実用化技術等(平成9年)

最終更新日 2023年3月13日ページID 052160

印刷

【平成9年度】

1.水稲乾田直播栽培における省力的除草体系
2.種苗生産における経営の発展経過と特徴
3.調理用ラッキョウ新品種「ハイブリッドラッキョウ1号」
4.生食用ラッキョウ新品種「ハイブリッドラッキョウ2号」
5.根こぶ病抵抗性ツケナ新品種「勝山ミズナ1号」
6.粉砕籾がらを利用したトマトの養液栽培
7.ミディトマトの「越のルビー」に対する汁液中硝酸イオン濃度の簡易測定法
8.アジュガ(Ajuga reptans L、.)の適正栽植密度と雑草抑制効果
9.景観形成に利用可能なコスモスの品種とは種期およびは種量
10.ウメの低樹高Y字フェンス仕立て
11.ウメ「紅サシ」のせん定期間の拡大
12.ウメのネット収穫における振動収穫機の利用
13.ウメ植栽における地下水位の指標
14.ウメ「紅サシ」の果実の滴定酸度測定によるクエン酸含量の推定
15.コシヒカリの穂肥管理基準
16.緩効性隣酸・加里肥料の前年施用による全量基肥施肥量の削減
17.新規清酒酵母FK-214a、Fk-3aの育種と特性
18.糯米菓生地水分の迅速測定法
19.細霧システムによる乳牛暑熱対策
20.1回哺乳によるホルスタイン雌子牛の人工哺育
21.血斑発生に対するビタミン剤の有効性

 

平成9年度

 

水稲乾田直播栽培における省力的除草体系

[要約]乾田直播除草体系は、播種後湛水するまで畑状態の期間が長いため、従来は3回(液剤+液剤+粒剤)体系であったが、新除草剤(シハロホップブチル・ベンタゾンNa塩)の導入によって除草効果が向上し、2回処理(播種20日後液剤+30日後粒剤)体系による省力化が図られた。

福井県農業試験場・作物経営部・直播栽培研究チーム

連絡先

0776-54-5100

部会名

作物生産

専門

栽培

対象

稲類

分類

普及

[背景・ねらい]

乾田直播栽培は播種後、出芽苗立まで畑状態の期間が長く、除草は播種直後+イネ出芽期(播種2週間後)+イネ2葉期(播種24日後入水1~2日後)の3回体系が必要である。しかし、液剤は10a当たり80~100ℓの水に溶かして噴霧するため、大区画水田では多労を要する。そこで葉期の進んだヒエにも効果のある新薬剤を活用し、除草体系の省力化を検討した。

[成果の内容・特徴]

4月中旬に耕耘・整地・鎮圧を行った後、5月上旬に施肥・播種し、水稲が2葉期に達する6月初めより入水を開始した。

除草方法は播種20日後(イネ2葉期)のシハロホップブチル・ベンタゾンNa塩液剤+播種1ヵ月後(湛水7日後)のベンスルフロンメチル・ベンチオカーブ・メフェナセット粒剤の2回体系である(表1、2、図1)。乾田直播栽培における雑草の主な草種は、タイヌビエ、タカサブロウ、タデ類等の水田雑草であった。

(1)シハロホップブチル・ベンタゾンNa塩液剤1回処理(播種1ヵ月後)のみでは、後発生のヒエが認められた。しかし、同剤と湛水後土壌処理効果をもつ粒剤との2回体系では、効果が持続し、後発のヒエも少なかった(表3)。

また、今回の2回体系は、従来の3回体系に比べて薬害も少なく収量への影響はなかった(表4)。

(2)除草剤散布に要する延作業時間は、液剤が管理機搭載のブームスプレアで2時間/ha、粒剤はカーペットダスタを用い、1時間/ha程度である。従来の3回体系は、最初のプロメトリンベンチョカーブ乳剤の散布時期が播種作業と重なるため、組作業となり、またDCPAは2葉以下のヒエにしか効果がないため、ヒエの葉令を常に観察する必要があった。しかし、シハロホップブチル・ベンタゾンNa塩液剤はヒエ4.5葉まで効果があるため、湛水前日まで処理を遅らせることが可能で、大巾な省力化を図ることができる。

[成果の活用面・留意点]

(1)シハロホップブチル・ベンタゾンNa塩液剤は10a当たり原液1ℓを70~100ℓの水に希釈し、茎葉散布を行うが、本剤は加水後、すみやかに効果が半減するため、散布液の調製は使用当日に行う。

(2)粒剤散布時の減水深は2cm/日以下になるよう留意する。

 

[具体的データ]

表1 供試除草剤

A剤:プロメトリン・ベンチオカーブ乳剤(80cc/a)

B剤:DCPA乳剤(80cc/a)

C剤:シハロホップブチル・ベンタゾンNa塩液剤(100cc/a)

D剤:ベンスルフロンメチル・ベンチオカーブ・メフェナセット粒剤(300g/a)

 

表2 除草方法

区名

体系内容

1

C(播種1ヵ月後落水 ヒエ4.5L)

2

C(播種20日後 ヒエ3L)+D(播種1ヵ月湛水7日後)

3(標)

A(播種直後)+B(播種2週間後 ヒエ1.5L)+D(播種24日後湛水1~2日後)

4

無処理

 

表3 雑草調査 (播種後50日 平成7年)

区名

乾物重g/㎡(無処理区対比)

 

計(%)

8月末の草量(後発生を含む

ヒエ

タデ類

タカサブロウ

その他広葉

ヒエ(出穂)

広葉

1

3.3

0.3

t

0.1

3.7(16)

2

t

0.1

t

t

0.2(1)

3(標)

0.5

0.1

t

t

0.6(3)

4

10.2

3.8

3.8

4.1

21.9(100)

極多

極多

 

表4 水稲の生育状況(平成7年~8年)

区名

出芽

苗立数

(㎡/本)

推定出芽

苗立率

(%)

播種後53日(7月中旬)

 

稈長

(cm)

 

穂長

(cm)

 

穂数

(本/㎡)

収量

草丈

(cm)

茎数

(本/㎡)

薬害

(kg/a)

(比)

1

212

66

44

359

75

20.0

371

56.4

(97)

2

215

67

42

393

75

19.7

407

60.2

(103)

3

220

69

39

370

73

19.4

379

58.1

(100)

4

203

63

42

313

77

19.6

289

32.1

(55)

 

[その他]

 研究課題名:乾田直播栽培における効率的除草体系

 予算区分 :国補(先進的水田基盤営農対策実証調査)

 研究期間 :平成6~8年度(平成6~9年)

 研究担当者:佐藤 勉

 発表論文等:なし

[平成9年度 普及に移す技術]

 

種苗生産における経営の発展過程と特徴

[要約]水稲育苗野菜苗生産花苗生産を行っている経営体について、種苗生産における経営の発展過程と特徴について調査し、社会的背景、技術の体得、規模拡大、計画生産など共通の特徴があることを明らかにした。

福井県農業試験場・作物経営部・地域営農研究チーム

連絡先

0776-54-5100

部会名

営農・作物生産

専門

経営

対象

対象

 

指導

 

[背景・ねらい]

水稲、野菜、花等における種苗生産は、特定農家、集団、農協等に分業化されている傾向が強まっており、これらを収入源とする経営体が県内にも生まれてきている。そこで、水稲育苗、野菜苗生産、花苗生産を主部門とする経営体(表1)を調査することにより、種苗生産経営体の発展過程と経営の特徴を明らかにする。

 

[成果の内容・特徴]

1)種苗生産経営体の共通する発展過程として、以下のことを明らかにした。

(1)いずれの種苗生産においても、作物生産の機械化、省力化、生活様式の変化により需要が伸びているという社会的背景がある(図1・図2)。

(2)種苗生産を本格的に開始する前に、水稲、野菜の各作物生産部門に付随するものとして自家用の育苗を行っており、この期間に良質苗の生産技術を体得した(図4)。

(3)種苗生産部門を拡大するに伴い、従来の作物生産部門から撤退するか、競合しないよう栽培体系を変更することにより、種苗生産部門を経営の中心においた(図4)。

(4)従業員の継続的な雇用と規模拡大のための信用を得るため、法人化(水稲育苗除く)している。

 

2)種苗生産部門の経営面で以下のような共通の特徴があることを明らかにした。

(1)施設の利用により、気象変動による影響を最小限にとどめることが可能であり、また出荷価格も契約により決められるので、計画生産が可能となっている。

(2)野菜苗、花苗生産においては、規模拡大に伴い多品種の生産、県外への出荷などにより、年間を通じた生産を実現している。

(3)土地利用型作物の生産と異なり、耕作面積の拡大のために近隣農家との調整を図る必要がなく、規模拡大が容易である。

(4)農協や県内外の量販店への出荷などにより販路の安定的な確保を行っている(図4)。

(5)作物栽培部門は気象的、地形的な影響を受けやすく、これらの生産が不利な地域の場合、相対的に種苗生産部門が有利になる(図3)。

 

[成果の活用面・留意点]

種苗生産部門を経営に取り入れている農家で、今後この部門の規模拡大を計画している農家の指導に活用できる。

 

[具体的データ]

   表1 種苗生産農家の経営概要

調査対象

水稲育苗農家A

野菜苗生産法人B

花苗生産法人C

立地条件

中山間地域

野菜生産地域

都市近郊

経営概要

水稲育苗   2万枚

水稲耕作    8ha

ミディトマト 8.5ha

野菜接木苗 150万本

花苗    100万本

花壇苗・野菜苗 42万

花壇管理受託  4件

労働力

経営主夫婦 2人

臨時雇用4人×20日

経営主夫婦  2人

従業員    2人

臨時雇用  約30人

経営主夫婦  2人

従業員    6人

臨時雇用  約6名

 

[その他]

 研究課題名:種苗生産農家の経営管理と産地形成

 予算区分 :県単一般研究

 研究期間 :平成6~8年

 研究担当者:山田正美、前川英範、朝日泰蔵

 発表論文等:なし

 

調理用ラッキョウ新品種「ハイブリッドラッキョウ1号」

[要約]子房培養により作出したラッキョウネギとの種間雑種の中から、ラッキョウよりやや小粒で分球が多く、1株重が重い豊産性の系統を選抜し、育成した品種である。炒め物、揚げ物など加熱調理に適する。

福井県農業試験場・園芸バイテク部・バイテク研究チーム

連絡先

0776-54-5100

部会名

野菜・花き・生物工学

専門

育種

対象

根菜類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

ラッキョウの用途は甘酢漬け加工が主体であるが、食生活の多様化により様々な調理用途が開発されている。そこで、各々の調理法に適した新品種の開発を試み、ラッキョウの不可価値の向上を図る。

 

[成果の内容・特徴]

1.育成経過

ラッキョウ「ラクダ系福井在来」とネギ「浅黄系九条」との種間交雑後、子房培養により種間雑種個体を得て、系統選抜により育成した(図1)。雑種性は、イネのrDNAをプローブとしてRFLP法によって確認した。平成6年より8年の2年間、特性検定を行い、その優秀性が認められたので、平成8年に品種登録の申請を行った。

 

2.特性の概要

(1)外観は「ラクダ系福井在来」に似ているが、生育はさらに旺盛である(図2)。

(2)1株球重は「ラクダ系福井在来」よりかなり重いが、分球数が多いため、1球重は「ラクダ系福井在来」よりやや小さくなる(表1)。

(3)りん茎の色は白で、形状は「ラクダ系福井在来」に類似しているが(図2)、辛味が強く、香気は少ない(図2)。

(4)6月上旬に抽苔を始め、夏季も生育を続けるが、種子稔性はなく、りん茎の分球によって繁殖する。

(5)抽苔によって品質が劣化するため、収穫は5月中下旬から抽苔の初期までとする。

(6)「ラクダ系福井在来」に比べて、サビ病にやや弱い傾向があるので防除が必要である。

(7)炒め物、揚げ物などの加熱調理に適し、甘酢漬加工には適さない。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)栽培はラッキョウの1年掘りの作型に準ずるが、1穴1球植えとする。

 

[具体的データ]

表1 収穫時の特性調査1)  (1996年5月23日)

品種

葉数2)

分球数

草丈

 

 

(cm)

葉身幅

 

(mm)

葉鞘長

 

(cm)

葉鞘部

太さ

(mm)

1株

球重

(g)

1球重

 

(g)

球の

縦径

 

(cm)

球の

横径

 

(cm)

首の

太さ

 

(mm)

りん

片数

内部

分球

ハイブリッドラッキョウ1号

4.8

11.1

68

5.5

10.5

6.4

52

4.7

4.9

1.5

6.9

5.0

1.0

ラクダ系福井在来

5.2

4.9

61

6.3

6.5

8.6

36

7.7

4.7

2.1

7.4

4.8

1.6

1)1995年9月1日植付け

2)葉身長5cm以上

 

 

[その他]

 研究課題名:細胞融合等による野菜・花き新品種の育成

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成3~8年

 研究担当者:野村幸雄、真柄紘一、数馬俊晴

 発表論文等:なし

 

生食用ラッキョウ新品種「ハイブリッドラッキョウ2号」

[要約]子房培養により作出したラッキョウタマネギとの種間雑種の中から、ラッキョウより分球は少ないが、大粒で1株重が重い豊産性の系統を選抜し、育成した品種である。りん茎の表皮が赤く着色し、生食に適する。

福井県農業試験場・園芸バイテク部・バイテク研究チーム

連絡先

0776-54-5100

部会名

野菜・花き、生物工学

専門

育種

対象

根菜類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

 ラッキョウの用途は甘酢漬け加工が主体であるが、食生活の多様化により様々な調理用途が開発されている。そこで、各々の調理法に適した新品種の開発を試み、ラッキョウの付加価値の向上を図る。

 

[成果の内容・特徴]

1.育成経過

 ラッキョウ「ラクダ系福井在来」とタマネギ「淡路中高黄色」との種間交雑後、子房培養により種間雑種個体を得て、系統選抜により育成した(図1)。雑種性は、イネのrDNAをプローブとしてRFLP法によって確認した。平成6年より8年の2年間、特性検定を行い、その優秀性が認められたので、平成8年に品種登録の申請を行なった。

 

2.特性の概要

(1)外観は「ラクダ系福井在来」に似ているが、生育はさらに旺盛である(図2)。

(2)1株球重は「ラクダ系福井在来」よりかなり重いが、分球数が少なく、1球重が重く大型となる(表1)。

(3)りん茎の色は赤で、形状は「ラクダ系福井在来」よりやや丸型で(図2)、幸味、香気とも強い(図2)。

(4)6月上旬に抽苔を始め、その後休眠するが、とうはそのまま残り開花に至る。

(5)抽苔によって品質が劣化するため、収穫は5月中下旬から抽苔の初期までとする。

(6)「ラクダ系福井在来」に比べて、サビ病にやや弱い傾向があるので防除が必要である。

(7)赤の色どりを生かした生食の料理に特に適するが、加熱調理にも適する。甘酢漬加工には適さない。

 

[成果の活用・留意点]

(1)栽培はラッキョウの1年掘りの作型に準ずるが、小粒化を図るため1穴2球植えとする。

 

[具体的データ]

 

表1 収穫時の特性調査1) (1996年5月23日)

品種

茎数2)

分球数

草丈

 

(㎝)

葉身幅

 

(mm)

葉鞘長

 

(㎝)

葉鞘部

太さ

(mm)

1株

球重

(g)

1球重

 

 

(g)

球の

縦径

 

(cm)

球の

横径

 

(cm)

首の

太さ

 

(mm)

りん

片数

内部

分球

ハイブリッドラッキョウ

2号

5.7

3.7

63

8.6

9.6

11.6

76

21.0

5.7

2.9

9.9

6.7

1.2

ラクダ系福井在来

5.2

4.9

61

6.3

6.5

8.6

36

7.7

4.7

2.1

7.4

4.8

1.6

1)1995年9月1日根付け

2)葉身長5cm以上

 

 

[その他]

 研究課題名:細胞融合等による野菜・花き新品種の育成

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成2~8年

 研究担当者:野村幸雄、真柄紘一、数馬俊晴

 発表論文等:なし

 

根こぶ病抵抗性ツケナ新品種「勝山ミズナ1号」

[要約]在来のとう菜勝山水菜」に根こ病抵抗性のカブ「77b」を交雑し、「勝山水菜」への戻し交雑によって根こぶ病抵抗性を付与した品種である。

福井県農業試験場・園芸バイテク部・バイテク研究チーム

連絡先

0776-54-5100

部会名

野菜・花き

専門

育種

対象

葉菜類

分類

普及

[背景・ねらい]

福井県勝山市で栽培されている「勝山水菜」は、雪解け後に伸長してきた花茎を収穫するという菜の一種であるが、土壌病害の根こぶ病の蔓延で栽培が困難になってきている。そこで、根こぶ病抵抗性のカブと交雑し、戻し交雑によって抵抗性品質を育成する。

 

[成果の内容・特徴]

1.育成の経過

平成3年4月に「勝山水菜」と根こぶ病抵抗性カブ「77b」を交雑し、そのF1を「勝山水菜」に2回戻し交雑した。その後、自殖を2回繰り返し、抵抗性因子のホモ化と形質選抜を平行して行い、最後に優良系統同志を交雑して育成系統とした(図)。2ヶ年間の特性検定を行い、その優秀性が認められたので、平成8年に品種登録の申請を行った。

 

2.特性の概要

(1)従来種に比べて、外観はよく似ており、越冬前の生育もほぼ同程度であるが、ダイコン様の葉を持つ個体の混入率が在来種より低く、越冬前の抽苔も全く見られない(表1)。

(2)収穫したとうの長さ(葉を含めた全長)、茎長、葉数、重さは在来種より優れ、多収となる(表2)。収穫期は在来種より4日程度早い(表2)。

(3)根こぶ病に対しては強度抵抗性を示す(表3)。

(4)おひたしにした食味は、外観(主に色)、味、食感の点で在来種より優れ、総合的にも在来種と同等以上である(表4)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)本品質の育成により無農薬栽培も可能となり、付加価値の向上にもつなげられる。

(2)本品質に対して罹病性となる根こぶ病菌の新しいレース出現を防ぐため、連作を避けるなど耕種的防除を励行する。

 

[具体的データ]

表1 越冬前生育(1994年12月12日 勝山市北市 根こぶ病非汚染圃場)

品種

葉長

(cm)

葉幅

(cm)

葉身長

(cm)

葉数

多欠刻葉株1)

混入率(%)

抽苔率

(%)

抽苔長

(cm)

茎径

(mm)

育成種

49.5

11.1

28.0

7.9

13.3

0

在来種

45.4

12.1

26.3

8.0

46.7

23.3

7.3

19.9

1)ダイコン様の形状の葉を持つ株

 

表2 収穫物の特性(1995年3~4月 勝山市北市 根こぶ病非汚染圃場)

品種

収穫物

収穫本数

(千本/10a)

収量

(kg/10a)

収穫日1)

長さ

(cm)

茎長

(cm)

茎径

(mm)

葉数

重さ

(g)

育成種

33.6

27.8

9.3

16.5

50.6

34.3

1,737

4/6

在来種

31.2

21.5

9.4

13.3

44.2

33.2

1,469

4/10

1)栽植株数の50%以上収穫した日

 

                     表3 根こぶ病罹病程度

                                    (1994年11月10日 勝山市北市 根こぶ病汚染圃場

品種

1)

(%)

1)

(%)

1)

(%)

(%)

調査数

育成種

0

0

0

100

39

在来種

62

17

0

21

47

                           1) 甚:主根全体が根こぶを形成

                                     中:側根のみに一目で確認できる根こぶを形成

                                 少:側根の先端に小さな根こぶを形成

 

                       表4 食味 (1995年4月)

品種

外観

(主に色

香り

食感

総合

育成種

+2

-2

+5

+6

+4

                        1) 在来種を±0として比較

 

 

 

[その他]

 研究課題名:細胞融合等による野菜・花き新品種の育成

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成3~8年

 研究担当者:野村幸雄、真柄紘一、数馬俊晴

 

粉砕籾がらを利用したトマトの養液栽培

[要約]トマト養液栽培で粉砕籾がら培地を使って少量多回数給液法で給液管理をすることにより、ロックウール培地に近い生育、収量が得られる。

福井県農業試験場・園芸バイテク部・野菜研究チーム

連絡先

0776-54-5100

部会名

野菜・花き

専門

栽培

対象

果菜類

分類

指導

[背景・ねらい]

ロックウール栽培は、施設に対する投資額やランニングコストも高くなることから、ロックウールに代わる培地として、地域内で入手可能な粉砕籾がらの利用とその給液管理法について明らかにし、トマトの養液栽培技術を確立する。

 

[成果の内容・特徴]

(1)養液栽培装置は誠和式を用い、1日当たり給液量はロックウール、粉砕籾がら培地ともに0.8ℓ/株で、1日当たり給液回数は多量少回数給液で7回、少量多回数給液で12回とした。

(2)培地はロックウールでは長さ95cm、幅35cm、厚さ7.5cmのスラブを用い、粉砕籾がらでは厚さ7.5cmでベッドに敷き、ロックウールと同容量(ベッド95cm当たり約25ℓ)となるように設定した。

(3)粉砕籾がら培地栽培では、従来のロックウール耕と同様の多量少回数給液により、生育後半の樹勢がやや低下する。一方、1回当たりの給液量を減じ、1日当たりの給液回数を多くする少量多回数給液によると、ロックウール耕と同等の生育が得られる(図1)。

(4)粉砕籾がら培地栽培での少量多回数給液管理法は、ロックウール耕に比べ、平均果重は劣るが、上物果数は多く、上物率も向上する(表1)。

(5)粉砕籾がら培地栽培における少量多回数給液管理では、130g以上の中・大玉果数の割合がロックウール耕に比べ、果実の大きさが揃う(図2)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)籾がら培地は、作付け初期における保水力が小さく乾きやすいので、活着まで補助的に手灌水を含め、充分な給液を行う。

(2)粉砕籾がらは使用中に腐熟が進むため、連作をする場合は3~4作までが限界と考えられる。

(3)粉砕籾がら培地は、培地利用後の処分が容易であり、堆肥としても再利用できる。

 

[具体的データ]

 

表1 培地の種類および給液法の違いがトマトの収量および品質に及ぼす影響(福井農試。1996年)

培地

給液法

実施年度

上物 収量

平均1

果重

g

上物率

 

糖度

 

Brix

未熟 果

果数

個/a

果重

kg/a

果数

個/a

果重

kg/a

ロック

ウール

標準

1995

4133

881

180

69.0

7.0

 

 

1996

4524

731

162

86.7

7.3

406

31

平均

4329

806

171

77.8

7.2

 

 

粉砕

もみ殻

多量

少回数

 

少量

多回数

1995

1824

179

110

41.0

5.9

 

 

1996

4002

495

143

82.1

8.7

1102

48

平均

2913

337

127

61.6

7.3

 

 

1995

4488

747

166

73.0

5.1

 

 

1996

4988

676

135

88.7

7.2

1160

59

平均

4738

711

151

81

6

 

 

注1:1996年5月27日から7月3日までの数値

注2:1本整枝10段摘心

注3:”多量少回数”は”ロックウール標準”と同様、”少量多回数”は1回当りの給液量を通常の1/2とし、1日当りの給液回数を増した。

 

 

[その他]

 研究課題名:養液栽培の指標作りと作業環境の改善

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成8年度(平成5~8年)

 研究担当者:高橋正樹、竹内将史、三谷和弘、奥田俊夫、勝田英郎、松山松夫

 発表論文等:なし

[平成9年度 普及に移す技術]

ミディトマト「越のルビー」に対する汁液中硝酸イオン濃度の簡易測定法

[要約]RQフレックスシステムによる硝酸イオンの測定は簡単、迅速で、かつ測定精度も高く、簡易測定法として有望である。本システムを用い「越のルビー」葉柄汁液中の硝酸イオン濃度を測定することにより生産現場での窒素栄養診断が可能である。

福井県農業試験場 野菜研究グループ

契機

部会名

野菜・花き

専門

肥料

対象

果菜類

分類

指導

[背景・ねらい]

「越のルビー」の栽培では、高糖度果実の生産と収量確保の両立が最大のポイントであるが、生産現場では、果実の過剰な肥大により糖度の上昇しない事例や、草勢の低下により後半に減収する事例が多く見られる。これは、施肥・灌水の過不足に起因することが多いが、施肥については具体的な指標がないのが現状である。そこで、栽培期間中に植物体の養分の過不足を迅速に判断し、栽培管理(施肥)へフィードバックできるよう簡易な栄養診断法の開発が望まれている。ここでは、最近発売されたRQフレックスシシステム(メルク社製、関東化学:以下RQフレックス)が簡易測定法として窒素栄養診断に利用できるかを明らかにしようとした。

 

[成果の内容・特徴]

(1)葉の一部を採取し、ニンニク絞り器で搾汁した汁液を試料とした。搾汁した汁液は50~100倍に希釈し、RQフレックスにより測定した(写真1)。

(2)本機器は電池により電源が供給でき、本体もコンパクトであるため圃場へ持ち運ぶことが可能である。また、サンプル1点にかかる測定時間は約1分と非常に迅速である(写真2)。

(3)測定値はイオンクロマト法と高い正の相関関係(r=0.9961)にあり精度は高い(図1)。

(4)搾汁・希釈した試料液は、うすい緑色を呈しているが、遠心分離によりクロロフィル等を取り除いても測定値に影響はなく、そのまま測定が可能である(図2)。

(5)同一小葉中の硝酸イオンは、葉柄では葉身の約5倍含有されていた。反復間での変動係数(CV)は葉身よりも葉柄で小さく、サンプリングするには葉柄の方が適していると判断された。(表)

 

[成果の活用面・留意点]

(1)栄養診断指標作成の基礎資料として活用する。

(2)本システムは、測定時に温度の影響を受けるため、できるだけ室温20℃前後で測定する。それが困難な場合は、測定時の室温を記録すれば、測定値の補正が可能である。

 

[具体的データ]

 

表 施肥量・試料採取部位の違いと硝酸イオン濃度

 

試験区

葉身(×100ppm)

 

葉柄(×100ppm)

1段

2段

3段

4段

5段

 

1段

2段

3段

4段

5段

N0

7.0

3.4

2.4

2.2

2.4

 

63.7

31.5

17.5

4.7

4.0

 

24.4

39.5

21.7

12.1

12.9

 

17.5

69.3

61.6

12.4

62.9

N0.3

19.3

12.7

16.0

10.7

7.5

 

92.5

74.5

62.2

56.2

53.8

 

49.9

37.3

3.6

23.6

7.7

 

7.7

13.8

19.5

7.2

22.5

N0.6

27.5

20.0

22.7

17.7

11.2

 

108.3

99.3

84.8

87.5

75.3

 

27.5

42.5

33.7

27.9

5.2

 

11.1

11.0

13.1

9.9

7.7

N1.2

38.0

26.0

23.5

19.8

17.8

 

116.5

122.5

108.8

105.7

105.0

 

53.7

36.4

21.4

17.5

23.3

 

11.7

3.3

22.1

8.2

2.5

                  各区下段には変動係数(CV)を示した。

 

[その他]

 研究課題名:施設高度利用による特産野菜の超多収栽培技術確立

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成8年度(平成7~9年)

 研究担当者:佐藤信二

 発表論文等:なし

 

[平成9年度 普及に移す技術]

アジュガ(Ajuga reptans L.)の適正栽植密度と雑草抑制効果

[要約]アジュガの最適栽植密度は、9本/㎡である。栽植後1年間で被覆率85%に達し、雑草量を抑制する。アジュガが地表を被覆するまで、栽植後1年間は除草を必要とするが、その後の除草時間は大幅に削減できる。

福井県農業試験場・園芸バイテク部・花き研究グループ

契機

部会名

野菜・花き

専門

環境保全

対象

緑化植物

分類

指導

 

[背景・ねらい]

農村地域の景観向上と畦畔の雑草管理の省力化を目的として、草丈が低く、地表面を密に覆いながら生長する地被植物のアジュガが、導入されている。しかし、アジュガの被覆速度並びに導入する際の最適な栽植密度が明らかでなく、また栽植初期の除草時間が問題となっている。そこで、アジュガの最適な栽植密度、被覆速度、及び雑草抑制効果を明らかにした。

 

[成果の内容・特徴]

(1)アジュガはマルチの有無に関わらず、全面被覆するまでに栽植高密度(16本区、25本区では1年間、低密度(4本区、9本区)では2年間を要する。(図1)。

(2)雑草量は、アジュカの栽植後1年間は、裸地と比べて無マルチでは65%以下、マルチでは25%以下にまで抑制できる(図2)。

(3)無マルチでは、栽植後1年間の除草時間(分/㎡/人)は高密度ほど増加し、特に高密度区は裸地の3倍以上を要する。2年目には被覆率が増加し、除草時間は全ての区で裸地以下となる。マルチの場合、栽植後1年間の除草時間は4~16本の栽植密度で、無マルチ、裸地に比べ、大幅に短縮できる(図3)。

(4)最適栽植密度は、被覆速度、雑草抑制効果、および除草時間短縮効果から9本/㎡と判断される。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)手取り除草が行える畦畔にアジュガを栽植すれば、2年目以降は除草時間の削減になる。

(2)育苗用土1リットルに緩効性肥料(14-12-14)を20g施用する。

(3)栽植の際は事前に除草し、施肥はしない。

 

[具体的データ]

 

 

[その他]

 研究課題名:福井型花き産地育成技術の開発

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成8年度(平成6~10年)

 研究担当者:榎本博之、土屋孝夫、近藤哲也

 発表論文等:アジュガ(Ajuga reptans L.)による雑草抑制効果、平成8年度園芸学会北陸支部研究発表要旨、1996年。

 

[平成9年度 普及に移す技術]

景観形成に利用可能なコスモスの品種とは種期およびは種量

[要約]コスモスを利用した景観形成にはセンセーションが適しており、は種は、6月から8月上旬におこない、は種量は90粒/がよい。

福井県農業試験場・花き研究チーム

契機

部会名

野菜・花き

専門

栽培

対象

花き類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

近年、本県では休耕田等の環境美化と、雑草防止を目的に、環境形成植物を導入する動きが活発化し、農村のイメージアップにも効果を上げている。そこで、比較的栽培が容易でポピュラーな品目であるコスモスの景観形成への利用を検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)景観形成にはセンセーションが側枝が多く発生し、花が次々と咲き進み鑑賞期間が長いことから適している。

(2)ベルサイユは到花日数が50日から80日で、は種時期をずらすことによって開花開始時期を調節できるが、側枝の発生が少なく、頂花の開花後の根本から倒伏するため、景観形成には利用できない。

(3)センセーションは早く播種すると側枝がちらほら開花するが、見頃となるのはほぼ10月で、草丈が伸び木化した茎が裂けるように倒伏するため、5月以前のは種は適さない。

(4)9月以降には種した場合、開花は見られるが、草丈が低く、ボリュームも少ないため、景観を広く美化するには不適である。

(5)は種密度の違いによって開花時期はほとんど差がなく、は種密度が低くても側枝が増加し、見た目にもは種密度の高い区とほとんど差がない。

(6)は種密度が低い方が種子量が少なくて済むが、50粒/㎡は草丈が高くなり過ぎ倒伏することから、景観形成には90粒/㎡が適している。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)ヒマワリと組み合わせた連続的な景観形成が可能である。

(2)コスモスの景観形成に適するは種時期は6月~8月上旬であるが、コスモスを圃場に直播きする場合、乾燥が続くと発芽が揃わないため、梅雨時期には種をするとよい。は種後に降雨が期待できないときは、初期の潅水管理を徹底する。

(3)コスモスは株が絡み合って倒伏を軽減しているため、は種面積が小さい場合は、は種密度を高める必要がある。

 

[具体的データ]

 

 

第1表 センセーションの播種期と   第2表 センセーションのは種密度

    開花期の生育(1994)           開花期の生育(1996)

は種期

草丈

側枝数

倒伏

 

 

 

栽植

密度

着蕾

 

月.日

cm

 

 

 

 

 

側枝

開花時期

5.6

175.5

18.2

 

 

 

 

5.27

157.9

13.6

 

 

 

粒/㎡

cm

cm

cm

 

6.17

116.7

17.7

 

 

 

400

10

5

153

6

10月1半旬

7.12

125.6

15.1

 

 

 

280

12

6

141

5

9月6半旬

8.1

135.5

15.3

 

 

 

200

10

10

150

5

9月6半旬

9.2

78.7

10.7

 

 

 

189

15

7.5

154

7

9月6半旬

9.19

71.0

13.2

 

 

 

158

12

12

136

17

9月6半旬

10.3

51.7

12.7

 

 

 

90

15

15

155

25

9月6半旬

 

 

 

 

 

 

 

50

20

20

180

51

9月6半旬

                  は種日:平成8年7月9日

                   1ヶ所2粒まき

 

 

[その他]

 研究課題名:特産花きの附加価値向上

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成8年度(平6年~平成8年)

 研究担当者:池田郁美・永井輝行

     

 

ウメの低樹高Y字フェンス仕立て

[要約]低樹高を目的として、樹高2m、幅1.5~2.0のY字フェンス仕立てを行なうことにより、収穫作業の省力化と樹の若返りが図られ、大玉比率が高まる。

福井県園芸試験場・果樹研究チーム

連絡先

0770-32-0009

部会名

果樹

専門

栽培

対象

果樹類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

ウメの栽培・経営上の最も大きな問題点は、収穫に多くの時間を要することと収量の年次変動が大きいことである。そこで収穫の省力化と大玉生産を目標に低樹高フェンス仕立てを検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)発育枝を利用した側枝をフェンス状に誘引するために、50mmの鉄パイプを用いて高さ2m、最上幅1.5~2.0mになるように、4m間隔で支柱を組立て、それに5mmの針金を1.0m、1.5m、2.0mの高さに2本ずつ計6本横に張る(図1)。

(2)植栽本数は、フェンス幅によって異なり、通路幅を考慮して1.5幅では4m×3.5m(10a当たり70本)、2.0m幅では4m×4.5m(同55本)を基準とする。

(3)仕立て法は、2本主枝のY字形を基本とする。根付け3年目以降主枝から発生する1m以上の発育枝を50~80cmに切り返して針金に誘引し側枝とする。次年度も先端から伸びた1~2本の発育枝を前年と同様に切り返して側枝を延長させ2m以上はせん去する。2~3年利用して2mの高さに達した側枝は主枝付近で間引いて、前もって配置しておいた樹冠下部の予備枝に側枝を更新していく。配置する発育枝を利用した側枝の本数はフェンス幅によって多少異なるが、1樹当たり片側4mで15本程度が適当と思われる(図2)。

(4)植栽9年目における10a当り収量は1.5m幅では1,201m幅では1,470kgであった。そして2L以上の比率をみると、フェンス仕立ては、慣行仕立てに比べてどのフェンス幅も高く、中でも1.5m幅や2.0m幅でその比率は大きかった(表1)。また枝条別の収量構成としては、発育枝を利用した立ち枝側枝の割合を50%程度にすることとが望ましい(表2)。

(5)フェンス仕立ての作業効率は、1.5m幅で79.1kg/h/人、2.0m幅で65.6kg/hr/人であり、慣行仕立て法の1.3~1.6倍であった(表3)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)水田転換園など平坦地で適応性が高い。

(2)主幹を低くして着果部の拡大を図る。

(3)側枝はすべて張線に誘引し、樹冠内部の受光を良くする。

(4)多雪時には樹幹内部の雪を除去するなど、雪害対策に留意する。

 

[具体的データ]

表1 着果数の推移と収量                 (H8)

試験区

着果数の推移(個/側枝)

総個数

(個/樹)

収量

(kg/樹)

1果重

(g)

階級(%)

5/8

5/29

6/24

2L以上

L

M

S以下

1.0m幅

60.7

48.0

32.5

675

15.72

23.3

32.2

49.7

14.4

3.7

 

(100)

(79)

(54)

 

 

 

 

 

 

 

1.5m幅

48.8

38.3

30.3

665

17.15

25.8

49.5

43.5

5.7

1.3

 

(100)

(79)

(62)

 

 

 

 

 

 

 

2.0m幅

63.5

52.7

45.5

1095

26.72

24.4

39.9

43.9

11.9

4.3

 

(100)

(83)

(72)

 

 

 

 

 

 

 

慣行仕立ての階級比率:2L以上25.5% L51.8% M16.5% S以下6.3%

 

表2 枝別収量構成             (H7)

試験区

立枝側枝本数

(本/樹)

着果数

 

収量(kg/樹)

(個/側枝)

(個/樹)

 

立枝側枝

立枝側枝以外

1.0m幅

19.6

7.9

154

 

2.52

3.38

 

 

 

 

 

(43)

(57)

1.5m幅

20.6

9.3

192

 

3.03

4.98

 

 

 

 

 

(37)

(63)

2.0m幅

28.6

12.1

346

 

5.02

4.75

 

 

 

 

 

(51)

(49)

( ):立枝側枝と立枝側枝以外の割合

 

表3 作業効率の比較                (H8)

収穫法

 

作業人員

収穫量

所要時間

作業効率

 

 

(人)

(kg)

(分)

(kg/hr/人)

フェンス仕立て

1.0m

1

94.03

102

55.3

 

1.5m

1

102.78

78

79.1

 

2.0m

1

164.09

150

65.6

 

平均

 

 

 

66.7

慣行仕立て

 

3

102.00

41

49.2

 

[その他]

 研究課題名:ウメに需要増大に伴う安定供給のための着果管理・省力技術の開発

 予算区分 :国補(地域重要新技術開発促進事業)

 研究期間 :平成8年度(平成4~8年)

 研究担当者:渡辺 毅、山本 仁、中川文雄

 発表論文等:なし

[平成9年度 普及に移す技術]

ウメ‘紅サシ’のせん定期間の拡大

[要約]ウメ紅サシ’成木樹のせん定を7月下旬より連年実施しても、花芽着生や収量は慣行の冬季せん定と差がなく、7月下旬からせん定が可能である。

福井県園芸試験場・果樹研究グループ

契機

部会名

果樹

専門

栽培

対象

果樹類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

ウメ栽培の経営規模が拡大するためにしたがい、現行の落葉後のせん定期間だけでは十分にせん定が行えないのが現状である。せん定期間を拡大する目的で7月下旬からせん定が樹体におよぼす影響を検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)不完全花発生率は7月下旬・8月下旬・9月下旬と慣行せん定にはほとんど差はなかった。結実率は年次間により差は大きいが、7月下旬・8月下旬・9月下旬せん定を行ったほうが慣行せん定に比べ、結実率は高くなる傾向であった(表1)。

(2)せん定実施5年後の樹冠面積は8月せん定で最も大きく、7月せん定で最も小さかった。発育枝発生本数は7月せん定で少なく、7月せん定では栄養生長が低下する傾向がみられた(表1)。

(3)花芽着生密度は各枝長区分においてせん定時期による差は認められなかった。7月と10月の葉の窒素含量はせん定時期による差は認められなかった。可溶性糖含量は9月せん定の10月の葉で高いものの、せん定時期との関係は認められなかった(表2)。

(4)収量は9月下旬せん定で慣行せん定よりも低いが、7月下旬、8月下旬せん定は慣行せん定よりも収量は高かった。平均果実重はせん定時期による差は認められなかった(表3)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)7月下旬からのせん定は‘紅サシ’の健全に生育している成木に実施し、せん定方法は慣行の冬季せん定に準ずる。

(2)7月下旬、8月下旬せん定では結実が良く収量も高い傾向であるが、樹冠拡大や発育枝発生本数が少ないなど栄養生長が弱くなる傾向がみられる。このため、樹勢低下の兆候がみられたら、せん定時期を落葉後にする。

(3)落葉前のせん定では主に鋸を使い受光体制の改善を目的にせん定を行う。落葉後に、もう一度仕上げせん定を実施する。

 

[具体的データ]

 表1.せん定時期と結実および樹冠面積

せん定

時期y

年次

不完全

花率(%)

結実率

(%)

樹冠面積(㎡)

発育枝z

本数

発芽前

せん定前

 

7月下旬

’93

26.5

41.7

49.7

’94

12.5

36.7

42.6

48.9

146

’95

22.5

61.4

41.3

50.5

326

’96

12.3

73.2

44.9

52.7

110

 

8月下旬

’93

28.6

42.0

51.5

’94

13.6

40.7

44.0

50.1

276

’95

22.7

66.5

44.7

57.6

400

’96

9.5

69.0

51.3

58.3

215

 

9月下旬

’93

24.6

40.7

49.4

’94

10.8

37.3

39.6

47.7

235

’95

22.9

64.5

40.9

50.8

392

’96

13.4

71.6

47.1

54.6

237

 

慣行

’93

25.2

39.2

44.4

’94

11.4

31.0

38.5

46.6

224

’95

21.6

59.9

42.9

51.3

309

’96

13.0

60.9

47.2

54.2

211

y:せん定は’92年より開始、z:80cm以上の発育枝

 

 

表2:花芽密度と葉中の窒素および可溶性糖含量(5年間の平均)

せん定

時期

新梢長別花芽密度(個/cm)

 

窒素含量(%)

 

可溶性糖含量(%)

0~10cm

10~20cm

20~30cm

30~50cm

 

7月

10月

 

7月

10月

7月下旬

1.32

0.91

0.80

0.70

 

2.98

2.64

 

3.82

3.62

8月下旬

1.35

0.92

0.82

0.73

 

3.09

2.74

 

3.71

3.24

9月下旬

1.33

0.91

0.81

0.71

 

3.12

2.53

 

3.76

4.00

慣行

1.33

0.91

0.81

0.71

 

3.13

2.63

 

3.72

3.70

 

表3. 1樹当たり収量および果実重

せん定

時期

年次別収量(kg)

累積

収量

平均果実重

(g)

’93

’94

’95

’96

7月下旬

12.5

108.1

77.8

157.6

356.0

18.3

8月下旬

17.0

108.0

81.9

172.9

379.8

17.8

9月下旬

13.7

91.4

65.0

141.8

311.9

17.7

慣行

7.5

91.3

70.3

158.5

327.6

18.9

 

 

[その他]

 研究課題名:ウメの需要増大にともなう安定供給のための着果管理・省力技術の開発

 予算区分 :国補(地域重要新技術)

 研究期間 :平成4~8年度

 研究担当者:山本 仁、中川文雄、渡辺 毅

 発表論文等:なし

 

ウメのネット収穫における振動収穫機の利用

[要約]完熟ウメネット収穫する際の残果処理に振動収穫機を用いることにより、作業効率が高まるとともに、歩留まりの高い高品質の一次加工品を生産することができる。

福井県園芸試験場・果樹研究チーム

連絡先

0770-32-0009

部会名

果樹

専門

栽培

対象

果樹類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

完熟ウメをネット収穫して、高品質の一次加工品を生産するためには、累積落果率で約60%に達した時点で残果を一斉に収穫して直ちに塩漬けすることが重要である。そこで、残果処理に振動収穫機を用いたときの作業効率、果実品質などを検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)ネット収穫果の一次加工品の歩留まりは収穫時期によって異なり、累積落果率で5~60%の時期(平成8年は6月27日~7月14日)に漬け込んだ果実は50~53%と比較的高く、収穫末期のものは皮やぶれ等により歩留まりは低下した(図1、図2)。したがって、ネット収穫果から、歩留まりの高い高品質の一次加工品を生産するためには、約60%落果した時期に残果を一斉に収穫してしまうことが重要である。

(2)収穫日と傷果の発生の関係をみると、果実の品質を著しく悪化させる衝突傷は収穫日が遅くなるにしたがい少なくなり、また落果率も収穫日が遅くなると高まった(表1)。

(3)ネット収穫での残果処理の作業効率は、振動収穫機利用で74kg/hr/人、竹竿たたき落としで34kg/hr/人、手おとしで18kg/hr/人であり、振動収穫機は、竹竿たたき落しの2.2倍、手おとしの4.1倍であった(表2)。

(4)収穫した果実の傷の発生程度では、ネットのすり傷は各収穫法とも25%前後で大差はなかったが、一次加工品の品質に大きな影響を与える衝突傷は、竹竿たたき落しは2.7%、手おとしは1.0%であるのに対し、振動収穫機は0.8%で最も少なかった(表3)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)累積落果率で60%の時期は、開花盛期からの平均気温の積算値で約1,800℃に相当するので一斉収穫時期の把握に努める。

(2)落果率を高めるために、骨格枝を配置する。

(3)落葉を防ぐために振動時間は、1か所5秒以内とする。

(4)本技術は「紅サシ」品種の収穫に適用する。

 

[具体的データ]

 

 

表1 振動収穫機による収穫日と傷果の発生   (H6)

収穫日

全傷果率

(%)

傷果の内訳(%)

落果率

(%)

振動傷

すり傷

衝突傷

6月23日

40.1

25.8

8.3

6.0

73.3

6月27日

53.6

38.0

10.6

4.7

86.9

7月3日

61.5

42.2

27.9

1.4

89.7

 

表2 作業効率の比較                  (H8)

収穫法

作業人員

落果・回収時間

作業効率

(kg/hr/人)

振動収穫機 機械落果

2人

30kg/5min

 

      残果手おとし

2人

7kg/10min

 

        計

2人

37kg/15min

74kg/hr/人

竹竿たたき落とし

2人

17kg/15min

34kg/hr/人

手おとし

2人

12kg/20min

18kg/hr/人

 

表 傷果発生率の比較         (H8)

収穫法

ネットすり傷(%)

衝突傷(%)

振動収穫機

23.8

0.8

竹竿たたき落し

25.2

2.7

手おとし

24.6

1.0

 

[その他]

 研究課題名:ウメの需要増大に伴う安定供給のための着果管理・省力技術の開発

 予算区分 :国補(地域重要新技術開発促進事業)

 研究期間 :平成8年度(平成4~8年)

 研究担当者:渡辺 毅、山本 仁、中川文雄

 発表論文等:なし

 

[平成9年度 普及に移す技術]

ウメ植栽における地下水位の指標

[要約]地下水位が地表より20~40cm程度と高いと、地上部および地下部の生育は劣り、根の活性も低くなり、高い地価水位はウメ樹の生育阻害要因であった。水田転換園などでウメ樹を健全に生育させるためには地価水位は60cm以下にする必要がある。

福井県園芸試験場・果樹研究グループ

契機

部会名

果樹

専門

栽培

対象

果樹類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

ウメは傾斜地で栽培されてきたが、近年、水田転作作物としての導入に加え、収穫作業等の容易な平坦な水田で植栽される事例が多くなってきた。しかし、水田転換園では傾斜地にみられない樹勢の低下などが発生している。この樹勢低下の要因としての地下水位の高さが樹の生育に及ぼす影響を検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)植栽1年目の幹周の肥大は地下水位20cm区で最も良いが、2年目以降20cm区は最も肥大が劣った。植栽4年後の幹周が太かったのは地下水位60cm区や無湛水区であった(表1)。

(2)新梢の生育は幹周の肥大と類似しており、植栽年は地下水位が高い20cm区で総新梢長は最も長くなった。しかし、植栽4年後は地下水位60cm区が最も長く、次いで無湛水区であった(表2)。

(3)地下部の重量は無湛水区で最も重く、次いで60cm区が重かった。地下水位20cm区は明らかに地下部重量は軽かった。また、地下水位40cm区と20cm区では根の活性が低かった(表3)。

(4)設定地下水位よりも深い位置には根の分布がまったくみられなかった(図1)。

(5)樹を健全に生育させるためには地下水位を60cm以下にする必要がある。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)地下水位が60cmより高い圃場では客土をしてウメを植栽する。

(2)地下水位の高い圃場ですでに植栽されている場合は、明渠による地下水位の低下を地下水位60cmを目安に行う。

(3)地下水位が変動するところでは高畝に植栽し、畝間から地表水の排水に努める。

 

[具体的データ]

表1. 幹周の推移

地下水位

幹周(cm)

92/4Z

92/11

93/11

94/12

95/12

無湛水

3.9

6.2

9.8

10.8

12.3

60cm

3.9

6.3

9.8

11.4

12.8

40cm

3.8

6.3

9.3

10.6

11.6

20cm

3.8

6.6

7.2

8.1

8.4

z:植付け直後の幹周

 

表2.総新梢長の推移

地下水位

総新梢長(m/樹)

92/11

93/11

94/12

95/12

無湛水

6.2

28.9

22.9

36.3

60cm

6.3

31.0

32.8

44.5

40cm

6.3

26.3

29.2

35.2

20cm

6.6

10.4

11.1

15.5

 

表3.太さ別根の重量と根のTTC活性(’95年)

地下水位

細根0-5mm

(g)

中根5-10mm

(g)

太根10mm以上

(g)

地下部計

(g)

TTC活性

(mg)

無湛水

511

257

1171

1938

141

60cm

954

277

664

1895

198

40cm

708

231

523

1462

87

20cm

525

112

295

932

74

 

[その他]

 研究課題名:ウメの需要増大にともなう安定供給のための着果管理・省力技術の開発

 予算区分 :国補(地域重要新技術)

 研究期間 :平成4~8年度

 研究担当者:山本 仁、中川文雄、渡辺 毅

 発表論文等:平成8年度園芸回北陸支部大会にて発表

 

[平成9年度 普及に移す技術]

ウメ‘紅サシ’の果実の滴定酸度測定によるクエン酸含量の推定

[要約]ウメ果実の滴定酸度と、開花盛期からの積算気温を測定することにより容易に収穫前から収穫末期までの果実中のクエン酸含量を推定することができる。

福井県園芸試験場・果樹研究グループ

契機

部会名

果樹

専門

栽培

対象

果樹類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

ウメは、収穫時期が早過ぎると未熟果が混入するため、漬け込み後の軟化が進まず、染まりも悪く、梅干し品質が著しく劣る。そのため収穫開始期としては果肉のクエン酸含量が2%に達した時を、また漬け込みの時期としては3%以上に達した頃を目安としている。しかし、クエン酸含量の測定は操作が煩雑で高価な機器を必要とし、長時間を要するため、操作が簡単な滴定酸度を測定してクエン酸含量を推定する。

 

[成果の内容・特徴]

(1)果肉のクエン酸含量は収穫初期は低く、果実の肥大・成熟とともに高まるのに対し、リンゴ酸含量は成熟するにつれて低下する(図1、図2)。一方、滴定酸度はこの期間中若干増加傾向にあるが、クエン酸含量ほど大きな変化はない(図3)。

(2)果肉のクエン酸とリンゴ酸の合量に対するクエン酸の比率(y)は、開花盛期からの平均気温の積算値(x)の増加とともに大きくなり、両者の間にはy=0.0007x-0.3962の有意な関係がみられる。(表1、図4)。

(3)滴定酸度は、果肉10gに50mlの水を加え、ホモジナイザーで粉砕後、試料液5mlを採り、フェノールフタレインを指示薬として、1/10N水酸化ナトリウムで滴定し、果実試料1gに対する1/10N水酸化ナトリウムの滴定量(ml数)で表わす。

(4)(3)で求めた滴定酸度(ml数)に、(2)から得られたクエン酸比率を乗じた値(X)とクエン酸含量(Y)との間には、Y=0.655X+0.0113の有意な関係があり、滴定酸度を測定することにより、簡易にクエン酸含量を推定できる(図5)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)地区別の収穫開始時期と一次加工開始時期の判定資料となる。

(2)紅サシ以外の品種では適用できない。

(3)積算温度は、果実採取地にできるだけ近い観測地のデータを用いる。

(4)滴定酸度測定用試料は、中庸な果実10~15個から採取し、採取後短時間に行う。

 

[具体的データ]

 

 

第1表 地域別クエン酸比率率及び積算温度(℃)

地域名

項目

5/30

6/7

6/14

6/20

6/28

7/4

成出

クエン酸比率

0.19

0.36

0.38

0.55

0.70

0.72

 

積算温度

863

1026

1161

1302

1479

1623

河内

クエン酸比率

0.18

0.25

0.38

0.51

0.65

0.70

 

積算温度

763

922

1056

1195

1367

1506

海山

クエン酸比率

0.19

0.28

0.36

0.53

0.74

0.69

 

積算温度

857

1021

1158

1300

1479

1625

遊子

クエン酸比率

0.24

0.32

0.41

0.63

0.77

0.71

 

積算温度

927

1087

1223

1364

1539

1682

田立

クエン酸比率

0.17

0.24

0.32

0.57

0.68

0.73

 

積算温度

804

964

1101

1240

1415

1556

向笠

クエン酸比率

0.21

0.31

0.44

0.60

0.66

0.61

 

積算温度

785

942

1077

1214

1387

1527

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[その他]

 研究課題名:ウメ果実の滴定酸度測定によるクエン酸含量の推定

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成8年度(平成7~8年)

 研究担当者:渡辺 毅、山本 仁、中川文雄

 発表論文等:なし

[平成9年度 普及に移す技術]

コシヒカリの穂肥管理基準

[要約]コシヒカリを対象に、幼穂形成期の生育量から穂肥の適正施用法を判定するための穂肥管理基準を作成した。

福井県農業試験場・生産環境部・土壌環境・地力保全研究チーム

契機

部会名

生産環境

専門

肥料

対象

稲類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

米の慢性的過剰と流通の自由化に伴い、高品質米生産が緊急の課題となっている。一方、品質をはじめ倒伏や収量に影響の大きい穂肥の施用法は、主として葉色値を目安としており、生育量に見合ったよりきめ細かな穂肥管理の方法が求められている。そこで、過去のデータを解析し、コシヒカリを対象に幼穂形成期の生育量から穂肥の適正施用法を判定するための穂肥管理基準を作成した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)幼穂形成期の草丈(cm)×茎数(本/㎡)×葉色(上位展開第2葉のSPAD値)の値とN吸収量とは相関が高く、生育調査の結果からN吸収量を推定することができる(図1)。

(2)幼穂形成期のN吸収量と倒伏とは関連が深く、幼穂形成期のN吸収量が概ね5kg/10aを越えると稈長が90cmを越え、倒伏程度が高まる(図2)。

(3)穂肥のN施用量が多くなるに従って玄米N濃度が高まる傾向にある。目標玄米N濃度(1.3%以下)を得るための穂肥N施用量は、幼穂形成期のN吸収量によって異なる(図3)。

(4)幼穂形成期と成熟期のN吸収量(無穂肥)の関係から、幼穂形成期から成熟期までの地力由来のN供給量が概ね推定できる(図4)。また、幼穂形成期のN吸収量別穂肥N利用率を組み合わせると、幼穂形成期のN吸収量別に目標収量{玄米N濃度1.3%とした場合の精玄米重(約570kg/10a)、この場合のN吸収量は約9.8kg/10aに相当}を得るための穂肥N施用量が推定できる。

(5)以上の結果に基づいて、幼穂形成期の草丈、茎数、葉色の値からN吸収量を推定し、玄米N濃度、倒伏、玄米収量を考慮した穂肥管理基準を作成した(表1)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)第3葉身長による倒伏の予測法も併せて利用する。

(2)この管理基準は福井県のデータの基づいているので、他地域で使用する場合には、目標値や地力の違いなどに留意する必要がある。

 

[具体的データ]

表1 幼穂形成期の生育量別穂肥管理基準

草丈×茎数

×葉色

推定

N吸収量

倒伏3<

可能性

玄米N1.3%>

とするための

N施用量

目標玄米収量*

を得るための

推定N施用量

穂肥管理区分

N施用量

***

×10000

kg/10a

 

kg/10a

kg/10a

kg/10a

~77

~3.1

約5>

5.0

2 ‐2 ‐1

~88

~3.4

約5>

4.5

2 ‐1.5 ‐1

~98

~3.8

約5>

4.0

2 ‐2

~109

~4.2

約4>

3.5

2 ‐1.5

~121

~4.6

約4>

3.0

2 ‐1

~132

~5.1

約4>

2.5

1 ‐1.5 **

~146

~5.6

約3>

2.0

0 ‐2  **

~163

~6.1

約3>

1.5

0 ‐1.5 **

~178

~6.7

約2>

1.0

0 ‐1  **

~190

~7.1

約2>

0.5

0 ‐0.5 **

*:精玄米重 約570kg/10a(9.8Nkg/10a)  **:倒伏軽減剤の利用も考慮する

***:3回施用は出穂18日前より1週間ごと、2回施用は出穂18日前より10日ごと

 

[その他]

 研究課題名:土壌および水稲の栄養診断に関する調査

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成8年

 研究担当者:伊森博志・西畑善丸・牧田康宏・栗波哲・湯浅佳織・月田豊

 発表論文等:なし

[平成9年度 普及に移す技術]

緩効性燐酸・加里肥料の前年施用による全量基肥施肥量の削減

[要約]緩効性の熔燐珪酸加里を土づくり肥料として前年に施用すると、翌年の水稲作において、速効性肥料の春施用と同等以上の肥効を示すため、全量基肥施肥法における基肥量から燐酸・加里分を削減することができる。

福井県農業試験場・生産環境部・土壌環境研究チーム

契機

部会名

生産環境

専門

肥料

対象

稲類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

肥効調節型肥料を利用し、施肥の省力化と環境保全を志向した水稲の全量基肥施肥法が年々増加している。しかし、全量基肥施肥法は基肥と穂肥相当分を同時に施肥するため、一回当り施肥量が慣行施肥に比べ多くなり、現場では肥料補給の手間や労働負担が多くなるなどの問題が生じている。そこで、労働分散による負荷軽減を図るため、基肥時に施用する燐酸および加里分を前年に施用して、本田期間における基肥量を削減する。

 

[成果の内容・特徴]

(1)速効性PK肥料(過燐酸石灰+塩化加里)を前年に施用すると、春施用に比べ、水稲栽培期間中における土壌溶液のP、K濃度が大きく低下する。しかし、緩効性PK肥料(熔燐+珪酸加里)は、春施用と前年施用の土壌溶液の養分濃度差が小さく、前年施用による溶脱等の影響が小さいことが認められた(図1、2)。

(2)緩効性PK肥料を前年に施用した場合の3要素吸収量は、速効性PK肥料の春施用や前年施用に比べ同程度~やや上回る程度得られた。Si吸収量については資材間差が大きく、Siを含む緩効性PK肥料が施肥時期に拘らず速効性PK肥料を上回った(表1)。

(3)収量(乾物生産量)は、緩効性PK肥料が施肥時期に拘らず速効性PK肥料を上回った。また、速効性PK肥料は施肥時期の差が大きかったのに対し、緩効性PK肥料は施用時期の差はほとんど認められなかった(表1)。一方、現地圃場試験では、緩効性PK肥料の前年施用が速効性PK肥料の春施用に比べ収量・品質等でほぼ同等の結果が得られた(表2)。

(4)以上の結果から、緩効性の熔燐や珪酸加里を土づくり肥料として施用することにより、従来の全量基肥施肥から燐酸および加里分を削減することが可能と判断された。

 

[成果の活用面・留意点]

高窒素成分の全量基肥肥料を用いる場合、不足する燐酸・加里分を補うため、熔燐や珪酸加里など緩効性肥料を土づくり肥料として前年秋に施用する。

 

[具体的データ]

 

試験方法(図1~2、表1)

 (1)供試品種 コシヒカリ (2)試験規模 1/5000aポット3連 (3)3要素施肥量 各1g/ポット (4)土壌の化学性(乾土100g当り):CEC9.2me、TruogP2O523mg、置換性K2O26mg

 (5)PKの種類 速効:過燐酸石灰+塩化加里、緩効:熔燐+珪酸加里

(6)共通施肥 硫安+LPSS100(全量基肥)(無N、無P、無K、:硫安、過燐酸石灰、塩化加里)

表1 PKの種類と施用時期が養分吸収および乾物生産に及ぼす影響   (ポット当り)

区名

P

(g)

K

(g)

N

(g)

SiO2

P/N

K/N

わら重

(g)

穂重

(g)

総重

(g)

同左比

速効 春

0.17

0.92

0.77

2.9

0.23

1.20

62

41

103

100

速効前年

0.18

0.87

0.74

2.7

0.24

1.18

60

36

96

93

緩効 春

0.19

0.91

0.79

3.4

0.24

1.15

61

45

106

103

緩効前年

0.18

0.94

0.79

3.3

0.23

1.19

64

42

106

103

無N

0.02

0.10

0.09

0.9

0.26

1.16

7

5

12

11

無P

0.18

0.91

0.73

2.7

0.24

1.25

53

40

93

90

無K

0.17

0.79

0.73

2.5

0.24

1.09

54

36

89

86

 

表2 燐酸・加里の施用法が水稲の生育・収量・品質に及ぼす影響(芦原町北潟、コシヒカリ)

資材

の種

施用

時期

稈長

 

cm

穂長

 

cm

穂数

 

本/株

収量(kg/a)

千粒

g

良質

玄米

蛋白

成熟期の養分

吸収量(g/㎡)

わら

玄米

N

P

K

速効

76

17.1

18

72

62

51

21.7

74

5.1

7.4

1.7

9.7

緩効

前年

77

17.5

20

76

66

54

21.7

75

5.3

8.3

1.8

9.9

緩効

76

17.0

18

70

62

51

21.7

75

5.2

7.7

1.9

9.2

無PK

74

16.7

18

67

59

48

21.7

76

5.1

7.3

1.7

9.1

注)玄米の蛋白含量は15%水分換算値

 土壌の化学性(乾土100g当り):CEC10.1me、TruogP2O5 10mg、置換性K2O24mg

 供試肥料 速効:過燐酸石灰+塩化加里、緩効:熔燐+珪酸加里、

      共通施肥:硫安+LPPS100 (3要素施肥量:各8kg/10a)

 

[その他]

 研究課題名:水稲全量基肥施肥法実用化技術確立事業、環境保全型栽培基準設定調査事業

 予算区分 :県単、土壌保全

 研究期間 :平成6~8年

 研究担当者:伊森博志・坂東義仁(現高志農業改良普及センター)

 発表論文等:日本土壌肥料学会中部支部、1996:水稲全量基肥栽培における燐酸・加里の前年施用の影響

[平成9年度 普及に移す技術]

新規清酒酵母FK‐214a、FK‐3aの育種と特性

[要約]新規清酒酵母であるFK‐214aまたはFK‐3aを使用して清酒製造を行うことにより、香りおよび味に特徴のある清酒を製造することが出来る。

福井県農業試験場・食品加工研究所・技術開発研究チーム

契機

部会名

食品

専門

加工利用

対象

稲類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

清酒の品質・特徴に関して、酵母の及ぼす影響は大きい。これまで北陸地域(金沢国税局管内)では金沢酵母が用いられるケースが多かったが、H7年度から日本醸造協会から協会14号酵母(K‐14)として全国に販売されるようになった。このため、K‐14に代わる県独自酵母の開発への期待が強まり、これに応えるため県独自酵母の開発を進めている。

 

[成果の内容・特徴]

(1)県内8清酒製造場の23本の清酒もろみより分離した約300株をもとに、世代促進による自然変異の誘発処理やアルコール順応処理と選抜を行い、FK‐214aとFK‐3aを取得した。

(2)清酒の香りの主成分である酢酸イソアミルとカプロン酸エチルの生産量は、FK‐214a、FK‐3aともにK‐14を上回っている(表1)。

(3)香りのタイプを分類すると、FK‐214aは含み香(口の中で感じる香り)と上立ち香(飲む前に感じる香り)の両者とも増加したタイプであり、FK‐3aは上立ち香が増加したタイプと言える(図1)。

(4)FK‐214aは、酸生成量が少ない特徴を持つ(表1)。特に、酢酸の占める割合が低くなっているため、軽やかな酒質となる(表2)。

(5)FK‐3aは、K‐14とほぼ同様の酸生成量である(表1)。酸組織では、酢酸の割合が高くなっているので、重めの酒質となる(表2)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)FK‐214aは増殖速度が遅いので、K‐14と同様の操作ではもろみ後半に発酵が鈍る可能性がある。使用に際しては、仕込配合を変更するなど増殖を促進させる工夫が必要となる。

(2)FK‐3aは酢酸の比率が高めであるので、酸をださせる操作をした場合に酒がくどくなる恐れがある。

 

[具体的データ]

表1試験醸造酒の一般成分値

strain

EtOH

(%)

酸度

(ml)

評点

(3点法)

香気成分

i‐AmOAc1)

(ppm)

i‐AmOH1)

(ppm)

CapOEt1)

(ppm)

E/A2)

C/A2)

FK214a

17.7

1.8

2.0

3.55

161.9

0.71

2.2

0.4

FK3a

21.6

2.2

2.2

5.21

217.2

0.65

2.4

0.3

K14

22.2

2.3

2.3

2.89

187.7

0.53

1.5

0.3

仕込条件、総米200g、精米歩合50%(五百万石)、2反復の平均値

1)i‐AmOAC、酢酸イソアミル;i‐AmOH、イソアミルアルコール;CapOEt、カプロン酸エチル。

2)E/A=100×i‐AmOAc/i‐AmOH;C/A=100×CapOEt/i‐AmOH

 

表2 試験醸造酒の有機酸組成

strain

リン酸

クエン酸

ピルビン酸

リンゴ酸

コハク酸

乳酸

フマル酸

酢酸

ピロ

グルタミン酸

FK214a

19.0

7.8

0.0

15.2

21.6

24.7

1.0

8.3

2.3

100

FK3a

16.7

7.2

0.0

15.0

26.0

16.4

1.0

15.5

2.0

100

K14

16.9

6.8

0.0

14.8

27.2

18.0

1.1

12.9

2.3

100

                仕込条件、総米200g、精米歩合50%(五百万石)、2反復の平均値

 

 

[その他]

 研究課題名:香気性酵母の開発による清酒の高品質化

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成8年度(平成5~9年)

 研究担当者:久保(藤田) 義人

 発表論文等:なし

 

[平成9年度 普及に移す技術]

糯米菓生地水分の迅速測定法

[要約]乾燥工程中の糯米菓生地水分近赤外分光法によって、非破壊的に迅速に測定する技術を開発した。この方法により生地水分の適正な管理が容易に行える。

福井県農業試験場・食品加工研究所・技術開発研究チーム

契機

部会名

食品

専門

加工利用

対象

稲類

分類

普及

 

[背景・ねらい]

米菓製造工程の中で乾燥工程中の生地水分の管理は、良好な製品を得るために重要である。しかし現在でもなお、職人の永年の経験とカンに頼っている場合が多く、科学的手法による生地水分管理技術の開発が望まれている。一部で行われている加熱による重量変化を測定する方法では手間がかかる上に迅速性に劣る欠点がある。そこで近赤外分光法を活用して非破壊的・迅速に糯米菓生地水分を測定する方法の開発を行った。

 

[成果の内容・特徴]

(1)光ファイバーで近赤外分析計本体(ニレコ製6500型)より図1のように測定ボックスに導入し糯米菓生地の透過光を測定することにより、米菓生地水分にむらがあっても測定でき、その測定は本機の場合20秒以内に完了する。

(2)検量線を得るために厚さ3および5mm、食塩濃度0および1%、生地温度25~40℃、水分18~44%の生地を調製し、この生地を用い検量線を比較検討した。ただし生地の厚さの影響を避けるため、厚さに関与する波長で除した。その結果2次微分スペクトルを用いた下記の検量線が得られた(表1)。

 

生地水分(%)=31.124×A/C+30.413×B/C+19.058

     A:2次微分956mmの吸光度

     B:2次微分1010mmの吸光度

     C:2次微分996mmの吸光度

                    標準誤差0.683、重相関係数0.9968

(3)この検量線を用いて、実際の工場での米菓生地の水分を測定したところ、副原料の違いにより商品によって多少のバイアスが発生した。しかし標準誤差はいずれも小さく、個々の商品に応じて検量線を補正するのみで、水分を測定することができる。(表2)

(4)近赤外スペクトルは温度の影響を受けることが知られており、乾燥工程中は約10℃から40℃まで生地の温度が変化するが、その際にも安定して水分が測定することができ、現場で十分使用できることが明らかとなった。(図2)

 

[成果の活用面・留意点]

(1)個々の商品に応じて検量線を調整して測定する必要がある。

(2)工場での使用の際は電圧の変動に注意する必要がある。

 

[具体的データ]

表1 生地水分の検量線の比較      

微分

波長

標準誤差

重相関係数

 

994/980,

 

 

なし

750/980

2.700

0.9486

 

956/996,

 

 

2次微分

1010/996

0.683

0.9968

*管理目標水分誤差±1%        

 

表2 生地の種類による検量線の安定性

(mm)

合)

バイアス

標準誤差

11.5

なし

‐0.06

0.702

5.5

なし

‐0.32

0.485

3.4

えび(1%)

0.43

0.453

3.8

豆(5%)

‐0.19

0.509

3.0

昆布(1%)

0.45

0.136

 

 

 

 

[その他]

 研究課題名:モチ米加工食品の高品質化技術の確立

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成8年度(平成6~8年)

 研究担当者:佐藤有一、倉内美奈

 発表論文等:なし

 

[平成9年度 普及に移す技術]

細霧システムによる乳牛暑熱対策

[要約]細霧システムで牛床温度が1.0~2.5℃低下した。気温の上昇に伴う乳量および乳質の低下はなく、夏期分娩牛の乳量も正常に増加した。細霧システムは積極的な暑熱対策として効果があることが確認できた。

福井県畜産試験場・家畜研究部・大家畜研究グループ

契機

部会名

畜産

専門

飼養管理

対象

家畜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

暑熱に弱い乳牛は毎年夏期に乳量、乳質、繁殖性が低下し、酪農経営に大きなダメージを与える。酪農家はそれぞれ暑熱対策を行っているが、その効果には限界があるためより効果的な方法がもとめられている。そこで、九州などで利用されている細霧システムが福井の牛舎環境と産乳に及ぼす影響を畜試をモデルに検討した。細霧システムはノズルから噴霧した細霧が空気中を漂うか牛体に付着し、それぞれ蒸発する際に気化熱を奪い、舎内温度を下げる一方で牛の体温を下げるものである。

 

[成果の内容・特徴]

(1)牛床温度は細霧噴霧中は常に舎内温度より推移し、30℃以上では1.0~2.5℃低下した(図1)。

(2)細霧システムの無かった平成7年は気温の上昇に伴い乳量が約7kg低下したが、細霧を設置した平成8年は気温に関連した乳量の低下はなかった(図2)。

(3)夏期に分娩した牛の乳量は、平成7年はすべての牛で乳量が正常に増加しなかったが、平成8年は正常に増加した(図3)。

(4)平成8年の乳質は乳脂率、無脂固形分率とも送風機のみを設置している近隣の農家は気温の上昇に伴い明らかに低下したが、畜試は維持した(図4)。

(5)送風機を含めた細霧システムの導入費は約170万円(30頭規模模試算)で、投資回収は乳量のみを考慮した場合、乳量維持率75%で3.2年であった。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)細霧システムは必ず細霧発生装置と送風機を併用する。

(2)畜舎の立地条件や構造により設置方法が異なるので、導入の際は十分検討する。

(3)気温の変化に伴い、噴霧と休止の時間比率を調整すると効果があがる。

(4)細霧システム以外の暑熱対策も併せて行う。

(5)夏期の福井の気温および湿度は九州と類似しており、効果は十分期待できる。

 

[具体的データ]

細霧システム設定条件

(1)送風機 温度可変インバーター制御

     風速1~3m/s(20~35℃)

(2)細霧  噴霧30秒・休止30秒(28~30℃)

     噴霧60秒・休止15秒(30℃≦)

     ポンプ圧:50kg/c㎡

(3)供試牛 蓄試繋養ホルスタイン搾乳牛

 

 

[その他]

 研究課題名:高泌乳牛群作出試験事業

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成6~9年度

 研究担当者:福井幸昌・松田隆一・辻本賢二郎(現福井県嶺南牧場)

 発表論文等:

 

[平成9年度 普及に移す技術]

1回哺乳によるホルスタイン雌子牛の人工哺育

[要約]反すう胃の発達したホルスタイン雌子牛を育成するために、代用乳の1回哺乳と人工乳給餌器を利用した人工哺育方法を検討し、人工乳摂取量の増加と正常な子牛の発育を確認した。

福井県畜産試験場・家畜研究部・大家畜研究グループ

契機

部会名

畜産

専門

飼養管理

対象

家畜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

高泌乳牛は養分要求量を充足するのに、飼料を十分摂取する必要がある。このためには、生後早い時期から固形飼料を摂取させ、反すう胃の発達を促進することが重要である。そこで、代用乳の哺乳回数を通常の2回から1回に減らし、不足するエネルギーを人工乳の増加で補う人工哺育方法を検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)代用乳は6日齢から給与し、8日齢から1回哺乳にする。代用乳量は10日間ごとに50gずつ増量し、35日齢で離乳する。乾草と水は代用乳と同じ6日齢から給与する(表1)。

(2)人工乳の給餌方法は乳首様のニップルが付いた人工乳給餌器が有効である(図1)。

(3)1回哺乳の代用乳摂取量は2回哺乳の59%に減少したが、人工乳摂取量は152%に増加した。この結果、総TDN量は1回哺乳で若干多く(7%)なり、1回哺乳による代用乳からのエネルギー不足は人工乳の摂取量増加により補える(表2)。

(4)1回哺乳の飼料費は2回哺乳の84%と安くなる(表2)。

(5)1回哺乳の人工摂取日量は8日齢から常に2回哺乳より多く、0.5kg摂取日齢は1回哺乳で16日齢、2回哺乳で21日齢である(図2)。

(6)体重は哺乳期間、離乳後とも同様に増加し、哺乳回数の影響はない(図3)。

(7)1回哺乳、2回哺乳とも哺乳期間中に下痢の発生はなかった。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)反すう胃の発達した子牛の育成と、飼料費の低下、作業の省力化が期待できる。

(2)人工乳給餌器は哺乳バケツに近い所に設置し、子牛の発育に合わせて高さを調整する。

(3)人工乳給餌器は6日齢から設置し、子牛が吸い付かないようなら手を添えて馴致する。

(4)下痢の発生に注意する。

 

[具体的データ]

表1 飼料給与方法

飼料

哺乳

回数

日 齢

1

6

8

16

26 (28)

36

(43)

初乳

 

2㍑*2

 

 

 

 

 

 

代用乳

1回

 

250g×2

250g*1

300g*1

350g*1

離乳

 

 

2回

 

250g×2

  200g*2

150g×2

離乳

人工乳

 

 

自由採食

切替

育成飼料

 

 

 

 

 

切替

上限2Kg

細切乾草

 

 

自由採食

   →

 

 

 

自由採食

   →

 

 

試験方法

(1)供試牛:ホルスタイン初生雌牛 (2)供試頭数:4頭 (3)飼養形態:カーフハッチ

(4)人工乳給餌方法:1回哺乳 人工乳給餌器、2回哺乳 たらい

 

表2 哺育期間の飼料および総TDN摂取量と総飼料費(1~42日齢)

区分

初乳

(kg)

代用乳

(kg)

人工乳

(kg)

育成飼

料(kg)

乾草

(kg)

総TDN

(kg)

総飼料

費(円)

1回哺乳

19.4

9.7

33.6

5.0

3.8

43.2

6,151

 

±0.4

±0

±1.2

±1.1

±1.7

±0.2

±109

2回哺乳

18.5

16.4

22.1

4.3

2.7

40.2

7,356

 

±1.5

±0

±4.4

±0.3

±0.3

±1.6

±250

1回/2回

105

59

152

116

142

107

84

飼料のTDN(%):初乳0.15、代用乳1.02、人工乳0.77、育成飼料0.72、乾草0.47

飼料の単価(円/kg):初乳0、代用乳324、人工乳72、育成飼料64、乾くさ70

 

 

[その他]

 研究課題名:高泌乳牛群作出試験事業

 予算区分 :県単

 研究担当者:福井幸昌・松田隆一・辻本賢二郎(現福井県嶺南牧場)

 発表論文等:

 

[平成9年度 普及に移す技術]

血斑発生に対するビタミン剤の有効性

[要約] 褐色卵の血斑発生率を低下させるため、市販配合飼料にビタミンAを添加し鶏に給与することにより、血斑卵の発生率は減少した。また、血斑が発生してもおおきさを小型化し目立たなくすることが可能である。

福井県畜産試験場・家畜研究部・中小家畜研究グループ

契機

部会名

畜産

専門

飼養管理

対象

家畜類

分類

指導

 

[背景・ねらい]

消費者の嗜好が多用化するなかで、鶏卵では褐色卵が消費者に好まれている。しかし、産卵性は優れているものの、卵質面では血斑の発生率が高く、その消失が望まれている。そこで、血斑抑制効果の見込まれるビタミンAを添加し、有効添加水準と銘柄の違いによる血斑発生への影響について検討した。

 

[成果の内容・特徴]

(1)血斑卵の発生率は、イサブラウンでは17,000IUおよび30,000IU区で開始15週後から減少し、20週後には17%~20%減少した。デカルブワーレンでは、4,000IU区で増加したのに対し、17,000IUおよび30,000IU区ではビタミンA添加飼料の給与により減少し、20週後には12%~20%減少した(表1)。

(2)割卵検査で認められた3mm以上の大きさの血斑卵発生率は、両銘柄とも、4,000IU区ではバラツキがみられたが、17,000IUおよび30,000IU区では20週後には試験開始前の2分の1ないし3分の1に減少した。これより、ビタミンAを添加することで、血斑が発生してもある程度大きさを小型化し目立たなくすることが可能であることが示唆された(表2)。

(3)添加区において、ビタミンAの添加による産卵への影響はみられなかった。

(4)鶏卵中のビタミンA濃度は、添加水準の上昇に伴って高い値を示した(表3)。

 

[成果の活用面・留意点]

(1)褐色卵の品質向上が期待できる。

(2)ビタミンAの添加水準が10,000IU/kgあがると飼料費は約2円/kgアップするので、経済性を考慮し有効水準を決める必要がある。

(3)採卵鶏へのビタミンAの飼料添加量は、過剰症を考慮し40,000IU/kgを超えないようにする。

 

[具体的データ]

表1 血斑卵の発生率                  (%)

銘柄

区分

試験開始前

5

10

15

20週後

イサブラウン

4,000IU

59.2

64.4

52.5

48.3

50.5

 

17,000IU

61.8

65.9

55.6

52.5

44.9

 

30,000IU

59.6

56.8

60.7

46.1

39.4

ワーレン

4,000IU

42.2

45.2

42.9

46.3

50.4

 

17,000IU

67.2

65.7

54.3

54.6

47.0

 

30,000IU

55.7

46.1

53.6

45.7

43.9

・供試鶏 :イサブラウン、デカルブワーレン 各30羽(15羽×2群)

・試験期間:20~40週齢間

・試験区分:対照区 4,000IU区:市販配合飼料(4,000IU/kgのビタミンA含有)を給与

      添加区 17,000IU区:市販飼料1kg当たりビタミンAを17,000IU添加し給与

          30,000IU区:       〃        30,000IU  〃

 

表2 3mm以上の大きさの血斑卵の発生率        (%)

銘柄

区分

試験開始前

5

10

15

20週後

イサブラウン

4,000IU

14.5

19.5

12.8

14.2

17.3

 

17,000IU

13.9

19.3

13.3

10.7

6.1

 

30,000IU

16.0

11.4

12.0

7.2

8.8

ワーレン

4,000IU

12.5

9.8

8.7

20.7

11.7

 

17,000IU

24.1

20.1

14.0

10.5

8.2

 

30,000IU

14.3

15.7

14.5

13.9

7.3

 

表3 卵黄中のビタミンA濃度(30週齢時)

               (IU/100g)

銘柄

区分

卵黄中ビタミンA

イサブラウン

4,000IU

1,570

 

17,000IU

2,130

 

30,000IU

2,600

ワーレン

4,000IU

1,670

 

17,000IU

2,170

 

30,000IU

2,800

 

 

[その他]

 研究課題名:高品質鶏卵生産技術の確立

 予算区分 :県単

 研究期間 :平成6~8年度

 研究担当者:笠原香澄・澤田芳憲・山口良二

 発表論文等:日本畜産学会北陸支部会報、1996:ビタミンAの血斑卵に及ぼす影響

 

アンケート
ウェブサイトの品質向上のため、このページのご感想をお聞かせください。

より詳しくご感想をいただける場合は、noshi@pref.fukui.lg.jpまでメールでお送りください。

お問い合わせ先

農業試験場

電話番号:0776-54-5100 ファックス:0776-54-5106メール:noshi@pref.fukui.lg.jp

〒918-8215 福井市寮町辺操52-21(地図・アクセス)
受付時間 月曜日から金曜日 8時30分から17時15分(土曜・日曜・祝日・年末年始を除く)