第410回定例県議会知事提案理由説明要旨

最終更新日 2020年2月19日ページID 043216

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                                                                       令和2年 2月 18日                                                                第410回定例県議会


                       知事提案理由説明要旨


                                               福 井 県

                                     

        

  

 第410回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および令和2年度当初予算案、令和元年度2月補正予算案の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 

 最初に、中国武漢市を中心に世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、日本国内においても多くの感染者が確認されております。現在、県民に対して、こまめな手洗い、マスクの着用といった予防策を周知するとともに、感染の疑いがある場合には、保健所に連絡してから医療機関を受診するよう、呼びかけを行っております。また、県衛生環境研究センターにおいて、検査が実施できる体制を整えており、引き続き、感染動向を注視しながら万全を期してまいります。

 そのうえで、本県と友好提携を結んでいる中国浙江省を支援するため、現地で入手が困難な状態となっている医療用の手袋や帽子など約5万5千個の物資を発送いたしました。

 

 今年は記録的な暖冬となり、例年に比べ降雪量が極めて少ない状況にあります。今後の気象状況にもよりますが、除雪費が少なくなることが見込まれることから、その一部を活用して、必要な道路維持等の工事を実施いたします。

 あわせて、これら新型コロナウイルスや暖冬による中小企業への影響が見込まれることから、県では、速やかに相談窓口を設置するとともに、県の経営安定資金の融資条件を改正いたしました。引き続き、経済団体、金融機関と連携を密にしてまいります。

 

 さて、県議会議員をはじめ、多くの関係者の皆様とともに、全力を挙げて取り組んでおります北陸新幹線福井・敦賀開業まで、いよいよ3年余りとなりました。

 先月15日には、国際的なホテルブランドを展開するマリオット・インターナショナルが福井駅西口再開発ビルへの進出を決め、開業に向けたまちづくりも着実に進みつつあります。交流人口の受け皿となるだけでなく、同ホテルの高いレベルのサービスを通じて、本県のおもてなしの向上を期待しているところであります。

 

 福井が大きく変革するこの時に、本県の可能性を未来に大きく拡げるため、私の就任以来、初めての本格的な予算案を本議会に提出いたしました。国内外への本県プロモーションをはじめ、観光・まちづくりなど開業に向けた準備を加速するとともに、子育て・教育の充実、産業振興など、積極的な「攻めの予算」を編成いたしております。

 

 それでは、これら予算案の概要および県政の諸課題につきまして、ご説明申し上げます。

 まず長期ビジョンについては、策定過程からの県民参加を重視し、全市町での意見交換会や世代別ワークショップなど様々な方法により、策定を進めてまいりました。県民からのご意見、県議会でのご議論を踏まえ、2040年に福井県が目指す姿を描いた「将来構想」、最初の5年間に進める分野別の政策を具体化した「実行プラン」、それらを福井坂井、奥越、丹南、嶺南の地域別に整理した「地域プラン」からなる長期ビジョンの案をお示ししたところです。今後さらに、県議会からご意見をいただき、必要な修正等を加え、最終案をとりまとめてまいります。

 

 北陸新幹線の整備促進について申し上げます。

 金沢・敦賀間の工事の進捗については、4月からレールの敷設、夏頃からは駅舎の建築工事が始まる一方で、高架橋やトンネルなどの土木工事が順次竣工となる見込みです。作業員や建設資材の不足などの課題がある中においても、3年後の福井・敦賀開業を実現することを、先月、鉄道・運輸機構の理事長と確認しており、県としても、最大限の協力を行ってまいります。

 

 中部縦貫自動車道については、年度内に用地取得が全て完了する見込みであります。また昨年12月、大野・大野東間で最初の工事となる真名川橋の下部工に着手し、大野油坂間の全区間において工事が進められております。昨年明らかになった事業費の増加については、12月26日に私が、また今月4日には、県議会とともに県協議会が国に対して北陸新幹線福井・敦賀開業と同時期の開通に必要となる予算の確保や、一層のコスト縮減について強く要請し、今回の経済対策予算において、93億円の事業費が確保されました。

 

 これら高速交通体系の整備を控え、経済効果や雇用効果等をもたらす観光への期待が高まっており、今後5年間の本県の観光振興の指針となる「ふくい観光ビジョン」と、ふくいブームの創出や観光客の受入環境のレベルアップといったソフト対策を示した「FIRST291~北陸新幹線開業プラン~」の案をとりまとめたところです。

 さらに、地域一体となって観光に取り組むため、県観光連盟の組織体制を強化し、観光地域づくり法人(DМО)の登録を目指すとともに、本年4月には、コンベンション部門を新設し、県全体で誘致・営業体制を強化してまいります。

 

 恐竜博物館の機能強化については、議会とのご議論を踏まえ、外観イメージや配置レイアウトなどをとりまとめました。これをもとに、令和5年夏のリニューアルオープンを目指し、来年度から設計業務や造成工事に着手いたします。世界に誇る恐竜化石の研究ならびに情報発信の拠点として、未来に続く恐竜博物館を目指してまいります。

 また、恐竜列車やバスの運行、ホテルの恐竜ルーム・ロビーの改修などにより、「福井といえば恐竜」というイメージづくりを更に進めてまいります。

 

 さて先月からスタートしたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」に関連し、「明智神社」や「一乗谷朝倉氏遺跡」、「金ケ崎宮」、「国吉城址」などの光秀ゆかりの観光地への案内板やのぼり旗の設置など受入環境を整備いたしました。今後、大河ドラマで使われた衣装や小道具の展示、歴史・旅行雑誌への記事掲載等を通じ、本県との関わりや、ゆかりの観光地等を県内外に発信してまいります。

 

 本県へのUIターンやインバウンド誘客を促進するため、新たに京都事務所を開設いたします。京都は本県の高校生が最も多く進学する学園都市であり、東京・大阪に次いで外国人観光客が訪れる観光都市でもあることから、ここを拠点に、多くの訪日外国人や移住者を本県に呼び込めるよう全力で取り組んでまいります。

 

 次に、スポーツ・文化の振興について申し上げます。

 来月、地域スポーツコミッションを設立いたします。そのうえで、県・市町・スポーツ団体・経済団体等が一体となって、全国大会やイベントの誘致・開催、フルマラソン開催に向けた検討、県民挙げての県内トップチームの応援等を進め、スポーツを通じた交流人口の拡大や地域の活性化につなげてまいります。

 

 また来年度からは、若者の文化活動を支援するとともに、「まちかどミニコンサート」を開き、普段の生活の中で芸術文化を感じられる環境づくりを進めてまいります。嶺南地域においては、プロオーケストラによる演奏会などを開催し、芸術文化の鑑賞機会を拡大いたします。

 

 次に、結婚・子育て支援について申し上げます。

 新年度から新たな「福井県子ども・子育て支援計画」をスタートいたします。「子だくさんふくいプロジェクト」として、これまで第3子以降を対象としていた保育料無償化の第2子までの拡充や、家庭で育児をしている世帯への手当の創設など、名実ともに日本一の子育て支援を実施いたします。

結婚応援については、県・市町連携による広域的な婚活イベントの実施やAI活用のマッチングシステムを導入する「ふくい婚活サポートセンター(仮称)」の設置などにより、新たな支援体制を構築してまいります。

 

 次に、教育について申し上げます。

 教育委員会において、今後5年間の具体的な方策を定めた「福井県教育振興基本計画」を年度内に策定することとしております。学級編成基準の見直しによる小学5、6年の少人数学級の実施や中学校の習熟度別指導の強化、遠足や放課後児童クラブの体験活動による嶺北・嶺南の交流、企業人材を活用した「ふるさと教育」の推進などを行ってまいります。

 

 ICTを活用した教育については、全ての県立学校にタブレットや高速大容量の通信ネットワークを整備してまいります。先生が出した課題を生徒が家庭で事前学習し、授業では生徒の意見や回答をタブレットに表示して議論を展開していく生徒主体の授業を行うなど、楽しむ教育、引き出す教育を進めてまいります。

 

 教職員の働き方改革については、国が昨年12月に教育職員の給与等に関する特別措置法を改正し、教職員の時間外勤務の上限を月45時間以内とする指針を定めました。県においても条例を改正するとともに、国に対して教職員定数の抜本的な改善や、部活動指導を学校教育活動外として位置づけることを求めるなど、教職員の業務改善を進めてまいります。

 

 県立大学については、本県の水産業をリードする人材を育成するため、「持続可能な水産増養殖」について専門的に学ぶ新学科を設置いたします。小浜市の海洋生物資源臨海研究センターおよび小浜キャンパスを活用し、令和4年4月の開設に向け新学科棟の整備を進めてまいります。

 

 次に、経済・産業の振興について申し上げます。

 伝統工芸が集積する丹南地域において、福井が誇る本物のものづくりを見て体験してもらうため、新たにデザイナーのアイデアなどを取り入れた工場見学や体験メニューを開発する企業を支援してまいります。

 

 創業・新分野進出への支援については、クラウドファンディングを活用した資金調達を進めるとともに、全国からの移住創業者に対して奨励金を支給するなど、新たな挑戦を応援してまいります。

 

 雇用については、外国人労働者数が約9,100人と過去最高となっております。こうした中、外国人労働者が就労の場に本県を選び、長期にわたって活躍してもらえるよう、就業・生活環境の向上を目指す企業の取組みを積極的に応援してまいります。

 

 次に、農林水産業について申し上げます。

 「いちほまれ」については、県内はもとより首都圏や関西・中京圏を中心に県外でも順調な売れ行きとなっております。来年度に5,000トンまで、令和4年度に10,000トンまで生産・販売を拡大することとしており、一層の品質向上と十分な販路の確保とあわせ、消費者の認知度向上に向けた情報発信をさらに強化してまいります。

 

 さて、「ふくいの水産業基本計画」、「ふくいの森林・林業基本計画」については、今回、原案をとりまとめ、年度末を目途に計画を策定いたします。

 水産業では、IoTやAIなどを活用した養殖および操業の効率化による漁家所得の向上、「若狭ぐじ」や「越前がれい」のプレミアムブランドの創出などを進めてまいります。

 

 また、森林の大切さや木の良さについて県民が理解を深め、「木を伐って使い、植え育てる」という流れを社会全体で進めていくため、令和5年秋に「全国育樹祭」を誘致することといたしました。豊かな水と緑に恵まれたふるさと福井を次の世代へしっかり引き継いでまいります。

 

 次に、医療について申し上げます。

 「福井県医師確保計画」については、目標とする医師数や施策の方向性について検討を進めております。県外からのUIターン医師を登録しマッチングするドクタープール制度のほか、医師が不足している診療科への従事を要件とした県外の医学生に貸与する奨学金制度の創設など、新たな施策を進めてまいります。

 

 次に、防災対策について申し上げます。

 原子力災害制圧道路については、来月20日に敦賀半島の竹波()立石()縄間()線の延長約4.9㎞区間および佐田竹波敦賀線の延長約3㎞区間、26日には大島半島の赤礁崎公園線の延長約3.4㎞区間の供用を開始し、平成24年度から整備を進めてきた4路線の整備が完了いたします。この開通により、原子力発電所が立地している地域の安心・安全が格段に向上するものと考えております。

 

 原子力政策について申し上げます。

 使用済燃料の中間貯蔵施設の県外立地については、先月14日、関西電力に対し、計画地点の提示に向け、国とも連携し全社一丸となりスピード感を持って取り組むよう改めて求めたところです。

 「もんじゅ」については、今月5日から、原子力機構が貯蔵槽から燃料プールへの燃料の移し替え作業を実施しております。県としては、原子力機構および指導・監督する国に対して、廃止措置作業を安全、着実に進めるよう引き続き求めてまいります。

 

 次に、エネルギーを活用した地域振興について申し上げます。

 今月6日に開催した嶺南エネルギー・コースト計画策定委員会において、廃炉の本格化に向けた新たなビジネスの創出や、地域全体で電力使用を効率化するスマートエリアの整備などを目指す計画案「嶺南Eコースト計画」をとりまとめました。今議会でのご議論や県民の皆様からのご意見も反映しながら、今年度中に計画を策定する予定です。

 

 最後に、市町との協働について申し上げます。

 これまで市町と、職員の確保や業務改善など様々な課題解決に向けて、連携を密に進めてきております。新年度では、交流人口拡大に向けた地域の磨き上げや二次交通への対応など、独自の基盤整備に対して支援することとしており、市町の特色を活かした取組みを積極的に応援してまいります。

 

 以上、予算および事業を含めて申し上げました。この結果、令和2年度当初の一般会計予算額は4,872億円を計上しました。歳出については、投資的経費1,224億円などを計上するとともに、歳入については、県内企業の動向や地方財政計画を考慮し、県税収入は1,178億円、地方交付税は1,304億円などといたしました。

 新年度予算には、多くの新規事業を盛り込む一方、県民会議の開催などにより、既存事業の見直しを積極的に行い、財政調整基金の取り崩しを17億円にとどめております。

 

 令和元年度2月補正予算については、国の経済対策予算に対応して、道路改良や河川改修などの公共事業を進めるほか、事業費の確定に伴う減額補正を行うものであります。この結果、令和元年度一般会計の累計額は4,699億円となります。また、今年度の県債残高は4,837億円、基金残高は157億円となり、いずれも行財政改革アクションプランの目標を達成する見込みとなっております。

 

 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題等について申し上げました。なにとぞ慎重なご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。



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