第385回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2015年2月18日ページID 028894

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                                                                              平成27年2月18日                                                                第385回定例県議会


 


                       知事提案理由説明要旨




                                               福 井 県

                                                                          

 冒頭、一言申し上げます。
 県議会議員 笠松泰夫氏におかれましては、昨日の2月17日急逝されました。突然の訃報に驚いており、誠に痛惜の念に堪えません。
 笠松議員は、本県職員として土木部長等を務められた後、平成19年に県議会議員に当選され、高速交通ネットワークの整備促進や観光振興など県政の重要課題に取り組んでこられました。また、産業、土木、厚生の各常任委員長として卓越した指導力を発揮されました。氏が生前、県政発展のために傾注された情熱と御功績を深く胸に刻み、ここに謹んで御冥福をお祈り申し上げます。

 それでは、第385回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および平成27年度当初予算、平成26年度2月補正予算の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 私は知事としての任期3期目、「福井新々元気宣言」に基づき、福井の「元気」をさらに大きく、明るい希望を次の世代につなぐことをめざして「新ふるさと構想」を進めてまいりました。この間、県議会の力強いご支援・協力をいただき、北陸新幹線の県内延伸や工期短縮、高速道路の整備促進など、県政の重要課題を着実に進展させることができました。そして、「県民幸福度」、「子どもの幸福度」の2つの日本一は、県民のたゆまぬ努力のたまものであり、この4年の県政の大きな成果であります。また本県が提唱した「ふるさと納税」制度が拡充され、子育て支援策が全国に波及するなど、福井発の政策提案も次々と実現しています。
 さて、我が国は戦後70年の節目を迎え、人口の減少と東京一極集中、国際情勢の複雑化など、まさに時代の変革期にあります。本県は県民一人ひとりが活躍できる日本一の環境を活かし、新たな国づくりをリードする成果を示しております。3月には中部縦貫自動車道が北陸道と直結し、北陸新幹線も金沢まで開業します。3年後の「福井しあわせ元気国体」に続いて、東京オリンピックの開催、さらにその先の5年、10年は新幹線敦賀開業や中部縦貫道全線開通も控えており、県政を新段階へ引き上げるまたとない好機であります。この時期を最大限に活かし、人口減少問題に立ち向かうとともに、県民の一人ひとりの人生を豊かにするための県政を進めなければなりません。元気あふれる「日本一のふるさと」の実現に向け、県政の一層の発展に引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 それでは、最近の経済・雇用情勢について申し上げます。
 国は、1月の「月例経済報告」において、「景気は、個人消費などに弱さがみられるが、緩やかな回復基調が続いている。」としており、県内においても、有効求人倍率は全国上位で推移しております。しかしながら、消費税引き上げに伴い自動車や家電製品を中心に消費が回復しておらず、さらに中小企業においては、昨年後半からの急激な円安による原材料価格の高騰により、収益が厳しくなっているとの声も聞かれるところです。
 こうした中、政府においては今月3日、個人消費回復や地方創生に重点を置いた経済対策の補正予算を成立させました。
 そこで、本県としては、26年度2月補正予算と27年度当初予算を国の交付金を積極的に活用して一体的に編成し、「ふるさとふくいの創生対策」をいち早く実行することとしました。なお、今回の当初予算は、4月に知事および県議会議員の選挙が行われるため、いわゆる骨格予算として、政策的な経費は選挙後の補正予算で対処することになりますが、北陸新幹線整備や中部縦貫自動車道といった高速ネットワーク整備や国体、福祉や教育など県民生活に密接にかかわり年度当初から実施する必要があるものは、円滑な事業の実施に支障がないよう予算計上しました。

 それでは、まず今回の「ふるさとふくいの創生対策」について申し上げます。
 本県には、合計特殊出生率の高さ、待機児童ゼロ、子どもの学力体力日本一など、全国トップクラスの子育て環境が整っています。こうした本県の特長を生かして全国のモデルとなる先進的な政策を実施することとし、U・Iターンを強力に進める新たな体制整備や若者、女性の仕事の創出支援等を強化し、大都市への人口流出に歯止めをかけてまいります。
 具体的には、「つながり力を活かす縁結び、子育て応援」、「幸福度日本一・福井へのU・Iターン促進」、「ふくいの宝を活かしたふるさと産業の新展開」、「新幹線、空港から福井に呼び込む誘客強化」を4つの柱に地方創生を進めます。
 第1の縁結び、子育て応援については、若者の出会い機会を職場にも拡大するなど、結婚を望む若者の希望がかなう迷惑ありがた運動を拡大してまいります。
 また、「新ふくい3人っ子応援プロジェクト」として、市町と協力して、第3子以降の保育料無料化を3歳から小学校入学前まで拡大し、全国のモデルとなる子育て政策を充実いたします。
 第2のU・Iターン促進については、福井移住定住促進機構を設置します。県内と東京・有楽町にも新たな相談拠点を開設し、メディアも積極的に活用しながら全国トップクラスの子育て環境や「幸福度日本一」といった本県の魅力をアピールするとともに、仕事や住居から定住後の生活相談まで、徹底してきめ細かくサポートする体制を構築します。
 さらに、これまで実施してきた園芸カレッジや伝統工芸職人塾に加えて、新たに林業や漁業、観光の研修コースを設け、U・Iターン者の増加につなげてまいります。また、「人材創生塾」として横断的な人材の交流の機会を設け、地域産業の活性化につなげます。
 第3の産業の新展開については、中小企業の新商品開発への強力な後押しや長年地域に愛されてきた老舗などへの支援、また、中山間地域における園芸導入など、里山里海湖の資源をフル活用して、地域ビジネスの振興を図り、域内経済の好循環をつくってまいります。
 第4の福井への誘客強化については、北陸新幹線金沢開業を契機に、東京駅や金沢駅などで誘客キャンペーンを強化するほか、小松空港を拠点に航空会社と連携した観光PRを展開するなど、陸と空の両方から観光客を呼び込みます。
 これらの施策を総合的に実施するため、今後、議会をはじめ、県民、産業界など様々な立場からのご意見を伺い、県としてのまち・ひと・しごと創生戦略を市町とともに来年度中に策定する予定であります。

 次に、消費喚起対策について申し上げます。
 まず、県民消費喚起につなげるため、県民向けに2割のプレミアムがついた総額36億円の商品券を市町と協調して発行します。なお、経済負担の大きい多子世帯やひとり親世帯には、さらに割安で購入できるよう配慮いたします。また、県外からの誘客、県産品の消費拡大のため、県内への旅行やホテル、旅館等の宿泊客が土産物購入や飲食などに利用できる商品券もあわせて6億円発行します。さらに、本県の名産品として県外に自慢できる「ふるさと名物商品」を全国の消費者に割安で販売するなど、これらの対策により、全体で約60億円を目標とする消費効果を見込んでおります。

 次に県政の主要な課題についてご説明申し上げます。
 まず、北陸新幹線の整備促進について申し上げます。
 金沢―敦賀間の開業時期については、本県提案のとおり3年前倒しされ、これから8年後の平成34年度末の完成・開業が決定、平成27年度政府予算案に220億円の事業費が盛り込まれました。
 なお、福井先行開業についてはこの夏までに結論を得ることとしており、与党においてさらに議論を深めていただくことが重要であります。
 また、早期開業のための新たな財源として新規着工区間の貸付料を前倒して活用することとなったことから、交付税措置による県の実負担額は、事業費約7,800億円の7.7%にあたる約600億円となり、これまでより約200億円軽減されるものと考えています。
 敦賀開業の前倒しを受け、関係機関との協議を強め、用地取得についても速やかに行う体制の強化をいたします。本日、市町も新たに加えた鉄道・運輸機構と県による新幹線事業推進連絡会議を開催し、一致協力して工事工程等を迅速化するなど、早期の用地取得に全力を期してまいります。また、新年度から地元に精通している市町職員の派遣も含め人員体制を強化する予定であり、3月からも担当職員を一部増員するなど、地権者をはじめ関係者の理解と協力を得ながら、用地取得に全力を尽くしてまいります。
 新幹線工事の進捗状況につきましては、既に工事に着手している新北陸トンネルの3つの工区に加え、来月には南越前町の清水工区が契約予定であり、トンネルの総延長約20㎞のうち約8割の着手率となります。また、九頭竜川橋りょう工事とこれに隣接する森田地区の高架橋工事など、福井市内での工事も本格化してまいります。

 次に、県都デザイン戦略について申し上げます。
 まず、平成28年度の完成をめざし整備を進めている「山里口御門」の復元については、3月から石垣の解体と埋蔵文化財調査に着手します。来年度からの御門本体の建築工事に向け、建物に使用する瓦や壁板への寄付を募るなど復元に向けた機運をさらに高めてまいります。
 また、中央公園についても、来年度の完成に向け城址と公園を分断していた土塁や野外ステージなどの撤去工事が開始され、山里口御門と一体となった整備が本格化します。

 福井鉄道とえちぜん鉄道の相互乗り入れについては、27年度内の運行開始をめざし、結節点となる田原町駅の南側駅舎やホームの整備を進めております。また、福井鉄道の西口駅前広場への延伸については、広場の完成に合わせ28年春の完成をめざしており、27年度から工事に着手します。

 原子力行政について申し上げます。
 高浜3、4号機の再稼働については、今月12日、原子力規制委員会が原子炉設置変更の許可を行いました。これを受け、昨日、県および高浜町に対し国の資源エネルギー庁からエネルギー基本計画に基づき、地元の理解を得て再稼働を進めていきたいとの説明があったところです。
 これに対し、県としては、国民の原子力の重要性に対する理解は未だ十分とは言えず、政府が国民に対ししっかりと説明・説得する必要があることをはじめ、エネルギーミックスの明確化、中間貯蔵施設の県外立地に係る国の積極的関与、福島事故を教訓にした事故制圧体制の充実強化など、本県がこれまで要請してきた事項について国の責任ある回答がなされることが判断の前提となるとの考えを伝えたところです。
 なお、原子力規制委員会は、現在、工事計画や保安規定認可など安全を確認するための審査を行っているところであり、県としては、これらの審査状況を含め、プラントの安全性と事業者の運用体制を厳正に確認していかなければならないと考えております。
 このうち、エネルギーミックスについては、先月30日、国の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会と長期エネルギー需給見通し小委員会の合同会合が開催され、安全性、安定供給、効率性、環境への適合等の観点から具体的な議論が開始されました。県としては立地県の立場から、エネルギーに対する国民理解を進めること、今後の再稼働に向けて立地地域の住民の信頼を得るためにも、原子力を中心にした政府の確固たる方針を表明する必要があることを強く主張したところです。

 また今月2日、関西電力は県内11基のプラントについて今後の運転方針の検討状況を県に対し示しました。関西電力はこの中で、廃炉や40年超運転の判断については、現在実施している特別点検の結果等をもとに、改めて県に報告することとしています。県としては、仮に廃炉となる場合には地元雇用・地元発注の維持確保、使用済燃料の中間貯蔵などの問題について、事業者として責任ある方針を示すよう強く求めたところです。

 敦賀発電所敷地内の破砕帯については、活断層と認定した有識者会合の評価書案に対し、昨年12月のピアレビュー会合において修正意見が相次ぎました。県としては、従来から、事業者との間で十分な議論を行わず、少数の限られた専門家で審議することは問題であると繰り返し指摘してきたところであり、規制委員会は科学的・技術的観点から徹底的に議論を尽くすことは当然として、柔軟性を持って公平・公正な結論を導き出す必要があります。

 「もんじゅ」について、原子力機構は、昨年12月22日、保安措置命令に対する報告書を規制委員会に提出しましたが、未点検機器数の集計に誤りがあったことは極めて遺憾であります。今年3月の集中改革期限までに残された期間はわずかであり、原子力機構および文部科学省が不退転の覚悟と責任をもって、あらゆる努力を傾ける必要があります。

 次に、「エネルギー研究開発拠点化計画」について申し上げます。
 国際原子力人材育成については、5回目のアジア原子力人材育成会議が今月開催され、アジア、中東諸国6か国の政府高官やIAEAの原子力発電部門の責任者が出席しました。原子力発電導入に当たっての人材育成の課題について議論を行い、こうしたエネルギーの将来を見通した国際貢献活動に関しては、研修の充実の必要性等、本県に対する関係者の期待の大きさを改めて確認しました。

 次に、原子力防災について申し上げます。
 原子力災害制圧道路については、半島部の4路線において平成31年度までの完成をめざしトンネル工事を進めており、今月新たに高浜町の新内浦大橋(仮称)の下部工に着手しました。早期完成に向けて、引き続き必要な予算の確保を国に求めるとともに、円滑な工事促進に努めてまいります。

 それでは以下、今回の予算に関連する主要な事業と県政の主な施策の状況について「福井新々元気宣言」に沿って申し上げます。

 まず、「元気な産業」についてであります。
 現在改定を進めている福井経済新戦略については、昨年12月に2回目の福井県経済新戦略推進本部会議を開催し、「福井の強みに磨きをかけ、現行の戦略を次の段階に高める」、「人口減少社会に対応し、一人ひとりの能力を高め、人を呼び込む」、「小さな企業を応援し、地域でお金を回す」の三つの基本戦略を示し、新たな戦略の骨子について議論を行っています。今後さらに、産業振興や人材育成にかかる県機関や施設の抜本的見直し、農林水産業への2次・3次産業側からの働きかけ、未来産業分野の集積など、新たな視点を加えて見直しを進めてまいります。

 昨年末、工業技術センターと県内企業などが共同で開発した炭素繊維複合材料を使った新世代ジェットエンジンが、ヨーロッパの世界的航空機メーカーに採用されました。これは、本県が特許を有する炭素繊維を薄く広げる技術と、県内繊維企業の加工技術が高く評価された結果であります。この炭素繊維分野に続き、医療などの成長分野において、本県企業の技術を活かした新たな産業を創出することが重要と考えています。このため、県内外の大学や、大企業、工業技術センターなどの試験研究機関、そして金融機関等が一体となって、県内企業の革新的な研究開発を支援する「ふくいオープンイノベーション推進機構」を工業技術センター内に設置いたします。大学の専門的な知見を最大限に活かし、大企業や金融機関の資金や人材面でのサポート等も得ながら、本県発のイノベーションを強力に進めてまいります。

 次に、企業誘致について申し上げます。
 昨年1年間の企業立地件数は、増設を合わせ31件、投資額と新規雇用者見込数は、それぞれ430億円と830人となり、最近4年間の中で最多となりました。今年に入っても、スマートフォンやテレビなどの液晶フィルムを製造する日本ゼオン株式会社が、生産規模拡大のため、敦賀市産業団地の用地買い増しを決定いたしました。引き続き、これら企業誘致を積極的に進めるとともに、若者や女性に魅力のある本社機能の誘致にも努め、県外からの学生などのU・Iターンの促進も進めてまいります。

 次に、農林水産業について申し上げます。
 米づくりについては、農家や農協と共動で「五月半ばの適期田植え」や「秋の田起こし運動」を進めるなど、米の食味ランキングで最高ランクの「特A」評価を継続して獲得できるよう品質向上の努力を続けてまいります。また、平成29年度の品種登録出願をめざす「ポストこしひかり」については、来年度中に4種類にまで候補を絞り込みます。平成30年度の本格生産時には、県内全域で安定して高い食味や品質が得られる品種となるよう、県内各地の圃場で現地実証栽培を開始いたします。
 農業人材の確保・育成については、東京、大阪、名古屋での就農誘致セミナー開催など、誘致活動を進めた結果、今年度県外からの7人を含む46人の就農につながりました。昨年開設したふくい園芸カレッジには、新規就農コースに第1期生として県外からの11人を含む23人が入校し、トマトやメロンの生産技術等を学んでおります。新年度も新たに、県外からの19人を含む29人が入校することとなっております。今後も、農業関係の大学や専門学校へ職員が直接出向くなど、県、市町、農協等と共動で誘致活動を強化し、U・Iターンによる本県での就農希望者を確保してまいります。

 中山間地域の農業の振興については、施設園芸や鳥獣害に強いクルミや渋柿、カリンなどの果樹の導入に加え、付加価値の高いジャンボしいたけ、オウレン、熊川葛、お茶炭などの生産支援を拡大し、地域資源を活用した里山ビジネスの拡大による所得向上につなげてまいります。

 現在、TPP交渉や米政策の見直しなど国内外の情勢が変化する中、将来にわたり本県農林水産業が勝ち抜いていくため、県では、「ふくいの農業基本計画」に掲げた高品質高食味米の生産販売や集落園芸、大規模施設園芸、中山間地域での特色ある農業などを進めております。
 国においては現在、農協改革の議論が進められておりますが、農協は地域農業や地域社会を支える重要な役割を担っており、地方創生に欠くことのできないものであります。県としては、農協の健全な経営が確保されるよう国に対し働きかけるとともに、農業者が不安なく生産に励み健全な経営を維持できるよう、農協とともに福井の農業を儲かる農業に発展させていきたいと考えております。

 林業については、住宅分野での利用拡大や木質バイオマス発電施設による新たな需要を踏まえ、県産材生産量を19万5千㎥とこれまでの2倍に拡大いたします。このため、コミュニティ林業への取組み集落を年間20集落に倍増し、山ぎわでの集中的な施業を進めるとともに、列状間伐や全木集材をさらに普及し、生産コストの低減を図ってまいります。

 水産業では、天候などに左右されない計画的な生産を実現するため、養殖業の拡大をめざしております。このうち、福井市沖合で進めているトラウトサーモン養殖の実証試験については、稚魚1,700尾を生けすに収容し、成育状況を確認しているところであり、50cm程度に成長する6月の出荷をめざしています。また、漁家民宿等の冬の誘客食材の一つである若狭かきについて、養殖イカダの整備等を新たに支援し、生産量の増加と後継者の確保につなげてまいります。
 また、地魚の流通拡大のため、敦賀市内に整備する水産加工施設については、平成28年度の稼働に向けて整備を進めてまいります。

 次に、観光とブランドについて申し上げます。
 新たな観光戦略につきましては、六つの基本戦略を取りまとめました。まず、魅力を極めるための戦略として、恐竜博物館を中心とした「恐竜王国 福井」や一乗谷朝倉氏遺跡における歴史的空間のスケールアップを図ります。また、素材を輝かせるための戦略としては、三方五湖や秘仏等の文化財を活かして「海湖と歴史の若狭路」の広域観光圏の確立をめざすほか、集客力の高い入込数100万人以上の観光地を5か所以上創出します。さらに、職業系の高校生等に観光に関する授業を取入れ、観光に関する資格取得を図るとともに、観光事業者を対象とした観光アカデミーを開講するなど、人材面からの観光地域づくりを進めます。こうした本県観光の振興策を総合的かつ戦略的に推進し、平成31年には観光客入込数が平成25年比25%増の1,300万人となるようめざしてまいります。
 さて、いよいよ3月14日には北陸新幹線の金沢開業を迎えます。
 福井駅においては、実物大の動く恐竜3体の造形物、駅舎の恐竜巨大壁面や飛び出す恐竜壁画など、全国でも例のない特色ある広場として整備し、誘客の拡大につなげてまいります。首都圏においても、これまでの大宮駅等に加え、都内主要駅や新宿駅前の百貨店でも恐竜骨格の展示イベントを実施します。また、観光誘客キャラバンを通じてメディアへの宣伝や旅行会社の旅行商品造成を促進し、首都圏からの観光入込数を平成27年には60万人に倍増させたいと考えています。JR金沢駅の観光情報センター内への本県の観光コンシェルジュや紹介コーナーの配置、大型電子看板によるアピール等、金沢からの誘客にも努めてまいります。
 さらに、今年10月から12月の「北陸デスティネーションキャンペーン」の期間中には、県立美術館での「大永平寺展(仮称)」や「北陸三県食の祭典(仮称)」など、県内各地で誘客力のあるイベントを実施します。
 一方、北陸新幹線金沢開業により、航空機から新幹線に利用者がシフトすることが予想されます。小松空港を本県の空の玄関口として改めてアピールし、国内外からの誘客の拡大につなげることが重要です。このため、日本航空および全日空とのタイアップを強化し、機内誌での本県特集や県産品を使った機内食の充実、小松空港内で県産品を紹介するアンテナショップを新設するなど、飛行機の利用者に向けたブランド発信と誘客拡大を進めてまいります。
 また、「若狭さとうみハイウェイ」の全線開通1周年を記念して、7月から11月にキャンペーン第2弾を実施します。期間中は、京都府・滋賀県との共同観光プロモーションなども実施し、舞鶴若狭自動車道のさらなる利用拡大と嶺南地域への誘客を図ります。
 今年、開館15周年を迎える恐竜博物館において、日本では初公開のタイ、ラオスの実物化石等を揃えた記念企画展を7月から10月まで開催します。また、長尾山総合公園周辺においてもアミューズメント性の高い動く恐竜イベントを開催し、まちなかや奥越全体に観光客が周遊するしくみを構築してまいります。

 「食」をテーマに開催される「ミラノ国際博覧会」への出展については、10月24日から27日までの4日間、和食の原点である「禅と精進料理の福井」をテーマに、精進料理の調理や試食、漆器、和紙といった伝統工芸品の展示、実演などを行います。本県が誇る食と食文化を世界に発信し、観光誘客、県産品の販路拡大とともに、博覧会出展商品としてのブランド力を国内販売にも活かします。

 次に、「元気な社会」について申し上げます。
 中高一貫教育については、4月から高志中学校に入学する90名を先月決定しました。4月4日に開校式を行い、県内の11市町や県外から新たな志を持つ生徒が学校生活をスタートします。6年間を通じ生徒一人ひとりの夢が実現できる教育を実践するため、他県の中高一貫教育校で経験を積んできた本県の教員に加え、全国トップレベルの学校で成果をあげてきた教員を招くなど、4月から充実した指導体制を整えてまいります。各学校・教員が切磋琢磨し、本県全体の教育力のレベルアップを図っていきたいと考えております。

 次に、医療・福祉について申し上げます。
 少子化対策については、慶応大学などの研究チームが昨年12月に発表した「子どもの幸福度に関する計量分析」調査で、本県は、五つの評価項目のうち「健康」、「豊かさ」でトップ、「教育」でも2位となるなど、全国1位の評価を得ております。さらに新年度から「第三次福井県元気な子ども・子育て応援計画」を実行に移し、「新ふくい3人っ子応援プロジェクト」や育児休業給付金へ上乗せを行う全国初の「ふくいの子宝応援給付金」の支給など、全国トップクラスの子育て支援をさらに強めてまいります。

 高齢者福祉については、新年度から3年間の基本方針と施策を定めた「第6期老人福祉・介護保険事業支援計画」を実行に移し、高齢者が健康で生きがいを持って生活し、介護が必要となっても住みなれた地域で暮らし続けることができる社会の実現をめざします。
 まず、国体を契機としたスポーツの推進等により介護を必要としない元気高齢者の方々をさらに増やすとともに、県民の生活習慣などを考えた新たな認知症予防プログラムを作成し全県に広めます。また、24時間体制での在宅ケアを提供する坂井地区モデルを全県に拡大し、在宅の介護サービスの質と量をともに充実します。在宅での介護ができない重度の要介護者について、今後3年間に必要となる施設を計画的に整備してまいります。

 児童科学館については、過去最高を更新した昨年度の56万人をさらに上回る方々にご利用いただいております。平成28年秋のリニューアルオープンをめざして、新年度は実施設計に着手し、これまで以上に多くの子どもたちに親しまれる施設となるよう努めてまいります。

 次に環境政策について申し上げます。
 「里山里海湖研究所」については、研究員の活動成果や里山ビジネスの実践事例等を紹介する「里の元気フォーラム」を3月7日に若狭町で開催します。また、三方五湖周辺をフィールドとした「里山里海湖学校教育プログラム」を県内全小学校に配布し、授業に活用します。さらに「福井ふるさと学びの森」を北潟湖周辺など嶺北地域にも展開し、全県域において里山里海湖の保全や再生を行う人づくりを進めていきます。

 越前市白山地区において飼育しているコウノトリについては、本県で誕生した幼鳥の馴化訓練を兵庫県のコウノトリの郷公園において実施し、文化庁など関係機関との協議を経て、本年7月頃に放鳥する予定です。これを機に、地元越前市による生息環境整備をさらに進めるなど、県内の自然再生活動を活発化させていきます。

 次に、「元気な県土」について申し上げます。
 土砂災害対策については、一昨年の台風18号災害や昨年8月の広島市での土砂災害を受け、花崗岩地域の地質調査等を実施しました。この結果から必要となる70箇所について、土砂災害警戒区域等の指定見直しを梅雨時期までに行ってまいります。また、土砂災害特別警戒区域の未指定箇所(866箇所)についても、地元市町の理解と協力を得ながら早期の指定完了をめざしてまいります。

 中部縦貫自動車道については、永平寺大野道路の福井北-松岡間がいよいよ来月1日に開通し、北陸自動車道と直結します。新しいインターチェンジは、永平寺参道IC、永平寺ICに決まり、永平寺・恐竜博物館などへの誘客や県内外との物流拡大が期待されます。また、永平寺-上志比間においても、光明寺1号橋の橋梁架設が先月完了するなど、28年度の大野までの永平寺大野道路全線開通に向けて順調に工事が進められております。
 大野油坂道路については、今月10日、太田国土交通大臣に対し、大野―大野東間の新規事業化と北陸新幹線の敦賀開業に合わせた早期の全線開通を強く求めました。大野東-和泉間においては、下山地区以外の用地取得が完了し、順次工事に着手しており、和泉-油坂間においても、用地交渉に向けて調査等を進めております。

 足羽川ダムについては、水源地域対策特別措置法に基づく地域指定が、先月28日国において行われました。現在、関係省庁と水源地域整備計画の協議が行われており、来月中に決定される見込みです。県としては、引き続き関係住民の生活再建や池田町の地域振興策を国、町と連携して進めるとともに、早期完成を国に強く求めてまいります。

 敦賀港の鞠山南地区における新たなふ頭用地や岸壁の整備については、来年度の事業化を国に強く求めるとともに、鉄道・運輸機構等関係機関と協議を行い、埋立てに向けた準備を進めてまいります。

 次に、「元気な県政」について申し上げます。
 平成30年の「福井しあわせ元気国体」まで後3年となりました。これまでにも増して選手一人ひとりの競技力向上と、国体に出場し活躍できる新たな選手の確保に努めてまいります。昨年7月にスタートした「スポジョブふくい」による人材発掘により、今年4月には、陸上競技でオリンピック出場をめざす選手など46名が新たに「チームふくい」に加わることとなりました。
 また、中学生や高校生の競技力向上のため、各学校の部活動を積極的に支援する強化指定校を追加し、高い指導力を持つスーパーアドバイザーや特別強化コーチなども増強します。さらに、選手の練習環境を整えるため、県営体育館をはじめ、ライフル射撃場などの早期完成をめざして工事を本格化させることとしており、「福井しあわせ元気国体」での優勝をめざして、競技団体、市町と一丸となって準備を進めてまいります。

 次に、今回提案しました平成27年度当初予算および平成26年度2月補正予算案について申し上げます。
 先ほど申し上げたとおり、知事および県議会議員の選挙が行われるため、平成27年度当初予算額は、前年度比4.8%減となる4,589億円を計上しました。歳入については、消費税引き上げが通年化することから地方税は87億円増の1,000億円、地方交付税は臨時財政対策債を加えた実質ベースで1,565億円としました。
 また、26年度2月補正予算案については、先ほど申し上げた経済対策にかかる事業の実施に必要な経費のほか、国庫補助事業等の確定に伴う補正および本年度内に措置が必要な経費について最終の補正を行うものであります。この結果、26年度一般会計予算の累計額は、4,628億円となった次第であります。

 最後に、第20号議案の福井県手数料徴収条例の一部改正は、いわゆる第4次地方分権一括法等の改正に伴い、手数料の新設等を行うものでございます。その他の議案につきましてはそれぞれ記載の理由に基づき提案した次第であります。

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題等について申し上げました。なにとぞご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。

知事提案理由説明要旨(PDF形式)

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