第414回定例県議会提案理由説明要旨

最終更新日 2021年2月16日ページID 046131

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                                                                       令和3年  2月16日                                                                第414回定例県議会


                     知事提案理由説明要旨


                                               福 井 県

                                     

  

 

 第414回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および令和3年度当初予算案、令和2年度2月補正予算案の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 

 はじめに、先日、福島県沖を震源とする大規模な地震が発生しました。気象庁の発表では、10年前に起きた東日本大震災の余震と考えられ、引き続き十分な注意が必要とされております。被災地の安全と一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げますとともに、本県としましても、防災対策の強化に一層努めてまいります。

 

 次に、先月7日から10日にかけて嶺北地方を襲った大雪により、6名の方がお亡くなりになり、91名の方が重軽傷を負われるなど、甚大な被害が発生しました。亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災されたみなさまにお見舞いを申し上げます。

 県では、一日も早い県民生活の回復に向け、県管理道路の除雪を早期に完了するとともに、市町に対しては除雪機械の応援や県職員の派遣を積極的に行ったところであります。また、公共交通機関について、事業者と連携しながら、除雪応援やバス路線の優先除雪を行うとともに、燃料供給については、県民への事前備蓄の呼びかけや各給油所への配送ルートの優先除雪に努めたところです。

 一方で、北陸自動車道や国道8号などで大規模な渋滞・滞留が発生し、道路を利用されていた方、県民のみなさまにご迷惑をおかけする事態となりました。再発防止に向け、まず発災直後の先月13日および15日に、直轄管理道路・高速道路の除雪体制強化などについて、赤羽国土交通大臣および武田総務大臣に対して緊急要請を行ったところであります。25日には「福井県冬期道路情報連絡室」の臨時会議において、県からも、交通全体のオペレーションの改善、広報手段の強化等についての提案を行い、国や中日本高速道路株式会社が対応策をとりまとめました。

 そのうえで、29日に北陸自動車道の予防的通行止めが行われた件については、中日本高速道路株式会社が人命最優先の観点から実施したものと承知しておりますが、県内の社会経済活動への影響が大きいことから、運用の改善について、先日、私自身が同社社長に申し入れを行ったところであります。県議会や経済団体などのご意見も伺いながら、今後さらに関係機関と協議を尽くしてまいります。

 また、今回の大雪により、農業用ハウス425棟が倒壊・半壊する被害が発生しております。県では、JAと協力し、先月から被災農家向け相談窓口を設置するとともに、農業経営支援資金の受付を開始しております。加えて、今回の補正予算案において、風雪に強い農業用ハウスの再整備等を支援することとしており、早期復旧を図ってまいります。

 

 次に、あわら市内の製薬会社において、製造販売する医薬品に睡眠導入剤が混入した事案については、全国で多くの健康被害をもたらしており、大変遺憾であります。国・県等が実施した調査の結果、長年にわたる法令違反が確認されたことから、今月9日に、116日間の業務停止処分を行いました。法令順守の組織体制が構築され、適切な製造管理が行われるよう、指導を行ってまいります。

 

 それでは、予算案の概要および県政の諸課題につきまして、ご説明申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症について申し上げます。

 年末年始の帰省や社会福祉施設内の感染などにより、感染者が増加し、先月9日には「福井県感染拡大警報」を発令いたしましたが、その後、新規感染者数が減少傾向に転じたことから、昨日15日には「福井県感染拡大注意報」への切替えを行いました。引き続き、マスク着用の徹底や会食時の注意喚起など、感染拡大防止対策に努めてまいります。

 ワクチンの接種体制については、医療従事者への優先接種を行う施設として、県内57病院を選定いたしました。今月14日に承認されたワクチンは、18日に県内に搬送され、19日に福井勝山総合病院において県内初の接種が開始される予定です。ワクチン流通の調整や住民接種に向けた市町に対する支援など、県民のみなさまが速やかに接種を受けられるよう、準備を進めてまいります。

 

 コロナ禍における最近の経済情勢については、国の1月の月例経済報告において、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。」とされております。

 県としては、引き続き、経済再生にしっかりと軸足を置いて取り組むこととし、県内の消費拡大に向け、デジタルバウチャー「ふく割」の発行を先月16日から開始いたしました。

 さらに今後は、「県版持続化給付金」や「県版GoToEatキャンペーン」の実施などにより、経済団体等と連携を密にしながら、売上げが減少した事業者を全力で応援してまいります。

 

 観光業に関しては、国の「GoToトラベル事業」が一時停止となった12月末以降も継続して「ふくいdeお得キャンペーン」を実施してまいりました。さらに、明日17日の宿泊分からは、宿泊の割引率を最大50%へ引き上げ、県民の県内旅行を一層推進しております。新年度においても、県内の感染状況や国の動向等を踏まえ、新たな宿泊割引や独自のクーポン事業の実施により、県内観光関連産業への支援を行ってまいります。

 

 次に、北陸新幹線の整備促進について申し上げます。

 金沢・敦賀間については、工期の厳守と地方負担の更なる縮減を求める県議会の決議を踏まえ、先月13日、令和5年度末までの確実な開業や、工期遅延に伴う並行在来線やまちづくりに生じる負担への対応などについて、畑議長とともに国土交通大臣に要請いたしました。22日には、本県や石川県、国土交通省、鉄道・運輸機構などをメンバーとする工程・事業費管理連絡会議をスタートしたところであります。新たに本県に設置される機構の司令塔組織とも連携しながら、工事進捗等を監視してまいります。

 

 敦賀・新大阪間については、先月25日、与党PTが同区間の整備に関する委員会の設置を決定しました。建設財源の確保に向けた検討が加速されるものと期待しており、関西をはじめ、沿線の自治体や経済界との連携を一層強化し、引き続き、令和5年度当初の着工と一日も早い全線開業を政府・与党に求めてまいります。

 

 並行在来線については、経営計画の策定時期を本年10月に見直すことといたしました。開業の遅れに伴う追加経費の負担については、先月27日、国土交通省や鉄道・運輸機構などと具体的な支援策を協議する1回目の調整会議を開催しました。この追加経費については、国が責任をもって全額を措置するよう、強く求めてまいります。

 

 中部縦貫自動車道については、国の経済対策において、109億円の事業費が追加されたところであり、引き続き、全区間の早期開通に必要な予算措置と工事の推進を国に働きかけてまいります。

 

 さて、2026年度の東海環状自動車道の全線開通や2027年のリニア中央新幹線名古屋開業などにより、今後、中京圏の人流・物流の増大が見込まれます。本県にとっても、中部縦貫自動車道や冠山峠道路の開通により、ビジネス・観光面で大きなチャンスが生じることから、本年9月頃を目途に名古屋事務所を開設し、本県への企業誘致やUIターン、観光誘客の促進を図ってまいります。

 

 観光地の磨き上げについては、東尋坊や三方五湖エリアにおいて、市町が行う観光施設の整備に対して支援を行うとともに、六呂師高原においては、アウトドアを活かした高原全体の活性化策や誘客の柱となる事業の検討などを進めてまいります。

 

 次に、スポーツによる交流について申し上げます。

 フルマラソン大会については、来月、準備委員会を設置し、実施計画の策定、開催機運の醸成や大会広報など、新幹線開業後の開催に向けた準備を進めてまいります。また、シニア世代を対象とした総合スポーツ大会「日本スポーツマスターズ」の2023年の開催に向けた誘致を進めるなど、スポーツによる県内の盛り上がりを創出してまいります。

 

 次に、子育て・教育について申し上げます。

 新年度から新たに、安心して子育てができる環境づくりを進める「ふく育」応援事業をスタートいたします。店舗や事業所による支援について、これまでの子どもが3人以上の世帯から、すべての子育て世帯と妊婦に拡充するとともに、新たにポータルサイトを開設し、子育てに関する情報を一元的に発信するなど、子育てを社会全体で応援してまいります。

 

 ICTを活用した教育については、今年度整備した1人1台のタブレット端末の効果的な活用を進めるため、県立全ての高校、中学校に授業支援アプリを導入するなど、「引き出す、楽しむ教育」をさらに進めてまいります。また、令和4年度入試から県立高校入試のウェブ出願を導入し、利便性向上や業務の効率化を図ってまいります。

 

 次に、農林水産業の振興について申し上げます。

 「いちほまれ」については、コロナ禍により全国的に米の販売状況が厳しい中でも、昨年と同程度の販売量を確保しております。新年度は、テレビCMの放映回数を増やすとともに、量販店での販売促進キャンペーンを実施するなど、県とJAが一体となって全国の消費者への認知度向上を図ってまいります。

 

 水産業については、新年度、小浜市堅()海()地区に水産学術産業拠点施設を整備し、増養殖事業者の誘致を進めてまいります。拠点施設では、企業、県立大学、県水産試験場が連携して研究開発を行うとともに、学生の実践的な学習の場や地元漁業者の課題解決の場としても位置付け、地元への就業機会の確保および地域の活性化につなげてまいります。

 

 次に、経済・産業の振興について申し上げます。

 デジタル技術の導入支援やIT人材の育成を担う拠点として、新たに、ふくい産業支援センターに「DXオープンラボ」を開設するとともに、有識者や外国人ITエンジニアを配置し、県内企業のデジタル化に向けた支援体制を強化してまいります。

 

 企業誘致については、若者や女性が働きたくなる環境を備えた魅力ある企業や、都市圏からのサテライトオフィスの誘致を強化してまいります。特に、県が進めるプロジェクトと連携して高い付加価値を生み出す企業については、投資・雇用要件を撤廃するなど、新たな支援制度を設けることにより、積極的に誘致を進めてまいります。

 

 アンテナショップについては、「ふくい南青山291」の運営を令和4年3月末まで延長することといたしました。現在、「食の國福井館」の移転先物件の募集に着手しており、今後、両館の運営事業者の選定や設計業務を実施するなど、令和4年度中の両館のリニューアルオープンに向けた準備を進めてまいります。

 

 次に、防災対策について申し上げます。

 国の令和2年度第3次補正予算において、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が盛り込まれました。本県でも、これを最大限活用し、流域治水対策や道路ネットワークの機能強化、インフラ老朽化対策などを集中的に進めてまいります。

 

 原子力政策について申し上げます。

 使用済燃料の中間貯蔵施設については、今月12日、関西電力の森本社長から、むつ中間貯蔵施設の共同利用に参画したいことを表明したとの報告がありました。関西電力は、今後、国や電気事業連合会と一体となり、地元理解に向けて取り組むとともに、その他の地点も含めてあらゆる可能性を追求するとしています。あわせて、2023年末を期限として計画地点を確定するとし、期限までに実現できない場合には、その後、確定までの間、美浜3号機、高浜1、2号機を運転しないという方針が示されました。

 また、資源エネルギー庁長官からは、計画地点の確定に向けて、国も関係者の理解確保に最善を尽くすことを約束するとの考えが示されました。

 県としては、2020年末としていた計画地点の提示について一定の回答があったこと、さらに計画地点の確定期限が明示されたこと、確定に向けた関西電力と国の覚悟が示されたことから、新しい課題の議論に入る前提は満たしたものと考えております。

 また、先月8日、国の原子力防災会議において美浜地域の広域避難計画が了承され、昨日、原子力規制委員会が高浜発電所の保安規定の変更認可を行ったことにより、美浜3号機、高浜1、2号機に関する許認可や原子力防災などの国の手続きは整いました。

 さらに、立地町においては、今月1日に高浜町長が、昨日には美浜町長が、それぞれ再稼働について理解するとの考えを示したところです。

 こうした状況の中、今月12日、梶山経済産業大臣から、立地地域の将来像を国として強い思いをもって検討すると示されるとともに、改めて、美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働について理解と協力を求められたところであります。県としては、今後、国や事業者に求めている事項への対応を確認するとともに、県原子力安全専門委員会においてプラントの安全性について審議を進めることとしております。県議会においても、美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働について議論に着手していただき、慎重にご検討いただきたいと考えております。

 

 最後に、エネルギーを活用した地域振興について申し上げます。

 嶺南Eコースト計画のさらなる推進のため、4月には、国や県、電力事業者が一体となった協働推進組織を嶺南地域に設置し、スマートエリアの形成や原子力リサイクルビジネスの育成、新たな試験研究炉の利活用促進などのプロジェクトを実行してまいります。

 

 以上、予算および事業を含めて申し上げました。この結果、令和3年度当初の一般会計予算額は、過去最大となる5,561億円となります。歳出については、投資的経費1,252億円などを計上するとともに、歳入については、県内企業の動向や地方財政計画を考慮し、県税収入は1,083億円、地方交付税は1,298億円などといたしました。

 

 令和2年度2月補正予算については、国の経済対策予算に積極的に対応するほか、事業費の確定に伴う減額補正を行うものであります。この結果、令和2年度一般会計の現計予算額は5,766億円となります。

 また、今年度の県債残高は5,079億円、基金残高は124億円となり、いずれも行財政改革アクションプランの目標を達成する見込みとなっております。

 

 今回の予算編成に当たっては、本県の未来を見据え、長期ビジョンに基づいた政策を積極的に盛り込むとともに、新型コロナウイルス感染症や大雪被害への緊急的な対策を躊躇なく進めていくこととしております。過去最大となる歳出予算を計上する一方で、厳しい財政状況の下、国の財源の確保や今年度不要となった財源の活用などにより、新年度の財政負担をできる限り抑えることとしております。

 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 

 以上、私の県政に対する所信の一端と県政の重要課題等について申し上げました。なにとぞ慎重なご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。


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