第409回定例県議会知事提案理由説明要旨
令和元年 11月 28日 第409回定例県議会
知事提案理由説明要旨
福 井 県
第409回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および主な施策につきまして、ご説明申し上げます。
最初に、先月22日に天皇陛下がご即位を宣明されましたことを県民とともに心からお祝い申し上げます。新たな時代に希望を持てる、県民主役の福井の未来を切り拓くため、改めて知事として、一層の努力を尽くす決意をいたした次第です。ここに、令和の時代の平安と天皇皇后両陛下のご健勝および皇室のますますのご繁栄を心からお祈り申し上げます。
また、ただいま表彰決議がされました鈴木宏治議員には10年以上の長きにわたり、県議会議員として県政発展と県民福祉の向上に寄与されました。その功績に対しまして、県民を代表して深く感謝の意を表するとともに、心からお祝い申し上げます。今後とも、県政の更なる発展のため、一層ご活躍されますようお願い申し上げます。
さて、先月の台風19号をはじめとした度重なる豪雨により、全国各地で河川の氾濫や土砂崩れなど甚大な被害がもたらされております。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。
本県では発災当初から、職員や保健師等を長野県に派遣するとともに、多くの県民の皆様に被災地でのボランティア活動に参加いただいております。また、新たに運用を開始した災害時相互応援制度に基づき、長野県のふるさと納税を代行して受け付けております。一日も早く被災地の皆様に平常の生活に戻っていただけるよう、引き続き応援してまいります。
また今回の台風では、JR東日本の長野新幹線車両センターの冠水により、北陸新幹線の一部区間の運休、運行本数の減少など大きな影響が出ております。今月30日には、東京と金沢を結ぶ直通列車が従来の定期ダイヤに回復する見込みでありますが、北陸新幹線の重要性を改めて認識した次第であり、今月14日には、金沢・敦賀間も含めて、適切な治水対策を講じるよう政府・与党に求めたところです。
それでは、県政の主要な諸課題につきまして、ご説明申し上げます。
長期ビジョンについては、策定過程からの県民参加を重視し、すべての市町における意見交換会や世代別ワークショップに加え、各分野の第一人者を招いた連続セミナーなどを開催してまいりました。また県民アンケートでは、福井の良さや課題、将来への希望などについて、様々なご意見をお寄せいただきました。これらを踏まえ、2040年頃を見通した戦略について中間とりまとめを行ったところであり、今後、県議会とさらに議論を重ね、年度内を目途に県としての案をとりまとめたいと考えております。
北陸新幹線の整備促進について申し上げます。
工事の進捗については、先月、県境をまたぐ加賀トンネルが貫通し、本県から金沢、東京への扉が開きました。金沢・敦賀間の12か所のトンネルのうち、既に10か所が貫通するなど、県内全域で工事が着実に進んでおります。
敦賀・新大阪間については、今月14日、北陸新幹線建設促進同盟会として、26日には、関西広域連合、京都府、大阪府、関西経済連合会と一体となって、政府・与党に対し、早期に建設財源確保の見通しをつけ、福井・敦賀開業から切れ目なく着工するよう要請いたしました。
中部縦貫自動車道の整備促進については、今月7日に開催された国の事業評価監視委員会において、大野油坂道路におけるトンネル部の地質への対応や物価変動等により、事業費が約800億円増加することが示されました。この道路は中京圏との産業・観光の振興に大きく寄与するとともに、災害時の広域的な迂回路として大きな効果を発揮する極めて重要な道路と考えております。引き続き国に対し、補正予算も含めた必要な予算の確保や一層のコスト縮減を求め、早期開通に向け全力で取り組んでまいります。
次に、観光・まちづくりについて申し上げます。
恐竜博物館の機能強化については、新しい体制のもと、県職員自らが整備内容等を検討してまいりました。現博物館の混雑を解消するためのエントランス改修や新たな休憩スペースなど環境改善の考えを盛り込み、現時点において事業費を93.9億円、増築面積を5,700㎡と見込んでおります。また基本・実施設計の一括発注や造成工事の前倒しにより工期の短縮を図り、令和5年夏の開館を目指してまいります。さらに県内への回遊促進策など、市町とともに新たな展開例をまとめたところです。世界に誇る恐竜化石の研究および情報発信の拠点として、未来に続く恐竜博物館を目指してまいります。
北陸新幹線開業を見据えた観光誘客や県民の利便性向上を図るため、キャッシュレス決済への対応が急務と考えております。今月5日、商工団体、金融機関、近畿経済産業局等で構成する「福井県キャッシュレス推進連絡会議」を開き、導入状況の確認や利用者・店舗側双方の意見を共有したところであり、今後も各機関と連携し、キャッシュレス化の普及を加速してまいります。
県の公共施設においても、QRコードによるキャッシュレス決済システムの導入を進めており、年内に年縞博物館や美術館など25施設において対応するとともに、さらに年度内には、サンドーム福井や陶芸館など指定管理者制度を導入している施設においても順次導入する予定です。
県都のまちづくりについて申し上げます。
福井駅西口市街地再開発については、福井駅前電車通り北地区A街区において、今月11日に地権者等でつくる準備組合から、県に対して組合設立の認可申請がありました。現在、県において速やかに手続きを進めております。
また先月25日、福井市との「県都のまちづくりプロジェクトチーム」の初会合を開催し、現在進められている駅西口の再開発や将来の福井城址公園のあり方などについて意見交換を行いました。
今月1日には、福井商工会議所の会頭に就任された伊東()忠()昭()氏と会談し、北陸新幹線の整備促進や駅周辺のまちづくりなどについて、連携して進めていくことを確認したところです。今後、福井市・経済界と一体となって、県都のまちづくりを進めてまいります。
さて最近の経済情勢については、国は11月の月例経済報告において「景気は輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復している。」としている一方で、海外経済の不確実性や消費税率引上げ後の動向に留意する必要があると考えており、県内の経済団体等と緊密な情報交換を行い、適切に対応してまいります。
また国では、景気の下振れに備えた中小企業や農林水産業への重点的な支援など、経済対策を実施することとしており、県としても、今後の景気の状況を的確に捉え、必要な対策を検討してまいります。
企業の海外展開については、先月から、ジェトロ福井内に海外ビジネスに関する相談窓口「ふくいグローバルビジネスプラザ」を開設するとともに、中国向けインターネット通販サイト「越境()ECサイト」に県産品を専門に扱う「福井館」を設置し、県内企業の海外展開を積極的に支援してまいります。
県民衛星の名称募集については、9月末までに1,300件余りの応募があり、選考の結果、「すいせん」と決定いたしました。今後、見学会の開催などを通じて積極的にPRし、来年度の打上げに向けた機運を盛り上げてまいります。
次に、農林水産業の振興について申し上げます。
CSF(豚コレラ)対策については、これまで、あらゆる機会を通じて国に要望してきましたワクチン接種が可能となり、本県では先月、直ちに実施いたしました。また、今月開催した「ふくい農林水産まるごとフェスタ」において、食肉流通事業者と連携して、ふくいポークのふるまいを行うなど、安全性とおいしさを積極的にPRしております。一方で、野生イノシシの感染確認は依然として続いており、県としては引き続き、イノシシの捕獲強化に全力で取り組んでまいります。
農業人材の育成については、来月新たに、「越前若狭田んぼ道場」を開講いたします。定員20名を超える申込みがあり、今後、水稲や大麦などの栽培にかかる研修や圃場での機械操作実習を行い、後継者の育成に努めてまいります。
水産業については、今月6日、「越前がに」漁が解禁となりました。私も毎年心待ちにしており、いよいよ今年も冬の味覚を楽しめるシーズンを迎えました。解禁後10日間では、漁獲量が123トン、漁獲金額が約5億5千万円と昨年並みとなっております。来年1月、中部国際空港等において、英語、中国語、韓国語の3か国語で作成したリーフレットの配布や試食会を行い、インバウンド旅行者に向けた発信を強化してまいります。
次に、子育て支援について申し上げます。
本県は平成18年度に開始した「3人っ子応援プロジェクト」などにより、合計特殊出生率も上昇を続けており、子育て先進県として高い評価を得ているものの、今後は、少子化に歯止めをかけるための取組みを一層加速させる必要があります。経済的な理由により、希望する数の子どもを持てない子育て世代の負担を軽減するため、現在の支援策を「2人っ子応援プロジェクト」へと進化させ、支援の対象を第2子まで拡充いたします。
あわせて、家庭で育児をしている世帯に対する支援制度の創設についても検討してまいります。これら新たな子育て支援策を含めた「福井県子ども・子育て支援計画」を、県議会等からのご意見を踏まえながら年度内に策定することとしており、子育て世代が安心して子どもを産み育て、希望がかなう「日本一の子育て応援社会」をつくってまいります。
教育については、外国人児童生徒への対応として、全日制高等学校への進路を広げるため、現在の中学3年生を対象とする令和2年度県立高校入試から、日本語指導が必要な外国人生徒等のための特別枠を設けることといたしました。
英語教育については、中学校において生徒がALTと気軽に会話できる機会を増やすとともに、外部検定の受験料を引き続き支援してまいります。一方、県立高校入試における英検加点については、教育委員会において、現在の中学2年生が受験する入試から廃止いたします。スピーキングテストの導入については、他県の状況や課題等を十分見極めながら検討してまいります。
さて今年の茨城国体では、本県から497名の選手が参加し、本県選手団の頑張りにより、総合順位10位という素晴らしい成績を収めてくれました。今後とも、「スポジョブふくい」による有力選手の確保や新たな「お家芸競技」の育成に努めてまいります。
次に、防災対策について申し上げます。
今月実施した福井県総合防災訓練および緊急消防援助隊中部ブロック合同訓練では、中部7県1市の消防や警察、自衛隊など170の機関から約1,250人と住民約3,000人が参加しました。今回の訓練では、大規模複合災害を想定し、実際の斜面を用いた土砂災害やトンネル内での多重衝突事故からの救助など実践的な訓練を行ったほか、初めて外国人が参加した住民避難訓練を実施いたしました。今後も各関係機関との協力体制を強化するとともに、多くの住民が訓練に参加いただき、防災に対する意識向上が図られるよう努めてまいります。
原子力政策について申し上げます。
高浜および大飯発電所で発生した労働災害については、今月8日、関西電力に対して現場をしっかり確認し、発電所の作業員等の安全確保に万全を期すよう強く求めたところです。昨日、県原子力安全専門委員会を開催し、事業者の安全対策や「もんじゅ」の燃料取出し作業の進捗状況などについて説明を受けました。委員会の意見を伺いながら引き続き、県内プラントの安全対策の実施状況や廃止措置の進捗状況等を厳正に確認してまいります。
原子力政策に関連して、関西電力幹部が多額の金品を受領していた問題については、第三者委員会による調査が進められております。県としては、関西電力における企業統治が形だけでなく実行できる体制となることが重要であると考えており、先月11日、菅原()前経済産業大臣に対し、事実関係の徹底究明、再発防止策の実施等について厳しく指導・監督するよう要請いたしました。大臣からは「第三者委員会から可及的速やかに結果を得て、経済産業省としてしっかり対処していきたい」との方針が示されました。
次に、関西電力の金品受領問題に関連し、本県の元幹部職員も高浜町元助役から贈答品を受け取っていたという報道があったことから、弁護士3名による調査委員会を設置し、今月21日に調査結果を公表いたしました。儀礼の範囲を超える金品を受領していた職員については、責任を明確にするため厳正な処分を行っております。あわせて、綱紀粛正を徹底するとともに、年内を目途に職員倫理規程の整備を図るなど再発防止策を講じ、信頼される県政の推進に努めてまいります。
エネルギーを活用した地域振興について申し上げます。
「嶺南エネルギー・コースト計画(仮称)」の策定については、この9月から本格的な議論を開始しており、原子力をはじめ再生可能エネルギーなど多様なエネルギーを活用した若狭湾エリアの産業振興やまちづくりについて検討を進めております。これまでに、廃炉関連産業の育成や地域全体で電力使用を効率化するスマートエリアの整備などについても議論しており、引き続き県議会のご意見を伺いながら、本年度中に計画を策定してまいります。
最後に、交通事故防止対策について申し上げます。
例年、10月から12月に交通死亡事故が多発する傾向にあります。特に夕暮れ時間帯に死亡事故が集中しており、先月から県警察と連携して「交通死亡事故防止対策集中運動」を新たに展開しております。現在の交通事故死者数は、前年同期に比べて減少しておりますが、引き続き年末に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。
今回提案いたしました補正予算案については、人事委員会の勧告を受け職員給与の改定を行うものであり、一般会計の補正予算規模は4億円、本年度予算額の累計は、4,954億円となります。
その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。
以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題等について申し上げました。なにとぞ慎重なご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。
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