。
 いつも同じレベルで、知っていることだけを研究していると、春嶽公やその他の偉人たちの業績が深まらないので、このようなことを深めていこうと思います。できれば、高校の社会科の先生方に頑張っていただきたいと思います。

 2日前にスキージャム勝山のホテルで、経済界の人たちとセミナーをいたしました。そのときに、五百旗頭真さんという防衛大学の校長先生がお見えになってお話をされました。
 五百旗頭先生は校長先生ですが、防衛大の学生に政治学の講義をされているようです。そして月1回ゼミも行っているそうです。政治学あるいは歴史学のゼミをされています。
 皆さんが学校の朝礼でお説教をする以外に、何かそういうタイプのことができるのではないかなと思いましたので申し上げます。それぞれ持ち味とか得意分野があるでしょうから、新しいタイプの何かを考えていただくと良いかもしれません。
 それで五百旗頭先生のゼミの仕方なのですが、例えば20人ゼミ生がいるとしますと、全員に課題図書を読ませます。今は、「坂の上の雲」という本を、全員にこの夏休みの課題として読ませているそうです。全部で8巻あるそうです。ご本人は若い時に読まれたそうですが、「ゼミをしなきゃいけないから」と、また読んでおられて、今やっと第5巻までいったそうです。
 それで、各ゼミ生に、「この本全体を読んで良かったこと、感激したことを3つ挙げなさい」という指示を出されるそうです。あくまで、「ここが感動した」、「ここが良かった」というようなポジティブな面を3つ出せということです。それを発表させている最中に、キラリと光るものがあると、「それはいいポイントだ」、「先生もそんな感じがする」などというコメントを、話しの途中でも機を逸することなく言うそうです。先ほど申し上げた「瞬間」です。
 学生がパッと言ったら、「それはいい」と間髪入れずに言って、みんなを励まして、研究を深めるのだとおっしゃっていました。これを一通りやると、学生はモノの考え方が少し大人になって、幅広くなるという印象をもつそうです。特に防衛大生ですから、日本の国を守ることが基本ですから、誤ってはいけません。それで、このような教育が大事だと先生は思っておられるのだと思います。

 この卓上の本は、キャンベルという学者が書いた「生物学」という本で、1400ページくらいあります。この前、藤島高校の生徒が生物学オリンピックで銅メダルをとりましたが、彼はこの本を読んでいるそうです。先ほどの五百旗頭先生に倣うと、子どもたちに長い本を読ませるためには、先生もその長い本を読まないといけないそうです。話題までにご紹介しました。
 時間になりましたので、以上で終わらせていただきます。



 

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