県小学校長学校運営研究大会での知事講話

最終更新日 2018年5月9日ページID 038646

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 このページは、平成30年5月9日(水)にあわら市で行われた、県小学校長学校運営研究大会での知事講話をまとめたものです。

 
 県小学校長学校運営研究大会の開催されるにあたり、お祝い申し上げます。日ごろから、子どもたちの学力向上と健全育成のため、日々御尽力されていることに心から感謝を申し上げます。本日の大会は、県内の全小学校の校長先生が一堂にお集まりいただいているので、この場を借りていくつかお話しさせていただきます。

 
 福井は教育県として注目を集めています。昨年度は、世界32の国やすべての都道府県から2,700名を超える教育関係者が視察のために福井を訪れました。皆さんの先輩である牧野先生が、3年間和歌山県の改革や助言に行かれました。今年度から教育総合研究所長として就かれています。

 
 また、引き続き教員1名を県の東京事務所に派遣しています。私学や進学塾における指導方法や教材の分析を行うとともに、文部科学省や東京都教委が主催する研究会などにも参加し、本県の先生への多くの情報を提供するよう努めてもらっています。

 
 本県の学校で直接学ぶため、今年度は茨城県、埼玉県、長野県など6つの県から12名の先生に小・中学校などで勤務していただいています。皆さんの学校にもお世話になっています。一方、1名の先生を県外の学校に派遣し、他県から学んでいただいています。今年度から文部科学省初等中等教育局の国際教育課にも教員1名が専門職として赴任し、福井県が外国語教育の先進県ということで、国が進める外国語教育についての最新の動向を全国に普及しています。福井県の先生は頑張っています。

 
 県教育委員会から校長先生の心構えとして伝えてほしいといわれたことが3つあります。

1つ目は 世の中の動きに敏感であること

2つ目は 最前線で仕事をすること

3つ目は 教員とのコミュニケーションをとることです。

これは同感です。

 NHK第2放送では、基礎英語などが流れていますが、皆さん何かお聞きになっていますか。数年前は数名でしたが、今年アンケートをとりまとめたところ約4割の校長が聞かれています。これは課題があると思ってください。15分間の365日は膨大な情報ですから、今日からラジオを聞き始めて、教員にアドバイスしていただきたい。

 
 「もう校長になった」と考えるのでなく、「まだ校長になったばかり」と考えることが大事です。これからまだ30年間教育に携わっていくという気概でいてほしいのです。世の中は期待しており、地域に応えてほしいです。まだこれからだと考えてほしい。人生の心構えとして、これまでの経験や実績、校長先生である、あるいはあった事実を手放さないで、携わっていただきたい。

 
 校長先生は、教員に対しいろいろとこまかく指示するのではなく、的確なアドバイスをしていく必要があり、広い視野を持てるよう「学び続ける校長」であっていただきたい。

 
 第2に絶えず最前線で指揮をしているという意識を持ち続けてほしい。どうしても校長になると、教頭や学級担任などに任せるということが多いと思いますが、できるだけ直接的に学級担任などと話をし、情報をとり、意見も聞いて仕事を進めることが大事です。緩やかなしかし確かな指導を受けているという気持ちにさせてほしいです。学校運営には大切であると思います。

 
 「ぼっちゃん」や「青い山脈」など昔の小説や映画をご覧になった方がいるかどうかですが、校長先生はつわもので、あまりいいイメージがなくいい立場ではないですが、「二十四の瞳」「赤毛のアン」などでは教員のイメージはいいです。別室でじっとしていてはだめであり、そんなこと聞いていない、知らないではなく、最前線で目が届く範囲をしっかりもって見ていただき、いろいろと教員に話をしていただきたい。

 ナポレオンは常に単身最前線で敵の矢面に立ち、味方を奮起させたようであります。そのことでいろいろなことがわかったようです。遠くで見ているのではなく、直接性が大事です。

 

 第3に教員とコミュニケーションをとることです。

 校長先生は子どもの目から見るとおじいさんです。朝礼で長話をすることに精力を注がないでほしいです。校長室で子どもと話をしても、校長先生は嬉しいかもしれませんが、子どもにとっては嬉しくないかもしれない。子どもと一番年が離れていることを自覚してほしい。

 
 それよりも、教員と日常的なコミュニケーションを取ることが大事で、教員の機嫌をとってもいけないです。教員と一緒に学んでいく、教えていくということが大切です。

 
 何百年も昔に、蓮如上人が福井県で布教活動を行いましたが、われわれの父祖である当時の人々に「ものを言え、ものを言わないと何を思っているかわからない」、「隠微にものを言うな」ということを口うるさく言っておられます。そもそも黙っていては、信じることができない。黙っていては良いことをしたりすることも困難なのです。ものを言いながら対話をして、それぞれ間違っているところは直し、いいところは励ましあうということが宗教の世界でも重要であったのではないかと思います。学校はものを言いやすい雰囲気であることが一番大事なので、お互いに意見を述べ合うことは重要です。そういう雰囲気をぜひとも校長が作ってください。軽やかに、もったいぶらずに、気軽に話していただきたいです。

 
 最近目にしたNHKの視点・論点の中で、立川談四楼さんの話で、「ほめるコツ しかるコツ」というのがありました。「叱るときには、短く、ポイントを外さない、人がいないところで、環境を整えることが大切である」と言われていました。逆に、ほめるときには「ほめるのですから長く、ポイントがちょっとずれてもいい、人前でほめることがいい」とのことでした。ちょっとだけアドバイスみたいに叱ったつもりでも、人前で叱ると恥をかかされたといって恨みを買うことがあります。「ほめるコツ しかるコツ」を心得ていただきたいと思います。また叱ると怒るのと違うこともわかっていただきたい。

 
 先生方の体験記などを本屋で読んだことがありますが、この種の本によると小学校の先生方は楽しい、中学校の先生方は苦しいとありました。これはよくわからないです。楽しいことは大切であるが、単に楽しいだけでは不足していて、心の中で苦しさも入れて、内に秘めたものが大切です。今日の全体の話の中でつかんでいただきたい。

 
 よく子どもたちに「力」をつけなければならないと我々は言います、しかし一体全体どんな力をどのようにつけるのでしょうか。何種類の力をつけますか。皆さんは何種類の力を使われていますか。教育に関することには、学力、体力、読解力など、20種ほどの「力」があります。子どもは苦しいと思います。「○○力」をあまり言わない方がいいと思います。読解力がないから読めないだとか、計算力がないから間違うとか、全く意味のないことです。どうやってそのような力を付けさせるのか考えていただきたい。

 
 人は、生まれ育った自然や歴史、文化に親しみ、郷土や先人の営みを学ぶことを通して、自分が住む地域をよく知り、ふるさとへの誇りと愛着、感謝の気持ちを抱きます。そして、地域の人々と関わる中で、連帯感や帰属意識が高まり、継承発展させようとする意欲や態度につながっていきます。都会や外国で働いて生活するようになったとしても、「ふるさと納税」などを通して、自分を育んでくれた福井に恩返ししてくれる、貢献してくれる人材を育成していくことが重要です。ふるさとを大切にして、教育を進めることが大事です。
 越前市出身の絵本作家かこさとしさんが先日お亡くなりになりましたが、かこさんは7歳まで過ごした越前市をいつまでもふるさとと考えていたそうです。身近なことを生かしながら、ふるさと教育を行っていただきたい。


 今年は国体・障害者スポーツ大会、幕末明治福井150年の年です。国体は50年ぶりですし、「幕末明治福井150年博」と称し、幕末・明治の教育に関する企画展を開催しますので、ぜひ、子どもたちに見せていただきたい。先生方のお心配りをお願いしたいし、そのことが子どもたちの記憶に残ると思います。
 福井ゆかりの百人一首などを取り入れた県独自教材「古典音読・暗唱ノート」や唱歌、童謡などを生かしながら、なくしてはいけないものを大切にしながら、つながりを大切にし、教育を進めていただきたい。

 
 保護者と地域と連携することは大切です。保護者や地域の人々に、自らの考えや教育活動の現状について率直に語るとともに、十分に意見を聞くなどの努力をはらっていただきたい。ひとつお願いしたのは、学校で、保護者同士の意見交換の時間、コミュニケーションの時間をとっていただきたい。先生との意見交換も大切ですが、保護者同士の情報交換も大切です。

 
 県では、子どもたちの能力をさらに伸ばし、夢や希望に向かって挑戦できるよう「ていねいな教育」「きたえる教育」を幼児期から高校卒業までの接続を重視した「福井型18年教育」として推進しています。高校には職業系高校や特別支援学校、普通科高校など種類がありますが、小学校で努力したことが、高校でもっと身を結ぶようしっかりやってほしいと高校側に言っています。

 
 全国学力学習・状況調査の問題を子どもと同じ時間の中で解かれましたか、何点でしたか、採点は行いましたか。問題を解いて、思ったことなどを教員とコミュニケーションをとってほしい。教員と連携をしながら、最新のことを入れながら、進めてほしい。そのためにも、ラジオを聞いてほしいし、テレビを見てほしい。自分で国語教育と英語教育の共通点や違う点を見つけていただき、国語教育に役立つようなことや英語教育に役立つようなことを研究していただきたい。日本語と英語の語彙の数はどちらが多いのか、日本語と英語は何が違うのかなどを研究していただきたい。英語で使われる頻度が「低い順」に、現在形、過去形、分詞、過去分詞、原形です。英語は2,000語で92%は話ができます。英語の単語と漢字を覚えるのはどちらが大変か。外国人は漢字を覚えるのは苦しいと言っています。「風速計」という漢字から意味がわかるが、英語ではギリシア語だから複雑で覚えにくいです。

 
 漢字は読めるが、書くとなると難しい場合が多いです。読める漢字と書ける漢字の数は違います。英語の場合も知っている単語と書ける単語の数が違います。「知っている」と「書ける」が1対1で対応するように教えると子どもは苦しいです。今後国語教育と英語教育の比較の中で、教育を進めていただきたい。

 
 最後に、大過なく無難にと思うだけでなく、背伸びし、「こと」をおこしていただくことを期待しています。

 

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