第417回定例県議会提案理由説明要旨

最終更新日 2021年6月15日ページID 047111

印刷

                                                                       令和3年  6月15日                                                                第417回 定例県議会


                     知事提案理由説明要旨


                                               福 井 県

                                     

  

 

  

  

  

 第417回定例県議会の開会に当たり、県政運営の所信の一端を申し述べますとともに、県政の諸課題および令和3年度6月補正予算案の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 

 まず、新型コロナウイルス感染症について申し上げます。

 県内の感染状況が落ち着きを見せていることから、今月4日に「福井県感染拡大注意報」への引下げを行いましたが、全国の感染状況が収束に向かうまで、引き続き、感染拡大防止対策に努める必要があります。

 こうした中、先月15日、菅総理大臣はじめ関係大臣と会談し、「福井モデル」の感染拡大防止対策について、その特長や有効性を紹介いたしました。その後、総理大臣の記者会見や国の専門家会議で取り上げていただいているところであり、全国的な感染拡大防止対策の知見の蓄積の一助となればと考えております。今後も市町や医師会などと連携し、「福井モデル」の充実をさらに進めてまいります。

 特に、本県の4月、5月の感染事例の8割超がマスク非着用だったことを踏まえ、会話の際のマスク着用を徹底する「おはなしはマスク」の定着を促進するとともに、「マスク会食」を含めた飲食店の感染防止対策について、現地確認を通じてレベルアップを図ってまいります。

 ワクチン接種については、福井市内に設置する県のワクチン接種特設会場において、65歳以上の高齢者に加え、本日からは接種券をお持ちの64歳以下の方も予約の対象とし、今月19日から接種を行ってまいります。さらに今後は、接種回数の増加を図る医療機関に対する支援や、県による特設会場の増設などにより、一層の体制強化に努めてまいります。

 医療体制については、感染者用の病床を304床まで拡大し、軽症者用の宿泊療養施設と合わせて450床を確保しております。今後は、症状が回復した患者の転院を進めるなど、病床の効率的な運用を図るとともに、100床規模の臨時の医療施設について新たに開設準備を進め、感染の拡大に備えてまいります。

 

 コロナ禍における最近の経済情勢については、国の5月の月例経済報告において、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さが増している。」とされております。

 県としては、これまでの「県版持続化給付金」を見直し、経営改善等に前向きに取り組む事業者を新たに支援するとともに、県独自の緊急事態宣言の発出等の影響を受けて売上げが大きく減少した事業者の事業継続を支援する「中小企業者等事業継続支援金」を新たに創設し、引き続き、苦しい状況に置かれている県内事業者を支援してまいります。

 また、デジタルバウチャー「ふく割」の追加発行や「GoToEatキャンペーン」の延長、さらには「いちほまれ」や地酒などの県産食材を活用した「マスク会食推進キャンペーン」等を実施し、県内消費の再喚起に努めてまいります。

 

 観光業に関しては、国の「GoToトラベル事業」が一時停止となる中、昨年から継続して「ふくい de お得キャンペーン」を実施し、県内観光関連産業を支援してまいりました。県民の県内旅行を一層推進するため、7月、8月の夏休み期間における割引上限額を5千円から1万円に引き上げ、誘客促進を図ってまいります。

 

 鉄道・バスなどの公共交通機関等については、感染症の長期化が経営に与える影響を踏まえ、安定的な運行や車両維持のための経費について、県として支援をしてまいります。

 

 スポーツ・文化については、「ふく割」を活用した県民のスポーツ・文化イベントの観覧機会の創出や、県民応援チーム「FUKUIRAYS」との交流活動を通じた街なかでのスポーツ機会の創出、文化ホールにおける芸術文化活動の発表機会の提供などを行ってまいります。

 

 県内の雇用情勢については、4月の有効求人倍率が1.77倍となり、前月比で0.15ポイント上昇したものの、23か月連続で前年同月を下回っており、依然として新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に注意する必要があります。

 こうした中、先月、国の雇用調整助成金等の特例措置が縮小されたことから、国の助成金支給に対して県独自の上乗せを行っているところであり、労働力不足にある企業への一時的な出向等の支援と合わせ、雇用の安定に努めてまいります。

 

 次に、北陸新幹線の整備促進について申し上げます。 

 金沢・敦賀間については、4月10日に、工事遅延の大きな要因となった敦賀駅部の建設現場を赤羽国土交通大臣に視察いただき、令和5年度末までの確実な開業を改めて要請しました。

 工事については、先月28日、工程・事業費管理連絡会議の幹事会において、加賀トンネルの盤ぶくれ対策工事の完了など、予定どおり順調に進捗していることが鉄道・運輸機構から報告されました。今後も引き続き、会議の場などを通じて、国、駅設置市などとともに、工程および事業費の適切な執行を監視してまいります。

 

 敦賀・新大阪間については、2月に設置された与党整備委員会において、環境アセスメントの状況や施工上の課題の整理が行われております。県としては、引き続き、県議会、市町、経済界、さらには関西とも一体となり、これらの議論がより一層加速し、建設財源をはじめとする着工5条件の早期解決が図られるよう強く求めてまいります。

 

 並行在来線については、10月の経営計画策定に向け、JRとの鉄道資産の譲渡交渉などを着実に進めてまいります。また、開業遅延に伴う追加経費については、国からの「鉄道・運輸機構による出資」という提案を、並行在来線会社への経営参画の制限など条件を付けて受け入れることとしました。今後は、出資手続きに必要な計画の作成とともに、追加経費の全額が確実に措置されるよう国等と協議を続けてまいります。

 

 敦賀開業後の特急存続要望については、JR西日本や国との協議を重ねてまいりましたが、運行上の物理的制約や並行在来線会社の収支悪化など多くの課題があり、実現が困難な状況です。今後は、福井・敦賀開業に向け、新幹線と特急をスムーズに乗り継ぐための本数確保やダイヤ編成など、敦賀駅における乗り換え利便性の確保を強く求めてまいります。

 

 ローカル線の維持・活性化について申し上げます。

 JR西日本が今秋のダイヤ改正に合わせ、小浜線および越美北線の減便等を検討していることを受け、先月21日および今月2日に、沿線市町とともにJR西日本に対し運行本数の維持を要請し、4日にも再度、要請を行いました。また、国に対し、運行本数の維持に向けた積極的な関与や運行支援などを求めるため、今月4日に、県議会および沿線市町と連名での要望書を提出するとともに、9日には国土交通省に対し要望を行いました。今後とも県議会のみなさまとともに、国やJR西日本に対し、県民の生活基盤であるローカル線の運行本数の維持を強く求めてまいります。

 

 中部縦貫自動車道については、今年度当初予算で昨年度の1.2倍の339億円という過去最大の事業費が配分され、全トンネル10本のうち、9本目となる東市布トンネルに着手するなど、着実に工事が進められております。

 そのうえで、4月に、国から「防災・減災、国土強靭化に向けた道路の5か年対策プログラム」が公表されました。この中で、中部縦貫自動車道大野油坂道路は令和8年春に、国道417号冠山峠道路は令和5年内に開通するとの見通しが示されました。両路線の全線開通見込みが明らかとなり、中京圏からの観光誘客や企業誘致に、より一層の弾みがつくものと期待されます。

 県としては、両路線の一日も早い全線開通が実現できるよう、地元市町とともに、必要な予算措置と工事の推進を国に働きかけてまいります。

 

 次に、まちづくりについて申し上げます。

 県、福井市、経済界による「県都にぎわい創生協議会」が今月1日に開催され、北陸新幹線福井・敦賀開業に向けた観光コンテンツの魅力向上や、県都の将来像を構想するグランドデザインについて協議しました。引き続き、プレーヤーとなる経済界を中心に、県も積極的に参画しながら、グランドデザインの策定やプロジェクトの具体化を進めてまいります。

 

 次に、子育て支援について申し上げます。

 今月4日に発表された令和2年の本県の合計特殊出生率は1.61となり、全国6位の高い水準となりました。本県が全国に先駆けて実施してきた育児支援策に加え、昨年度には、保育料無償化の第2子までの拡大や、家庭で育児をしている世帯への新たな手当の支給を実施するなど、本県が一貫して子育てしやすい環境づくりを進めてきた成果と考えております。

 今後は、安心して子育てができる環境づくりを進める「ふく育」応援事業の10月からのスタートと合わせ、「ふく育」応援団登録店を対象とした「ふく割」キャンペーンを実施するなど、妊娠・出産・子育てを社会全体で応援する機運をさらに高めてまいります。

 

 次に、教育について申し上げます。

 この春、平成27年に開校した高志中学校の1期生が高校を卒業したことから、今月、中高一貫教育の検証委員会を設置して検討を開始しました。これまでの学習内容や成果、課題を整理しながら今後の改善につなげるとともに、金津、丹生、美方高校における今後の中高連携のあり方も検討してまいります。

 

 県立高校の魅力向上については、成長産業の創出や地域産業の牽引に資する人材育成を目指した国のマイスター・ハイスクール事業に、本県から若狭高校と坂井高校が採択されました。非常勤の民間人教頭を迎えるなど、地元産業界や大学、研究機関との連携を強め、新技術やDX等の産業構造の変化に対応した魅力あるカリキュラムを実施してまいります。

 

 今夏、本県を中心に北信越で開催されるインターハイについては、原則無観客とする全国高体連の方針を踏まえ、県内開催13競技についても無観客とし、観客席を選手の控えスペースに使用することといたしました。今後、県内外の感染が拡大した場合には、競技別の開催の可否を含め、対応を検討してまいります。

 

 教員の働き方改革を踏まえた中学校の休日部活動の地域移行については、国の採択を受け、今年度の実践研究を、運動部は鯖江市と美浜町、文化部は敦賀市で実施することとなりました。実践研究は8月以降順次開始していく予定であり、研究を通じて課題の洗い出しを行うとともに、学校や生徒、保護者などの意見を聴きながら、子どもたちにとって望ましい、持続可能な部活動のあり方を検討してまいります。

 

 次に、防災対策について申し上げます。

 大雪対策については、本年1月の大雪時の対応や課題、今後の強化策について、国や市町、関係機関の意見も伺いながら、とりまとめを行ったところです。今後の強化策としては、除雪体制のさらなる強化に加え、事前の出控えや広域迂回の呼びかけによる車両抑制や、大雪時の一車線先行除雪などにより、大規模な車両滞留を回避するとともに、社会経済活動への影響を最小限にとどめる取組みを進めることとしております。今後、降雪期までに必要となる対策を速やかに実行し、雪害対策に全力を注いでまいります。

 

 緊急医療用のドクターヘリについては、先月24日から県内全域を対象とした運航を開始いたしました。速やかな初期治療の実施と搬送時間の大幅な短縮が図られており、今後、他県との広域運用についても検討を進めるなど、積極的に活用してまいります。

 

 原子力政策について、申し上げます。

 関西電力美浜3号機、高浜1、2号機の再稼働については、本県の原子力行政三原則に照らしながら、県議会や地元美浜町、高浜町の意見、県原子力安全専門委員会の審議結果、国や事業者から示された方針などを総合的に勘案し、4月28日、再稼働に同意し、梶山経済産業大臣に対しその旨を伝えました。

 美浜3号機については、事業者において延べ200人体制での特別総点検が実施されるなど、原子炉起動に向けた準備が進められています。高浜1号機については、燃料装荷を行い、今月8日まで自主点検が行われていました。県としては、プラントの状況を毎日確認するとともに、燃料装荷など重要な局面では現場に職員が立ち会うなど、監視を強化しているところです。

 

 原子力政策に関して、国は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、将来にわたって原子力を持続的に活用するとしております。 今月9日には、経済産業省に対し、エネルギー基本計画の見直しの中で、原子力の位置付けとそこに至る道筋をより明確に示すよう、改めて要請したところであり、今後も強く求めてまいります。

 

 エネルギーを活用した地域振興について申し上げます。

 嶺南Eコースト計画の推進については、4月に、国や県、電力事業者が一体となった、官民協働の新たな推進組織を敦賀合同庁舎内に設置いたしました。地元の市町や企業との協議を機動的に行い、スマートエリアの形成や原子力リサイクルビジネスなどのプロジェクトを強力に推進してまいります。

 

 今月21日には、「立地地域の将来像に関する共創会議」が敦賀市内で開催されます。県としては、国が責任を持って立地地域の将来の姿を描き、その実現に向け、原子力に関する研究開発の推進や産業の複線化、新産業創出など、立地地域の振興に資する事業を充実するよう、強く求めてまいります。

 

 以上、予算および事業を含めて申し上げました。この結果、今回の一般会計の補正予算案の規模は全体として101億円、本年度予算額の累計は5,716億円となります。

 

 最後に、第53号議案、福井県核燃料税条例の制定についてご説明申し上げます。

 核燃料税は、昭和51年に本県が全国に先駆けて創設した法定外普通税であり、以後5年ごとに見直しを行ってまいりました。

 現行の条例の課税期間は本年11月までとなっており、今回、使用済燃料の県外搬出をより強力に推進するため、搬出促進割の税率を全国最高水準まで引き上げるとともに、安定的な税収を確保できるよう、出力割の税率を引き上げることとしております。

 

 その他の議案につきましては、それぞれ記載の理由に基づき提案いたした次第であります。

 なにとぞ慎重なご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。

 


知事提案理由説明要旨(PDF形式)

関連ファイルダウンロード



※PDFをご覧になるには「Adobe Reader(無料)」が必要です。

Adobe Readerのダウンロードサイトへリンクダウンロードはこちら

関連記事

アンケート
ウェブサイトの品質向上のため、このページのご感想をお聞かせください。

より詳しくご感想をいただける場合は、zaisei@pref.fukui.lg.jpまでメールでお送りください。

お問い合わせ先

財政課

電話番号:0776-20-0234 ファックス:0776-20-0629メール:zaisei@pref.fukui.lg.jp

福井市大手3丁目17-1(地図・アクセス)
受付時間 月曜日から金曜日 8時30分から17時15分(土曜・日曜・祝日・年末年始を除く)