2011年 新春知事対談

最終更新日 2011年1月2日ページID 013704

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 このページは、平成23年1月2日(日)に放送されたFBC新春知事対談番組の内容をまとめたものです。
 豊かな自然やおいしい食、歴史ある町並み、伝統産業など、全国に誇れる魅力が多い福井県。こうした魅力を「ふくいブランド」として国の内外へ発信する活動について、小浜西組町並み協議会の会長として町並み保全活動を行う常高寺住職の澤口輝禅さん、福井に特化したフリーペーパー「フクイスト」代表の南朋恵さん、西川知事が対談しました。

(恐竜博物館10周年 去年の成果)

【司会】
 「ふくいブランド」と言えば、やはり恐竜ですね。

【知事】
 昨年、恐竜博物館が開館してちょうど10周年を迎えました。抜本的にリニューアルしまして、世界最大級の草食恐竜である「カマラサウルス」の発掘現場のレプリカを展示しています。これは日本初公開なんです。そのほかにも、皆さんに興味を持っていただくような恐竜のレプリカなど12の標本を購入しました。恐竜博物館の入館者は年々増加しており、今年度は50万人に達すると思います。


(地域資源を磨いてブランドへ)

【司会】
 福井の魅力と言えば、ほかに古い町並みもありますが、県ではモデル地区を選定し、伝統的な町並みを守る活動を支援しています。澤口さんが活動する小浜西組地区もその1つですが、澤口さん、活動について教えてください。

【澤口さん】
 私は秋田県出身で、平成2年に小浜の常高寺の住職になり、小浜に参りました。小浜の町は京都に似ていて、古い町並みがそろっていいなと思っていたのですが、だんだんいい家が壊されています。残念だなと思っていたところ、地元の人たちの意識も高まって、平成2年から保存活動が始まり、平成20年に国の重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けました。今は、補助を受けながら家の修理、修復が始まっています。
 昨年度は、小浜市とタイアップして、小浜の西組の魅力を発信しようと、「ウエスト物語」と題して、古い茶屋のお屋敷や古い酒蔵を開放したり、お寺を利用して音楽会や落語会を開催して、大勢の人たちに西組地区を見ていただきました。
 また、会としても独自に一門一灯運動を展開し、各家にあんどんをつけて町を明るくして、情緒ある町にしようと、今、少しずつ進めております。


(浅井三姉妹で観光客誘致)

【司会】
 古い町並みも含めた歴史というのは「ふくいブランド」の1つですが、福井ゆかりの歴史上の人物に、柴田勝家とお市の方の娘である浅井三姉妹がいますね。
 県内には三姉妹ゆかりの地が多いことから、県では観光客を呼び込む活動をしていますね。

【知事】
 茶々、初、江の三姉妹は、北の庄城で少女時代を過ごしました。現在、城址には柴田神社が建っています。そのほかのゆかりの地として、柴田勝家公ゆかりの丸岡城、澤口さんが住職をしておられる常高寺は、次女の初の発願で建てられたお寺です。初の墓所も境内にあります。
 我々としては、浅井三姉妹のドラマが1月9日から放送されますから、関連するゆかりの地を「ふくい歴史街道」として、案内板の設置を支援しています。また常高寺の墓所については交通条件がよくありませんので、遊歩道を作って安全に見学やお参りができるように、今、準備中です。

【司会】
 県外にもいろいろとゆかりの地があるということで、連携もポイントになってきますね。

【知事】
 滋賀県や、観光団体、市や町とも連携して、共通の着ぐるみキャラクターを作りましたし、観光列車ツアーも運行させようとしています。
 それからポスターやパンフレットも共同で作成するほか、さらに地域を広げて、岐阜県、三重県を加えた4県で「日本まんなか共和国」としての旅行商品づくりなども進めていきたいと思います。


(福井の魅力を発信)

【司会】
 こうした福井の魅力を発信しようと首都圏で頑張っているのが南さんです。
 フリーペーパー『fukuist』を始めるきっかけは何でしたか。

【南さん】
 私は上京して、がむしゃらに働いて、体調を崩した時期がありました。そんなときに「ふるさと福井」に癒されたという経験があります。そのことから、自分が今いる首都圏と「ふるさと福井」をつなぐかけ橋となるような、紙媒体のフリーペーパーを作れないかなと思いついたのです。
 そこで、“福井の人”という意味の『fukuist』という名前で、福井の文化や歴史、物などを紹介するフリーペーパーを出版しています。当初5,000部から始まり、今は1万8,000部発行しています。福井や首都圏はもちろん、今では海外の12カ国の大使館、日本語学校、国際交流基金などにも、『fukuist』を置かせていただいています。

【司会】
 福井県にとっても強力な応援団ですね。
 県では首都圏を中心に情報発信をしていますが、去年は東京での大きなイベントで福井を発信できましたね。

【知事】
 江戸時代に遡りますが、幕府の初期を支えた小浜藩の酒井忠勝公の江戸屋敷が神楽坂にありました。そこで神楽坂の商店街を中心に、「ドーン!と福井in神楽坂」というイベントを開催し、福井の物産などを商店街と連携してPRしました。2日間で2万数千人の皆さんがお見えになりました。
 また、JR中央線は1日に300万人以上が利用していますが、「ふくいは、冬がうまい。」というテーマで、越前がにや若狭ふぐなどをPRするラッピング電車を運行し、大いにブランドを売り込みました。

【司会】
 県では企業とコラボレーションしているほか、メディアを活用した情報発信も行っているんですよね。

【知事】
 「エキサイト」と連携して福井仕様のポータルサイトを開設したほか、映画では、松竹と連携し、白川文字学の映画をつくりました。また、児童文学などで有名なポプラ社と連携し、恐竜の映画も作るなど、民間企業とのコラボレーションを今、積極的に進めています。

【司会】
 さらに世界へ発信しようということで、中国など東アジアの地域に県産品の売り込みもしていますよね。

【知事】
 今、東アジア市場の成長が著しいですから、香港や上海、台湾などの企業と商談をして、福井の優れた商品を売り込んでいます。例えば、まだ量は少ないのですが、中国のセレクトショップで越前和紙が扱われるなど実績もあり、着実に進めたいと思います。

【司会】
 ますます情報発信が重要になってきますが、南さんはこれから『fukuist』をどんなものにしていきたいと考えていますか。

【南さん】
 最近、読者の方からたくさんのお便りが届いています。首都圏や全国にいらっしゃる方からなのですが、福井のことを大切に思う気持ちを行動に移す方法を探している方がたくさんいらっしゃるようです。この『fukuist』の活動を通して、「普通の私たちでもこんなことができますよ」ということを伝えて、みんなの力で福井を全国に、そして世界に発信していきたいなと思います。


(ふくいブランドをビジネスに)

【司会】
 澤口さんは、町並みの保全活動でどんな姿を目指されますか。

【澤口さん】
 一言で言えば、「住んでよし、訪れてよし」という町ですね。私どもはキャッチフレーズとして、「ベンガラ格子が灯る町」という言葉を作りました。ベンガラ格子のそろった町並みは、住んでいる方の温かい光が外に漏れてくるでしょうから、そこにはにぎやかさがあるのだと思います。一方で、景観がよくなっても空き家ばかりでは困りますから、住民の方々が安心して楽しく過ごせる、子育てもしやすい、そういう町にすることが大事だと思っています。こうした町の良さに、また訪れる人も心の癒しを感じられるのではないかと思うのです。

【司会】
 福井県の良さを知ってもらったら、まず、実際に来てもらって、何かを買ってもらうということも大事になってきますが、トップブランドの恐竜についても企画が進んでいるようですね。

【知事】
 恐竜博物館が監修した化石を発掘するゲームソフトなど、企業と連携してビジネス化を始めました。
 それから、恐竜博物館では、来館者の8割が県外からお越しになっているのですが、やはり見ていただくだけに留まらず、地元の産業、観光などとつながっていく必要があると思います。そこで、ビジネスのための協議会を作り、具体的なプロジェクトにつなげていきたいと考えています。


(今後の抱負)

【司会】
 最後に、今年の1年の抱負を伺います。

【澤口さん】
 今は歴史ブームで、浅井三姉妹もかなり注目を浴びています。私の寺は浅井三姉妹の真ん中のお初さんが建てたお寺で、お墓もあります。そして、ちょうど小浜西組の重要伝統的建造物群保存地区の中にあることから、小浜へ来て、町並みを散策して、その良さを味わっていただいて、さらにまた常高寺に来て、お初さんの業績を知っていただく、そういうことを今年はおおいに発信していきたいと思っています。

【南さん】
 『fukuist』の発行部数を3万部まで増やし、世界50カ国に設置して、また新たに外国語版を作りたいと思います。外国語版の『fukuist』を持って外国からこの福井に観光に来てくれることが夢です。それから、新しく『fukuistyle』という、福井の美しさを取り上げた季刊誌を創刊しましたので、これをまた第1歩として、全世界に福井の美しい風景や人を紹介していきたいと思います。

【司会】
 福井県は、今年もやはり「ふくいブランド」の発信ですよね。

【知事】
 昨年は、福井のビジョンを県議会と相談してつくり、経済新戦略も策定しました。「福井ブランド」のビジネス化を進め、福井の認知度を高めること、これがこれからの大きな課題だと思います。今日ご出席の皆さんや県民とともに力を合わせて、福井の魅力を発信したいと思います。

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