実用化技術等(平成10年)

最終更新日 2023年3月13日ページID 052162

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【平成10年度】

1.水稲湛水直播栽培における除草剤使用期間の推定法
2.スターホイルトラクタによる湛水直播作業体系
3.ダイコン収穫用搬出機
4.キャベツ、ハクサイの機械移植におけるセル苗の低温貯蔵法
5.ナバナの種子低温処理による年内収穫技術
6.雑草抑制効果がある地被植物の選定
7.夏ギク「サマーイエロー」の優良系統
    「サマー福井1号」「サマー福井2号」および「サマー福井3号」

8.無加温ハウスを利用したストックの春どり栽培
9.栄養繁殖系シンテッポウユリの切り花用新品種「若狭育成1号」
10.シンテッポウユリ×スカシユリの切り花用新品種「若狭育成2号」
11.ニホンナシ「幸水」の施設栽培シュミレーションシステムの開発
12.ウメ黒星病のスプリンクラー防除
13.豆腐粕の過リン酸石灰添加による高速堆肥化
14.土壌断面調査結果の活用支援システム
15.晩生水稲「日本晴」の全量基肥施肥法
16.三方湖底客土田の水稲施肥法
17.ミディトマトの病原ウイルスの同定と市販品種の反応
18.福井県におけるチオファネートメチル耐性ダイズ紫斑病菌の発生と防除対策
19.ラッキョウからの水溶性食物繊維(フルクタン)の製造方法
20.トウモロコシ主体飼料による若狭牛(黒毛和種去勢牛)の産肉性改善
21.ウシ受精卵を用いる雌雄産み分け技術
22.子豚の早期去勢によつ飼育管理の省力化

 

平成10年度

 

水稲湛水直播栽培における除草剤使用期間の推定法

[要約]水稲苗およびノビエ葉令の進展気温との密接な関係から、除草剤使用期間有効積算気温で表示でき、気温変動を考慮して剤の使用日が推定できる。

福井県農業試験場・作物経営部・直播栽培研究グループ

連絡先

0776-54-5100

部会名

作物生産

専門

栽培

対象

稲類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

水稲直播栽培では、生育初期においてノビエ葉令が水稲より早く進展するため、代かき後の播種が遅れた時などは散布時期を失する場合がある。大区画圃場では葉令の進んだ雑草を見落とし易いので、剤の使用も遅れやすい。そこで、ノビエおよび水稲苗の初期生育速度と有効積算気温との関係から、除草剤使用可能期間を推定した。

 

[成果の内容・特徴]

1.水稲苗の葉令は播種日起点の有効積算気温[(日平均気温‐10℃)の積算値]と、ノビエ最大葉令は代かき日起点の有効積算気温と密接な関係があり、薬害のい安全な水稲最少葉令と剤の効果が期待できるノビエ最大葉令はA・B式より推定できる(図1、2)。

2.除草剤の使用可能な有効気温積算値の範囲は、キヌヒカリを栽培した場合で、

(1)パターンI:一発処理剤のみで除草する場合(図3a)

 水稲0.5葉期~ノビエ2葉期で使用できるので、播種後69℃~代かき後102℃の範囲。

(2)パターンII:代かき後の播種が遅れ、一発処理剤をノビエ2葉期までに処理できない場合(図3b)

広葉雑草は一発処理剤で、ヒエはシハロホップブチル剤で枯殺する。この場合、一発処理剤は水稲0.5葉期~広葉2葉期(ノビエ3葉期に相当)で、シハロホップブチル剤は1.5kg/10aであれば水稲0.5葉期~ノビエ3.5葉期で使用できる。すなわち、播種後69℃~代かき後156℃が一発処理剤の使用範囲、播種後69℃~代かき後184℃がシハロホップブチル剤の使用範囲。

3.農作業前なら播種予定日から平年値で有効気温を積算し、上記範囲の最小値となった日が除草剤使用開始日で、代かき・整地の予定日から平年値で有効気温を積算し、上記範囲の最大値となった日が使用晩限日。代かき後や播種後であれば、各作業の実施日から計算日までは実際の気温で、その後は平均値で、剤の使用開始日・晩限日を算出する。

 

[成果の活用面・留意点]

1.使用期間は、福井県除草剤の使用指針に従って計算した。

2.農作業前に余裕のある除草を行えるよう作業計画が立てられる。また、代かきや播種後であれば実際の気温の年次変動に合わせて除草実施日の変更ができる。

 

[具体的データ]

 

 

[その他]

 研究課題名:折衷直播栽培における大区画トラクターワンマン作業法と収量食味安定化技術の確立

 予算区分 :国補(地域基幹)

 研究期間 :平成9年度(平成6~10年)

 研究担当者:酒井 究、佐藤 勉

 発表論文等:なし

[平成10年度 普及に移す技術]

スターホイルトラクターによる湛水直播作業体系

[要約]大区画水田の現地実証試験でスターホイル(ロークロップ車輪)装着トラクターを用いた省力低コスト性の高い湛水直播トラクタ一貫作業体系を確立した。この作業体系に荒代かきや浸漬籾播種を組み合わせることで、一層の省力化ができる。

福井県農業試験場・作物経営部・作業システム研究グループ

契機

部会名

営農・作業技術

専門

作業

対象

稲類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

低コスト・高能率・快適な稲作技術確立に向けて、大区画水田における管理作業用に開発したスターホイル(水田用ロークロップ車輪)を活用した湛水直播トラクタ一貫作業体系の確立を図る。そのため、現地大区画圃場において体系の組立実証試験を実施した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)耕起から代かきまでは通常のハイラグタイヤを装置し、播種作業からスターホイルを装置することで、1台のトラクタ(34kw)により収穫直前までの多くの管理作業を行える作業体系が実証できた(図1)。

(2)水稲生育期間中にスターホイルトラクタが走行することで、稲体が損傷を受け、収量低下がみられるが、圃場全体でみるとその程度は小さく、減収率は2~3%である(表1)。

(3)より一層の省力化を図るため取り組んだ荒代かき(慣行では2行程で仕上げる代かきを1行程で仕上げる)区の苗立率は、慣行代かき区とほぼ同等となり、収量は慣行並~やや上回る(表2)。

(4)酸素発生剤カルパー粉を省略した浸漬籾区の苗立率はカルパー籾区よりも低下したが、播種量を増加させることで苗立数は確保でき、収量もほぼ同等である(表2)。

(5)この湛水直播一貫作業体系は、実証地区内の移植栽培と比べ、10aあたりの労働時間は48~43%に、費用合計では88~84%に軽減され、省力・低コスト栽培を可能とした(表3)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)この体系は、オペレータ1人または、オペレータ+補助者の計2人で稲作の全作業を実施できる。

(2)1台のトラクタ+アタッチメント(作業機)で収穫以外の全作業ができ、機械費の低減が可能となる。

(3)スターホイルトラクタで耕盤層の地耐力が小さい圃場や暗渠排水埋設位置直上を走行すると、トラクタが沈下を起こしやすいので注意する。

 

[具体的データ]

表1 スターホイルトラクタ走行による収量への影響  (品種キヌヒカリ)

年次

スターホイルトラクタ1)

の走行回数

(回/年)

直進部

 

旋回部

 

圃場全体

実数

(kg/10a)

指数2)

(%)

 

実数

(kg/10a)

指数2)

(%)

 

実数

(kg/10a)

指数2)

(%)

1995

3

487

96.8

 

453

99.8

 

479

97.6

1996

4

622

98.7

 

538

94.7

 

601

97.7

1997

6

566

96.2

 

495

85.6

 

568

97.0

注1)スターホイル車輪幅1995年前後輪90mm、1996年100mm、1997年前輪100mm後輪150mm

注2)指数は走行の影響を受けない場所(轍から2m以上離れたところ)に対するもの

 

表2 播種量、苗立率および収量構成要素        (1997年、品種キヌヒカリ)

試験区名

播種量

(kg/10a)

苗立率

(%)

苗立数

(本/㎡)

穂数

(本/㎡)

一穂籾数

(粒)

登熟歩合

(%)

千粒重

(g)

精玄米重

(kg/10a)

収量

指数

慣行代かきカルパ籾

5.2

41

81

327

79

92.2

22.0

572

100

慣行代かき浸漬籾

12.3

36

170

537

51

89.5

22.5

554

97

荒代かきカルパ籾

5.2

49

98

444

69

89.6

22.4

600

105

荒代かき浸漬籾

12.3

32

149

499

54

90.0

22.5

586

102

 

表3 労働時間ならびに生産費

年次

区名

労働時間

 

費用

 

合計

(hr/10a)

対比

 

(円/10a)

対比

 

(円/60kg)

対比

1996

慣行代かきカルパ籾

11.3

(48)

 

103,898

(88)

 

11,053

(93)

1997

慣行代かきカルパ籾

10.0

(45)

 

99,483

(86)

 

11,867

(88)

1997

荒代かき浸漬籾

9.6

(43)

 

98,111

(84)

 

11,703

(86)

注1)表中括弧内の対比は、現地実証地区の移植(コシヒカリ、ハナエチゼン)に対する比率(%)

注2)費用合計は実証地区の水稲作付規模(22.4ha)をもとに算出

 

[その他]

 研究課題名:トラクタワンマン機械化体系による折衷直播超低コスト栽培技術の確立

 予算区分 :国補(地域基幹)

 研究期間 :平成9年度(平成6~10年)

 研究担当者:土田政憲、鹿子嶋 力、山田正美、前川英範、北倉芳忠(現農産園芸課)、

       小島佳彰(坂井農改)

 発表論文等:スターホイール(水田用ロークロップ車輪)トラクタ直播一貫作業体系、

       農作業研究第32巻(別号1)、1997

[平成10年度 普及に移す技術]

ダイコン収穫用搬出機

[要約]汎用クローラ型運搬車と搬出用横送りコンベアを組み合わせ、茎葉処理装置付きのダイコン収穫用搬出機を開発した。作業強度が慣行作業と同程度のとき、作業能率はほぼ2倍程度である。

福井県農業試験場・作物経営部・作業システム研究グループ

契機

部会名

営農・作業技術

専門

機械

対象

根菜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

ダイコンの収穫作業では、機械化による作業能率の向上と作業の軽労化が強く求められている。特に、前屈歩行を伴う茎葉切り作業やダイコンの圃場外への運び出し作業の改善が求められている。そこで、引き抜いたダイコンの搬出、茎葉処理および運搬用トラックへの積替え機能を有する小型で汎用性のある収穫用搬出機を開発する。

 

[成果の内容・特徴]

(1)ダイコン収穫用搬出機は汎用クローラ型運搬車を原機として、搬出用横送りコンベア、茎葉挟持コンベア、茎葉処理カッター、収納コンテナおよびコンベア支持・コンテナ積替え兼用のトラッククレーンを装置したものである。作業は2人がダイコンを抜取り、搬出用横送りコンベア上に置くと、搬送途中で茎葉が切断処理され、別の1人がコンテナへの積入れと機械操作を受け持つ。合計3人の組作業で行う(図1)。

 

(2)茎葉処理装置では設定切断長がほぼ得られ、切り口の状態も概ね良好である(表1)。

 

(3)作業能率は慣行手作業に比べ、2倍程度である(表2)。

 

(4)作業強度は、慣行作業と同程度の作業能率では軽減されるが、作業能率を上げると慣行作業並となる(表3)。

 

(5)茎葉切りと漬込み作業がなくなることから、作業者の評価は概ね良好である。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)比較的小規模の経営体や家族労力で活用でき、搬出用横送りコンベアを交換することによって、スイカ、キャベツ等重量野菜の収穫用搬出機としても利用できる。

 

(2)実用化にあたっては、無段変速装置を有する汎用運搬車を原機とすることやコンテナ容量について再検討することが望ましい。

 

[具体的データ]

本体作業時 全長:2800mm(3450mm)

全幅:5790  (1930  )

全高:  - (2170  )

( )内は収納時

速度範囲:前進時0.26~1.14m/s

後進時0.26~1.07

クレーンつり上げ荷重:490kg

搬出用横送り

コンベア:L3415×W310mm

波形ピッチ:152mm(H70mm)

茎葉挟持コンベア:L2170×W10mm

波形ピッチ:152mm(H70mm)

(両コンベアは同期チェーン駆動)

茎葉処理刃:D280mm(のこ刃)

コンテナ:L1140×W900×H860mm

(容量220~280本、およそ350kg)

表1 茎葉処理精度

設定処理長

実側値

標準偏差

切り口良否

備考

機械作業区

85mm

78.0mm

5.8mm

1997

 

70

68.0

8.0

やや良

 

55

53.0

5.6

 

40

37.0

4.5

慣行作業区1

一握り(75mm)

76.2

7.7

1996

     2

76.4

8.9

注)切り口良否:斜め切断程度および葉脈等の突起のげ状物の残り程度から判断

 

表2 作業能率

収穫本数

作業時間

組人数

作業能率

備考

機械作業区1

278本

21.0(25.0)分

3人

13.1(16.2)秒/本

1996

     2

225

14.0(18.0)

3

11.2(14.4)

     3

213

11.9(13.6)

3

10.1(11.5)

1997

     4

180

11.5(12.8)

3

11.5(12.8)

慣行作業区1

369

39.0(52.0)

3

19.0(25.4)

1996

     2

294

53.0(67.0)

2

21.6(27.3)

注1)( )内は軽トラックへの積替え(積込み)を含む時間。ただし機械作業区1・2

   は装備トラッククレーン、機械作業区3・4はフォークリフトを利用した積替え。

 2)機会作業区の平均走行速度0.03m/s

 

表3 作業強度

作業内容

作業速度

心拍数増加率

作業者

機械作業区

引抜き・コンベアに置く

6.7~9.1秒/本

63~19%

A、C、D

 

集荷コンテナに整理

3.4~4.5

49~22

A、B

 

軽トラックに積替え

12~10

A、C

慣行作業区

引き抜き・圃場に並べる

10.3

59~40

A、C

 

茎葉切り

71

C

 

軽トラックに積込む

4.8~5.5

75~21

A、B、C

注)心拍数増加率=(作業平均心拍数-安静時心拍数)/安静時心拍数×100(%)

 作業者欄A、Cは男20歳代、Bは男30歳代、Dは男40歳代

 

[その他]

 研究課題名:ダイコン収穫搬送作業機の開発

 予算区分 :国補(地域特産作物機械開発促進事業)

 研究期間 :平成9年度(平成7~9年)

 研究担当者:鹿子嶋 力、土田政憲、北倉芳忠、坪田一良(農産園芸課)、西向利浩**

       天谷健一**、村田英一郎**(園芸振興センター)

 発表論文等:なし 

 

キャベツ、ハクサイの機械移植におけるセル苗の低温貯蔵法

[要約]キャベツハクサイ機械移植適機幅を拡大するため、低温暗黒貯蔵法について、好適な貯蔵温度条件、貯蔵温度条件、貯蔵期間を明らかにした。貯蔵温度はキャベツで5℃、ハクサイで5~10℃、貯蔵期間は両作物とも5~10日間が適する。

福井県農業試験場・園芸バイテク部・野菜研究グループ

連絡先

0776-54-5100

部会名

野菜・花き

専門

育苗

対象

葉菜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

秋野菜のキャベツ、ハクサイでは機械移植が早くから導入され、最近では、セル成型苗の普及により機械化、省力化が一層進められている。しかし、根鉢が小さく、移植適期幅が短いため、天候不順等により移植時期が遅延すると、老化苗や大苗になり機械移植に支障を来している。そこで、セル成型苗の移植適期幅の拡大を図るため、低温暗黒貯蔵法について明らかにした。

 

[成果の内容・特徴]

1.機械移植に適したキャベツ、ハクサイの苗は草丈が6~9cm。葉令がキャベツで2~4.5葉期、ハクサイで3.4~4.1葉期である。

2.冷蔵後出庫時の生育(草丈、葉令)は対照に比べ、冷蔵苗は何れも抑制された。しかし、ハクサイの15日間貯蔵では子葉や第1葉が黄化し、特に15℃でその傾向が強くなる。

3.定植後1ヶ月の生育は、キャベツ、ハクサイとも貯蔵期間では5日>15日>10日の順であり、貯蔵温度では5℃>10℃>15℃と貯蔵温度が高くなるほど生育は抑制された。ハクサイは、特に各貯蔵期間とも15℃は劣った。

4.収量は、対照に比べ、貯蔵期間では5日>10日>15日の順となった。特に貯蔵温度が高くなるほど減収率は高くなった。

5.品質は規格別割合でみるとキャベツ、ハクサイいづれも貯蔵期間の長さや貯蔵温度の高さに反比例して、下位等級割合が高くなった。

 以上の結果からキャベツ、ハクサイとも貯蔵期間は5~10日がよく、また貯蔵温度はキャベツで5℃、ハクサイでは5~10℃が適当である。

 

[成果の活用面・留意点]

1.夏季高温時、低温冷蔵した苗を移植することになるので、出庫直後には半日程度日陰で、順化を行い、涼しくなってから移植する。

2.移植後は充分に潅水を行い、活着を促進する。

3.ハクサイでは、5℃以下の温度に15日以上遭遇すると、抽台することがあるので留意する。

 

[具体的データ]

 

 

 

 

 

1)供試品種:YR泰山(石井採種)     

2)播種期 :1995年8月15日(大苗)   

      1995年8月21日(小苗)   

3)育苗方法:128穴セルトレイに播種し、

1995年8月31日苗を冷蔵庫 

に入庫        

4)定植期 :1995年9月5日     

9月10日、9月15日   

 

 

 

1)供試品種:金将2号(タキイ)    

2)播種期 :1995年8月15日(大苗)  

1995年8月21日(小苗)  

3)育苗方法:128穴セルトレイに播種し、

1995年8月31日苗を冷  

蔵庫に入庫      

4)定植期 :1995年9月5日     

9月10日、9月15日   

 

 

[その他]

 研究課題名:水田園芸機械化推進事業

 予算区分 :国補

 研究期間 :平成9年度(平成5~7年)

 研究担当者:奥田俊夫、三谷和弘、高橋正樹、松山松夫

 発表論文等:研究速報 №77(6~7P)

 

[平成10年度 普及に移す技術]

ナバナの種子低温処理による年内収穫技術

[要約]ナバナの催芽種子を15日間低温処理することにより抽苔が促進され、9月上旬播種で無処理より約40日早い10月下旬から収穫可能となり、年内収量も大幅に増加する。種子の催芽、低温処理は高吸水性高分子化合物を用いることにより胚軸の伸長した種子を傷つけずに播種できる。

福井県園芸試験場 野菜研究グループ

契機

部会名

野菜・花き

専門

栽培

対象

葉茎菜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

ナバナは、稲作後の水田を有効に利用できる有用な露地越冬野菜である。しかし、現在の主力品種では収穫始めが12月上旬からとなり、収穫盛期を迎える前に降雪による物理的被害をうける。そこで、降雪の少ない年内を中心に収穫が可能な作型を開発するため、催芽種子の低温処理による抽苔促進効果および低温処理方法を検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)低温処理中に胚軸の伸長した種子を傷つけず、省力的に播種するため、催芽-低温処理-播種を高吸水性高分子化合物(イゲタゲル、以下ゲル)中で行う。

(2)催芽時のゲルの厚さは発芽率の最も高い0.2cmとする(図1)。催芽は20℃・24時間行う。

(3)催芽後の種子は直ちに低温処理を行う。低温処理は2.5℃で、15日間とする。このときもゲルの厚さは0.2cmとする(表1、図2、図3)。

(4)種子量はゲル1mL当たり66粒まで入れることが可能であり、1a(444株栽植・3粒播き)播種する場合1332粒/ゲル20mLとなる。

(5)低温処理後の種子は、適宜ゲルを追加して播種する。

(6)15日間低温処理することにより、処理1ヶ月後の生育は無処理のものとほとんど差が認められないが、抽苔時の生育は小さくなる(表1)。

(7)15日間低温処理することにより、9月10日に播種しても10月下旬から収穫可能となり、年内までにはa当たり約51kgの収量が得られる。また、10~12月の平均1本花蕾重は12.6g、平均花蕾茎の直径は10.3mmとなる(図3)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)降雪による被害を軽減でき、生産安定が図られる。

(2)慣行より10日程度早い播種となるため、病害虫の発生に留意する。

(3)晩生品種である花娘を用いた。

 

[具体的データ]

 

 

表1. 低温処理期間の違いが生育に及ぼす影響(9月10日播種、品種:花娘)

 

播種1ヶ月後

 

抽苔時

葉長

(cm)

葉幅

(cm)

葉数

(枚)

 

抽苔始め

(月/日)

草丈

(cm)

葉数

(枚)

15日処理

24.7

13.3

9.7

 

10/17

22.6

11.1

10日処理

27.5

15.1

9.6

 

11/1

26.8

15.1

5日処理

27.5

14.4

9.6

 

11/10

30.7

17.1

無処理

25.3

13.5

9.3

 

12/1

45.4

23.7

 

[その他]

 研究課題名:環境調和型特産野菜の栽培技術確立

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成9年度(平成7~9年)

 研究担当者:中田早苗、佐藤信二、田中肇

 発表論文等:ナバナの種子低温処理方法による年内収穫の検討、園学雑、66巻別2、1997

 

[平成10年度 普及に移す技術]

雑草抑制効果がある地被植物の選定

[要約]畦畔の景観を彩り、雑草抑制に適する地被植物アジュガ以外では、シバザクラが適する。地表を被覆するまで定植を被覆するまで定植後1年半を必要とするが、その後、雑草量を抑制するので、除草時間は大幅に削減できる。また、アジュガ、シバザクラにはカメムシの発育を抑える効果がみられる。

福井県農業試験場・園芸バイテク部・花き研究グループ

         生産環境部・昆虫研究グループ

契機

部会名

野菜・花き

専門

環境保全

対象

緑化植物

分類

指導

 

[背景・ねらい]

福井県では、アジュガ(Ajuga reptans L.)を畦畔に定植して、景観向上と雑草抑制を行っている。畦畔の彩りの多様化を図るため、草丈が低く、地表面を密に覆いながら生長する地被植物が、必要とされている。また、アジュガ以外の地被植物では、被覆速度や雑草抑制効果が確認されておらず、全面被覆するまでの除草時間が問題となっている。そこで、地被植物の被覆速度、および雑草抑制効果を明らかにし、本県に適した地被植物を選定する。

 

[成果の内容・特徴]

(1)アジュガは全面被覆するまで1年間、シバザクラ(Phlox subulata L.)は1年半、ヒメツルニチソウ(Vinca minor L.)は2年間を要する。ヘデラ(Hedera helix L.)、マツバギク(Lampranthus spectabilis N.E.Br.)は越冬中、枯死や生育不良となり、2年間で被覆率50%程度となる。アジュガ、シバザクラ、ヒメツルニチニチソウは4月から5月にかけて被覆がすすむ(図1)。

(2)被覆が進むまでは裸地よりも雑草量は増えるが、被覆が進むにつれて雑草量は減る。定植後2年目の8月ではアジュガ、シバザクラは裸地に比べ、雑草量を大幅に抑制する。ヒメツルニチニチソウは葉と葉の間に隙間があり、2年間で被覆がすすんでも雑草量を抑制できなかった(図2)。

(3)除草時間は、雑草量と同様に被覆が進むまでは裸地よりも増えるが、アジュガ、シバザクラは被覆が進むにつれて除草時間も減る。定植後2年目の8月ではアジュガ、シバザクラは裸地の1/4に省力化できる(図3)。

(4)アジュガ、シバザクラにトゲシラホシカメムシの幼虫を放飼しても、成虫まで発育せず、生存数は減少し、カメムシの生息場所として不適である(表1)。

以上の結果より、雑草抑制に適し、カメムシの生息場所に不適な地被植物はアジュガ以外では、シバザクラが適する。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)手取り除草が行える畦畔にアジュガ、シバザクラを定植する。

(2)定植時に緩効性肥料(360日タイプ、14-12-14)を施用する。

(3)定植の際は事前に除草剤(非選択性茎葉剤)等で除草する。

 

[具体的データ]

 

 

表1 各地被植物におけるカメムシ幼虫の生存と発育

 

生存数(頭)

 

発育

 

総合評価

0

10

20

30

40

50日後

 

(最終齢期)

 

(発育抑制効果)

アジュガ

30

12

8

4

1

0

 

3齢幼虫

 

シバザクラ

30

1

0

0

0

0

 

2齢幼虫

 

マツバギク

30

14

14

11

5

2

 

成虫

 

シロツメクサ(対照)

30

20

19

19

18

15

 

成虫

 

×

1/5000aワグナーポットに植物を植え付け、8月11日にトゲシラホシカメムシの2齢幼虫を30頭放飼し、テトロンゴースで覆い、生存数を調査した。

このカメムシは福井県における斑点米カメムシの優占種の一種 総合評価は3段階(○良い、△やや劣る、×劣る)

 

[その他]

 研究課題名:福井型花き産地育成技術の開発

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成9年度(平成6~10年)

 研究担当者:榎本博之、土屋孝夫、高岡誠一、渕上小百合、近藤哲也

 発表論文等:数種の地被植物による雑草抑制効果、防草・植栽シートを利用した地被植物による雑草抑制効果、平成9年度園芸学会北陸支部研究発表要旨、1997年。

 

[平成10年度 普及に移す技術]

夏ギク「サマーイエロー」の優良系統「サマー福井1号」、「サマー福井2号」および「サマー福井3号」

[要約]長期の栽培で、形質劣化の著しい「サマーイエロー」の商品性を高めるため、優良系統を選抜・育成した。「サマー福井1」は早生系で花のボリュームが、「サマー福井2」は中生系で花のボリュームが、また「サマー福井3」は晩生系で開花揃いが良いという特徴を持つ。

福井県農業試験場・園芸バイテク部・花き研究グループ

契機

部会名

野菜・花き

専門

育種

対象

花き類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

6~8月出荷される黄色の中輪ギクの代表品種「サマーイエロー」は、栽培歴が長いため、長期間の栄養繁殖による形質劣化が生じ、それによる品質低下が問題となっている。

そこで、平成7年に県内主要産地9ヵ所から親株を導入し、平成7年には1次選抜で13系統を選抜、平成8~9年には最終選抜を行い、開花時期、開花揃い、花品質等に特徴のある3系統を選抜した。最終選抜においては、県内産地の生産者、指導者による審査会を実施した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)開花時期は、「サマー福井1号」で対照(サマーイエローの福井農試保存株)より5~7日早く、「サマー福井2号」は同程度で、「サマー福井3号」では5日程度遅い。また「サマー福井2号」および「サマー福井3号」は、開花揃いも良好である(図1)。

(2)花品質は、「サマー福井1号」および「サマー福井2号」では花重、舌状花数で対照を上回り、ボリューム感があり、「サマー福井3号」は、花の大きさと花重でやや劣るものの、舌状花数が多い(表1)。

(3)切り花品質は、「サマー福井3号」では切り花長および切り花重が対照をやや上回り、「サマー福井1号」および「サマー福井2号」では対照と同程度である(表2)

 

[成果の活用面・留意点]

(1)3系統とも、エスレル1回処理による7月収穫の作型が適す。

(2)肥培管理等は、慣行栽培に準ずる。

(3)3系統とも現在増殖中であり、生産地の希望に応じ親株として供給していく。

 

[具体的データ]

表1 優良系統の花品質

系統名

花径長

(cm)

花重

(g)

舌状

花数

管状

花数

サマー福井1号

8.8

12.3

344.2

13.9

サマー福井2号

8.3

9.0

355.3

14.0

サマー福井3号

9.2

10.5

346.4

12.9

対照

9.3

10.3

330.7

14.1

 

表2 選抜系統の切り花品質

系統名

平均

開花日

切花長

cm

切花重

g

茎径

mm

葉数

花首長

cm

備考

系統1

7.12

115.8

70.0

6.0

47.3

2.6

サマー福井1号

系統2

7.15

123.5

60.5

5.6

51.5

2.3

 

系統3

7.17

118.1

75.6

6.0

48.5

1.5

 

系統4

7.22

123.9

77.7

6.1

49.9

2.7

 

系統5

7.18

120.8

69.4

5.9

46.5

2.2

 

系統6

7.19

122.8

72.9

6.0

50.3

2.4

 

系統8

7.23

120.9

72.8

5.9

50.3

2.2

サマー福井2号

系統9

7.24

119.8

89.5

6.8

48.8

3.0

 

系統11

7.19

119.9

75.6

6.0

47.3

2.8

 

系統12

7.16

116.2

70.5

6.0

48.2

2.5

サマー福井3号

系統13

7.18

116.2

80.6

6.2

46.3

2.4

 

対照

7.18

119.9

70.1

6.0

47.5

2.4

 

 

[その他]

 研究課題名:キクの優良系統選抜

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成9年度(平成7~9)

 研究担当者:土屋孝夫、勝田英郎(現 坂井農業改良普及センター)

 発表論文等:なし

 

[平成10年度 普及に移す技術]

無加温ハウスを利用したストックの春どり栽培

[要約]無加温ハウスを用いて春どり栽培を行う場合、品種の早晩性と、定植期の組合せにより、2月下旬から4月中旬までの間の、目的の時期に収穫が行える。

福井県園芸試験場 花き研究グループ

契機

研普

部会名

野菜・花き

専門

栽培

対象

花き類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

本県のストック栽培は、は種を夏に行い、秋に定植し、10月~12月にかけて収穫する夏まき年内どり作型が主に用いられる。それに加え、出荷期間を延長するため、秋まき春どり栽培を無加温ハウスで実証するとともに、目的の時期に出荷するための、品種毎の定植日の目安を作成する。

 

[成果の内容・特徴]

(1)定植期と品種の組合せにより2月下旬から4月中旬に収穫ができる。目的の時期に採るための、品種と定植期は下表の通りとなる(図1、表)

 

表 目的の時期に収穫するための定植期と品種

収穫希望時期

定植が必要な時期と用いる品種

2月下旬

早麗(10月中旬)

3月上旬

雪波(10月中旬)

  中旬

晩麗(10月中旬)、雪波(11月上旬)

  下旬

ホワイトゴッデス、ボールホワイト№16(11月上旬)、アバランチ

華の香り、パシフィックピンク、早麗、雪波、晩麗(11月中旬)

彼岸時期

(3月15~25日)

ホワイトゴッデス、ボールホワイト№16、アバランチ、華の香り、

パシフィックピンク(10月中旬)、晩麗(11月中旬)

4月上旬

ボールホワイト№16、アバランチ、華の香り(11月中旬)、

早麗、雪波、晩麗(11月下旬)

  中旬

ボールホワイト№16、アバランチ、華の香り(11月下旬)

 

(2)切り花品質は、気温が低い年度および低い時期での定植ほど低下する(図1、図2、図4)。

(3)L級以上のものを採るには、切り花長は、ほぼどの年のどの定植期でも問題ないが、切り花重は、気温の極端に低い年を除き、10月中旬までに植えるのが安全であり、その場合収穫できるのは彼岸時期までである(図1、図2、図3)。

 

[成果の活用面・留意点]

 

(1)開花期は年次によりばらつくので、2回程度のは種・定植を行う。また、その間隔は約1週間とする。もしくは開花期の異なる品種を同一時期には種・定植して、収穫期を分散させる。

(2)切り花のボリュームを増すには、内張りをするなどしてハウス内の保温につとめる。

(3)コナガは秋季に集中して防除を行えば、春以降は発生がほとんどなくなる。

 

[具体的データ]

 

 

 
 

 

図3定植期と品種の違  

いが開花期に及ぼす影響 

A:早麗(桃)       

B:雪波(白)       

C:晩麗(桃)       

D:ホワイトゴッデス(白) 

E:ボールホワイト№16(白)

Fアバランチ(白)     

G:華の香り(桃)     

H:パシフィックピンク(桃)

 

 

図4 10月5半旬から4月6半旬までの累積積算気温(アメダス美浜観測点)

 

[その他]

 研究課題名:ストックの生産安定技術の開発  予算区分:県単

 研究期間 :平成8年度(平成6~8年)

 研究担当者名:野上雅弘、永井輝行   発表論文等:なし

[平成10年度 普及に移す技術]

栄養繁殖系シンテッポウユリの切り花用新品種「若狭育成1号」

[要約]花の大きいシンテッポウユリ品種「八ヶ岳」と耐病性の強い「北岳2号」の交配実生系の中から、栄養繁殖による切り花用新品種「若狭育成1」を選抜育成した。この品種は、早期開花性で、8月上旬に切り花を出荷できる。

福井県園芸試験場・花き研究グループ

契機

普及

部会名

野菜・花き

専門

育成

対象

花き類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

福井県下では栄養繁殖によるシンテッポウユリの切り花栽培が行なわれている。現在用いられている品種「北岳2号」は、葉枯れ病に強いが、花が小さいので、この点を改良し、花が大きく、開花揃いが良い品種の育成を目指した。

 

[成果の内容・特徴]

1.育成経過

1990年に、福井県立短期大学付属実習農場(永平寺町)で、花の大きいシンテッポウユリ品種「八ヶ岳」を子房親に、耐病性の強い品種「北岳2号」を花粉親にして交配を行った。実生個体を、1991年と1992年に同農場で栽培し、栄養繁殖に適する系統を選抜した。県立短大の廃止にともない、1993年より育成の担当を園芸試験場に移して選抜を継続し、特性検定で優良と判定されたので、1995年に品種登録の申請を行った。

 

2.特性の概要

(1)栄養繁殖系シンテッポウユリ品種で、繁殖方法はリン片繁殖による。

(2)「北岳2号」に比べ、抽だい率が高く、抽だい時期も個体間でよく揃い、生育は旺盛である。

(3)開花時期は「北岳2号」より1~2週間早く、4月上旬定植では、ほぼ8月上旬に、4月下旬定植では、8月中旬初めに開花し、開花時期はほぼ2週間に集中する(図1)。

(4)5月上旬定植では、開花時期が8月中旬以降になる。開花時の品質は4月定植より劣るが、5月上旬定植の「北岳2号」と比べて優る(表2)。

(5)開花時の生育状況は、4月中に定植した場合、草丈は、年次較差が少なく、いずれも1m以上と安定している。また、輪数は1茎に3輪程度付き、花径はやや大きく、開花株率も高い(表2)。

 

[成果の活用面・留意点]

1.福井県下のシンテッポウユリ切り花生産地域において、「北岳2号」より早生性の栄養繁殖・切り花用品種として利用できる。

 

[具体的データ]

 表1 「若狭育成1号」の年次別生育特性

品種名

栽培年次

抽だい株率

(%)

開花株率

(%)

草丈

(cm)

茎長

(cm)

茎径

(mm)

葉数

花径

(cm)

一茎輪数

若狭育成1号

1993

72

137

115

8.0

45

12.3

1.4

若狭育成1号

1994

94

94

111

91

8.9

54

8.3

3.9

若狭育成1号

1995

96

96

137

115

9.1

62

13.6

3.0

若狭育成1号

1996

84

84

101

90

10.5

56

13.6

3.3

北岳2号

1993

151

125

7.5

64

北岳2号

1994

90

76

106

87

7.7

64

9.7

5.6

北岳2号

1995

88

88

139

120

7.6

58

12.5

3.0

北岳2号

1996

65

65

90

72

10.5

53

12.0

2.7

1993年は1月上旬リン片挿し、4月上旬定植、1994年、1995年、1996年は2月上旬リン片挿し、4月下旬定植。

抽だい株率、開花株率は、生存株当たりの割合。栽培は全てビニールハウスによる。

 

表2 「若狭育成1号」の定植時期と生育特性(1996)

品種名

定植時期

(月日)

抽だい株率

(%)

開花率株

(%)

抽だい茎数

(本)

開花茎数

(本)

草丈

(cm)

茎径

(cm)

葉数

(枚)

花径

(cm)

一茎輪数

葉枯病

若狭育成1号

4月8日

83

78

1.2

1.1

103

0.96

57

12.2

3.0

なし

若狭育成1号

4月22日

84

84

1.2

1.2

101

1.05

56

13.6

3.3

なし

若狭育成1号

5月10日

74

52

1.1

1.0

85

0.99

48

12.7

2.5

なし

北岳2号

4月8日

86

71

1.2

1.1

99

1.03

74

11.0

2.7

なし

北岳2号

4月22日

65

65

1.0

0.8

90

1.05

53

12.0

2.7

なし

北岳2号

5月10日

45

32

1.3

1.2

62

1.01

43

11.9

1.3

なし

抽だい株率、開花株率は生存株当たりの割合、抽だい茎数、開花茎数は1株当たりの値。栽培は全てビニールハウスによる。

 

 

[その他]

 研究課題名:福井ユリの新品種育成

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成9年度(平成元年~9年)

 研究担当者:永井輝行、池田郁美、野上雅弘、平尾勝彦、坂本浩、滝 修三、勝田英郎

 発表論文等:なし

[平成10年度 普及に移す技術]

シンテッポウユリ×スカシユリの切り花用新品種「若狭育成2号」

[要約]小球根開花性の品種育成を目標に、1991年に交配を実施し、胚培養によって「若狭育成2」を育成した。この品種はシンテッポウユリとスカシユリの種間雑種で、球根養成1年で開花し、年内定植の普通栽培によって5月下旬に開花する。

福井県園芸試験場・花き研究グループ

契機

研究

部会名

野菜・花き

専門

育種

対象

花き類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

福井県内では、栄養繁殖系シンテッポウユリが普及しており、スカシユリ、オリエンタル系ユリもシンテッポウユリに近い小球開花性を持つ品種のほうが、普及性が高いと考えられる。そこで、球根養成期間が短く、シンテッポウユリに近い草姿で、草丈が長く、花はスカシユリタイプの切り花用品種を育成する。

 

[成果の内容・特徴]

1.育成経過

1991年にシンテッポウユリ品種「中生あさま」に花柱切断授粉法でスカシユリ品種「ソレント」を交配し、胚培養によって育成した。1993年及び1994年に開花特性を調査し、優良と判定されたので、1995年に品種登録の申請を行い、その後作型を検討した。

 

2.特性の概要

(1)花はスカシユリ型の一重でやや大きく、上向きに咲く。花弁の色は、咲き始め淡橙黄色で、後白色となり、赤茶色の斑点がある。

(2)草丈は高く、葉の向きは水平で、シンテッポウユリ型の草姿を示す(表1)。

(3)球根の増殖性に優れ、9月かた10月のリン片挿し後、1年の球根養成で主球数が2.5~2.9倍となり、球根の肥大性も優れている(表2)。

(4)小球開花性があり、10~20g球で1茎に3~4輪付いた切り花が得られる(表3)。

(5)年内定植の普通栽培で5月下旬に開花する。抑制栽培は、花弁の伸びが劣り、花径が小さくなって適さない(表4)。

(6)葉枯病にも強い(データ省略)。

 

[成果の活用面・留意点]

1.ユリ切り花生産地域において、スカシユリ普通栽培の出荷期よりやや早い5月下旬出荷ができる。

2.栽培はビニールハウス等の施設栽培による。

 

[具体的データ]

表1「若狭育成2号」の開花特性

品種名

栽培年次

(年)

開花日

草丈

(cm)

茎長

(cm)

茎径

(mm)

葉数

輪数

花径

(cm)

内花被長

(cm)

内花被幅

(cm)

若狭育成2号

1996

5月4半旬

167

143

8.0

72

3.3

15

10.9

5.4

若狭育成2号

1997

5月6半旬

177

150

8.5

87

2.4

19

12.1

6.0

スターダスト

1996

5月6半旬

93

61

7.0

53

2.0

15

9.2

4.8

スターダスト

1997

5月4半旬

137

118

7.9

77

4.6

17

10.1

5.0

1996年栽培:1996年1月9日定植・ガラス室

1997年栽培:1996年11月27日定植・ガラス室

 

表2 「若狭育成2号」の球根肥大性(100株当たり)

リン片挿し

定植時期

主球数

(球)

主球重

(g)

木子数

(球)

木子重

(g)

主球の球重別構成(球)

 

木子球重別構成(球)

10g未満

10~20g

20~30g

30g以上

 

10g未満

10~20g

9月8日

12月15日

257

7712

181

442

19

61

80

97

 

181

0

9月22日

12月15日

296

8784

172

442

24

64

83

152

 

170

3

10月6日

12月26日

264

9150

235

544

17

49

56

142

 

235

0

11月8日

1月5日

173

4981

16

30

19

38

43

73

 

16

0

球根掘上:1994年9月7日(9月8日リン片挿し区)又は9月21日(9月22日、10月6日、11月8日リン片挿し区)

ビニールハウス栽培、球根収穫:1995年10月2日

 

表3 植え付け時の球根の大きさが切り花品質に及ぼす影響

球重規格

開花日

草丈

(cm)

茎長

(cm)

茎径

(mm)

葉数

輪数

花径

(cm)

内花被長

(cm)

内花被幅

(cm)

5~10g

5月28日

120

101

8

53

2.0

17.5

11.2

5.1

10~20g

5月26日

134

113

10

70

3.8

16.2

10.5

4.8

20~30g

5月25日

153

130

12

78

6.0

16.3

11.0

4.9

30g以上

5月25日

148

127

13

89

7.0

15.1

10.7

4.8

定植:1996年12月17日  ビニールハウス栽培

 

 

表4 普通栽培と抑制栽培の比較

作型

定植日

開花日

草丈

(cm)

茎長

(cm)

葉数

輪数

花径

(cm)

普通栽培

1996年11月27日

5月28日

177

150

87

2.0

19.2

抑制栽培

1997年5月19日

7月11日

113

98

70

2.5

13.8

   ガラス室コンテナ栽培

 

[その他]

 研究課題名:福井ユリの新品種育成

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成9年度(平成元年~9年)

 研究担当者:永井輝行、池田郁美、野上雅弘、平尾勝彦、坂本 浩、滝 修三

 発表論文等:シンテッポウユリとスカシユリの種間雑種系統の育成特性。園芸学会北陸支部平成9年度要旨p46.1997.

 

 

ニホンナシ「幸水」の施設栽培シュミレーションシステムの開発

ニホンナシ「幸水」施設栽培においてDVI(発育速度モデル)手法により被覆加温開始期及び温度管理と開花期、成熟期の関係が明らかになった。このシステムから精度の高い発育予測と作型のシュミレーションが可能になった。

福井県農業試験場 園芸・バイテク部 果樹研究グループ

連絡先

0776-54-5100

部会名

果樹

専門

栽培

対象

果樹類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

ニホンナシの施設栽培において、早期出荷や労働分散のため被覆加温開始期や温度管理に

より開花期や成熟期がどのように変化するかを予測することは重要である。本試験では

DVI(発育予測モデル)手法を用い、ニホンナシ「幸水」の発育予測モデル及び施設栽培シュ

ミレーションシステムの開発と本県での施設作型の方向性を検討した。

 

[成果の内容・特徴]

 

(1)果樹の自発休眠覚醒には低温が必要であり、他発休眠状態から開花には高温が有効であ

る。しかし、その自発休眠から他発休眠への移行は連続的であり、また、低温域でも高温

域でも発育を促す期間の存在することが明らかになり、これをモデル化した。(図1)。

(2)このモデルを用いてシュミレーションすると、本県では被覆加温開始期や温度管理いか

んにより5月下旬から8月下旬収穫までの作型選択が可能であった。

(3)温暖地域より自発休眠覚醒が早いことから、早期収穫の潜在的可能性のあることがみと

められた。(図2)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)地域、作型、異常気象に影響されないニホンナシ「幸水」の発育予測が可能である。

(2)施設栽培では発育予測に加え、収量・品質の向上、コスト低減の技術が必要である。

(3)システムには毎正時の気温のデータが必要である。

 

[成果の具体的データ]

「幸水」の発育予測モデル

※開花期予測

 DVI=ΣDVR DVI=1.0・・・自発休眠覚醒 DVI=2.0・・・完全他発休眠 DVI=3.0・・・開花

 A期:自発休眠期(0DVI1.0)

  6℃>t    DVR(t)=0.00133333

  6℃≦t<9℃ DVR(t)=‐1.6×10‐5t+0.002276

  9℃≦t<12℃ DVR(t)=‐2.9×10‐5t+0.003448

 B期:自発休眠覚醒から他発休眠への移行期(1.0≦DVI<2.0)

 

 
 

*この期間のDVR[A期]とDVR[C期]の関係

DVR[A期]

0.3345

-0.193969

 

DVR[C期]

ΣDVR[A期]-1

 

 

 

 

DVR[A期] +

1

×DVR[C期]

 

 

0.3345

-0.193969

DVR(ΣDVR[A期]、t)=

 

ΣDVR[A期]

 

1.7245

 

 C期:他発休眠期から開花期(2.0≦DVI<3.0

 

 

20℃>t DVR(t)=exp.

38.448-

12094

 

20≦t DVR(t)=exp.

9.002-

3473

273+t

273+t

※成熟期予測

y:開花から成熟までの日数  x:開花後33日間の平均気温

   y=‐1.24x+147.2

 

 

[その他]

 研究課題名:積雪地域における落葉果樹の低コスト・労働分散栽培システムの確立

 予算区分 :国補(地域重要新技術)

 研究期間 :平成9年度(平成7~9年)

 研究担当者:上中昭博、杉浦俊彦渡辺毅、斉藤正志(果樹試験場)

 発表論文等:平成9年度園芸学会北陸支部研究発表要旨、1997年

[平成10年度 普及に移す技術]

ウメの黒星病のスプリンクラー防除

[要約]ウメ黒星秒防除スプリンクラーを用いた場合、薬剤散布量を10a当たり600㍑とすることで、慣行の手散布と同様の防除効果が得られ、高い能率で防除作業が可能となる。

福井県園芸試験場・ 果樹研究グループ

契機

部会名

果樹

専門

栽培

対象

果樹類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

ウメの高品質安定生産のため、果実肥大期の病害虫防除が欠かせない。慣行の手散布では、春先は天候が変化しやすく適期防除が困難であったり、大規模経営農家では防除作業が連日となる問題がある。また、ウメ栽培圃場の多くは傾斜地にあるため、高能率のスピードスプレヤーの利用も困難である。

防除の高能率・省力化をはかるため、慣行と同様の防除体系によってスプリンクラーの防除効果と適正散布量について検討する。なお、主要品種の「紅サシ」は黒星病抵抗性がきわめて低いため、黒星病の防除効果を指標に用いてウメに対するスプリンクラーの防除効果を調査する。

 

[成果の内容・特徴]

(1)果実に対する黒星病の感染期となる4月中は、いずれの散布量においても、薬液付着が極端に劣る部位はなかった。枝葉が繁茂すると付着程度が低下し、特に樹冠下層では付着程度がかなり低下する部位の生じる。(表1)

(2)’96年は黒星病の発生が少なく、散布量の多少による違いが認められなかったが、’97年は散布量300㍑/10aで6%の発病が認められ、手散布と同じ散布量では効果が安定しない。灰色かび病は2か年をとおして発生が少なかった。このことから、スプリンクラーの薬液散布量は600㍑/10aを基準とする。(表2)

(3)設備費として10a当たり100万円前後必要でコストは高いものの、10a当たり600㍑の散布時間は3分16秒で、省力効果がきわめて大きい。(表3)

 

[成果の活用面・留意点]

(1)枝葉繁茂が進んだ状態では薬液付着が減少し、ウメシロカイガラムシなどの枝幹害虫に効果が劣るので、これらに対応する防除は従来どおり手散布とする必要がある。

(2)中圧・飛距離中程度(=半径12m程度)のスプリンクラーヘッドを適用する。

 

[具体的データ]

  表1 各生育段階におけるスプリンクラー防除の薬液付着程度

区名y

1996年

休眠期(3/6)

 

 

1997年

展葉期(4/24)

高さ1m

高さ2m

高さ3m

 

高さ1m

高さ2m

高さ3

多量散布

10.0(10)

10.0(10)

10.0(10)

 

9.1(9)

9.3(9)

9.4(9)

中量散布

9.9(9)

9.8(9)

10.0(10)

 

8.9(8)

9.0(8)

9.2(9)

少量散布

9.0(8)

9.2(7)

8.9(7)

 

9.5(8)

9.6(9)

9.7(9)

 

新梢伸長最盛期(5/21)

 

新梢伸長最盛期(5/19)

高さ1m

高さ2m

高さ3m

 

高さ1m

高さ2m

高さ3m

多量散布

9.6(9)

9.7(9)

9.7(9)

 

9.0(8)

9.4(9)

10.0(10)

中量散布

8.8(8)

8.9(6)

9.2(8)

 

8.1(4)

7.7(3)

9.4(8)

少量散布

8.2(7)

8.8(8)

8.6(7)

 

8.0(5)

7.5(5)

8.6(7)

 

新梢伸長停止期(7/24)

 

新梢伸長停止期(7/23)

高さ1m

高さ2m

高さ3m

 

高さ1m

高さ2m

高さ3m

多量散布

8.6(2)

9.8(8)

10.0(10)

 

8.8(4)

9.4(6)

9.9(9)

中量散布

6.8(3)

7.5(3)

9.5(7)

 

7.0(1)

7.9(3)

8.6(5)

少量散布

6.2(2)

8.2(2)

9.5(7)

 

6.0(5)

7.4(4)

8.3(7)

z:薬液の付着した面積割合を肉眼により観察、( )数値は最低値

y:多量散布:900㍑/10a相当、中量散布:600㍑/10a相当、少量散布:300㍑/10a相当、以下同

 

 

表2 各散布区における発病果率

 

 

区名

黒星病(%)

 

灰色かび病(%)

1996年

 

1997年

 

1996年

 

1997年

上層

下層

平均

 

上層

下層

平均

 

上層

下層

平均

 

上層

下層

平均

多量散布

0

0

0

 

0

0

0

 

0

0

0

 

0

0

0

中量散布

0

0

0

 

0

0

0

 

0

0

0

 

0

0.5

0.25

少量散布

0

0

0

 

8.4

3.5

6.0

 

0

0

0.0

 

0.5

0

0.3

手散布

0

 

0

 

0

 

0

無散布

77.0

 

53.4

 

0

 

1.2

 

表3 スプリンクラー散布に要した時間

区名

10aあたり散布時間

少量散布

2分11秒

中量散布

3分16秒

多量散布

4分51秒

 

 

[その他]

 研究課題名:ウメのスプリンクラー防除効果試験

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成9年度(平成8~9年)

 研究担当者:中川文雄、山本 仁、猿橋由恵、渡辺 毅(現:福井農試)

 発表論文等:スプリンクラーによるウメの防除効果、

       平成9年度園芸学会北陸支部研究発表要旨、1997

 

[平成10年度 普及に移す技術]

豆腐粕の過リン酸石灰添加による高速堆肥化

[要約]豆腐粕稲わらを現物重量比3:1で混合し、更に過リン酸石灰を添加して堆肥化すると、アンモニア揮散軽減(悪臭軽減)効果腐熟促進効果が認められ、葉茎菜類(コマツナ)の生育を阻害しない、良質な堆肥が2ヶ月で作成できる。

福井県農業試験場・生産環境部・地力保全研究グループ

契機

部会名

生産環境

専門

肥料

対象

葉茎菜類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

豆腐粕(オカラ)は窒素、リン酸、カリなどの肥料成分を比較的含む有機物であるが、水分が多く、腐敗しやすいため肥料、堆肥としての利用が限定されている。そこで豆腐粕と他の有機物とを用いた早期高品質堆肥化技術を確立し、肥料、堆肥資源としての有効利用を図る。

 

[成果の内容・特徴]

(1)豆腐粕と稲わら(3cm~5cmに細断したもの)を、現物重量で3:1の割合でよく混合し、水分を約70%に調整する。更に、過リン酸石灰(以下過石)を混合物重に対して5%量を添加し、均一となるように混合し堆肥化する。堆肥化中には2回程度の切り返しが必要で、水分が不足するようであれば適宜補充する。堆肥化中の温度推移から、約2ヶ月で易分解性画分の分解はほぼ終了すると考えられる(図1)。

(2)過石無添加区では、堆積後10日以降堆肥中のアンモニア態Nが減少するが、過石添加区では殆ど減少しないことから、アンモニアの揮散軽減(悪臭軽減)に過石が有効である(図2)。

(3)過石の添加によって堆肥の容積重、NaOH溶解率は増加し、C/N比も低下する。また色調は更に暗黒になり、臭気もアンモニア臭が減って放線菌臭がすること等から、過石の添加は腐熟を促進する(表1)。

(4)これらの堆肥を2種類の土壌(鉱質土壌と黒ボク土)に施用したコマツナの栽培試験結果から、堆肥中に植物の生育を阻害する物質は無いと考えられる。また、堆肥の肥効は極めて高く、有機物の少ない鉱質土壌でその傾向はより強い。更に、過石を添加した堆肥の肥効は無添加のものより明らかに高い(表2)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)豆腐粕は極めて腐りやすいので堆肥を製造する当日に入手する(特に夏期)。

(2)肥効が極めて高いので化学肥料の施用量を考慮する。

 

[具体的データ]

注)10日後、30日後に切り返し実施

 

表1 60日間堆積した堆肥の化学性と腐熟程度(%は乾物あたり)

試験区

水分

(%)

pH

T‐N

(%)

T‐C

(%)

C/N

P

(%)

K

(%)

容積重

(g/100ml)

NaOH

溶解率*

(%)

色調

臭気**

形状***

(堆肥化前)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過石無添加

70.8

6.2

2.18

43.0

19.7

0.24

2.06

7.32

41.8

黄褐色

 

 

過石5%添加

70.5

5.8

2.20

43.8

19.9

0.94

1.79

7.48

42.4

黄褐色

 

 

(60日間堆積後)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

過石無添加

63.2

8.9

2.81

39.3

14.0

0.65

4.36

12.58

59.8

茶褐色

ア+カ、++

++

過石5%添加

64.2

6.8

3.54

38.0

10.7

2.44

3.37

15.61

64.9

黒褐色

カ+ホ、+

+++

*:10%NaOH溶液に対する溶解率(25℃、24時間静置)

**:ア:アンモニア臭、カ:カビ臭、ホ:放線菌臭、+(弱)~+++(強)

***:+(材料の原形が認められる)~++++(材料の原形が認められない)

注) 図1、2、表1は25℃の恒温室で、70Lのポリ容器内で堆肥化したときのデーター

 

表2 コマツナに対する施用効果

試験区

生育期

 

収穫期

葉長

(cm)

葉色

SPAD

 

 

葉長

(cm)

葉色

SPAD

1株重

(g)

収量比*

鉱質土壌

無施用

11.3

33.9

 

24.1

36.1

17.2

100

 

過石無添加

13.6

33.8

 

31.1

35.8

25.1

146

 

過石5%添加

13.4

34.3

 

32.5

37.2

28.9

168

黒ボク土

無施用

14.0

28.5

 

29.7

32.9

25.3

100

 

過石無添加

14.9

28.5

 

32.8

32.8

30.3

120

 

過石5%添加

15.4

30.1

 

32.9

33.9

33.9

134

*無施用を100とした指数

耕種概要:5000分の1ワグネルポット使用、堆比施用量は3t/10a

     10月23日セル形成苗定植、基肥20kgN/10a

     生育期:11月6日、収穫期:11月17日

 

[その他]

 研究課題名:環境調和型農林水産技術共同開発事業

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成9年度(平成8~9年)

 研究担当者:森永 一、栗波 哲

 発表論文等:なし

[平成10年度 普及に移す技術]

土壌断面調査結果の活用支援システム

[要約]土壌断面調査結果をコンピュータに入力すると、自動的にデータベース化され、診断と管理対策が導き出されるシステムを開発した。これにより、大量の調査データを迅速に処理し、全県で統一された診断が可能となる。

福井県農業試験場・生産環境部・土壌環境研究グループ

契機

部会名

生産環境

専門

土壌

対象

稲類ほか

分類

普及

 

[背景・ねらい]

 近年、土地改良や堆肥施用の減少等により、農業生産の基盤である土壌の理化学性が変化しつつあり、土壌実態に対応した適切な土壌管理指導が求められている。このため、普及センターが中心となり、全県的に土壌断面調査を実施中である(3年間で約9000点)。

しかしながら、多くの土壌断面調査を整理し、個々に診断結果を導き出すには、膨大な時間を要する。そこで、コンピュータを用いて調査結果を整理し、診断結果を迅速に農家に還元するための支援システムを開発する。

 

[成果の内容・特徴]

(1)地点情報・土壌断面情報の入力・診断・結果印字は、すべて市販のデータベースソフトMicrosoft Access97を用いている(図3)。

(2)土壌断面調査結果をこのシステムに入力すると、断面情報が数値データとして蓄積され、同時に入力された情報をもとに土壌タイプの判定と診断を行い、対策を導き出す(図1)。

調査結果と導き出された対策で個表を作成し印字する(図4)。

(3)このシステムの開発により、膨大なデータを整理し、必要な情報をすばやく検索できる。また、データベース化により、県下全域の土壌実態を把握でき、詳細に各地域の土壌管理や施肥管理対策が提示できる。

(4)各普及センターで本システムを稼動させることで、全県統一された診断書が作成できる。

また、行政・試験場・普及センターのネットワークを利用し、普及センターからデータベースの検索や調査結果の追加ができ、各機関で連携した利用も可能である(図2)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)現在、断面調査結果による診断・対策のみであるが、化学性分析データとリンクすることや、土壌情報のデジタルマップ化を行い、地図上から検索できるシステムに拡張することが可能である。

(2)本システムで用いる土壌タイプは生産力を重視した分類で、県内土壌を想定しているので、他県土壌を診断する場合、プログラムを一部改変する必要がある。

 

[具体的データ]

 

                            図1 システム概念図                                    図2 ネットワーク概念図

 

図3 断面調査結果入力画面

 

図4 調査結果および管理対策個表印字例

 

[その他]

 

研究課題名:土壌保全調査事業

 予算区分 :国補(土壌保全)

 研究期間 :平成9年

 研究担当者:牧田康宏・西端善丸・伊森博志

 発表論文等:なし

 

[平成10年度 普及に移す技術]

晩生水稲「日本晴」の全量基肥施肥法

[要約]速効性肥料と肥効調節型被覆肥料を組み合わせた全量基肥施肥法により、慣行施肥なみの収量と玄米品質が得られ、「日本晴」の施肥作業を省力化することができる。

福井県農業試験場・生産環境部・土壌環境研究グループ

契機

部会名

生産環境

専門

肥料

対象

稲類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 大規模農家にとって穂肥時の作業集中はかなりの重労働であり、きめ細かい分施が困難である。一方、兼業農家の多くは、施肥作業が休日の天候に左右され、穂肥の適期を逃すことが多い。

生育期間の長い晩生品種「日本晴」は施肥回数が多く、また、倒状に対する穂肥の適期幅が大きいため、肥効調節型被覆肥料を用いた全量基肥により施肥作業の省力化を図る。

 

[成果の内容・特徴]

速効性肥料に施肥直後から徐々に溶出する緩効性肥料と一定期間を経過した後溶出を開始する遅効性肥料を組み合わせると、「日本晴」の全量基肥施肥が可能である。

(1)緩効性肥料(LP140)は、移植後から徐々に溶出し、幼穂形成期には約70%溶出した。遅効性肥料(LPSS100)は、7月始めから溶出し、乾物生産量が急激に増加する幼穂形成期以降出穂期にかけて急激に溶出した(図1)。

(2)これらの肥料に速効性肥料を組み合わせた全量基肥施肥の窒素溶出は、慣行施肥の窒素供給パターンに比べ滑らかであり、「日本晴」の乾物重増加に対応したカーブを描いた(図2)。

(3)収量は慣行施肥とほぼ同程度で、玄米蛋白や食味値および食味評価で慣行施肥より優れた。良質粒率や乳白粒率など外観評価は全般に良好であった(表1、表2)。

(4)現地試験では、収量・玄米品質のいずれも慣行施肥とほぼ同程度であった(表3)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)被覆肥料は、損傷すると肥料の溶出パターンが変化するので、動力散布機を使用する場合は専用の噴筒を用い、フルスロットルを避けて施肥作業を行う。

(2)農家の水田圃場では、後期の土壌水分が不足すると、被覆肥料の肥効低下が認められるので、刈り取り前落水迄の間断潅漑を継続する。

 

[具体的データ]

(注)慣行施肥:A-N 100%(塩化燐安、硫安ほか)

  基肥0.4kg+中間追肥(分げつ盛期)0.1kg+穂肥0.2kg×2(幼穂形成期、減数分裂期)(N kg/a)

  全量基肥:A-N 20%、LP140-N 40%、LPSS100-N 40%

   (3要素施肥量は両区とも0.9kg/a)

 

表1 成熟期の生育状況および玄米収量と3要素吸収量

 

施肥法

稈長

 

cm

穂数

 

本/㎡

総重

 

kg/a

精玄米重

kg/a

 

同左比

3要素吸収量 g/㎡

 N

 P

K

無窒素

76

301

130

46.2

72

7.9

1.9

11.9

慣行施肥

82

384

168

64.2

100

12.2

2.7

17.2

全量基肥

84

396

170

62.1

97

11.2

2.7

17.1

                *:1.85mm<

表2 玄米品質

 

施肥量

食味関連無機成分

品質判定機RS-2000、食味GS-2000による評価

T‐N

Mg/K-N

食味値

良質粒%

評価*

eq/eq・%

 

 

食味

外観

総合

無窒素

1.20

115

80

93

A

S

A

慣行施肥

1.30

103

74

86

B

S

B

全量基肥

1.20

113

76

82

A~B

S

A~B

                  *:S>A>B>Cの順に評価が高い

表3 現地試験の収量および玄米品質

玄米重 kg/a

H8高志

H8坂井

H9高志

平均

(比)

良質粒%

H8高志

H8坂井

H9高志

平均

(比)

慣行施肥

54.6

61.8

49.3

55.2

100

慣行施肥

81

76

96

84

100

全量施肥

51.6

62.3

51.1

55.0

100

全量施肥

80

70

94

81

96

 

タンパク%

H8高志

H8坂井

H9高志

平均

(比)

食味値

H8高志

H8坂井

H9高志

平均

(比)

慣行施肥

7.2

7.1

6.7

7.0

100

慣行施肥

69

65

72

69

100

全量施肥

6.9

7.2

6.8

7.0

100

全量施肥

74

63

70

69

100

玄米品質は品質判定機RS‐2000、食味計GS‐2000による評価、タンパクは15%水分換算値

 

[その他]

 研究課題名:水稲全量基肥施肥法実用化技術確立事業

 予算区分 :県単

 研究課題 :平成8~9年

 研究担当者:牧田康宏・西端善丸・伊森博志

 発表論文等:なし

[平成10年度 普及に移す技術]

三方湖底質客土田の水稲施肥法

[要約]

 三方湖底質客土した水田では、1作目はハナエチゼンを穂肥のみで栽培し、2作目以降はハナエチゼン、コシヒカリとも慣行栽培でよい。

福井県園芸試験場 営農環境研究グループ

契機

部会名

生産環境

専門

肥料

対象

水稲

分類

指導

 

[背景・ねらい]

  福井県の三方湖では水質浄化のひとつとして浚渫を行っている。この浚渫された底質は、周辺水田の客土母材として利用されている。客土された底質は非常に肥沃で、そのため、客土された水田での施肥はかなり控えめとなっている。

  そこで、客土田での適正な施肥量を明らかにした。

 

[成果の内容・特徴]

(1)     1作目跡地土壌の化学性を見ると、遊離酸化鉄、CECには客土による改善効果が若干見られた(表2)。

(2)     1作目(ハナエチゼン)では、基肥+追肥0%でも慣行と同等の収量が得られ、施肥量を増すごとに穂数、収量とも増加した(表3)。

(3)     2作目(コシヒカリ)では、施肥量に応じて穂数は多くなったが、収量は慣行栽培より減少した(表3)。

(4)     2作目(コシヒカリ)では、施肥量に応じて収量は増加し、基肥+追肥100%で慣行と同等の収量が得られた(表3)。

(5)     いずれの処理区でも倒状は2~3程度であった(表3)。

(6)     三方湖底質を客土母材として用いる場合、1作目は基肥、追肥を施すと穂数が多くなりすぎる傾向があるので穂肥のみとし、2作目よりハナエチゼン、コシヒカリとも慣行栽培を行うとよい。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)     三方湖底質の客土は10cmとした結果である。

(2)     土壌改良材は1作目は施用しないが、2作目以降ケイカル200kg/10a施用した。

(3)     底質客土田は極端な排水不良になりやすいため、表面排水に努める。

 

[具体的データ]

 

表1 施肥量(N・kg/10a)

ハナエチゼン

基肥

追肥

穂(1)

穂(2)

コシヒカリ

基肥

追肥

穂(1)

穂(2)

客土+基追0%

2

2

客土+基追0%

2

2

客土+基追50%

2

1

2

2

客土+基追50%

2

2

2

客土+基追100%

4

2

2

2

客土+基追100%

4

2

2

慣行(無客土)

4

2

2

2

慣行(無客土)

4

2

2

基肥(塩化燐安:0-4-6)、追肥、穂肥(苦土塩化燐安:4-8-4)

 

表2 1作目跡地土壌の化学性

処理

pH

EC

T-N

T-C

FeO3

CEC

TruogP2O5

可給態N-0W

30℃~4W

30℃~10W

(μS/cm)

(%)

(me/100g)

(mg/100g)

0%

5.7

109.9

0.270

3.74

2.15

17.5

5.0

1.8

1.7

7.4

50%

5.7

102.2

0.260

3.77

2.01

17.7

5.0

1.8

2.5

8.3

100%

5.5

103.2

0.280

3.66

2.27

18.2

3.7

1.7

3.6

9.1

慣行

6.2

94.6

0.210

2.51

1.91

16.1

9.8

1.3

3.5

7.6

客土底質

5.5

607.0

0.513

3.95

2.34

17.2

7.7

2.8

5.2

7.1

 

 

表3 収量および玄米窒素濃度

96年/1作目ハナエチゼン

97年/2作目ハナエチゼン

97年/2作目コシヒカリ

処理

穂数

(本/㎡)

精玄米重

(g/㎡)

倒状

0~5

T-N

(玄米%)

穂数

(本/㎡)

精玄米重

(g/㎡)

倒状

0~5

T-N

(玄米%)

穂数

(本/㎡)

精玄米重

(g/㎡)

倒状

0~5

T-N

(玄米%)

0%

392

476

2

1.27

355

420

2

1.45

336

502

2

1.31

50%

545

603

2

1.31

401

503

2

1.49

357

548

2

1.29

100%

572

644

2

1.27

474

520

2

1.35

349

553

3

1.36

慣行

401

440

2

1.34

479

555

2

1.25

357

553

3

1.27

 

 

[その他]

研究課題名           :農業リサイクル型湖沼対策確立推進事業

予算区分              :県単

研究期間              :平成9年度(平成7~9年)

研究担当者           :長谷光展、田村利夫、川久保幸雄

発表論文等           :北陸作物学会報 第33号別号

 

ミディトマトの病原ウイルスの同定と市販品種の反応

[要約]県内で発生の認められたミディトマトえそ果タバコモザイクウイルス-

普通系に起因する。本ウイルスに対して桃太郎(抵抗性因子Tm-1)は、葉にモザイク、

果実にえそを示し、ハウス桃太郎(Tm-2a)は希に果実にえそを示す。

農業試験場 生産環境部・病理研究グループ

園芸バイテク部・バイテク研究グループ、野菜研究グループ

契機

部会名

生産環境、野菜・花き

専門

作物病害

対象

果菜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 平成8年、県内のミディトマト(越のルビー)の果実にえそ症状が発生し、大きな被害を受けた。そこで、病原ウイルスの種類を特定し、栽培品種の反応を調べ、防除対策の参考とする。

[成果の内容・特徴]

(1)     ミディトマトの病徴

葉は細くなったり、退緑斑やモザイクを生じる。果実にはえそを生じる(表1)。

(2)     TMV系統に対するミディトマトの反応

TMV抵抗性因子を有しないミディトマトは、弱毒ウイルス(L11A)に対して無病徴、TMV-トマト系に対してモザイク症状を示す。本ウイルスに対して葉にモザイク症状、果実にえそ症状を示す。えそ果は6~10月に発生し、10月以降は少ない(図1、表2、表3)。

(3)     病原ウイルスの同定

平成8年に県内各地の栽培圃場から採集したミディトマトのほとんどが、ELISA法でTMV-普通系と反応する(表1)。ミディトマトから分離したウイルス(F28株)は、病徴の再現性、検定植物の反応、血清反応、および外被タンパク質の遺伝子の相同性から、タバコモザイクウイルス(TMV)-普通系と同定する。

(4)     市販抵抗性品種の反応

本ウイルスはTMV-トマト系とほぼ同様の反応を示す。桃太郎(抵抗性因子Tm/+)はモザイク症状を示し、果実にえそを示す。ハウス桃太郎(Tm-2a/+)では感染すると頂部えそ、萎縮症状を示す。また、稀に果実のみにえそを示すことがある(図1、表3)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)       農作業中に伝染すると考えられるので、発病株は早期に抜き取る。

(2)       土壌伝染すると考えられるので、土壌消毒を行う。

 

[具体的データ]

 

図1 ミディトマト(上段)、桃太郎(中段)、

ハウス桃太郎(下段)の葉(左)と果実

(右)の病徴

 

表1 ミディトマトのウイルス検定結果

症状

検定

TMV

普通系

TMV

トマト系

モザイク

35

26

0

退緑斑

5

5

0

細葉

5

5

0

果実えそ

2

2

0

無病徴

28

9

1

合計

75

47

1

注) 平成8年、二重抗体ELISA法

 

表2 えそ果の月別発生状況

接種

ウイルスa)

収穫時期

6月

7月

8月

10月

11月以降

F28

0/0b)

19/59

14/24

1/4

0/49

L11A+F28

7/16

14/39

5/14

1/4

0/5

a)      F28:ミディトマト分離株、L11A:弱毒ウイルス

b)      えそ果数/収穫果数

 

表3タバコモザイクウイルス系統に対するトマトの反応

品種

(抵抗性型)

接種ウa)

イルス

接種

株数

葉の発病

 

果実の発病

病徴b)

株数

 

病徴

株数

発病果率c)

越のルビー

(+/+)

F28

4

m

3

 

えそ

4

43/83

TMV-普通系

3

m

2

 

えそ

1

1/63

TMV-トマト系

4

m

4

 

0

0/93

L11A

7

0

 

0

0/161

無接種

4

0

 

0

0/57

桃太郎

(Tm1/+)

F28

8

M

8

 

えそ

8

41/63

TMV-普通系

6

M

6

 

えそ

4

6/49

TMV-トマト系

3

m~M

3

 

0

0/25

無接種

6

0

 

0

0/49

ハウス桃太郎

(Tm2a/+)

F28

8

N,S,M

4

 

えそd)

1

11/34

TMV-普通系

6

N,S,M

4

 

えそd)

1

9/19

TMV-トマト系

1

0

 

0

0/11

無接種

6

0

 

0

0/64

a)F28:ミディトマト分離株、TMV-普通系:農研センター分譲株、TMV-トマ

ト系:ジーンバンク株、L11A:弱毒ウイルスb)m:軽いモザイク、M:モザイク、

N:えそ斑、S:萎縮 c)えそ果数/収穫果数(6~8月)

d):葉に無病徴で果実にえそ発生株

 

[その他]

研究課題名           :ミディトマトの新品種育成事業

予算区分              :県単

研究期間              :平成9年度(平成9~12年)

研究担当者           :本多範行、富田浩治、駒野雅保、野村幸雄、奥田俊夫

発表論文等           :なし

 

福井県におけるチオファネートメチル耐性ダイズ紫斑病の発生と防除対策

[要約]福井県では、広域にチオファネートメチル剤に対して耐性を示すダイズ紫斑病菌が発生している。この耐性菌に対してジエトフェンカルブ・チオファネートメチル剤の散布が有効である。

農業試験場・生産環境部・病理研究グループ

契機

部会名

生産環境

専門

作物病害

対象

豆類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

本県では、1975年から紫斑病に対して、ベンズイミダゾール系殺菌剤を種子消毒剤および散布剤として使用し、高い防除効果を発揮してきた。しかし、適期に散布しているにもかかわらず紫斑病が多発する圃場があり、問題となった。そこで本剤耐性菌の発生状況を調査するとともに、その代替薬剤を明らかにする。

 

[成果の内容・特徴]

(1)     1991年、1992年に県内13ヶ所の紫斑粒から分離した127菌株のうち、124菌株はチオファネートメチル剤濃度1,600ppmでも生育する高度耐性菌である。耐性菌は全ての採集地から分離され、その比率は98%と高い(表1)。

(2)     本剤は耐性菌に対して、切離葉を用いた試験で明らかに防除効果が劣る。

(3)     耐性菌はベノミル剤に対して正の交差耐性を示すが、ジエトフェンカルブ剤に対しては負の交差耐性を示す。イプロジオン剤、プロシミドン剤、塩基性硫酸銅剤には耐性を有しない(図1)。

(4)     耐性菌発生圃場におけるジエトフェンカルブ・チオファネートメチル剤の防除効果はチオファネートメチル剤より高い。また、ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル剤散布区からの紫斑粒は全て感性菌で、チオファネートメチル剤散布区の紫散布区の紫斑粒は全て耐性菌であった(表1)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)     種子はチウラムを含む殺菌剤で、必ず消毒して播種する。

(2)     他の豆科作物との混植は避け、被害残さはすき込み、越冬菌量を少なくする。

(3)     ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル剤にも耐性菌が発生しやすいので、散布は開花20~30日後の1回とする。多発が予想されるときは、1回目は銅剤、2回目に本剤を散布する。

(4)     散布にあたっては莢によくかかるようにする。

 

[具体的データ]

表1 ダイズ紫斑病菌に対するチオファーネートメチル剤最小生育阻止濃度頓度分布

採取地

品種

最小生育阻止濃度(ppm)

1.56

3.12

6.25

12.5

25

50

100

200

400

800

1600

1600<

福井市1

エンレイ

0a)

0

0

1

0

0

0

0

0

0

0

34

福井市2

タチナガハ

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

3

大野市

エンレイ

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

8

金津町1

エンレイ

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

4

金津町2

エンレイ

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

7

丸岡町1

エンレイ

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

6

丸岡町2

エンレイ

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

6

清水町1

エンレイ

0

0

1

0

0

0

0

0

0

0

0

28

清水町2

エンレイ

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

7

清水町3

エンレイ

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

3

清水町4

タチナガハ

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

10

清水町5

不明

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

5

清水町6

エンルイ

0

0

0

0

0

1

0

0

0

0

0

3

0

0

1

1

0

1

0

0

0

0

0

0124

a)菌株数

図1 ダイズ紫斑病に対する各種薬剤の菌糸生育阻止率

 

表2 薬剤のダイズ紫斑病防除効果a)とチオファネートメチル剤耐性菌比率

薬剤名

調査

粒数

紫斑

粒数

紫斑

粒率

防除

チオファネートメチル剤耐性検定

菌株数

耐性菌率

ジエトフェンカルブ・チオファネートメチル水和剤b)

4,579粒

1.3粒

0.03%

99

3

0%

チファネートメチル粉剤c)

4,133

10.0

0.24

88

9

100

塩基性硫酸銅粉剤c)

4,249

17.7

0.42

80

20

80

無散布

4,545

96.0

2.08

23

83

a)品種:エンレイ。1区20㎡ 3連制、開花約21日後、35日後の2回散布。チオファネート

メチル剤耐性菌率83%(無散布)。B)1,000倍200ℓ/10a c)4kg/10a

 

[その他]

研究課題名           :薬剤耐性菌検定事業

予算区分              :国補(植防)

研究期間              :平成7年度(昭和55年~)

研究担当者           :本多範行、佐藤陽子

発表論文等           :北陸病害虫研究会報44:65~71

[平成10年度 普及に移す技術]

ラッキョウからの水溶性食物繊維(フルクタン)の製造方法

[要約]ラッキョウの新しい利用法として、球根部から水溶性植物繊維であるフルクタンを製造する方法を開発した。

福井県農業試験場・食品加工研究所・加工開発研究グループ

契機

部会名

食品

専門

加工利用

対象

根菜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

本県の特産物のラッキョウ甘酢漬けの製造工程では、原料の約40%が不要部分として棄てられており、産業廃棄物として問題となっている。一方、食品の生理機能に対する関心が高まっているが、ラッキョウには水溶性食物繊維であるフルクタン(果糖の多糖類)が多量に含まれており、その含量は乾物あたり70%に達する。そこで、未利用資源の有効利用と、新規利用を図る目的で、ラッキョウから水溶性食物繊維であるフルクタンを調製する方法を開発する。

 

[成果の内容・特徴]

(1)図1にラッキョウからフルクタンを調製する方法を示す。

 その特徴は、水で抽出を行った後、一晩放置し不要性のガム質を除去する点、水酸化カルシウムによるアルカリ処理で除蛋白し、炭酸ガスで中和を行う点、活性炭処理、減圧濃縮で臭い成分を取り除く点にある。

(2)この方法により、生ラッキョウの球根部1kgから100g以上のフルクタン乾燥粉末が得られ、これは乾物量の約50%に相当する。

(3)このようにして得られたフルクタンの、食物繊維含量は96.0%であり、糖質のほとんどは食物繊維である(表1)。

(4)このフルクタンは、他の植物フルクタンの一種であるイヌリンよりも高分子で、6,000~100,000の広い分布を示す(図2)。また、冷水に可溶であり、性質もイヌリンと異なる(イヌリンは冷水不溶)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)   産業廃棄物として多量に廃棄されるラッキョウ残渣物を、機能性食品素材として有効利用することができる。

(2)   得られたフルタンクは水溶性食物繊維として、冷菓、飲料、菓子、麺類等幅広く食品に利用できる。また、ラッキョウ下漬け発酵用乳酸菌スターターの培養基として利用できる。

(3)   酸性(pH4以下)域で加熱を要する食品では、加水分解を受け果糖を生じやすいので、注意すること。

(4)   なお、特許出願中のため、活用に当たっては問い合わせること。

 

[具体的データ]

 

 
 

 

表1 調製したフルクタンの組成

水分

1.5%

食物繊維*

96.0%

他の糖質

1.4%

蛋白質

0.3%

脂質

0.1%

配分

0.7%

*     AOACによる酸素重量法を用いた

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図2 ゲル濾過によるフルクタンの分子量分布

カラム:YMC-Pack Diol-300+Diol-200

移動相:水、流速:1.0ml/min、検出器:RI 

 

 

図1 フルクタンの製造工程

 

 

[その他]

研究課題名           :北陸特産野菜の特殊成分利用技術の開発・改善および新規食品の開発

予算区分              :国補(地域重要新技術)

研究期間              :平成7年度(平成5~7年度)

研究担当者           :小林恭一、渕上小百合、西川清文、稲木幸夫.

発表論文等           :

[平成10年度 普及に移す技術]

トウモロコシ主体飼料による若狭牛(黒毛和種去勢牛)の産肉性改善

[要約]黒毛和種去勢牛へのトウモロコシ主体飼料の給与により、若狭牛の高品質牛肉(4等級以上)安定生産が可能になる。

畜産試験場・家畜研究部・大家畜研究グループ

契機

 

部会名

畜産

専門

飼育管理

対象

家畜類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

福井県で生産される若狭牛(但馬系)は肉質の評価は良いが、枝肉重量が小さい。そこで肉枝重量の大型化と肉牛品質の一層の斉一化を図るため、トウモロコシを主体にした飼料給与システムの検討を行った。

 

[成果の内容・特徴]

1.              肥育期間を前期-中期-後期=6-6-8ヵ月間とし、中期にトウモロコシ主体(60%・70%配      合)の高エネルギー飼料給与(表1)を行うことにより、高品質肉牛(4等級以上)の安定生産(県内牛枝肉共励会等の48%に対し80~100%)が可能になる(表4)。

2.              肥育前期に粗飼料多給型(チモシー乾草)給与を行うことにより(表1)、前期の増体が改善され(慣行改良技術によるこれまでの成績1日当たり増体重0.73kg/日に対し0.88kg/日,表3)、30ヶ月齢で400kgの枝肉重量を得ることができる。

 

[成果の活用面・留意点]

1.供試牛は資質系のため、増体系では反応が異なることも考えられる。

2.枝肉重量の大型化には育成期からの検討が必要と考えられる。この点について、さらに試験を継続中である。

 

[具体的データ]

表1 飼料配合割合   (原物%)                                            表2 飼料摂取状況   (原物kg)

 

前期

中期

 

後期

 

 

60%区

70%区

 

トウモロコシ

50

60

70

30

大麦

 

 

 

40

フスマ

33

27

20

30

大豆粕

17

13

10

0

TDN

73.7

74.9

76.2

71.2

DCP

14.4

12.9

11.4

9.1

粗飼料

チモシー

稲ワラ

稲ワラ

稲ワラ

給与割合

30

10

10

10

 

 

60%区

70%区

前期

濃厚飼料

979(5.5)

975(5.5)

 

粗飼料

448(2.5)

451(2.5)

中期

濃厚飼料

1252(6.9)

1220(6.7)

 

粗飼料

124(0.7)

111(0.6)

後期

濃厚飼料

1696(6.5)

1789(6.8)

 

粗飼料

167(0.6)

166(0.6)

通産

濃厚飼料

3927(6.3)

3984(6.4)

 

粗飼料

739(1.2)

728(1.2)

注1) ()は1日1頭当たり摂取量

注2) 供試頭数は60%区4頭、70%区5頭

 

 

表3 増体成績                                                                          表4 枝肉成績

 

60%区

70%区

 

 

60%区

70%区

体重(kg)

 

 

 

枝肉重量(kg)

393±34

411±25

開始

249±14(9.9)

259±15(10.2)

 

ロース芯面積(c㎡)

49±6

50±6

前期終了

400±22(15.8)

410±18(16.1)

 

バラ厚(cm)

7.5±0.9

7.3±0.6

中期終了

528±21(21.8)

536±19(22.1)

 

皮下脂肪厚(cm)

2.3±0.5

2.7±0.6

試験終了

639±43(30.4)

665±26(30.7)

 

歩留基準値(%)

73.8±1.2

73.2±1.0

1日1頭当たり増体重(kg/日)

 

BMS No.

8.5±1.7

7.6±1.6

前期

0.84±0.14

0.88±0.05

 

BCS No.

4.0±0.0

3.2±0.4

中期

0.70±0.05

0.66±0.05

 

BFS No.

3.0±0.0

3.0±0.0

後期

0.42±0.10

0.49±0.06

 

枝肉等級A-5

2

2

通算

0.63±0.08

0.65±0.04

 

 (頭) A-4

2

2

注1)()は月齢

 

B-4

 

1

 

[その他]

研究課題名           :若狭牛専用飼料給与システム開発試験(II)

予算区分              :単県

研究期間              :平成9年度(平成7~9年)

研究担当者           :福井幸昌、松田隆一、辻本賢二郎(福井県嶺南牧場).

発表論文等           :なし

 

平成10年度 普及に移す技術

ウシ受精卵を用いる雌雄産み分け技術

[要約]ウシ受精卵の細胞の一部を切断分離し、その細胞中に存在する雄特異的DNAを増幅し、検出することにより、雌雄判別をおこなう。切断分離した残りの受精卵を移植し、性の産み分けが可能である。

畜産試験場・バイテク研究グループ

契機

研究

部会名

畜産

専門

繁殖

対象

家畜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 ウシの雌雄産み分けが可能になれば、肉用牛では肥育効率の良い雄、乳用牛では高泌乳牛からの優良後継牛の確保と改良促進など、経営にあった牛群管理と経営効率化が図られる。近年、遺伝子解析技術として、細胞中のDNA塩基配列の一部を増幅する技術(Polymerase Chain Reaction:PCR法)が開発されている。

 この、PCR法を用いてのウシ受精卵中雄特異的DNAの有無(有→雄、無→雌)により性別判別をおこない、判別後に移植することにより雌雄の産み分けがかのうであるかについて検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)     生体より回収した受精卵79個について雌雄判別を実施した結果、雄と雌が同数で、判定不能は9(11.4%)である(表1)。

(2)     判定不能であったものは、受精卵切断分離後の雌雄判別用サンプルの粉失が原因であり、雄特異的DNAのPCR反応については安定している。

(3)     雌雄判別後に移植したもののうち、7頭が受胎したが、2頭が流産し、妊娠日齢45前後の草期流産である(表2)。

(4)     すでに分娩した4頭の性別は、受精卵による判別による判別結果と一致している。また、3頭は新鮮卵移植で、1頭は凍結卵移植によるものである(表2)。

(5)     雌雄判別産子のその後の発育成績は発育標準値の正常範囲内にあり、受精卵段階での切断分離による影響は認められない。

 

[成果の活用面・留意点]

 受精卵の切断分離による機械的損傷や雌雄判別用サンプル採取のための細胞数減少から、耐凍性が低く、凍結卵移植による受胎率は低い。このため、可能な限り新鮮卵移植が実施できるよう留意する。

 

[具体的データー]

表1 生体より回収したウシ受精卵の雌雄判別結果 (平成8年度)

 

♂(%)

♀(%)

不能(%)

乳用牛

25

27

7

59

肉用牛

10

8

2

20

35(44.3)

35(44.3)

9(11.4)

79

 

表2 受胎および分娩成績

産子の種類

生物

移植形態

生時体重

備考

肉用牛

新鮮

26.2

 

肉用牛

凍結

26.6

 

肉用牛

新鮮

流産(43日目)

肉用牛

新鮮

32.8

 

肉用牛

新鮮

23.8

 

乳用牛

新鮮

流産(46日目)

乳用牛

新鮮

 

妊娠中

 

 

図 雌雄判別産子の発育成積

 

[その他]

研究課題名           :DNA解析による牛受精卵の雌雄判別技術開発

予算区分              :単県

研究期間              :平成3~10年度

研究担当者           :松井 司・横田昌巳・近藤守人

発表論文等           :第89回日本繁殖生物学会(1,996)

                            :第4回日本胚移植研究会(1997)

 

[平成10年度 普及に移す技術]

子豚の早期去勢による飼養管理の省力化

[要約]子豚の0日齢で去勢した場合は、子豚の発育成績に影響はなく、去勢処理作業の省力化が可能である。

畜産試験場・家畜研究部・中小家畜研究グループ

契機

部会名

畜産

専門

飼育管理

対象

家畜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

 肥育を目的とする雄子豚の去勢は、群飼における飼育管理を容易にし、肉に不快な雄臭を持たせないことを目的としている。去勢の時期は一般的に2~3週齢で行われているが、子豚が大きくなるほど去勢処理の負担は増す。このため、早期去勢(0日齢)による子豚の発育と飼育管理の省力化について検討する。

 

[成果の内容・特徴]

(1)     同一分娩内で去勢処理日差による子豚の育成率は、0日齢と14日齢去勢との間では有意な差はみられない(表1)。

(2)     子豚の一日当たり増体重は生時から14日齢までの間は14日齢去勢が、15日齢から84日齢は、0日齢去勢が若干良い成績であったが、有意な差はみられない(図1)。

(3)     0日齢去勢では子豚が小さいことから、一人で作業が可能であり、また、分娩処理と同時に行うことにより、作業の省力化が図られる。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)     去勢を分娩処理と同時に行うことにより、作業の省力化が図られ、去勢処理日齢の遅れも妨げる。

(2)     0日齢去勢の場合、子豚が小さいため処理が難しい場合があるが、去勢専用の器具を使用すれば、簡単に処理できる。

 

[成果のデータ]

 

表1 去勢処理日齢差による発育成績

去勢

日齢

頭数

体重(kg)

育成率(%)

(0~28日齢)

0日齢

14日齢

28日齢

84日齢

0日

35

1.40±0.24

4.37±0.92

7.30±1.49

39.30±6.93

83.33

14日

44

1.49±0.68

4.79±0.92

7.14±1.54

37.90±8.27

88.37

 

 

図1 去勢処理日齢差による一日当たり増体重

 

 

[その他]

研究課題名           :豚の飼育管理省力化技術の確立

予算区分              :県単

研究期間              :平成9年度

研究担当者           :船塚絹代・小林直樹・山口良二

発表論文等           :なし

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