2015年 新春知事対談

最終更新日 2015年1月3日ページID 028875

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 このページは、平成27年1月3日(土)にFBCテレビで放送された新春知事対談の内容をまとめたものです。
 西川知事が、福井出身の作家 宮下奈都さんと、福井での執筆活動や、福井県ふるさと文学館について語りました。

(ふるさと福井で作品を書く)
【司会】
 宮下さんの作品には、福井弁やへしこが出てきたり、福井が舞台になっていたりしますよね。
【宮下】 
 はい。今月出る本で14冊目になりますが、そのうち半分は福井が舞台だったり、福井に関連する人が出てきたりします。
 大和田周辺のショッピングモールが舞台になっている『メロディ・フェア』は若い女の子が主人公です。30代から40代の専業主婦の女性が主人公の『田舎の紳士服店のモデルの妻』は、福井で暮らしている女性から「福井で生きているということを肯定された」という感想のお手紙をいただいて、とても嬉しかった作品です。
 福井で生きている人たちを応援したいという気持ちで書いています。
【司会】
 西川知事、宮下さんの作品について、どんな感想をお持ちですか。
【知事】
 宮下さんの作品は、福井の日々の暮らしや、登場人物の微妙な気持ち、心境を非常に共感を持って取り上げていただいていると思いますね。ですから、自分が大学生になったような気持ちになったりしますよね。それから、作家として、お母さんのお気持ちといいますか、そういうものをうまく生かしていただいていますから、福井の学力・体力が日本一であることも作品の中に自然に描かれていて、大変嬉しいです。
【司会】
 生まれ育った福井で執筆活動をするというのはいかがですか。
【宮下】
 本当に福井が好きで、ここで育ち暮らしているので、ここを舞台にするのが一番自然な形だと思って、「福井のことは私が書く」ぐらいの気持ちで書いています。書くことで、県外の人からも「福井弁っていいね」とか「味があっていいね」とか言われると、何か「やった」と思いますし、「伝わった」と思いますね。

 

(福井県ふるさと文学館を開館)
【司会】
 西川知事、福井県からは、例えば芥川賞作家の津村節子さんや、直木賞作家では水上勉さんなど多くの作家が出ていますが、福井は小説家王国でもありますね。
【知事】
 そうですね。津村節子さんがいつもそれを自慢にしていらっしゃいます。福井は、全国の都道府県の中で芥川賞とか直木賞の作家の人口に対する割合が多い。ですから、今回、ふるさと文学館を県立図書館の中に、ぜひ皆さんに文学に親しんでいただきたいという願いを込めて2月1日、日曜日に開館いたします。
【司会】
 ふるさと文学館開館のねらいは何ですか。
【知事】
 まず、文学というのは一つの楽しみであると同時に、それによって「ふるさと」が実感できる、また、ふるさとの良さが分かるジャンルだと思います。ですから、文学を通じて、ふるさと、また自分たちの住んでいる地域の良さを心で理解するということがあると思います。
 もう1つは、県立図書館の中にふるさと文学館をつくるということにより、図書館で読書をしていただくということと、作家、文学とふるさとがつながりが深い関係にあることを分かっていただいて、相乗効果を上げたいと思っています。
【司会】
 宮下さん、このふるさと文学館を県立図書館の中にオープンさせるというのはいかがですか。
【宮下】
 とても敷居が高いという感じではなくなるのがいいなと思います。図書館の中にあるので行きやすいというのがありますし、文学には本当にいろんな楽しみ方があると思うので、まずふるさと福井が舞台になっているということから入っていくというのもいいことだと思います。
 福井の人は、謙遜というか、福井は何もないようなことを言ってしまったりしますが、何もないはずの福井で、こんなにすごい文学作品が生まれているんだというのも、多分、新鮮な驚きがあると思います。それが1つの館にまとまっていたら、どんどん読みたくなるのではないかと思いますね。
【司会】
 知事、ふるさと文学館をどういった場にしていこうとお考えですか。
【知事】
 県立図書館は、今、宮下さんがおっしゃいましたが、福井の自慢なんですよ。実は、来館者数、それから実際貸し出している冊数、これが人口当たり全国最上位です。この図書館をうまく利用して文学館をまた楽しんでいただくというねらいですね。文学館だけでは、いろんな方がお見えいただかないことが多いですから、うまく結びつけるということが大事だと思いますね。

 

(福井県ふるさと文学館の機能)
【司会】
 どういった展示の中身になりますか。
【知事】
 まず、ゆかりの作家を紹介するということと、福井のことを描いている文学作品なども十分に展示するということがあります。そしてできるだけ資料をたくさん集めて、そこで研究するということがポイントの1つとしてあると思います。それから、子供たちに小さいときから文学、あるいは書物になじんでいただくという狙いもあります。
 展示の仕方は、子供から大人まで分かりやすい展示ですね。できるだけ画像を使ったり、あるいは、ゆかり人や物を展示して、ああ、我々と作家ってそんなに遠くないなという、この場の今日みたいな感じですね、こういうふうになるといいなと思います。ですから、直木賞を受賞された水上勉さんの受賞風景とか、高見順さんの執筆している様子とか、そういう画像とか音声なども全国から、あるいは古いものも集めてみんなに知ってほしいと思います。
【司会】
 文学と私たちの心がぐっと近くなりそうですよね。宮下さん、知事のお話を聞いていかがですか。
【宮下】
 おもしろそうだなと思います。私は舞城王太郎さんが好きなのですが、地の文から福井弁が出てきていて、福井弁が出てくるから好きというわけじゃなくて、舞城王太郎さんが早く良い賞をとって、ふるさと文学館に出てきたら、若い人に良い刺激になるだろうなと思いますね。小説でこんなにすごいことができるんだというのが若い人にもよく伝わると思うんですよね。そういう若手の人も入っていったらいいなと思います。

 

(若手作家を育成)
【司会】
 西川知事、開館に向けて、取り組んでいることがあるそうですね。
【知事】
 作家の方による高等学校への出前講座を行っていますし、作家と皆さんが語り合う文学サロンも図書館で開催しています。開館後は、作家、あるいは編集者など、文学に関わる人たちと一緒に文学の創作講座を開きたいと思っています。かなり文学は技術的なこともあると思いますから、小説の書き方とか描き方とか、あるいは小説の読み方とか、そういうこともこの図書館、あるいは文学館の中で活発に活動を展開するのが大きな方向かと思いますね。
【司会】
 宮下さん、次の世代を担う若者の育成についてはいかがですか。
【宮下】
 先ほど知事がおっしゃっていたサロンや講座があったら、私も受けてみたいなと思いました。受ける側だったらとてもおもしろそうだなと思います。

 

(今年の抱負)
【司会】
 最後に、今年の抱負を、宮下さん、お願いします。
【宮下】
 福井ふるさと百景がとても好きで、本当に地元の人でないと知らないような良い風景がたくさん載っているので、それを見ながら歩き回りたいと思います。その場所に行って書けることが、きっとあると思うので、福井に関していえば、そういうものを書きたいと思います。それから、世の中が変わってきていると私はすごく感じていて、その変わっていく時代に人の心がどういうふうに揺れ動くかというのを描写したいというところがあります。そして、できれば、これから私たちはどう生きていくのかというのを小説で考えていきたい、それを文学として出したいという気持ちがあります。
【司会】
 それでは、西川知事、お願いします。
【知事】
 地域を知るとか、ふるさとというのは歴史、あるいは周りの自然からも知ることができますが、文学を通して知るというのは、とても実感として我々の心にしっかり届くふるさとの知り方ですよね。北陸新幹線、そして中部縦貫道が春には開通いたしますから、この文学館に全国からも来ていただけると思いますね。この文学館を見ていただいたり、また、県内各地にそれぞれの作家の文学館もありますから見ることにより、文学を通じてふるさとの観光や、あるいは自信などにつなげていくという方向を目指したいと思います。

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