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ホーム > 2010年 新春知事対談
最終更新日 2010年1月2日 | ページID 010574
このページは、平成22年1月2日(土)に放送されたFBC新春知事対談番組の内容をまとめたものです。 幕末期に活躍した福井の先人たちの魅力や功績など福井の「幕末ブランド」について、本県出身で大阪大学名誉教授の猪飼隆明(いかい・たかあき)さんと西川知事が対談しました。
(県立こども歴史文化館) 【司会】 昨年11月、子どもたちが福井の先人や歴史について楽しく学ぶことのできる「県立こども歴史文化館」が開館しました。見どころはどのようなところでしょうか。 【知事】 子どもたちが郷土の歴史や文化、あるいは先人や達人たちについて学ぶことのできる、全国的にも非常に珍しい施設なのです。パネルや人形、様々な映像の工夫がありますからすごく面白いですよ。 特に幕末は、松平春嶽、橋本左内や由利公正などの偉人たちが活躍し、福井が光り輝いていた時代です。幕末の先人たちを紹介する幕末シアターでは、こうした先人たちが映像の中で語り合います。 【猪飼さん】 私もこども歴史文化館を拝見しましたが、ともかく感心しましたね。福井県の人物を通して歴史に関心を持たせるための工夫がふんだんにあります。作る人たち自身も随分楽しんで作られた感じがしますね。 また、ここには直接触れることができるものがあり、ハプニングもあり、子供たちだけでなく大人の私たちが見ていても楽しいものばかりで、とても感心しました。 (幕末福井の先人たち) 【司会】 猪飼さんは福井県旧武生市のご出身ですが、ふるさと福井の歴史についてどういった感想をお持ちですか。 【猪飼さん】 福井はどの時代も面白いと思います。私は明治維新の研究をしているので、幕末維新期は、とりわけ福井が最も大きな役割を果たした時期として関心がありますね。 【知事】 幕末の福井では、藩主の松平春嶽が中心になり様々な人材を登用しました。江戸や京都の情報、外国の情勢なども取り入れ、新しい産業を全国に先駆けて見つけ出して福井藩を豊かにしたことが大きな業績だと思います。そして、橋本左内などの若い力を活用しました。橋本左内は雲浜先生とともに安政の大獄で殉難に遭われましたが、左内の精神は今も脈々と生きており、福井県では、子どもが15歳になると啓発録を読み上げたり、これを実行して大人になるという立志式という素晴らしい伝統が、今に引き継がれていることを、私は大事なことだと思っています。 【司会】 熊本からはるばる福井に来て、活躍した人物もいますよね。 【知事】 松平春嶽が、横井小楠先生を遠く九州・熊本から福井へ招へいしました。小楠先生は、財政や国の政治をどうするかという国の仕組みを基本に立って研究された方です。今の近代政治という発想をもって、政治を改革された人物だと思います。 猪飼先生に研究を深めていただいておりますが、非常に面白い方だと思いますね。 (福井藩が活躍した背景) 【司会】 幕末期に、どうして福井出身の人々はこんなに活躍できたのでしょう。 【猪飼さん】 変革期には、それなりの人物がいないと、それなりの役割を演じることはできません。藩主として松平春嶽という英明で革新的な方がいました。そして、その下に藩主を支える家臣団がいました。春嶽はその家臣団の意見を聞くのですね。より下層の若い武士たちはアヘン戦争の影響があって、このままでいいのかと勉強をし直す連中です。その中から優れている者が推挙され、それを藩主が使うという関係があって、初めて藩が大きな役割を果たすのです。その代表格が福井だと思います。面白い藩だと思いますね。 (幕末福井ブランドのPR) 【司会】 県ではこうした幕末福井の先人の功績を広めようと講演会なども行っていますね。 【知事】 幕末福井の偉人の顕彰ということが大事になります。政治のみならず、財政では由利公正、ほかにも小浜藩の梅田雲浜など幅広い人物たちに関する講演会やパネル展示などを東京などでも行っています。 多くの方に知ってほしいと思うのです。そして、専門の猪飼先生のご研究はもとより、荒川区とも連携しておりますので、こういう地域の人たちとも話し合いながら歴史の輪を広げていくという動きをとっています。 【司会】 猪飼さんは、昨年8月に福井市のフェニックス・プラザで、また11月には東京の明治大学で講演されましたが、どういったお話だったのでしょうか。 【猪飼さん】 福井藩が幕末維新期にどういう役割を果たしたかが中心です。松平春嶽だけでなく、橋本左内、横井小楠、由利公正らがそれぞれどういう役割を演じているのかを考えたいと思いました。さらに福井藩は親藩です。親藩としての苦悩というものもなるべく明らかにしたいと思ってしゃべりました。 【司会】 坂本龍馬と福井藩とのつながりを示す手紙も見つかったそうですが、どんな内容ですか。 【猪飼さん】 横井小楠の末裔の方のお宅に残されている資料です。横井小楠に幕臣の大久保忠寛が書いた手紙です。その中に、大久保が竜馬に松平春嶽あての手紙を書いてくれと言われて書き、竜馬がそれを持って福井まで来る。今までこの事実そのものがはっきりしていなかったのです。それが手紙の中から非常に明確に示されました。これで竜馬は都合3回福井に来ていることになります。 (幕末福井プロジェクト) 【司会】 知事、幕末の英雄 坂本龍馬と福井県にはつながりがあったのですね。 【知事】 つながりが深いです。私は、司馬遼太郎さんの大河小説『竜馬がゆく』で竜馬はどこへいったのか興味がありました。すると小説の最後のところで、竜馬は福井へ行くということが書かれていることを先輩から教えられました。これは、由利公正などを発掘するとか、いろんな資金的な応援が欲しいとか、こういう目的で福井藩に来たのです。 今年は竜馬をめぐるドラマもあるようですから、どんどんドラマとか小説などで、福井のブランドを広げる機会をつくりたいと思っています。 また、これまでの歴史上の人物の発掘をしておりまして、古い文書を現代語に訳しています。松平春嶽公が残した幕末回想録「逸事史補(いつじしほ)」や、側近の中根雪江が著した日記「奉答紀事(ほうとうきじ)」(中根雪江著)などを現代語訳して、その周辺の様々な情報も総合的に使って面白い仕立てにするというのが我々の狙いなのです。 【司会】 目に見える形で幕末福井の魅力をアピールできるものがあると、より効果的ですよね。 【知事】 福井藩、小浜藩、大野藩などもそうですが、当時の城下町の様子ですね。どういう通りがあって、どこの街角にどういうお店があって、先人たちがどこで何をしたかという地図の復元をやろうと思います。ドラマや小説を組み合わせて誰でも分かりやすく、目に見えるような幕末、歴史を知ろうという試みをやりたいと思っています。 【司会】 猪飼さん、こうした福井県の取組みについてどう思われますか。 【猪飼さん】 松平春嶽はずいぶんまめな人で、日記や手紙が沢山あるのです。こういうものがもっと掘り出されて、外に出て現代の人たちが読めるようになることはいいことだと思います。 それと、知事がおっしゃったようないろんな企画に目を見張っているのです。県のレベルでこういうことをやるところは他にないと思います。そういう意味でも、講演会、シンポジウムの開催や、古いものを発掘、現代語訳することなどが総合的に行われることは非常に良いことだと思います。 (今後の抱負) 【司会】 今年の抱負をお願いします。 【猪飼さん】 横井小楠の全集を編纂しています。新しい資料も集まってきていますし、今までの小楠像は相当なレベルで書き換える必要が出てくるのです。そういう作業を一層進めたいと思っています。 【知事】 福井県は奥深い実力をもった県です。昨年は、小浜藩主酒井忠勝公の登城行列を新宿区神楽坂で行いました。幕末をはじめ、幅広い歴史を発掘して広げていくことを福井ブランドとして大きなパワーにしたいと思っています。
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